17 / 21
第16話
赤と白の運動会、開幕
しおりを挟む
それから三日後、遂に、インスタントオリンピックが開かれた!
私の知っている限り、一番規模の小さな会場で、一番すごい熱気だった。
会場は赤白それぞれの旗や服を着た有翼人とドラゴンでぎっしりと埋め尽くされた。応援の人達も分かれないように配置したけど、まだどこかぎこちない。まあ、まだこれからこれから。
クレイとギルディアは会場の一段と高い白と赤の特等席に隣り合って座っていた。本当はお互いかなり嫌がっているのだが、国民の手前そんな態度を見せられない。お互い顔をひくつかせつつも、見た目は和やかに座っている。私達は黄金国招待者とだけ紹介され、クレイの左隣に座った。
こんな小さな運動会でも、きっちり入場行進は行った。勇壮なブラスバンドの生演奏と共に紅白両組の選手団が入ってくる。なかなかしっかり行進できてるじゃない。赤と白の応援団が歓声を上げる。
「わが赤の国の民よ、白の国との協力を忘れず全力を尽くして欲しい」
「わが白の国の民よ、赤の国との礼節を忘れぬ大会にいたそう」
ギルディアとクレイの開会宣言で、紅白大運動会は始まった。
まずは玉入れから。ドラゴンと有翼人にしっかり協力し合って欲しいのだけれど、まだ何かぎこちない。自分のチームの同じ種族同士で自然と集まって玉入れしている。
「何となくよそよそしいですねえ」
バドが心配そうに見守る。
いやいや、これはまだ序盤だもん。これからこれから。
お次は綱引き。一緒に力を合わせるのだけれど、息が合わないのか、力のあるドラゴンに有翼人が引きずられてる感じ。見れば、紅白両チームともそんな感じだから、混合と言うより、紅白のドラゴン対ドラゴンと言う雰囲気。
「子供じゃないのですから息を合わせないと」ララがため息をつく。
ほんと、全くその通りだよ。でも、まだまだ!
騎馬戦になって、少し様子が変わってきた。これは騎馬に一匹のドラゴン、上にはちまきをした有翼人が一人乗ると言う正にコミュニケーションが必要な競技だ。紅白に分かれた各十組の騎馬がずらりと縦に並ぶと、さすがに迫力がある。
会場がごくりと見守った。合図と共に、敵のドラゴン同士ががっつりとぶつかり合う。しかし、上に乗っている有翼人達は及び腰だ。敵でも同じ有翼人同士戦い難い、と言った雰囲気で、お互い躊躇していて、いまいち迫力がない。そのうち応援団のドラゴン達や味方である騎馬のドラゴンにまで文句を言われる始末だ。
「ふん。勉強ばかりでは弱々しくて話にならんの」
ギルディアがふん、と鼻を鳴らした。
「こちらは誰かと違って繊細なのだ」
クレイが冷徹に答える。やれやれ。
しかし情勢は変わってきた。何度かするうちに、有翼人同士に遠慮がなくなり相手のはちまきを取れるようになってきた。そうすると、一緒に組んでいるドラゴンとも自然に力を合わせ、有翼人の指示でドラゴンが動いたり、劣勢の有翼人にドラゴンが叱咤激励している場面が見られるようになった。見ている応援団も最後には大歓声を送り、なかなか良い結果となって競技は終了した。
私の知っている限り、一番規模の小さな会場で、一番すごい熱気だった。
会場は赤白それぞれの旗や服を着た有翼人とドラゴンでぎっしりと埋め尽くされた。応援の人達も分かれないように配置したけど、まだどこかぎこちない。まあ、まだこれからこれから。
クレイとギルディアは会場の一段と高い白と赤の特等席に隣り合って座っていた。本当はお互いかなり嫌がっているのだが、国民の手前そんな態度を見せられない。お互い顔をひくつかせつつも、見た目は和やかに座っている。私達は黄金国招待者とだけ紹介され、クレイの左隣に座った。
こんな小さな運動会でも、きっちり入場行進は行った。勇壮なブラスバンドの生演奏と共に紅白両組の選手団が入ってくる。なかなかしっかり行進できてるじゃない。赤と白の応援団が歓声を上げる。
「わが赤の国の民よ、白の国との協力を忘れず全力を尽くして欲しい」
「わが白の国の民よ、赤の国との礼節を忘れぬ大会にいたそう」
ギルディアとクレイの開会宣言で、紅白大運動会は始まった。
まずは玉入れから。ドラゴンと有翼人にしっかり協力し合って欲しいのだけれど、まだ何かぎこちない。自分のチームの同じ種族同士で自然と集まって玉入れしている。
「何となくよそよそしいですねえ」
バドが心配そうに見守る。
いやいや、これはまだ序盤だもん。これからこれから。
お次は綱引き。一緒に力を合わせるのだけれど、息が合わないのか、力のあるドラゴンに有翼人が引きずられてる感じ。見れば、紅白両チームともそんな感じだから、混合と言うより、紅白のドラゴン対ドラゴンと言う雰囲気。
「子供じゃないのですから息を合わせないと」ララがため息をつく。
ほんと、全くその通りだよ。でも、まだまだ!
騎馬戦になって、少し様子が変わってきた。これは騎馬に一匹のドラゴン、上にはちまきをした有翼人が一人乗ると言う正にコミュニケーションが必要な競技だ。紅白に分かれた各十組の騎馬がずらりと縦に並ぶと、さすがに迫力がある。
会場がごくりと見守った。合図と共に、敵のドラゴン同士ががっつりとぶつかり合う。しかし、上に乗っている有翼人達は及び腰だ。敵でも同じ有翼人同士戦い難い、と言った雰囲気で、お互い躊躇していて、いまいち迫力がない。そのうち応援団のドラゴン達や味方である騎馬のドラゴンにまで文句を言われる始末だ。
「ふん。勉強ばかりでは弱々しくて話にならんの」
ギルディアがふん、と鼻を鳴らした。
「こちらは誰かと違って繊細なのだ」
クレイが冷徹に答える。やれやれ。
しかし情勢は変わってきた。何度かするうちに、有翼人同士に遠慮がなくなり相手のはちまきを取れるようになってきた。そうすると、一緒に組んでいるドラゴンとも自然に力を合わせ、有翼人の指示でドラゴンが動いたり、劣勢の有翼人にドラゴンが叱咤激励している場面が見られるようになった。見ている応援団も最後には大歓声を送り、なかなか良い結果となって競技は終了した。
0
あなたにおすすめの小説
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる