195 / 233
昔、山では怪異があったのだ、たしかに。__日本の山にいたモノ、今もひそめくモノ達の話を集めた『山怪』
しおりを挟む
霊感ゼロ且つ性格も大変怖がりな筆者は心霊関連の映画・ドラマ・小説・漫画・ゲームは一切見ないしやりません。ですが、山での怪異談を集めた本『山怪』は、心霊ものも多少あるもののどちらかと言うともののけ話が中心だという事、全く知らないマタギと言う職業に対する興味もあり、興味深く読むことができました。
現在4作目まで出ている『山怪』シリーズを全て読んで思った事は、知的好奇心がくすぐられるという事です。
筆者の田中康弘氏がマタギ(大型獣(クマ、カモシカなど)を捕獲して生活している人の事)や林業など山の仕事をされている方を中心に、山で実際遭遇した不思議な話を聞きそれを本にまとめられたのですが、高齢の方が多く怪異話以外にも山伏やイタコがいた話や、当時は亡くなった人を土葬したり地域で火葬するなどの風習があった事も知る事ができます。
マタギですら現代の生活では知り合う事はまれであると思いますが、山伏やイタコ、拝み屋に至ると、現在にいないとは言いませんが、もうその地域に昔から住んでいる方しか存在を把握されていないのではないでしょうか。
現代日本で生きていると人生で交わる事のない職業の方の記述が多く、また火葬の風習(葬儀業者にして頂き専門の場所で全部お任せの形態ではなく一般の屋外で棺桶に火をつける、つまり家族や関係者だけではなく火葬は見たい人は皆見れる野外オープンな状態)は何百年前の話ではなく意外と最近までされている地域もあった事も驚きでした。土葬の風習もそうですが、それだけ死や遺体が身近だと火の玉であったり不可思議な事が多かった事も頷けます。狐やタヌキに化かされた事件が多かったのも当時自然が豊かで狐やタヌキが人々にとって身近な動物だったからでしょう。
本に記された数々の怪異談も大変興味深かったのですが、その背景にあった昔日本にあった風習や職業など『本当にあった(いた)のか』の連続で驚く事が多々あり、日本という国は狭く見えて深いな、と目から鱗が落ちる思いでした。怪異談は、良い意味でそれほど怖くはありません。そもそも貞子など人を怖がらせるための凝った映像と演出と脚本に慣れてしまっている現代人にとって、リアル話は意外と地味なのではないでしょうか。だからこそ本当にあったのだと信じられる別の怖さがありますが。
表紙絵はどれも大変おどろおどろしいですが、怪異談の中に日本の古い風習文化が垣間見える、それが本当に面白く怖がりの方にも大変お勧めする作品です。
ただ一つ強く感じた事は、不可思議な事は科学で解明されている現代ですが『意味理屈は分からないが行かない、さわらない、知らない事はそのままにしておいた方が良い事』は山にはまだあるのではないでしょうか。
度々体験談で出てくる『(なぜかは分からないが切ろうとすると事故者続出で)切ってはいけない木』『山歩き中(なぜかは分からないが)身の毛がよだつ場所』など意味が分からない話が多く出てきますが、それはそのままにして触らない方が良い事も、まだまだ現代、特に山にはあるのではないでしょうか。
山へのリスペクトを忘れない、という言い方をすると大変軽く聞こえてしまいますが、山は昨今のゆるキャンプや登山ブームのように昔より身近なものになりましたがあくまで畏敬の念を忘れてはいけない場所でもあり、人間が触ってはいけない事もあると思うのです。
蛇足ですが、この記事を書いている時になぜか一度も不調のなかったパソコンが原因不明で突然落ち、しばらく使えなくなりました。時間をかけてじっくり書きたかったものの背中がうすら寒くなった為見時間文章ですが紹介記事はここまでとさせていただきます。
『山怪』シリーズは現在4冊出ています。あまりの面白さに筆者は4冊すべて読みましたが、そんな時間はないと言う方にはシリーズ第一作がとっつきやすくて良いのではないでしょうか。
amazonの商品ページに飛びます。
山怪 田中康弘著
https://amzn.to/3nbpH5i
山怪 弐
https://amzn.to/40QkmxY
中には幽霊の類だろうと言う話もありますが、やはり惹かれるのは不可思議なもののけであったり『切ったらいけない木』など説明がつかないモノですね。
山怪 参
https://amzn.to/3NnvpvK
今年出たばかりの第四作『山怪 朱』。ここまで来るとさすがに似たような話が増えますが、それが逆に本当の話(=本当の話はフィクションほど派手ではない)である事を感じさせてくれます。
山怪 朱
https://amzn.to/3Vkv2DZ
現在4作目まで出ている『山怪』シリーズを全て読んで思った事は、知的好奇心がくすぐられるという事です。
筆者の田中康弘氏がマタギ(大型獣(クマ、カモシカなど)を捕獲して生活している人の事)や林業など山の仕事をされている方を中心に、山で実際遭遇した不思議な話を聞きそれを本にまとめられたのですが、高齢の方が多く怪異話以外にも山伏やイタコがいた話や、当時は亡くなった人を土葬したり地域で火葬するなどの風習があった事も知る事ができます。
マタギですら現代の生活では知り合う事はまれであると思いますが、山伏やイタコ、拝み屋に至ると、現在にいないとは言いませんが、もうその地域に昔から住んでいる方しか存在を把握されていないのではないでしょうか。
現代日本で生きていると人生で交わる事のない職業の方の記述が多く、また火葬の風習(葬儀業者にして頂き専門の場所で全部お任せの形態ではなく一般の屋外で棺桶に火をつける、つまり家族や関係者だけではなく火葬は見たい人は皆見れる野外オープンな状態)は何百年前の話ではなく意外と最近までされている地域もあった事も驚きでした。土葬の風習もそうですが、それだけ死や遺体が身近だと火の玉であったり不可思議な事が多かった事も頷けます。狐やタヌキに化かされた事件が多かったのも当時自然が豊かで狐やタヌキが人々にとって身近な動物だったからでしょう。
本に記された数々の怪異談も大変興味深かったのですが、その背景にあった昔日本にあった風習や職業など『本当にあった(いた)のか』の連続で驚く事が多々あり、日本という国は狭く見えて深いな、と目から鱗が落ちる思いでした。怪異談は、良い意味でそれほど怖くはありません。そもそも貞子など人を怖がらせるための凝った映像と演出と脚本に慣れてしまっている現代人にとって、リアル話は意外と地味なのではないでしょうか。だからこそ本当にあったのだと信じられる別の怖さがありますが。
表紙絵はどれも大変おどろおどろしいですが、怪異談の中に日本の古い風習文化が垣間見える、それが本当に面白く怖がりの方にも大変お勧めする作品です。
ただ一つ強く感じた事は、不可思議な事は科学で解明されている現代ですが『意味理屈は分からないが行かない、さわらない、知らない事はそのままにしておいた方が良い事』は山にはまだあるのではないでしょうか。
度々体験談で出てくる『(なぜかは分からないが切ろうとすると事故者続出で)切ってはいけない木』『山歩き中(なぜかは分からないが)身の毛がよだつ場所』など意味が分からない話が多く出てきますが、それはそのままにして触らない方が良い事も、まだまだ現代、特に山にはあるのではないでしょうか。
山へのリスペクトを忘れない、という言い方をすると大変軽く聞こえてしまいますが、山は昨今のゆるキャンプや登山ブームのように昔より身近なものになりましたがあくまで畏敬の念を忘れてはいけない場所でもあり、人間が触ってはいけない事もあると思うのです。
蛇足ですが、この記事を書いている時になぜか一度も不調のなかったパソコンが原因不明で突然落ち、しばらく使えなくなりました。時間をかけてじっくり書きたかったものの背中がうすら寒くなった為見時間文章ですが紹介記事はここまでとさせていただきます。
『山怪』シリーズは現在4冊出ています。あまりの面白さに筆者は4冊すべて読みましたが、そんな時間はないと言う方にはシリーズ第一作がとっつきやすくて良いのではないでしょうか。
amazonの商品ページに飛びます。
山怪 田中康弘著
https://amzn.to/3nbpH5i
山怪 弐
https://amzn.to/40QkmxY
中には幽霊の類だろうと言う話もありますが、やはり惹かれるのは不可思議なもののけであったり『切ったらいけない木』など説明がつかないモノですね。
山怪 参
https://amzn.to/3NnvpvK
今年出たばかりの第四作『山怪 朱』。ここまで来るとさすがに似たような話が増えますが、それが逆に本当の話(=本当の話はフィクションほど派手ではない)である事を感じさせてくれます。
山怪 朱
https://amzn.to/3Vkv2DZ
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
痩せたがりの姫言(ひめごと)
エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。
姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。
だから「姫言」と書いてひめごと。
別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。
語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる