異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明

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アルバード王立高等学院~這い寄る魔の手~

卒業試験2日目~蒼海の杖、アクアリス~

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1時間後

「ゴーレムは核を破壊して倒すんですよね?核の位置が分からないことにはやはりどうしようもないのでは?」

「核は魔力の源泉だから魔力探知を上手く使えれば分かるとは思うんだけど、アイリス、君はどのくらいゴーレムに近づいたら核の位置を正確に把握できる?」

「ある程度、、どこの部位にあるか程度であれば、20メートルほど離れていても分かると思いますが、正確に把握するには触らないと分かりませんね。」

まあそうだろう。ゴーレムは魔力の塊みたいなものだから、僕なんて核の位置すら分からないはずだ。

「倒すつもりですか?」

「最悪倒さないという選択肢はあるけど、なるべく倒したいね。どういうプログラムが施されているか分からないまま放置するのは怖いでしょ?こんな限られた空間で火魔法なんか使われてみてよ。一瞬で酸欠になって死ぬよ。」

ゴーレムがはたして火魔法を使えるのかはさておき、未知の状況下では最悪のことを考えて動くのがベストだろう。

「じゃあ核の特定は必須ですね。」

「うん。だけど、頭を使えば最小限の力で何とかなるかもしれないよ。」

「というと?」

「正直言ってランクだけを見ると僕かアイリスがいないと勝ち目ないよね?だから思うんだ。僕らがいなくても頭を使えば何とかなるんじゃないかって。たとえ主力が欠けても大丈夫なようにしている、はず。」

「といっても、物理耐性が高くてカイくんの剣も効かないような相手ですよ?」

それはそう…どうにかして一発入れれないかな…

「ゴーレムって、こかしたら立ち上がれると思う?」

「構造的にはいけると思いますよ。再生能力はないので足か腕を一本でも壊せれば立ち上がれなくなると思いますけどね。」

「あーでも、壊すのに剣使えないもんね。三体もいるんだから仲間割れとか起こしてくれたらいいのに。」

「たしか、ゴーレムは魔力を感知して動くんですよね?私達の魔力と仲間のゴーレムの魔力、どうやって見分けるんでしょうか?」

「そりゃあ魔力の多さじゃない?」

「相手の魔力を私達と同じぐらいに削るか、私達の魔力を増大させて相手に合わせることができたら、誰が誰なのか判別できないんじゃないでしょうか?もしくは、分身を作り出すとか…」

「確かに理論上はそうなるけど、難しいんじゃないかな。上限を超えて魔力を回復させるポーションなんてここにはないだろうし、ゴーレムの魔力を削ることも…」

そこまで言いかけて気づいた。あるじゃないか。そんな面倒なことをしなくても敵を惑わせることができるあのが。

「…なるほどね。いつから気づいてたの?」

僕がそう聞くとアイリスはニコッと笑った。

「つい先ほどですよ。」

「今日、いや昨日倒した魔物の魔石がこんなところで役に立つとは。捨てなくて正解だったよ。」

魔物の魔石は人間の心臓と同じ働きをする。そのため、倒した魔物が魔力を使いきらなかった場合、残った魔力は魔石の中に閉じ込められる。そのような魔石をハク魔石というのだが、僕の魔法鞄には今それがたくさん入っていた。

ゴーレムは眼や鼻といった機能がないから、全て魔力で探知する。だから魔力がたっぷり入った魔石を転がしておけば、いくらか時間稼ぎには使えるだろう。

「後で売ろうと思ってたけど、仕方ないよね。」

そう言って魔法鞄の中に入っていたハク魔石を全て取り出して水球でコーティングした。

「アイリス、準備はいい?」

「ええ。いつでもどうぞ。」

その言葉を聞き、大量の水球をゴーレムの近くにもっていく。昔は水球の中に何か入れると割れて使い物にならなかったが、成長してこれぐらいのものであれば入れることができるようになったのだ。

総勢100の魔石を水球に入れて操るのはだいぶ骨が折れるが仕方がない。

僕の水魔法が魔力をかさ増ししているので、魔石を人間だと勘違いするはずだ。

案の定、ゴーレムは反応した。僕が操る魔石を排除しようと動き出す。

「アイリス、今のうちだよ!」

「分かってます!」

アイリスが風魔法を使いゴーレムに近づく。

「右足のひざです!」

そう言ってアイリスが魔力でその部分をマーキングしてくれる。

「了解!」
やばい…もう50個使い物にならなくなった…

「こっちのゴーレムはお腹です!」

やっぱりバラバラなのか…面倒くさいな。ていうかコイツら固すぎじゃない?一撃で魔石が壊されるんだけど…

「アイリス、そろそろまずいかも。」

「三つめのゴーレムは…っあ」

アイリスをめがけて振り下ろされた腕を身体強化した腕で受け止める。

「カイくん!?」

「大丈夫。骨は折れてないから。」

アイリスが離れたのを確認して、僕は腕を逸らして地面にたたきつけた。

身体強化してなかったら確実に腕が折れていたと確信するほど、強い力がかかった。今もちょっと腕が痛いぐらいだ。

…大丈夫。僕らなら倒せる

そう思って僕は

「カイくん、その杖って…蒼海そうかいの杖、アクアリスですか?」

アイリスが驚いたような顔をしてそう言った。僕が杖を使うところを初めてみたのだから驚くのも無理はないだろう。

杖とは魔力を体内から効率的に出すために使われているだけで、魔法を使うのに必須というわけじゃない。

それなのに僕がこの舞台で杖を使うのには理由があった。

「卒業試験ぐらい、一緒に戦いたかったんだ。」

そう言って僕は杖をぐっと握りしめた。

そう、これは僕の母親…フィオレーナ・ハルシャが生前使っていた杖なのである。
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