異世界転生でハーレムを!…胃薬飲んだら最終兵器になっちゃいました

小鳥遊よもぎ

文字の大きさ
18 / 29
一章 兵器化編

約13話 うっそだろお前

しおりを挟む
「そんなこととはなんだ!!」


俺の叫び声がドルクの部屋に木霊した。

これ以上は時間の無駄だと判断した俺は、今度こそ部屋を出ようとする。すると、ドルクが掴みかかってきた。


【おい!マジでこのまま行く気か!?……大丈夫だ、兵器化したらむしろ「強くて素敵っ!」ってなるって!そんで女なんて向こうからやってくるって!だから!な?】


「あーもう!さっきから何なんだよお前! 俺は兵器にはならないっつってんだろ!悪いけど諦めてくれ! …ってあんたとうとう実体化したな!実体化して俺に掴みかかって来てんな!やっぱ映像記録とか絶対嘘だろ!」


【なんでだよぉ~、なんでダメなんだよ~…、…そうだ、そんなに嫌なら俺が納得できるような理由を言ってみろ! 俺は女に怖がられるからとか、そんな理由じゃ納得できないんだ! もし俺を納得させられたら、兵器化せずに帰っていいぞ!】


ドルクが【やれるもんならやってみな!】って顔をして言ってくる。


「なんでそうなるんだ!?普通、あんたが俺を納得させる側だろう! 自分の立場分かってんのか!?」


【そんなん知らねーし~。俺はこんな結末、絶対認めないしぃ~。…てか俺の認証が無いとこの部屋から出られないようにしてあるしぃ~。だから君は俺を納得させるしか無いんだしぃ~(笑)】


うわ、ウザッ!なんてウザさだ!そしてやることが姑息こそくだ!…んで言ってることがガキくさい!……なんだろう、急に小学校の時に妙に絡んできたガリ勉眼鏡君を思い出したぞ。

…でもドルクのウザさ加減がどうであれ、ドルクを納得させない限りはここから出られないようだ。まったく、面倒くさいことこの上ない。


「…はぁ、分かったよ。なんで俺がお前の頼みを受け入れないか、あんたの視点に変えて教えてやるよ。」


ドルクは相変わらず【出来るもんならな!】って感じで頷いた。


「あんたはある日、知らない科学者に出会いました。」


俺は俺の経験の主人公をドルクに変換して、仮定の話を始めた。


「その科学者は人体実験を繰り返し、その中で何人も犠牲を出していました。そしてその科学者はこう言うのです。【丁度良い、新薬が出来たから被験者になってくれないか】と。」


俺はドルクの肩に手を置き、質問する。


「お前ならこの頼み、受けるか?」


【いや、受けるわけないだろう。ていうかその科学者、怪しすぎるぞ。これで自分の頼みを受け入れて貰おうなんて都合が良すぎってもんだ。…こんな頼み受け入れるやつはよっぽどのバカだな。】

即答した。


「だろ? そういうわけだ、納得したか?…さっさと部屋から出してくれ。」


俺は親指で出口のドアをクイクイっと指差してみせる。

だがドルクは、


【は?なんでだよ、今の話と君が帰れることに何の関係が?】


俺は思わずため息をついた。

なんでこう、科学者ってやつは頭のネジがひとつ外れたのが多いんだろう。…いや、本当に会ったのは初めてだけどね。あくまで漫画やアニメでの話ですけどね。


「お前、マジで言ってんのか?俺の中で、あんたはこの都合の良すぎる怪しい科学者だって言ってるんだよ…。…はぁ、いや、もういい。取り敢えずここから出してくれ。俺はそれだけで十分だ。」


ドルクはしばらく怪訝そうな顔で考え込んでいたが、やがて怒ったようにこっちを向いて言ってきた。


【お、おい!この例え話は無いだろう!? この兵器の安全は絶対に保証するし】

「一回も試して無いのになんでそんなこと言い切れるんだ?」

【…俺は別に怪しい科学者じゃ無いだろ? ここに来た経緯も全部話したじゃないか!】

「うん、話されたな。あんたがってだけの理由で多くの犠牲者が出たことを。」

【……実験の中で犠牲者が出たのも科学の進歩には必要だったことで】

「でもあんたの兵器の被験者になって死んだことには変わり無いんだろ?」

【この兵器があれば魔法を越えられるかも知れないんだぞ!?なのになんで】

「魔法を越えたいと願うのはあんたの勝手だ。だがあんたはそれに仲間を巻き込み、俺も巻き込もうとしている。…それに気づいた方がいい。」

【………でも兵器化すれば力が】

「何度でも言おう、俺は兵器化を望まない」

【…………どうしても、嫌なのか。】

「ああ、あんたには悪いけどな。」


沈黙が流れる。…少し強く言い過ぎたかも知れないが、俺は兵器化する気が一切無いのだ。このままドルクに希望を持たせながらズルズル口論するというのも酷だろう。

なら今きっぱりと諦めてもらう。そうした方が双方共に少しでも傷が浅くて済むはずだから。


(これで分かっただろう?ドルクさん…。俺は兵器になんて絶対になりたく無いんだ。…だから、お願いだ。諦めて俺をここから出してくれ……)


俺はドルクにまっすぐ向き直る。

そして、もう一度謝罪の言葉を言った。


「本当にすまない、ドルクさん。俺は兵器にはならない。」


…すると、ドルクは肩を震わせ始めた。泣いているみたいだ。

しばらくの間、顔に腕を当てて必死に涙を拭っていた。

感傷に浸ってしまうのも仕方のないことだろう。彼の物語は、ここで終わってしまうのだから。


ドルクはやがてこっちに向き直ると、最後のお願いだと机を指差して言う。


【…なら、せめて…、バイオウェポンを処分してくれないか? どうせこのまま誰の手にも渡らないのなら、今少しでも関わりのある君に処分して貰いたいんだ。】


「ああ…それはいいんだが……肝心の兵器はどこにあるんだ?」


【…? …ああ、そういえば言ってなかったか。そこの机の上に置いてあるんだ。よくどこに物を置いたか忘れるからな、大事な物は大抵分かりやすいところに置きっぱなしだよ。】


ドルクは机に手を伸ばしながら言ってくる。


それと、忘れっぽいのは本当のようだ。俺は既に机を確認したが、変な薬剤や軟膏や胃薬くらいしか乗っていなかったからね。


【…それよりも、俺は君の今後が心配だよ。勝手にこの世界に転生させておいてなんだけど、この未開の地を抜けるのは簡単じゃない。…っていうか現在地も分からない上に、生息しているモンスターの種類もはっきりしないんだ。正直ここに置いてある重火器だけでは、とてもここを抜けられるとは…………あれ?】


それは俺も懸念していた。兵器化するのは絶対に嫌だが、国に向かう途中で魔物に襲われて死ぬのも、その辺で野垂れ死ぬのもまっぴらごめんである。

食料や水もここには腐るほどあるが、持ち運んで長時間歩くとなると持っていける量が限られてくる。

手榴弾や重火器もあるが、正直あの魔物たちに通用するとは思えない。

…でも俺はこれより悪い状態でここまで辿り着けたんだ!今回も大丈夫だ!…大丈夫な、はずだ!多分!


それよりも、ドルクの言葉の最後で気になる声が聞こえたんだけど。

ドルクは【あれ?】と呟いたあと、ひとつのビンを手にとって中を確認していた。


「…どうかしたのか?ドルクさん。」


神妙な顔つきでビンとにらめっこしているので、何かあったのか聞いてみる。

すると、


【…いや、バイオウェポンが無くなってるんだ。君が飲んでなかったとしたら、無くなる筈がない……ハッ!まさか、やっぱり君がこの兵器を飲んで】

「飲んでない!」


俺は声を重ねながら即答した。


「…はあ、まさか無くしてるとはな。これじゃ、俺が兵器化するかしないか以前の問題だな。」

俺は小さくため息を突きながら言う。


【そ、そんなわけ無いだろう! 俺が自分の最高傑作を紛失するなんて、断じてない!……おい、さては君が隠したなっ!?そうなんだろ!?そうだと言ってくれっ…!】


「はっ!?なんでそんなことしなきゃならないんだ!俺はバイオウェポンの場所なんて知らないぞ!また訳の分からんこと言いやがって……ちょっと見せてみろ!」


俺はとんでもない濡れ衣を着せられかけながらも、ドルクの手から半ば強引にビンを奪い取った。


「…うん、何も入ってないな。……ドルクさんよ、物の管理はしっかりな。」


俺は優しく微笑みながら言ってみせた。

そしてドルクにビンを返そうとして…


「…ん? おいこれ、胃薬が入ってたビンだぞ。良かったな、無くしたんじゃなくてビンを間違えてただけみたいだぞ?」


ビンの蓋には、『ドルクお手製胃薬』と書いてあった。

これは俺が飲んだ胃薬だ。……もしかして、俺が飲んだときに机の上を弄ったから間違えちゃったのかな?

そう思っていると。


【え?…あ、いや、バイオウェポンを作った時にもう空きビンが無くてな。ちょうど使い切っていた胃薬のビンに入れておいたんだよ。】


「………え?」

空いた口が塞がらないとはこのことか。俺はドルクを指差しながらも、衝撃の事実に声を出せずにプルプル震えていた。


【いやまあ、バイオウェポンには自己修復機能もついてるからな!胃の痛みも治るから、胃薬ってのもあながち間違っちゃいないぜ?】


ドルクは片眉を上げながら言ってくる。

…が、俺は未だに頭の中がサプライズパーティー状態だ。


【…まさか紛失するとはな。…ま、間抜けな俺らしい最後かもしれんな! …おっと、そろそろ本当に魔法陣の魔力が切れそうだ。君、短い間だったが、久しぶりに人と話せて楽しかったぞ!…では、達者でな──】


ドルクはそう言い残して消えてしまった。

言いたいことが腐るほどあるのに、怒りも文句もぶつけられないまま消えてしまった…。


─俺は部屋でひとり、さっきまでドルクがいた場所を未だに指差していた。

そして震える体をからようやく声を絞りだし、もう既に誰もいない空間に向かって叫んだ。


「──な、な、な……っなんじゃそりゃああぁぁぁーーー!!!??」


海音の声は虚しく木霊し、やがて消えていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

処理中です...