異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明

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新たな旅路~Cランク昇格試験編~

無意識の領域

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「…相変わらず、一定の距離を開けて追ってくるね。」

「…ていうかしれっと一人増えてないか?」

「どうする?殺すのなら僕一人でも大丈夫だと思うけど、捕まえるのなら僕一人じゃ無理だよ。」

「そうはいっても、これ以上護衛を減らすわけにはいかないからな…ここから1時間程度馬車を走らせたところに開けた場所があるから、そこで交戦した方が現実的だな。カイはどう思う?」

「人数がもう少し少なければそれがいいと思うけど、こっちは御者が五人と馬車を五台守らないといけないから、やはりここで人数を減らしておくべきだと思う。」

「それは危険じゃないか?君が強いとはいえ、手練れの盗賊相手に三タテはきついだろう。」

「ルーンを連れていくから一人じゃない。生け捕りはきついけど、殺すのなら手加減しなくてすむから本来の力を思う存分出せる。」

「…分かった。そこまで言うならよほど自信があるんだろう?何分かかる?」

「10分で帰ってこれたらいいほうかな。」

「了解。もし逃げられても深追いはしないように。」

「うん、分かった。」

僕はそう言って狼煙を上げた。これでコウたちにも伝わるはずだ。

「それじゃあ行ってくる。」

ディルが頷いたのを確認し、僕はルーン地面に降ろした。

「レイン、何かあったらその自慢の足で蹴っ飛ばすんだよ。」

それだけ言って大きくなったルーンに飛び乗り、盗賊のもとへ猛スピードでおもむく。

「…気づかれたな。ルーン、二手に別れよう。」

「ワフッ」

走っているルーンの負担にならないよう、木に飛び移る。
そして身体強化を使いながら違う方向から盗賊のいる場所まで向かった。

「ふはっ、ボスの言った通りほんとに来たぜ。」

実力からおおよそCってところか…盗賊にしては武器や防具がしっかりしている。

「…まさか暗殺ギルドの…」

僕がそう言うと男がニヤリと笑った。

暗殺ギルドとは、文字通り暗殺任務を主とする組織だ。もちろん国に公認されていないが、十八番の尻尾切り芸のせいで中核の人物などがまだ明らかになっていない。

「そうさ、俺たちは暗殺ギルドの構成員だ。お前に恨みはないが、依頼人の頼みだからなぁ」

狙われたのは僕個人なのか、はたまた合同依頼メンバーの誰かなのか…情報を引き出してから殺したほうがいいな。

「あーもしかして君たちの依頼人はディルベルト・ルレットに恨みを持っている人?」

「そんなこと、お前に言う義務はないな。」

コイツ、暗殺者のくせに誤魔化し方が下手すぎじゃないか?さっきから目が泳いでいるんだが。

「まっ、いいよ。どうせそれで合ってるんでしょ?ルレット家で熾烈な後継者争いが起きているなんて周知の事実だし。大方、ディルベルト・ルレットの兄が仕組んだことだろう?」

そう言って僕は自分の足に魔力を集めた。

「正直ディルベルトが死のうが生きようがどうでもいいけど、僕の仲間を巻き込んだことは許せないなぁ。君たちごときの人間が傷つけていい相手じゃないんだよ。」

次の瞬間、なぜか眼下に暗殺者がいた。腕が切られていて見るも無残な姿だった。

「ひっ、化け物が…!」

化け物?それは一体誰のことだ?

手に持っていた短剣の刃を見るとそこには血まみれの僕の姿が映っていた。

「えっ、はぁ?なんで?」

思わず眼を白黒させていると、なぜか足で踏みつけていた暗殺者が息絶えていた。

「…ワフン」

ルーンが心配そうに僕の手を舐める。

「ルーン、これ、僕がやったの?」

そう聞くと、ルーンは首を縦に振った。

「…そう、、なんだね。記憶が一切ないけど。まっ、いっか。殺すという当初の目的は達成できたし。」

といっても記憶がないのは怖いが今はそんなことを気にしている暇はない。

「ルーン、急いで戻ろうか。」

ルーンにもう一度跨り、僕は死体を置き去りにしたままその場を立ち去った。


とある暗殺者視点

「正直ディルベルトが死のうが生きようがどうでもいいけど、僕の仲間を巻き込んだことは許せないなぁ。君たちごときの人間が傷つけていい相手じゃないんだよ。」

少年がそう言った瞬間、空気が変わった。

緑色の瞳が金色に代わり、纏う空気が一変した。

神々しい何か、いやどちらかというと、怪物のような人ならざるものの禍々しさ

筆舌尽くしがたいナニカが俺の体を縛り付け、地面にたたきつける。

「ぐはっ…」

胃が潰され口の中から赤い血がこぼれだす。

当の本人は無表情で俺の腹を踏みつけた。

「この程度の実力でよく僕を殺そうなどと思ったね。」

少年は凍えるような瞳で俺を見た。

「わっ、悪かった。だからもう…」

「殺さないでくれって?人の命を狙っておいてよくそんなことを言えるね。殺される覚悟のない殺し屋なんて聞いたことないよ。」

そう言って少年は俺の腕を切り落とした。その顔はどことなく愉悦に歪んでいた。

あぁ、コイツは悪魔だ。少なくとも、人間じゃない。そう思って俺は自分の舌を噛み切ったのだった。
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