異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明

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新たな旅路~Cランク昇格試験編~

護衛依頼一日目

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「この子、名前は何て言うんだい?」

「レインだよ。」

「見たところ、刃馬シュヴェルツなのだろうが、少し見た目が違うな。」

「この子は亜種なんだ。」

「なら、この狼も亜種かな?」

そう言ってディルは僕の膝の上にいるルーンを指さした。

「そうだよ。ルーンは月光狼ムーンウルフの亜種。君がいくら強くてもルーンとタイマン張ったら多分負けると思うよ。」

僕が学院に行っている間にルーンはお祖父様に鍛えられて信じれないぐらい強くなっていた。もともと潜在能力が高い種族ではあるが、ここまでとは思わなかった。

「君がそこまで言うとは本当に強いんだね。」

そう言ってディルはルーンのことをちらっと見た。

「…信じてないでしょ。」

「…いやー、子犬サイズの狼が強いと言われても、信じられないのは仕方ないだろう?」

「ルーンは体の大きさを自由に変えれるんだ。本当は僕の腰ぐらいはあるよ。」

「体の大きさを自由に変えれる?それは驚いた。固有スキルを持っているんだな。」

「変幻自在って言うんだけど、僕もルーン以外に見たことないね。」

僕がそう言った時、妙な気配を感じた。
ディルとさっと目配せをして状況を共有する。

「…カイ、、」

「気配的にはゴブリン10体ってとこかな。もしかしたらコボルトかもしれないけどそれぐらいのレベルであることは間違いないよ。多分コウもエレンも気づいてる。」

「そうか。10体ってことは近くに巣があってもおかしくないな。」

「今回は護衛依頼だからそこまでは追わないでしょ?」

「ああ。そうだね。とりあえずこれ以上近づかれる前に手を打とうか…。カイなら何秒で仕留めれる?」

「10体だからね…この距離なら接近するのに30秒、仕留めるのに30秒。戻ってくるのに20秒だから、80秒かな。ディルは?」

「接近するのに40秒。仕留めるのに20秒、戻ってくるのに30秒。計90秒ってところかな。」

「さすが魔法使い。仕留めるのに20秒しかかからないのか…。まあ合計の時間は僕のが速いから、今回は僕が行くよ。レインはそのまま僕の代わりに護衛していてね。ルーン、一緒にいこうか。」

「ワフッ!」

僕がそう言うとルーンのサイズが大きくなった。

僕はレインからルーンに飛び乗りゴブリンらしき気配の場所まで急いぐ。

「にしても、僕らの強さが分からないなんて、愚かな魔物だよ。…ルーン、近づいたら影魔法を使って、相手を縛り付けるんだ。」

「ワフッ!」

影魔法というのは闇属性に属しており、自分の影を自由自在に操ることができる便利な魔法である。

にしても、10匹同時に捕まえるなんてさすがルーンだ。

「血がつくのは嫌だから、魔法で殺そうっと…」

水を刃状にし、ゴブリンの喉元を掻っ切る。

「ただの偵察隊か…奇襲じゃなくてよかった。」

奇襲だったらもっと面倒くさいこと間違いなしだからな…

「ルーン、よくやった。ありがとう。王都についたらお菓子買ってあげる。」

「ワフッ?!」

そんなことを話しながらルーンに飛び乗りディルのもとへと戻っていく。

「はやかったね。」

「雑魚相手にそう時間はかからないよ。ところでディル、君は気づいてる?」

僕がそう言うとディルは少し笑った。

「ああ。もちろん。」

「あれって、試験官とかじゃないよね?」

「まさか。さすがに本物だと思うよ。」

「この感じ、かなり優秀な盗賊だね。夜に奇襲されたら厄介だよ。」

「気づいているんだから、奇襲じゃないと思うけど。ひとまず、怪しまれないように皆に共有しておくべきだな。」

「気づいているってアピールしたら帰ってくれないだろうか。」

「引き際が分かるほど優秀な者であれば、盗賊にはなってないだろうな。」

「たしかに。一理あるね。」

そう言って僕は少し笑った。

「…ウィン、このことをイリアスたちにも伝えてくれる?」

そう言うと、風が優しく僕の頬を撫でた。

「まさかイリアスが精霊使いだとは思わなかったよ。」

「隠しておいた方がいいんじゃないかって何度か言ったんだけどね。本人の強い反対があったから、堂々と精霊使いだと周囲に言いふらすことにしたんだ。」

「…まあ、合同依頼だと隠すのも難しくなってくるからな。いい判断だと思うよ。」

「それはそうなんだけど。いろいろとこっちにも事情があるからね。」

そう言って僕は少しため息をついた。

「…君ほど優秀な人なら、その事情もなんとなく察していると思うけど、本人には言わないでよ。結構気にしてるから。」

僕の言葉にディルは無言でうなずいた。やっぱり、イリアスが帝国の貴族の子どもだってのは察していたようだ。

まあ、精霊を従えることができるイリアスの一族は何かと有名だから仕方ないことなのだけど。

「…といっても、そろそろ決着をつけてもらう予定だけどね。」

僕はそう言ってイリアスがいるであろう少し遠くの馬車を見つめた。
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