異世界転生でハーレムを!…胃薬飲んだら最終兵器になっちゃいました

小鳥遊よもぎ

文字の大きさ
17 / 29
一章 兵器化編

約12話 結構粘るドルクさん

しおりを挟む
「ふぅ、やーっと終わったか…」


───俺はあの後、ほっといたら一日中喋る勢いで自分の研究結果を語り始めたドルクをどうにか宥め、要点だけ聞いて自分の中で情報を整理していた。…それでも八割がた自慢話だったが。

あと、会話が出来るくせに最初俺のことを無視しやがったことはまだ根に持ってるからな!

……まあ、話をまとめるとこんな感じだ。


① 魔法に負けたままなのはしゃくなので、アトテクノロジーについてさらなる研究を重ねた。


② 絶え間ない研究に数々の実験を繰り返した結果、自分の持てる最大の技術で、自身の研究上で最高傑作とも言える化学兵器の開発に成功した。


③ この兵器を自分自身で服用しても良かったが、レベルが低く、戦士ではない自分が兵器化しても十全に効力を発揮しないと考え、他の誰かにこの兵器を授けようと思い立った。


④ だが、ここがどこだか分からない以上国に帰ることもできない。なのでこの未開の地に転移魔法陣をバラまけるだけバラまいた。もし冒険者が偶然近くを通りかかった時に、この場所に転移できるようにするためだ。


⑤ 毎日のように魔法陣を設置していると、突然転移魔法付与トランジションが別の魔法に変わってしまった。でも自分の魔法なので直感的に出来ることが分かり、ドルクはその魔法を次元転送魔法陣フリージアと名付けた。


⑥ 次元転送魔法陣フリージアで出来ることは、座標やベクトル、果ては距離までも完全に無視して、発動場所付近に生命体を転送できるというもの。生命体の情報を全て読み取った後、転送先にそっくりそのまま再構築されるため、その生命体は一度死ぬことになる。…つまり、次元を越えたを可能にする魔法。


⑦ しかしこの魔法には難点があり、発動する為の必要魔力量が膨大だった。なのでドルクは自分の所持する魔力を全て注ぎ込み、足りない分は、魔法陣を『近くの生物から魔力を吸い取って発動』するように改造することで集めることにした。


⑧ この研究所ですることは終わったので、物資が残っている内に命を断った。死に際に超頑張って人工知能付き解説AI取り扱い説明書を内蔵した指輪を作ったので、兵器化した後に是非はめてほしいとのこと。




……こんな感じだ。うん…ちょっと長くなったな。でもまあ、あの自慢話野郎の話をここまで端的に纏められたんだ。海音さん大満足である。


しかし、ここまでドルクの話を聞いていて一番疑問に思ったのが…

「……なんで俺が兵器化するのが当たり前みたいに話が進んでたんだ? 俺はハーレムしたいだけだから、正直兵器化とか絶対に嫌なんだが…。」

まあ、勝手に俺が兵器化したいと思ってるとでも思ってたんだろうが。


(さて、兵器化する気なんてさらさらないし、ドルクさんには悪いけどそろそろ行くか)

部屋から出ようと歩を進めようとした矢先、


【え? だって君もう兵器化してるだろう?】


突然、後ろから声がした。

俺は首をギギギギ言わせながらゆっくりと振り向く。


【だって兵器化してないと、この魔法陣を発動できないはずなんだが…】


そこには立体映像のドルクさんがいた。


「っどわあぁ!?」

俺は思わず後ずさる。


なんで? なんで今魔法陣に触れてもないのに出てきたの? ホラーなの? ホラー的存在なのかコイツは!? あと、やっぱり心臓に悪い!せめて前触れ!俺は前触れを要求するぞ!!

俺はドルクのポジションをホラーキャラに設定しながら、聞き捨てならないことを言い出したコイツに問いただす。


「俺は兵器化なんてしないぞ。…なのに発動しちゃったってことは、お前の魔法陣の不具合ってことでいいのか?」


ドルクは、「いやそんなはずは…」とかぶつぶつ言いながら考える仕草をしてみせる。


【……君の状況は正直俺にもよくわからん。次元転送魔法陣フリージアを使ったのも始めてだし、バイオウェポンを人体に投与するのも初の試みだったからな。 俺の経験から言わせてもらうとあんたは既に兵器化しているが、バイオウェポンを服用していないのなら兵器化してないのは確かだろう。】


バイオウェポン…?……ああ、こいつが作り上げた兵器のことか。そういえば名前知らなかったな。

俺はホッと一息ついて、ドルクに今度こそ別れの挨拶をしてここをおさらばしようとしたのだが……ドルクがこちらに手を差し伸べてきた。そして優しい声色で言ってきた。


【まだ兵器化してないなら、今から兵器化すればいいさ。…そして、俺の研究は決して魔法に負けてないってことを世間に知らしめてきてくれ! 俺とあんたで科学の力、見せつけてやろうぜ!】


「…いやお前……俺をこの異世界に転生させたのも魔法の力だし、国の兵達から逃げられたのも魔法の力じゃん…。今さらそんなこと言われてもなあ……」


言うと、今度は頼み込むように手を合わせてお願いしてくる。


【頼むよぉ~…このまま誰の手にも渡らずに廃産物になってくなんて死んでも嫌なんだ!だからお願い!な?】


「あんたもう死んでるだろ……どっちにしろ、俺はお前のバイオウェポンとやらを飲んで兵器になるつもりは無いんだ。あんたには悪いが、諦めてくれ。」


今度はキッパリ断ってみた。急に静かになったので、これで諦めてくれると思ったのだが…


【なんだよ!いったい何が不満なんだ?兵器化すれば力が手に入るってのに!それにこの森を抜けるのだって…ああ、性能を疑ってるのか?安心しろ、この兵器は決して魔法に引けを取るような代物じゃない!そしてこの森の魔物達からも必ず君を守ってくれる…………なんだその顔は】


急にちょっとキレ気味に捲し立てて来たので、俺はひとまず可哀想な人を見る目でドルクを見つめていた。


「あのな、言っとくが俺は科学の力なんて求めてないんだ。異世界に来たからには魔法三昧の生活をしたいし、まして半サイボーグ化するなんて論外なんだよ。」


ドルクはさらに言い募ってくる。


【なら魔法もバンバン使っていいから!俺も使ってるし?科学の力見せつけるまでしなくていいからさ!軽く兵器化してってくれないか!?錠剤飲むだけでなれるからさ……それにほら、血液の中流れてるだけだから半サイボーグ化って言っても見た目は変わらないし! このままじゃ俺成仏するにできないぞ、マジで!】


なんかもうヤケになってきているドルクさん。

っていうか、成仏出来ないって……マジもんのホラーキャラだったんだな。そういえば映像記録のはずなのに、もう当たり前のように会話してるし……。

俺の中でドルクさんはホラーキャラ認定された。


ドルクは自分の人生をつぎ込んで必死に作り上げた物が、陽の目を浴びることなく果てていくのは我慢ならないんだろう。

その気持ちは痛いほど分かるので俺も本当は了承してあげたいのだが、内容が内容だ。

訳のわからん兵器の被験者になれって言われているのだから。

もしかしたら副作用かなんかで死ぬかも知れないし、ドルクはああ言っているが外見が少しでも変わってしまうかも知れない。


まあそんな心配が全て無かったとしても、俺がバイオウェポンを体内に取り入れることはないだろう。なぜなら……


「駄目だ。何度も言うが、俺は兵器にはならない。…いや、なれないんだ。だって兵器になんてなっちまったら……可愛い子達や美人さん達が怖がっちゃうかも知れないだろ?」


俺はやれやれと肩を竦めてみせる。

そして様子を伺っていると、ややキレ気味だったドルクは顔を俯かせたままプルプルと震えている。

……なんだろう、正論を言われたから言葉に詰まっているんだろうか? それとも急に腹が痛くなったとか?ちょっと前の俺みたいに。


しばらく見つめ合って(?)いると、ドルクがようやく顔を上げた。…のは良いのだが……哀れんでるのか悲しんでるのか、はたまた怒っているようにも見える妙な顔をしている。

そして今度は呆れと衝撃が入り交じったような顔になり、驚愕の声を上げた。


【そんなことで!?!?】


「そんなこととはなんだ!!」


俺は反射的に言い返していた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

処理中です...