289 / 327
アルバード王立高等学院~這い寄る魔の手~
卒業試験2日目~蒼海の杖、アクアリス~
しおりを挟む
1時間後
「ゴーレムは核を破壊して倒すんですよね?核の位置が分からないことにはやはりどうしようもないのでは?」
「核は魔力の源泉だから魔力探知を上手く使えれば分かるとは思うんだけど、アイリス、君はどのくらいゴーレムに近づいたら核の位置を正確に把握できる?」
「ある程度、、どこの部位にあるか程度であれば、20メートルほど離れていても分かると思いますが、正確に把握するには触らないと分かりませんね。」
まあそうだろう。ゴーレムは魔力の塊みたいなものだから、僕なんて核の位置すら分からないはずだ。
「倒すつもりですか?」
「最悪倒さないという選択肢はあるけど、なるべく倒したいね。どういうプログラムが施されているか分からないまま放置するのは怖いでしょ?こんな限られた空間で火魔法なんか使われてみてよ。一瞬で酸欠になって死ぬよ。」
ゴーレムがはたして火魔法を使えるのかはさておき、未知の状況下では最悪のことを考えて動くのがベストだろう。
「じゃあ核の特定は必須ですね。」
「うん。だけど、頭を使えば最小限の力で何とかなるかもしれないよ。」
「というと?」
「正直言ってランクだけを見ると僕かアイリスがいないと勝ち目ないよね?だから思うんだ。僕らがいなくても頭を使えば何とかなるんじゃないかって。たとえ主力が欠けても大丈夫なようにしている、はず。」
「といっても、物理耐性が高くてカイくんの剣も効かないような相手ですよ?」
それはそう…どうにかして一発入れれないかな…
「ゴーレムって、こかしたら立ち上がれると思う?」
「構造的にはいけると思いますよ。再生能力はないので足か腕を一本でも壊せれば立ち上がれなくなると思いますけどね。」
「あーでも、壊すのに剣使えないもんね。三体もいるんだから仲間割れとか起こしてくれたらいいのに。」
「たしか、ゴーレムは魔力を感知して動くんですよね?私達の魔力と仲間のゴーレムの魔力、どうやって見分けるんでしょうか?」
「そりゃあ魔力の多さじゃない?」
「相手の魔力を私達と同じぐらいに削るか、私達の魔力を増大させて相手に合わせることができたら、誰が誰なのか判別できないんじゃないでしょうか?もしくは、分身を作り出すとか…」
「確かに理論上はそうなるけど、難しいんじゃないかな。上限を超えて魔力を回復させるポーションなんてここにはないだろうし、ゴーレムの魔力を削ることも…」
そこまで言いかけて気づいた。あるじゃないか。そんな面倒なことをしなくても敵を惑わせることができるあのとっておきが。
「…なるほどね。いつから気づいてたの?」
僕がそう聞くとアイリスはニコッと笑った。
「つい先ほどですよ。」
「今日、いや昨日倒した魔物の魔石がこんなところで役に立つとは。捨てなくて正解だったよ。」
魔物の魔石は人間の心臓と同じ働きをする。そのため、倒した魔物が魔力を使いきらなかった場合、残った魔力は魔石の中に閉じ込められる。そのような魔石をハク魔石というのだが、僕の魔法鞄には今それがたくさん入っていた。
ゴーレムは眼や鼻といった機能がないから、全て魔力で探知する。だから魔力がたっぷり入った魔石を転がしておけば、いくらか時間稼ぎには使えるだろう。
「後で売ろうと思ってたけど、仕方ないよね。」
そう言って魔法鞄の中に入っていたハク魔石を全て取り出して水球でコーティングした。
「アイリス、準備はいい?」
「ええ。いつでもどうぞ。」
その言葉を聞き、大量の水球をゴーレムの近くにもっていく。昔は水球の中に何か入れると割れて使い物にならなかったが、成長してこれぐらいのものであれば入れることができるようになったのだ。
総勢100の魔石を水球に入れて操るのはだいぶ骨が折れるが仕方がない。
僕の水魔法が魔力をかさ増ししているので、魔石を人間だと勘違いするはずだ。
案の定、ゴーレムは反応した。僕が操る魔石を排除しようと動き出す。
「アイリス、今のうちだよ!」
「分かってます!」
アイリスが風魔法を使いゴーレムに近づく。
「右足のひざです!」
そう言ってアイリスが魔力でその部分をマーキングしてくれる。
「了解!」
やばい…もう50個使い物にならなくなった…
「こっちのゴーレムはお腹です!」
やっぱりバラバラなのか…面倒くさいな。ていうかコイツら固すぎじゃない?一撃で魔石が壊されるんだけど…
「アイリス、そろそろまずいかも。」
「三つめのゴーレムは…っあ」
アイリスをめがけて振り下ろされた腕を身体強化した腕で受け止める。
「カイくん!?」
「大丈夫。骨は折れてないから。」
アイリスが離れたのを確認して、僕は腕を逸らして地面にたたきつけた。
身体強化してなかったら確実に腕が折れていたと確信するほど、強い力がかかった。今もちょっと腕が痛いぐらいだ。
…大丈夫。僕らなら倒せる
そう思って僕は杖を構えた。
「カイくん、その杖って…蒼海の杖、アクアリスですか?」
アイリスが驚いたような顔をしてそう言った。僕が杖を使うところを初めてみたのだから驚くのも無理はないだろう。
杖とは魔力を体内から効率的に出すために使われているだけで、魔法を使うのに必須というわけじゃない。
それなのに僕がこの舞台で杖を使うのには理由があった。
「卒業試験ぐらい、一緒に戦いたかったんだ。」
そう言って僕は杖をぐっと握りしめた。
そう、これは僕の母親…フィオレーナ・ハルシャが生前使っていた杖なのである。
「ゴーレムは核を破壊して倒すんですよね?核の位置が分からないことにはやはりどうしようもないのでは?」
「核は魔力の源泉だから魔力探知を上手く使えれば分かるとは思うんだけど、アイリス、君はどのくらいゴーレムに近づいたら核の位置を正確に把握できる?」
「ある程度、、どこの部位にあるか程度であれば、20メートルほど離れていても分かると思いますが、正確に把握するには触らないと分かりませんね。」
まあそうだろう。ゴーレムは魔力の塊みたいなものだから、僕なんて核の位置すら分からないはずだ。
「倒すつもりですか?」
「最悪倒さないという選択肢はあるけど、なるべく倒したいね。どういうプログラムが施されているか分からないまま放置するのは怖いでしょ?こんな限られた空間で火魔法なんか使われてみてよ。一瞬で酸欠になって死ぬよ。」
ゴーレムがはたして火魔法を使えるのかはさておき、未知の状況下では最悪のことを考えて動くのがベストだろう。
「じゃあ核の特定は必須ですね。」
「うん。だけど、頭を使えば最小限の力で何とかなるかもしれないよ。」
「というと?」
「正直言ってランクだけを見ると僕かアイリスがいないと勝ち目ないよね?だから思うんだ。僕らがいなくても頭を使えば何とかなるんじゃないかって。たとえ主力が欠けても大丈夫なようにしている、はず。」
「といっても、物理耐性が高くてカイくんの剣も効かないような相手ですよ?」
それはそう…どうにかして一発入れれないかな…
「ゴーレムって、こかしたら立ち上がれると思う?」
「構造的にはいけると思いますよ。再生能力はないので足か腕を一本でも壊せれば立ち上がれなくなると思いますけどね。」
「あーでも、壊すのに剣使えないもんね。三体もいるんだから仲間割れとか起こしてくれたらいいのに。」
「たしか、ゴーレムは魔力を感知して動くんですよね?私達の魔力と仲間のゴーレムの魔力、どうやって見分けるんでしょうか?」
「そりゃあ魔力の多さじゃない?」
「相手の魔力を私達と同じぐらいに削るか、私達の魔力を増大させて相手に合わせることができたら、誰が誰なのか判別できないんじゃないでしょうか?もしくは、分身を作り出すとか…」
「確かに理論上はそうなるけど、難しいんじゃないかな。上限を超えて魔力を回復させるポーションなんてここにはないだろうし、ゴーレムの魔力を削ることも…」
そこまで言いかけて気づいた。あるじゃないか。そんな面倒なことをしなくても敵を惑わせることができるあのとっておきが。
「…なるほどね。いつから気づいてたの?」
僕がそう聞くとアイリスはニコッと笑った。
「つい先ほどですよ。」
「今日、いや昨日倒した魔物の魔石がこんなところで役に立つとは。捨てなくて正解だったよ。」
魔物の魔石は人間の心臓と同じ働きをする。そのため、倒した魔物が魔力を使いきらなかった場合、残った魔力は魔石の中に閉じ込められる。そのような魔石をハク魔石というのだが、僕の魔法鞄には今それがたくさん入っていた。
ゴーレムは眼や鼻といった機能がないから、全て魔力で探知する。だから魔力がたっぷり入った魔石を転がしておけば、いくらか時間稼ぎには使えるだろう。
「後で売ろうと思ってたけど、仕方ないよね。」
そう言って魔法鞄の中に入っていたハク魔石を全て取り出して水球でコーティングした。
「アイリス、準備はいい?」
「ええ。いつでもどうぞ。」
その言葉を聞き、大量の水球をゴーレムの近くにもっていく。昔は水球の中に何か入れると割れて使い物にならなかったが、成長してこれぐらいのものであれば入れることができるようになったのだ。
総勢100の魔石を水球に入れて操るのはだいぶ骨が折れるが仕方がない。
僕の水魔法が魔力をかさ増ししているので、魔石を人間だと勘違いするはずだ。
案の定、ゴーレムは反応した。僕が操る魔石を排除しようと動き出す。
「アイリス、今のうちだよ!」
「分かってます!」
アイリスが風魔法を使いゴーレムに近づく。
「右足のひざです!」
そう言ってアイリスが魔力でその部分をマーキングしてくれる。
「了解!」
やばい…もう50個使い物にならなくなった…
「こっちのゴーレムはお腹です!」
やっぱりバラバラなのか…面倒くさいな。ていうかコイツら固すぎじゃない?一撃で魔石が壊されるんだけど…
「アイリス、そろそろまずいかも。」
「三つめのゴーレムは…っあ」
アイリスをめがけて振り下ろされた腕を身体強化した腕で受け止める。
「カイくん!?」
「大丈夫。骨は折れてないから。」
アイリスが離れたのを確認して、僕は腕を逸らして地面にたたきつけた。
身体強化してなかったら確実に腕が折れていたと確信するほど、強い力がかかった。今もちょっと腕が痛いぐらいだ。
…大丈夫。僕らなら倒せる
そう思って僕は杖を構えた。
「カイくん、その杖って…蒼海の杖、アクアリスですか?」
アイリスが驚いたような顔をしてそう言った。僕が杖を使うところを初めてみたのだから驚くのも無理はないだろう。
杖とは魔力を体内から効率的に出すために使われているだけで、魔法を使うのに必須というわけじゃない。
それなのに僕がこの舞台で杖を使うのには理由があった。
「卒業試験ぐらい、一緒に戦いたかったんだ。」
そう言って僕は杖をぐっと握りしめた。
そう、これは僕の母親…フィオレーナ・ハルシャが生前使っていた杖なのである。
2
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル
異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった
孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた
そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた
その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。
5レベルになったら世界が変わりました
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる