おそうじの女神さま♡

ヒムネ

文字の大きさ
3 / 7

おそうじでおやすみ

しおりを挟む
 ――ウイイイィーン。ボクは掃除機を使っていた。どうして掃除をするのかと女神に聞いてみたら母のためだと言う。たしかに母が帰ってきて自分の家を見たときキレイだったら喜ぶだろう。幼いボクは喜ぶ母の顔を想像してすることに決めたたんだ。
 掃除機の付け方やスイッチを二人で考えてリビングをキレイにしていった。
「うわぁ~、すごいですヒカルくん」
 パチパチパチ。褒められると照れて言葉が浮かばないけど、俄然やる気を出した幼いボク。掃除機を終えても褒められて次もやろうと雑巾掛けや庭をほうきで掃たりと色々やっているうちに時間が過ぎていった……。

「あ~つかれたぁーっ!」
 ボクは疲れても気持ちも良く仰向けになりリビングで大の字。
「ヒカルくん、おつかれさま」
「うん……ねえメガミ」
「はい」
「おかあさん、ほめてくれるかな」
「きっと褒めてくれますよ」
「……おかあさん……だいじょうぶかな」
「……」
「おかあさんに……あいたいよ、ぐすっ」
 母を思うと心配で涙がでてきてしまった。そんなボクに女神はいつもの笑顔でおでこを擦ってくれた。
「メソメソしない」
「わかってるよ」
「じゃあヒカルくんにはお掃除をやったご褒美ということで良いことを教えてあげましょう」
「いいこと?」
「ワタシがどうして笑顔かわかりますか?」
「え……たのしい、から?」
 女神はいつも笑っているのは、楽しいからだと思って答えたが首を横に振った。
「それはですね、ヒカルくんがお掃除をしたからなんです」
「おそうじしたからって、なんで?」
 ボクはよく意味が分からず上半身を起こして頭を傾げる。するとこれを見てくださいと女神の手の先にはボクがお掃除をしたリビングやキッチン。
「お掃除をすると、その場所がキレイになります。それを見た人はみんなが気持ちが良いんです」
「え……」
「ヒカルくんはキレイなお家の中を見てどうですか」
「……なんか……うわぁ~キレイっておもう」
「ほらっ、いま笑顔になった」
「あ、ホントだっ!」
「お母さんはきっとヒカルくんのその笑顔を見るのが幸せで、毎日頑張ってお掃除していたんですよ」
 この頃のボクがそう考えておらず、だからこそこのとき初めてと言っていいほど母の凄さと愛情を知った。
「おかあさん……ぐすっ」
 でもそれは同時により母に会いたくもなってしまった。
「ほらヒカルくん、話はまだ終わってませんよ」
「うん」
「そのお母さんのためにヒカルくんがお掃除をしたんです。その想いは、きっと入院してるお母さんにも届くと思います」
「……えへ、ホントかな~」
「ほんとうですよ」
 女神の言葉と優しさに安心したボクはお掃除の疲れのせいか眠くなってきて、女神に背中をさすられながらテーブルに力が徐々に抜けて目を閉じた……。

 ――ガチャンと鍵を開ける音がした。目覚めるが意識がまだはっきりしないが父だと分かった。それとすぐに女神を探すも、外は夕日で帰ってしまったようだと思った。
 その時、ボクは声が聞こえた方に顔を素早く向けた。
「おかあさんっ!」
「光、ただいま」
「おかあさぁぁぁーんっ!」
 その声の主はなんと母だった。一週間と聞いていたのに帰ってきた。話によると次の日が体調が良くなり病院に寝てるままではかえって体力が無くなると言って帰ることにしたいう。ボクは思わず母に抱きついて泣いてしまう。それだけ母のことは心配だったし、不安だったから。
 しばらくして母は台所に戻り料理を始めて、家がもとに戻ったんだ。
「メガミのいったとおりだ……」
 女神がお掃除を勧めてくれたから願いが叶ったんだとこの時は子どもの直感の様なものでそう思った。また明日、幼稚園から帰ってきたらお礼を言おうと思って眠りについた……。

 しかし翌日、女神が訪れることはなくそれはその次の日も、また日を跨いでも姿を現すことはなかった……。
 女神はボクのことが嫌いになったのかもと家の隅っこで悲しんでいると母が心配で慰めてくれるも、どうして女神は来てくれないのだと思わずにはいられない。
「……メガミ……ボクのこと嫌いになっちゃったのかな」

 ずいぶんと古い記憶だけれど、あの時のお礼を言いたいのに言えなくて悔しくなったボクは、もう女神には会えないような気がした……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

別れし夫婦の御定書(おさだめがき)

佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★ 嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。 離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。 月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。 おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。 されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて—— ※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

廃城の泣き虫アデリー

今野綾
ファンタジー
領主の娘だったアデリーはある日家族を殺され育った領地から命からがら逃げ出した。辿り着いた先は廃城。ひとり、ふたりと住人が増える中、問題が次々とおこって… 表紙はフリー素材です

処理中です...