蜃気楼の向こう側

貴林

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3 帰郷 旅立ちの前に

赤色灯の輝きの中で

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叶家
赤色灯が、物々しい雰囲気をかもし出す。
強盗殺人として、捜査が始まる中。そいつは、救急車で、運ばれていく。
志織も、搬送された病院で死亡が確認された。
真希乃、彩花、蓮華、忍は、まだそこにいた。
南雲隼太も来ていた。刑事ではなく、知人として。
「俊ちゃん、いいのかい?病院に行かなくて」
忍のシャツを羽織った俊。
「はい、大丈夫です。みんなと一緒の方が落ち着きますから」
「そうか、なら、うちに行ってるといいよ。彩花、頼む」
「うん」
彩花が、俊を支えるように、歩く。それに、蓮華も続く。
「真希乃、篠田さん。お手柄でした」
「いえ」
忍は、落ち着かない。
「あ、あの、拙者、俊殿すぐるどののそばにいたいのですが・・・」
「わかりました、そうしてあげて下さい」
「はい」
忍は、追うように俊へと駆け出した。
「師匠」
真希乃が、声を掛ける。
「真希乃。にわかには、信じられなかったが、本当のようだね」
「ええ、彩花が言ってたことは、全て事実です」
「うむ」
「しかし、なぜ、おばさん俊の母がこんな目に?」
隼太は、困った顔で頭を掻く
「わからんね。わかってるのは、俊ちゃんも、これで身寄りが無くなったってことだよ」
「それなんですが」
「ん?」
隼太が、真希乃を見る。
「とりあえず、僕たちでなんとかしたいと思います」
「なんとかって、言われてもな」
「俊ちゃん、さっきの、シノ・・篠田さんに、とても、懐いていますし、頼りになります」
「まあ、それはわかるが、まずは、親類を当たってみるよ。最悪、里親でも探すしかなさそうだしね」
「わかりました。でも、当面は、僕らも俊ちゃんを見守ります。彩花も、そうすると思います」
「そうだね、彩花なら、そうするだろうね。とにかく、君たちばかりに任せておけないから、大人の僕たちも、手伝わせてもらうよ」
「それは、それで、助かります」
「うん、真希乃も、先に戻ってるといい」
「はい、そうします」
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