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エピローグ あなただけを、見つめて
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同日午後八時。
渋谷セレニティホテル四十階、レストラン「カフェ・ド・オングレ」。
室町全一郎が入口へ近づくと、待ち構えていたマネージャーの溝口が一礼しドアを開ける。溝口はかつて室町家の執事を務めた男。十年前、どうしてもレストランマネジメントをやりたいという希望で執事職を辞し、このホテルで経験を積み現在に至る。
「お待ちしておりました、社長」
溝口はそのまま全一郎を店の奥、個室へ案内する。還暦を目前に控えてもなお鋭い眼光を放ち、簡単には他者を近づけない威厳。店内を歩く全一郎のその姿に、他のテーブル客の目線が自然に集まる。
「社長、どうぞ」
個室の中へ一歩足を踏み入れる。
向こう側には東京の夜景、百万ドルの煌めき。
対して手前には、何とも無残に敗北感を漂わせテーブルに突っ伏した美人女優、真優莉の姿。
「どうしたんだ真優ちゃん‼何があった‼パパに全て話しなさい‼」
先程の威厳はどこへやら、愛娘の前では、近急グループ三万人の頂点に立つこの男もただのバカ親である。
「ぱあぱ~…私もうダメ…」
「どうしたんだい‼キミに出来ない事などないだろう‼」
「またやっちゃったの…」
「さあ、パパに話すんだ‼何も飲んでないのかい?溝口君、私はいつものアンリジローブランでいい。真優ちゃんは?」
「お白湯でいいわよ…」
「パパの娘がそれじゃダメだ‼」
すかさず溝口が提案する。
「ノンアルコールのシャーリーテンプルをご用意いたしましょうか。お酒は入っていませんからダイエットにも最適、レモンをたっぷり絞れば美肌効果もありますし、大女優の名を冠したカクテルはお嬢様に最適ですよ」
「じゃあそれ…」
デキる男・溝口はすぐさま退室する。
「真優ちゃん何があったんだ。この前の舞台は最高だったじゃないか」
「…また暴力振るっちゃったの…」
「ああ、優生君、かい?」
哀れ優生。全一郎は全て知っている。
「私は、ただあ、優生と、グスッ、仲良くなりたいの…。でも、優生はちっとも、うっ、私の事なんて見てくれないのお…」
運ばれてきたシャーリーテンプルをガブ飲みしながら、真優莉は嗚咽を上げる。溝口からすれば、もう見慣れた光景だ。
「困ったねえ~。これだから庶民はダメなんだ」
前菜は「夏野菜スティック キャビアとバーニャカウダソース添え」。
キャビアソースを付けたキュウリをポリポリ齧りながら、真優莉は全一郎に近況報告をする。月に一度、全一郎が大阪から来た時は必ずこのレストランで食事をする。なぜならこのホテルも近急グループのものだからだ。
「はあ…」
バーニャカウダソースを付けたセロリを手に、真優莉はため息をつく。
「優生の恋人になりたいのに…」
皿の上にソースで「ゆうせい」と書く。
デキる男・溝口はメインの「フィレ肉のロテ パンチェッタ巻き トマト煮込みのパイ包み添え」を運んだが、真優莉が落書きした皿は下げずにテーブルの中央に移動させる。
「なあに大丈夫だ。パパの魔法の小切手があれば手に入らないものなんてない」
「…優生はそういうタイプじゃないわ…」
「ふん、面倒くさいパターンだな」
「どんな脅しも効かないわ…。とにかく根が真っ直ぐだから…」
グラスに入ったペリエを一口飲み、立ち上る炭酸の泡を見つめる。
「でもそこが好きなの…」
メインを食べ終わったタイミングで溝口が皿を下げに来る。
「社長、本当にスープもパンもよろしいのですか?」
「ああ、いい。来週健康診断があるからな」
「お嬢様も?」
「いいの。来週アパレルのキャスティングがあるから」
「かしこまりました。ではデザートをお持ちいたします」
意識が高い親子のお陰で溝口の仕事は楽である。
「しかし真優ちゃん、今回の舞台も良かったよ」
「当たり前でしょ。体張ったのよ」
「どういう意味だい?」
真優莉は、優生に定規で腕を叩いてもらった時の事を話した。
「そんな事をしてたのかい?!」
「お陰で良い舞台になったわ」
その時の事を思い出し、真優莉はうっとりとした表情になる。
「私初めて知ったの…ああ、これが、誰かを好きなんだ、って事だって…」
あの日、青くなる優生を置いて事務所から飛び出した後。
真優莉は人知れず、打たれた腕に口付けをしていた。まるでジナイーダの様に。
溝口がデザートを持って入ってくる。全一郎は「タルト・タタン グリオットチェリーのコンフィチュール バニラアイス添え」、真優莉はフルーツの盛り合わせを用意してもらった。差し出された皿を見て、真優莉は歓声を上げる。
「ええ~!可愛い~!」
デキる男・溝口の計らいで、真優莉のフルーツ盛り合わせの皿の上にはフランボワーズソースとカスタードソースで書かれたいくつものハートが踊り、皿の淵には食用の花びらが散らされている。写真を撮る真優莉はようやく笑顔になった。
「さすがだな、溝口君」
「いえ、私もお嬢様から学ばせていただく事は多いですから」
溝口の言葉は謙遜ではない。レストラン経営も舞台も根幹は同じである。いかに喜んでもらうか、それに尽きるのである。
「社長、お飲み物はどうされますか?」
「ああ、水でいい。真優ちゃんももう飲まないだろうから、下がっていいよ」
「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」
溝口はスマートに、恭しく下がった。
「それにしても真優ちゃんから男の子の話を聞く日が来るとはねえ」
「でも初恋って叶わないのよね…」
「安心しなさい、真優ちゃん。真優ちゃんを好きにならない男なんていない」
「…どうしてそう言えるのよお」
ふくれっ面で、フォークに刺したラ・フランスを口に運ぶ。真優莉は父親がどれほど自分に甘いバカ親かちゃんと知っている。娘の機嫌を取るための、その場しのぎの励ましなら嫌と言うほど聞いてきた。
「それは真優ちゃんが女優だからだ」
「?」
「いいかい、真優ちゃん」
全一郎はフォークを皿の上に置く。
「人間というのは、欲しいものを与えてくれる人間を選ぶ生き物だ。対人関係においてもビジネスにおいてもそれは変わらない。サービスの根本的な考えだ」
「…それでえ?」
父の帝王学も嫌と言うほど聞いてきた。
「演劇を学ぶためにバイトという身分を選んだ人間は、何を欲しがるかな?」
「!」
ラズベリーの酸味が弾けると共に、真優莉の脳内でも閃いた。
「私の演技特訓ね!」
「そうだ!」
しょうもない考えが。
「ベタな恋愛ドラマの台本でも何でも用意して、演じさせればこっちのモノだ」
「そうすれば疑似恋愛状態から本当の恋人の関係に持っていくのも簡単ね」
「なんならリアルな演技の特訓とでも言ってデートに行けばいい!」
「吊り橋効果も狙えるわ!」
「そして既成事実まで持って行って…」
ドアの外には、デキる男・溝口がちゃんと立っている。そして溝口は思う。
執事辞めて本当に良かったあー!…ではない。
このアグレッシブさが、夢を叶える第一歩なのである、と。
「大丈夫よ、私!」
外まで真優莉の声が漏れる。
「私は女優だもの!夢を見せるために生まれてきたのよ!待ってなさい優生!必ず私を好きにさせてみせるわ!」
「そうだ!その調子!」
全一郎のヨイショが入る。もう大丈夫だろう。高級レストランの個室でバカ騒ぎをする親子を、見守るのは溝口だけではない。テーブルの上に飾られた季節の花はひまわり。ただ一輪、グラスに活けられたひまわりも見守る。
あなただけを、見つめて…。
渋谷セレニティホテル四十階、レストラン「カフェ・ド・オングレ」。
室町全一郎が入口へ近づくと、待ち構えていたマネージャーの溝口が一礼しドアを開ける。溝口はかつて室町家の執事を務めた男。十年前、どうしてもレストランマネジメントをやりたいという希望で執事職を辞し、このホテルで経験を積み現在に至る。
「お待ちしておりました、社長」
溝口はそのまま全一郎を店の奥、個室へ案内する。還暦を目前に控えてもなお鋭い眼光を放ち、簡単には他者を近づけない威厳。店内を歩く全一郎のその姿に、他のテーブル客の目線が自然に集まる。
「社長、どうぞ」
個室の中へ一歩足を踏み入れる。
向こう側には東京の夜景、百万ドルの煌めき。
対して手前には、何とも無残に敗北感を漂わせテーブルに突っ伏した美人女優、真優莉の姿。
「どうしたんだ真優ちゃん‼何があった‼パパに全て話しなさい‼」
先程の威厳はどこへやら、愛娘の前では、近急グループ三万人の頂点に立つこの男もただのバカ親である。
「ぱあぱ~…私もうダメ…」
「どうしたんだい‼キミに出来ない事などないだろう‼」
「またやっちゃったの…」
「さあ、パパに話すんだ‼何も飲んでないのかい?溝口君、私はいつものアンリジローブランでいい。真優ちゃんは?」
「お白湯でいいわよ…」
「パパの娘がそれじゃダメだ‼」
すかさず溝口が提案する。
「ノンアルコールのシャーリーテンプルをご用意いたしましょうか。お酒は入っていませんからダイエットにも最適、レモンをたっぷり絞れば美肌効果もありますし、大女優の名を冠したカクテルはお嬢様に最適ですよ」
「じゃあそれ…」
デキる男・溝口はすぐさま退室する。
「真優ちゃん何があったんだ。この前の舞台は最高だったじゃないか」
「…また暴力振るっちゃったの…」
「ああ、優生君、かい?」
哀れ優生。全一郎は全て知っている。
「私は、ただあ、優生と、グスッ、仲良くなりたいの…。でも、優生はちっとも、うっ、私の事なんて見てくれないのお…」
運ばれてきたシャーリーテンプルをガブ飲みしながら、真優莉は嗚咽を上げる。溝口からすれば、もう見慣れた光景だ。
「困ったねえ~。これだから庶民はダメなんだ」
前菜は「夏野菜スティック キャビアとバーニャカウダソース添え」。
キャビアソースを付けたキュウリをポリポリ齧りながら、真優莉は全一郎に近況報告をする。月に一度、全一郎が大阪から来た時は必ずこのレストランで食事をする。なぜならこのホテルも近急グループのものだからだ。
「はあ…」
バーニャカウダソースを付けたセロリを手に、真優莉はため息をつく。
「優生の恋人になりたいのに…」
皿の上にソースで「ゆうせい」と書く。
デキる男・溝口はメインの「フィレ肉のロテ パンチェッタ巻き トマト煮込みのパイ包み添え」を運んだが、真優莉が落書きした皿は下げずにテーブルの中央に移動させる。
「なあに大丈夫だ。パパの魔法の小切手があれば手に入らないものなんてない」
「…優生はそういうタイプじゃないわ…」
「ふん、面倒くさいパターンだな」
「どんな脅しも効かないわ…。とにかく根が真っ直ぐだから…」
グラスに入ったペリエを一口飲み、立ち上る炭酸の泡を見つめる。
「でもそこが好きなの…」
メインを食べ終わったタイミングで溝口が皿を下げに来る。
「社長、本当にスープもパンもよろしいのですか?」
「ああ、いい。来週健康診断があるからな」
「お嬢様も?」
「いいの。来週アパレルのキャスティングがあるから」
「かしこまりました。ではデザートをお持ちいたします」
意識が高い親子のお陰で溝口の仕事は楽である。
「しかし真優ちゃん、今回の舞台も良かったよ」
「当たり前でしょ。体張ったのよ」
「どういう意味だい?」
真優莉は、優生に定規で腕を叩いてもらった時の事を話した。
「そんな事をしてたのかい?!」
「お陰で良い舞台になったわ」
その時の事を思い出し、真優莉はうっとりとした表情になる。
「私初めて知ったの…ああ、これが、誰かを好きなんだ、って事だって…」
あの日、青くなる優生を置いて事務所から飛び出した後。
真優莉は人知れず、打たれた腕に口付けをしていた。まるでジナイーダの様に。
溝口がデザートを持って入ってくる。全一郎は「タルト・タタン グリオットチェリーのコンフィチュール バニラアイス添え」、真優莉はフルーツの盛り合わせを用意してもらった。差し出された皿を見て、真優莉は歓声を上げる。
「ええ~!可愛い~!」
デキる男・溝口の計らいで、真優莉のフルーツ盛り合わせの皿の上にはフランボワーズソースとカスタードソースで書かれたいくつものハートが踊り、皿の淵には食用の花びらが散らされている。写真を撮る真優莉はようやく笑顔になった。
「さすがだな、溝口君」
「いえ、私もお嬢様から学ばせていただく事は多いですから」
溝口の言葉は謙遜ではない。レストラン経営も舞台も根幹は同じである。いかに喜んでもらうか、それに尽きるのである。
「社長、お飲み物はどうされますか?」
「ああ、水でいい。真優ちゃんももう飲まないだろうから、下がっていいよ」
「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」
溝口はスマートに、恭しく下がった。
「それにしても真優ちゃんから男の子の話を聞く日が来るとはねえ」
「でも初恋って叶わないのよね…」
「安心しなさい、真優ちゃん。真優ちゃんを好きにならない男なんていない」
「…どうしてそう言えるのよお」
ふくれっ面で、フォークに刺したラ・フランスを口に運ぶ。真優莉は父親がどれほど自分に甘いバカ親かちゃんと知っている。娘の機嫌を取るための、その場しのぎの励ましなら嫌と言うほど聞いてきた。
「それは真優ちゃんが女優だからだ」
「?」
「いいかい、真優ちゃん」
全一郎はフォークを皿の上に置く。
「人間というのは、欲しいものを与えてくれる人間を選ぶ生き物だ。対人関係においてもビジネスにおいてもそれは変わらない。サービスの根本的な考えだ」
「…それでえ?」
父の帝王学も嫌と言うほど聞いてきた。
「演劇を学ぶためにバイトという身分を選んだ人間は、何を欲しがるかな?」
「!」
ラズベリーの酸味が弾けると共に、真優莉の脳内でも閃いた。
「私の演技特訓ね!」
「そうだ!」
しょうもない考えが。
「ベタな恋愛ドラマの台本でも何でも用意して、演じさせればこっちのモノだ」
「そうすれば疑似恋愛状態から本当の恋人の関係に持っていくのも簡単ね」
「なんならリアルな演技の特訓とでも言ってデートに行けばいい!」
「吊り橋効果も狙えるわ!」
「そして既成事実まで持って行って…」
ドアの外には、デキる男・溝口がちゃんと立っている。そして溝口は思う。
執事辞めて本当に良かったあー!…ではない。
このアグレッシブさが、夢を叶える第一歩なのである、と。
「大丈夫よ、私!」
外まで真優莉の声が漏れる。
「私は女優だもの!夢を見せるために生まれてきたのよ!待ってなさい優生!必ず私を好きにさせてみせるわ!」
「そうだ!その調子!」
全一郎のヨイショが入る。もう大丈夫だろう。高級レストランの個室でバカ騒ぎをする親子を、見守るのは溝口だけではない。テーブルの上に飾られた季節の花はひまわり。ただ一輪、グラスに活けられたひまわりも見守る。
あなただけを、見つめて…。
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