なぜ妻は夫が自宅でゴロゴロすると不機嫌になるのか

浅野新

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2019年版この1冊 【漫画編】

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今年もやって参りました、筆者が勝手に今年お勧めの本を紹介するコーナー、今回は漫画編です。と言っても最近の漫画を普段全くと言っていいほど読んでいない為メジャーどころはほぼ知りません。結果、ご紹介する漫画はマイナーかもしれませんが、「新しい漫画を発掘してみたい」また、「大人でも楽しめる本が読みたい」と言う方には面白いかと思います。

まず一冊目は
【傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン】
BUNCH COMICS 磯見仁月 著

リアルな歴史物、特に凋落する事がわかっている話はたとえ漫画と言えど敬遠する方なのですが、これは圧倒的な取材力とこれぞ漫画と言う絵の丁寧さでぐいぐい話に引き込まれてしまいました。
舞台はかのマリー・アントワネットが誕生するフランス王朝時代、アントワネットから重用され当時のパリの流行を創り上げたお針子、ローズ・ベルタンという実在の女性を扱った漫画です。

一介の平民だった彼女が下積み時代からどうやって頂点までのし上がれたのかを漫画で描かれているわけですが、実在だったとは言えベルタンについてあまり記録が残っていないようなんですね。その点が大変だと思いますが恐らく多くの調査をし、それにオリジナリティーを足して漫画にされているようで、エンターメント性ある史実物に仕上がっており面白いんです。取材も随分されているようで、当時の風俗についての解説があったり、絵についても女性の髪形から服、身に着けている小物まで丁寧に描かれていてフランス王朝時代を全く知らない筆者のような人でも楽しめる内容になっています。

ストーリー、絵と共に一番の見どころはなんと言っても服を仕立て、髪結いもしていたベルタンの腕の見せ所、衣装デザインとヘアスタイルです。実際記録にあったものを掘り起こしているのか、記録がないので当時の衣装から着想を得て衣装を創造したのかは分かりませんが、恐らく後者もあるのではないかと思います。1ページ、時に2ページ丸々使って描かれる衣装はどれも独創的で且つ美しく、これぞ漫画!の醍醐味を味わえます。
ストーリーも衣装づくりが主軸になっている事が個性的で面白いです。当時の服はオーダーメイド、しかもクライアントはお金持ちと相場は決まっていますから、元々わがままな彼らが服作りにさらに無茶なリクエストをしてくるんですよ。それを絶対的なデザインセンスと裁縫技術を持っているベルタンが冷静に且つ彼女の美意識でもってさばいていくのがまた快感。クライアントが出来上がった想像以上の美しいドレスに驚愕、感動してひれ伏していくわけです。

テーマとしてドレスが主軸になる為女性キャラの登場が多いのですが、変に萌えキャラ寄りの画風ではないので、萌え絵が苦手な方にも安心して読めます。内容としてもラブストーリーではないので男性も読みやすいかと思います。
画力としては、特筆に値する衣装はもちろんの事、背景、人物など全てが丁寧に描かれているのですが、肝心の漫画の核と言っても良い顔、各キャラクターの顔が惜しい。ちょっとクセがある為画風の好き嫌いが人によってあるかと思います。それを気にしないのであればフランス王朝時代の衣装を主軸に扱ったストーリーは個性があり楽しんで読めるのではないでしょうか。
歴史物好き、恋愛物は苦手、フランス王朝時代に興味がある、衣装小物など丁寧に描かれている作品が読みたい方、甘くも悲劇にも偏りすぎていない、大人が読んでも安心できる作品が読みたい方にお勧めです。

一冊目と言いつつ、意外と紹介文が長くなってしまいました。次回に二冊目の漫画をご紹介します。

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