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第四章 彼女に捧ぐ鎮魂歌
お兄様が愛する人
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お城の中には、防御魔法が複雑に張り巡らされていて、お兄様のお部屋など、このローザリアで最も護りの固い場所なのではないでしょうか。魔法を使ってしまったら、魔力の高いお兄様には、すぐに気付かれてしまいます。
だからわたしは、オーランド様とルシオさんがお兄様のお部屋に入った後で、護衛さんには秘密にしてと必死にお願いして、こっそりと中に入りました。お二人が入ったのは、書斎でしたら、わたしはその手前の応接間に控え、扉を少しだけ開けて、その横に佇みました。
扉の奥から、彼らの声が、聞こえてきました。
盗み聞きなんて、はしたないことです。初めての経験でした。
だけど、お兄様たちが、いつもどんなお話をされているのか、確かめたかったのです。わたしの前ではいつも優しいお兄様も、ご友人の前なら、本心を語られるのではないかと思ったのです。
もしこれで、お兄様がわたしを愛していないということがはっきりと分かったら、お兄様に嫌われてしまわないうちに、この恋心に、ケリを付けようと、そう考えました。
「解読は進んでいるのか」
聞こえたのは、オーランド様の声です。がさがさと、紙が擦れるような音もします。
「ああ、進んでいる。読むか」
お兄様の声が聞こえ、わたしの心臓は勝手に鼓動を早めます。
「ディミトリオス、自分で気付いているのか? ひどい表情だぞ、寝る間を惜しんで彼女の手記を読んでいるんだろう」
「僕が部屋で何をしていようが僕の勝手だ。国は問題なく動いているし、皆の前ではいつも通りだ」
わたしと話すときとは、異なる話し方でした。
「まあ国はよく動いているよ、あれだけの改革を進めて、よく混乱が生じないものだと、俺だって思う。お前の変化に気づく奴はそうそういないさ」
そう言ったのはルシオさんでした。
「皆が言う。お前はフォーマルハウト家始まって以来の最も優秀な皇帝だと」
「だろうな、私はリオンテール家の皇帝だから。だがな――」
トントンと、机が叩かれるような音がした直後に、再びオーランド様が言いました。
「過去に取り憑かれ、イリスを放置しているのは健全とは言えない。君がイリスを必要としていないのなら、私がもらうぞ」
一瞬、隣の部屋の空気が張り詰めたような気がしました。気詰まりな奇妙な沈黙の後で、お兄様の声がします。
「諦めたんだろう」
「一度はな。二度目があってはならないと、誰も言っていない。イリスと母はまた関係を築けそうだ。私の屋敷でも上手くやるだろう。私は今の彼女も好きだ。絹のような銀髪に華奢な腰、閏んだ瞳に、夢のような声で語りかけられては、なんとも庇護欲がかきたてられる。彼女が欲しいと願わない男はいないだろう」
オーランド様に好意を告白されて、心臓がどきどきしてしまったのは刹那の間だけで、ディミトリオスお兄様が荒げた声に、ときめきはかき消されてしまいました。
「彼女が僕の側を離れるなんてあり得ない! 許されざることだ!」
再び、部屋が静まり返った後、オーランド様の、冷たいとさえ思える声がしました。
「だが彼女がああなってから、一度も部屋に呼んでいないだろう」
「そんなことまで噂になっているのか」
呆れたようなお兄様の声に、真剣なオーランド様の声が重なります。
「帝国の後継問題は常に喫緊の課題だ。この私が言うのだから間違いない」
「笑えない冗談だ」
姿は見えませんけれど、ルシオさんが笑った気配がしました。
「二人がオーランド帝の城にいたころは、こそこそと逢瀬を重ねていたのにな」
「勘違いするなよルシオ。僕が彼女と恋人になったのは、戴冠式の後だ。それまでは一晩だって一緒に過ごしてない」
知らない、ことでした。
わたしはまた、顔が熱くなりました。わたしとディミトリオスお兄様は、それでは以前は、本当に恋人だったのです。
だとしたらなんて幸せなことなのでしょう。そうして同時に、残酷なことでもありました。お兄様が、イリスを愛していたのだと、苦しいくらいに伝わってきます。けれどそのイリスは、わたしではないのです。
ルシオさんの、乾いた笑いが響きます。
「一度もか? なぜだ。拒まれたのか?」
「いいや、そういうわけじゃない。ただ僕は、一定のけじめが欲しかった」
「あれほど好き合っていてそんなことが可能なのか。ディミトリオス、君は欲がないのか」
驚愕を隠そうともしないオーランド様に、お兄様が答えます。
「僕だって男だ、あるに決まってるだろ。あの子のすべてを僕のものにしたかった。頭の先から小指の爪の一つにも、そうして心の中にも果てしなく、彼女に僕という存在を刻み込みたかった。自分でも恐ろしいほどに、彼女への欲望は尽きなかった。
だけど中途半端は嫌だった。だから君から帝位を奪って、僕が皇帝になって、あの子が聖女から解放されて……いや、それはいいんだ。本当はあの子の成人まで待とうと思っていたが、僕の方が堪えられなかった。……僕があの子を幸せにするには、完璧な形じゃないとだめだったんだ」
「馬鹿だな。完璧な幸せなどないと、君が一番知っているはずだろうに」
「悔しいけど、オーランド、君の言うとおりだ。僕は完璧が欲しかった。完全な幸せが欲しかった――……数ヶ月前の、ひととき、それは確かに、僕等の側にあったんだ。だがもう、消えてしまった。初めから存在しなかったように」
お兄様の静かな声が、部屋に響いていました。
「……テミス家に初めて行った日を、今だってよく覚えてる。僕は発育不良の痩せた子供で、二つ年下の彼女と、身長はあまり変わらなかった。ミランダさんが、僕をアレンさんの隠し子だと勘違いして、僕に攻撃魔法を当てようとした。彼女もわけがわからなくなっていたんだと思う。庇ったのはイリスだった。代わりに額を切ってしまって……。僕はいたたまれなくなって、死のうとしたんだ」
語りかけているというよりは、言葉が止まらないようでした。
お兄様の独白を、お二人は黙って聞いていました。
「それもまた、イリスが止めた。僕の出した魔法陣で怪我をしながらも、言ってくれた。イリスと僕は、家族になるんだって――。僕は単純だったから、じゃあ彼女と結婚しようと思った」
わたしの記憶の中で、血を流したのはお兄様でした。お父様とお母様が話し合っている間、残されたわたしたちは確か、二人で庭に行って。
わたしの姿を探していたお母様が、お兄様に怒って、攻撃魔法を放ったのです。強い魔法ではありませんでしたが、お兄様は額を深く切ってしまいました。
そのことがきっかけで、その後もずっと、お母様とお兄様の仲はぎくしゃくしていたのです。
それがそっくり、無かったことに――いいえ、イリスが代わりに、怪我をしたことに、なっていたのです。
「毎日、一緒にいたんだ。春も夏も秋も冬も、巡る季節をあの美しい領地で共に過ごした。あの鮮やかな思い出は、今も夢に見るほどに色褪せず輝いてる。君達にも見せてやりたいよ。そうしたら、僕の思いが分かるはずだ。
イリスは魔法が使えることを周囲に秘密にしていたが、僕だけは知っていた。よく二人で、隠れて練習していた。二人でいれば、どんなことだってできるような錯覚をしていたんだ。それまで暗く恐ろしかった夜を、僕は好きになった。明日もイリスに会えると思うと、世界が輝いたように感じたんだ。気付いた時には、引き返すことができないほどに、恋をしていた。初恋さえ知らないのに、狂おしいほど愛していた」
お兄様の声は、段々と穏やかなものに変わっていきます。
「馬鹿みたいだけど、運命だと思っていた。彼女に出会うまでの僕の人生は暗澹たるものだった。だけど彼女に出会った瞬間、それまでの日々がすべて報われたんだ。彼女に出会うために、あの日まで生き抜いたんだと、思った。だから僕の人生を彼女に捧げることに、なんら躊躇いはなかった。愛していたんだ。愛という言葉が陳腐に思えるほどに、彼女を強く、欲していた」
わたしは息が、上手くできなくなってきました。けれど不規則な呼吸を、お兄様達に気付かれてはいけません。
両手を口にあてて、ゆっくり、ゆっくり、必死に呼吸を続けました。
――もうこれ以上、お兄様の口から、彼女への想いを聞きたくありませんでした。それでもわたしは、この場から逃げることもできず、半ば呆然と、立ち尽くすことしかできません。
わたしは知りません。ディミトリオスお兄様と彼女が、どれほど深く、愛を育んで来たのかを。少しも知りません。全然、何も、分かりません。
オーランド様もルシオさんも、束の間、何も言えない様子でした。
沈黙を破ったのは、ルシオさんでした。
「じゃあ俺も本音を話す。
女々しい男だと思うかもしれんが、俺は反乱を隠されていたことをまだ根に持っているぜ。お前のイリスへの想いとは比べ物にならないかもしれないが、俺もお前達二人のことを心の底から好いている。ディミトリオスという友人に出会わなかった俺の人生を考えると、ぞっとする時がたまにあるほどには、お前のことが大好きだ。
なあ、ディマ。だからずっと気にかかっていたことを聞いてもいいか。――お前、教皇庁の地下で何を見た? ヘルへ行く途中の宿屋で話していた、別の世界の小説とは、一体何だ?」
だからわたしは、オーランド様とルシオさんがお兄様のお部屋に入った後で、護衛さんには秘密にしてと必死にお願いして、こっそりと中に入りました。お二人が入ったのは、書斎でしたら、わたしはその手前の応接間に控え、扉を少しだけ開けて、その横に佇みました。
扉の奥から、彼らの声が、聞こえてきました。
盗み聞きなんて、はしたないことです。初めての経験でした。
だけど、お兄様たちが、いつもどんなお話をされているのか、確かめたかったのです。わたしの前ではいつも優しいお兄様も、ご友人の前なら、本心を語られるのではないかと思ったのです。
もしこれで、お兄様がわたしを愛していないということがはっきりと分かったら、お兄様に嫌われてしまわないうちに、この恋心に、ケリを付けようと、そう考えました。
「解読は進んでいるのか」
聞こえたのは、オーランド様の声です。がさがさと、紙が擦れるような音もします。
「ああ、進んでいる。読むか」
お兄様の声が聞こえ、わたしの心臓は勝手に鼓動を早めます。
「ディミトリオス、自分で気付いているのか? ひどい表情だぞ、寝る間を惜しんで彼女の手記を読んでいるんだろう」
「僕が部屋で何をしていようが僕の勝手だ。国は問題なく動いているし、皆の前ではいつも通りだ」
わたしと話すときとは、異なる話し方でした。
「まあ国はよく動いているよ、あれだけの改革を進めて、よく混乱が生じないものだと、俺だって思う。お前の変化に気づく奴はそうそういないさ」
そう言ったのはルシオさんでした。
「皆が言う。お前はフォーマルハウト家始まって以来の最も優秀な皇帝だと」
「だろうな、私はリオンテール家の皇帝だから。だがな――」
トントンと、机が叩かれるような音がした直後に、再びオーランド様が言いました。
「過去に取り憑かれ、イリスを放置しているのは健全とは言えない。君がイリスを必要としていないのなら、私がもらうぞ」
一瞬、隣の部屋の空気が張り詰めたような気がしました。気詰まりな奇妙な沈黙の後で、お兄様の声がします。
「諦めたんだろう」
「一度はな。二度目があってはならないと、誰も言っていない。イリスと母はまた関係を築けそうだ。私の屋敷でも上手くやるだろう。私は今の彼女も好きだ。絹のような銀髪に華奢な腰、閏んだ瞳に、夢のような声で語りかけられては、なんとも庇護欲がかきたてられる。彼女が欲しいと願わない男はいないだろう」
オーランド様に好意を告白されて、心臓がどきどきしてしまったのは刹那の間だけで、ディミトリオスお兄様が荒げた声に、ときめきはかき消されてしまいました。
「彼女が僕の側を離れるなんてあり得ない! 許されざることだ!」
再び、部屋が静まり返った後、オーランド様の、冷たいとさえ思える声がしました。
「だが彼女がああなってから、一度も部屋に呼んでいないだろう」
「そんなことまで噂になっているのか」
呆れたようなお兄様の声に、真剣なオーランド様の声が重なります。
「帝国の後継問題は常に喫緊の課題だ。この私が言うのだから間違いない」
「笑えない冗談だ」
姿は見えませんけれど、ルシオさんが笑った気配がしました。
「二人がオーランド帝の城にいたころは、こそこそと逢瀬を重ねていたのにな」
「勘違いするなよルシオ。僕が彼女と恋人になったのは、戴冠式の後だ。それまでは一晩だって一緒に過ごしてない」
知らない、ことでした。
わたしはまた、顔が熱くなりました。わたしとディミトリオスお兄様は、それでは以前は、本当に恋人だったのです。
だとしたらなんて幸せなことなのでしょう。そうして同時に、残酷なことでもありました。お兄様が、イリスを愛していたのだと、苦しいくらいに伝わってきます。けれどそのイリスは、わたしではないのです。
ルシオさんの、乾いた笑いが響きます。
「一度もか? なぜだ。拒まれたのか?」
「いいや、そういうわけじゃない。ただ僕は、一定のけじめが欲しかった」
「あれほど好き合っていてそんなことが可能なのか。ディミトリオス、君は欲がないのか」
驚愕を隠そうともしないオーランド様に、お兄様が答えます。
「僕だって男だ、あるに決まってるだろ。あの子のすべてを僕のものにしたかった。頭の先から小指の爪の一つにも、そうして心の中にも果てしなく、彼女に僕という存在を刻み込みたかった。自分でも恐ろしいほどに、彼女への欲望は尽きなかった。
だけど中途半端は嫌だった。だから君から帝位を奪って、僕が皇帝になって、あの子が聖女から解放されて……いや、それはいいんだ。本当はあの子の成人まで待とうと思っていたが、僕の方が堪えられなかった。……僕があの子を幸せにするには、完璧な形じゃないとだめだったんだ」
「馬鹿だな。完璧な幸せなどないと、君が一番知っているはずだろうに」
「悔しいけど、オーランド、君の言うとおりだ。僕は完璧が欲しかった。完全な幸せが欲しかった――……数ヶ月前の、ひととき、それは確かに、僕等の側にあったんだ。だがもう、消えてしまった。初めから存在しなかったように」
お兄様の静かな声が、部屋に響いていました。
「……テミス家に初めて行った日を、今だってよく覚えてる。僕は発育不良の痩せた子供で、二つ年下の彼女と、身長はあまり変わらなかった。ミランダさんが、僕をアレンさんの隠し子だと勘違いして、僕に攻撃魔法を当てようとした。彼女もわけがわからなくなっていたんだと思う。庇ったのはイリスだった。代わりに額を切ってしまって……。僕はいたたまれなくなって、死のうとしたんだ」
語りかけているというよりは、言葉が止まらないようでした。
お兄様の独白を、お二人は黙って聞いていました。
「それもまた、イリスが止めた。僕の出した魔法陣で怪我をしながらも、言ってくれた。イリスと僕は、家族になるんだって――。僕は単純だったから、じゃあ彼女と結婚しようと思った」
わたしの記憶の中で、血を流したのはお兄様でした。お父様とお母様が話し合っている間、残されたわたしたちは確か、二人で庭に行って。
わたしの姿を探していたお母様が、お兄様に怒って、攻撃魔法を放ったのです。強い魔法ではありませんでしたが、お兄様は額を深く切ってしまいました。
そのことがきっかけで、その後もずっと、お母様とお兄様の仲はぎくしゃくしていたのです。
それがそっくり、無かったことに――いいえ、イリスが代わりに、怪我をしたことに、なっていたのです。
「毎日、一緒にいたんだ。春も夏も秋も冬も、巡る季節をあの美しい領地で共に過ごした。あの鮮やかな思い出は、今も夢に見るほどに色褪せず輝いてる。君達にも見せてやりたいよ。そうしたら、僕の思いが分かるはずだ。
イリスは魔法が使えることを周囲に秘密にしていたが、僕だけは知っていた。よく二人で、隠れて練習していた。二人でいれば、どんなことだってできるような錯覚をしていたんだ。それまで暗く恐ろしかった夜を、僕は好きになった。明日もイリスに会えると思うと、世界が輝いたように感じたんだ。気付いた時には、引き返すことができないほどに、恋をしていた。初恋さえ知らないのに、狂おしいほど愛していた」
お兄様の声は、段々と穏やかなものに変わっていきます。
「馬鹿みたいだけど、運命だと思っていた。彼女に出会うまでの僕の人生は暗澹たるものだった。だけど彼女に出会った瞬間、それまでの日々がすべて報われたんだ。彼女に出会うために、あの日まで生き抜いたんだと、思った。だから僕の人生を彼女に捧げることに、なんら躊躇いはなかった。愛していたんだ。愛という言葉が陳腐に思えるほどに、彼女を強く、欲していた」
わたしは息が、上手くできなくなってきました。けれど不規則な呼吸を、お兄様達に気付かれてはいけません。
両手を口にあてて、ゆっくり、ゆっくり、必死に呼吸を続けました。
――もうこれ以上、お兄様の口から、彼女への想いを聞きたくありませんでした。それでもわたしは、この場から逃げることもできず、半ば呆然と、立ち尽くすことしかできません。
わたしは知りません。ディミトリオスお兄様と彼女が、どれほど深く、愛を育んで来たのかを。少しも知りません。全然、何も、分かりません。
オーランド様もルシオさんも、束の間、何も言えない様子でした。
沈黙を破ったのは、ルシオさんでした。
「じゃあ俺も本音を話す。
女々しい男だと思うかもしれんが、俺は反乱を隠されていたことをまだ根に持っているぜ。お前のイリスへの想いとは比べ物にならないかもしれないが、俺もお前達二人のことを心の底から好いている。ディミトリオスという友人に出会わなかった俺の人生を考えると、ぞっとする時がたまにあるほどには、お前のことが大好きだ。
なあ、ディマ。だからずっと気にかかっていたことを聞いてもいいか。――お前、教皇庁の地下で何を見た? ヘルへ行く途中の宿屋で話していた、別の世界の小説とは、一体何だ?」
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