異世界転生でハーレムを!…胃薬飲んだら最終兵器になっちゃいました

小鳥遊よもぎ

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一章 兵器化編

第21話 あと二つ

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 よっす! 俺、海音ってんだ!

 俺は今、今までの十数倍の速度で未開の地を横断中。

 ……え? 別にフルダッシュ決めてるわけじゃあないよ? ならなんでそんなことが出来るんだ! って?

 それは……


『キュウウウーン!!』


「うわっ!? き、急にスピード上げんな!」


 タマに乗ってるからさ!


「っておい、マジでスピード落とせって!……こら! 跳び跳ねんな! 急カーブすんな! 緩急つけんなっ!!」


 タマは大好きな主人を乗せて走れるのが嬉しいようで、無駄な急カーブを決めたり、いきなり跳び跳ねたりしていた。


「ちょちょちょっ……だぁーっから! もう! いっぺん止まれっ!」


 タマの背中を思いっきり叩くと、タマは見事にフルダッシュからの急停止を果たした。

 物理法則? なにそれ美味しいの? レベルでそりゃもうピタッ!と。


「っ……! そんな急に止まんなよぉーっ!!」


 ……海音は勢いそのままに前に放り出され、眼前の木に思いっきり衝突する。


「グフッ……俺もう駄目かもしれん……。タマ、今までありがとな……。」


【馬鹿なことをしてないで早く立ち上がって下さい。結構な速度でぶち当たりましたが、もう回復したでしょう?】


「うん、確かに全然平気だけど。……ちょっとは気遣ってくれないかな?」


 ーーーーー



 ──あの後目を覚ました海音は、聞きそびれていた『あと二つの機能』について教えて貰った。


 一つは『自動修復リジェネ100%』。


 これは言葉の通り、魔力がある限り体を自動で回復してくれるらしい。リジェネって言えば、恐らくゲームとかで徐々にHPが回復するアレなので、あまり深くは質問していない。

 ……が、攻撃を受ければ痛みはあるらしい。

 ……いや、もう「らしい」じゃないな。今メチャメチャ痛かったし。



 もう一つは『時短脳クロック』だ。


 これは分かりやすく言うと、回りの動きが遅く見えて、その中で自分だけ普通の速さで動けるというもの。

 この機能はON,OFがあって、使用したいときだけ使用できる。

 なんか、兵器の脳干渉とか脳の回転を速くすることでどーなってそれを反映する為にこーやって……とか色々言ってたが、聞けば聞くほど原理が怖かったので聞き流した。

 なんだよ、【マスターの体は既にバイオウェポンに支配されています】って。止めてよそんな言い方!



 まあそんな訳で、俺の兵器としての機能は

創造クリエイト』『自動修復リジェネ100%』『時短脳クロック』の三つ。


 ーーーーー



【ですが、一度リジェネ100%を実感できて良かったではないですか。流石に私も、お試しで怪我をしろとは言いにくかったですし。】


「まあ、確かに実感は出来たな。いや全然良くは無かったけどね。」


【しかし、今思えば……マスターに自傷を進めるのも悪くなかった気がします。】


「ねぇなんで? なんでそんなこと言うのかなあー……、俺なんかした?」


【いえ、そうではなく。】


「そうではなく?」


【リジェネ100%が無くても、自傷する人っていますよね。病んでる時とか、嫌なことがあった時とか、まあ色々。】


「……うん、いるなぁ。自分の腕に刃物刺してたりするよね。」


【あれって、なぜ追いやられている時に、さらに自分を傷つけるのか知ってます?】


「さあ……。自棄になって痛みで誤魔化そうとしてるんじゃないの。」


【それもありますが、人や動物というのは、例えば痛みを感じた時。当然体は痛みを和らげようとして、その手の物質を出すわけです。】


「あー、うん。そりゃそうだよね。」


【その物質がストレスも解消してくれるんです。肉体を傷つけることで精神面での回復を図る行為が“自傷”です。つまり、自分の体を痛めつけて精神を安定させているわけです。】


「へぇ~……、それで?」


【はあ……マスターは鈍いですね。今マスターは森を延々と歩いていて、色々と不満がおありでしょうね。】


「そりゃーね! まあ具体的にはなんでやっと異世界に来れたと思ったらこんな変なとこに飛ばされたのとかまだこっちに来てからケモ耳ロリ少女や爆乳エルフさんどころか人にすら出会えてないとかなんなのとか魔法って普通転生したら勝手に使えるようになるっていうかチートな魔法が扱えても良かったんじゃないとか取り敢えずスキップ機能があれば今すぐこの森脱出するとこまですっ飛ばしてやるのにとかどうせならもっと良さそうな世界に転生し」

【ん“ん“っ、とにかく、多少不満が溜まってますよね。】


「多少? これを多少と言うのならまだ続けようか? よーし、今から俺の魂が尽きるまで俺の愚痴をみっちり聞かせてやろう。」


【分かりました、分かりましたから。マスターはたくさん不満が溜まってます。これで良いですか?】


「オーケー、続けろ」




【自傷し放題ですよ。】


 ララが耳打ちするような声色で言ってきた。


「はぃ?」


【いえ。ですから、マスターは凄くストレスフルですよね。通常なら自傷はデメリットが大きいですが、マスターは違います。すぐ治るのですから。】


「………」


【マスター。辛いなら我慢する必要なんて無いのです。むしろ今後の生活の為にも、今のうちから慣れておいた方が得策です。】


「………………」


【さあマスター! レッツ自傷タイムといきましょう!】


「いや、やらねーよ!? 絶対やらないからな!?」


 ララが怖いこと言った! ララが突然理解不能なこと言い出したんですけど! 誰か助けて!


【何故ですか? むしろやらない手はないと思うんですが。】


「いや何故とかじゃ無くってさあ。自傷とかマイナスのイメージしかないし。痛そうだし。あんまり気乗りしないし。何より怖いし……。」


【そんな悩みも自傷一つでパパっと解決です! さあ、今すぐトライ自傷です、マスター!】


「話が通じん……ってか何なのお前! 自傷に親でも助けられたの!? 執着心凄いなっ!」


 言ってることは間違ってないから余計に怖い。

 コイツこれでもAIなんだぜ? 信じられるか? AIが感情乗せて言い募って来てるんだぜ? 流石は変態化学者のAIだな! 変態的だぜ……。


 俺は一つため息を突いた。こういう時は落ち着くことが重要。……って誰かが言ってた気がする。


「ララ、俺は確かに不安やストレスはあるけど、そんなことする程じゃないよ。人に会えて無くてもいつでもララと話せるし、なんだかんだでこの世界に来れて嬉しいとも思ってるしね。

 さっきのも、俺の為を思って気遣ってくれたんだよな? ありがとう、ララ。その気持ちだけでも受け取っておくよ。何より、お前がこの世界で一番の心の支えだ。いつでも悩みを吐き出せるし、なんでも答えようとしてくれる。ララが居てくれれば、自傷なんて必要ないさ。」


【マスター……】


「なんだ? ララ。」


【誠に光栄な言葉なのですが、人工知能な私はどんな反応すれば……?】


「……自分で考えてくれ。人工知能だろ。」


 ヤメロ、俺に聞かないでくれ……。今我に帰って『なんて臭いこと言っちゃったんだ』って脳内反省中だから……しかも人工知能相手に。


【あと、マスター。ちょっと痛かったので、先程のような発言は、私以外には極力慎んだ方が賢明かと。】


「……そうだな。気を付けるよ……。」



 俺はタマにまたがり、無言で再出発した。
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