異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明

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アルバード王立高等学院~隣国からの客人~

特別試験~謎の多い最終決戦~

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いつも通りでいい。それ以上を望むな。いつも通りの動きをすればいける!

二刀流のヤツと戦ったことないから動きずらい、なっ…あぶねー少し右にずれてなかったら肩やられてたな。

廊下で戦っているということもありあまり派手な魔法は使えない。…相手が魔法を使ってこないのが一番の救いである。

少しずつ僕の皮膚は傷つけられていく。致命傷を負わされる前に決着をつけないと。

短剣で魔石刺せばおそらくこのキメラは止まる。ただ、そんな隙はない。互角の勝負でそれをするには多少自分の体を犠牲にしなければならない。

脛に短剣を刺しても終わらなかったら?もし、なんの効果もなかったら?

怖くない。怖くなんかない。恐怖なんてとっくの昔に前世に置いてきただろう?カイ!

まずはこの状況を何とかする方法を考えるんだ!
すねに攻撃を当てるには僕自身が姿勢を低くしなければいけない。でも、姿勢を低くするその一秒もない時間で僕の首はおそらく切られてしまう。互角(向こうの方が少し強いが)ということはそういうことなのだ。

だから無理せず自然な動作で姿勢を低くできれば…、、あぁ…あれがあった…

ここ西館は中が吹き抜けとなっている。その吹き抜けている場所は中庭のように芝生が敷き詰められていて花も咲いているようなところだ。つまり草魔法が使いやすい。

まず、相手の力を利用して相手の背後へと跳ぶ。そして水魔法で地面を水浸しにし、間髪入れずにそれを氷にする。これで少しは動きが遅くなるはずだ。ちなみに僕は、そもそも氷に慣れているし靴も特別製だからそこまで影響はない。

吹き抜けの場所に繋がっている扉は3mほど後ろにある。この距離なら僕がどこに足をついてどう扉を開けるのか先に計算できる。

バァンという音で煙が廊下の一部分に蔓延する。その隙に僕は眼を閉じながら扉を開けて転がるように外に出る。

少し遅れてヤツも後を追ってくる。動きが目に見えて遅くなっていた。

それはそうだろう。なんてたって、さっき投げたのはただの煙玉じゃないのだから。激辛で有名なライの実から抽出した液体を昔好んで使っていたってユウリに言ったら、それを組み合わせた品を作ってくれたのだ。それを一度自分に使ってみたことがあるが、あの煙の中で目を開けていたら死ぬほどの痛みを感じたのでコイツにもきっと効いているだろう。

痛みを与えてきた原因の僕にものすごく怒っているのが様子を見ただけでわかる。

「あーあ。せっかく強いんだからさ、感情の制御くらいしようよ。いくら強くてもね、我を忘れて怒り狂った生物は動きが単調になる。」

まあその分攻撃の威力は増しているんだけどね。これならここに連れてこずともよかったな。

「終わりだよ。」

そう呟いて魔石があるらしい脛に短剣を突き刺す。すると力なく相手はその場に崩れ落ちた。

「以外とあっけなかったか…」

そう言って急いで殿下の元へと戻る。

そこには胴体が真っ二つに割れて死んでいるリース・ビションの姿とそれを見て震えている殿下の姿があった。

「これはいったい…」

僕がそう呟くと殿下がこちらを振り返り怯えたような表情をして口を開いた

「わたくしではありません!」

「そうですか。まあ今回の場合だと殺しても別に咎められないでしょうけどね。何があったんですか?」

「それが、わたくしにもよくわからないのです。風魔法の効果が切れて姿が見えた時にはもうこのような状態になっていました。」

「俺も見た。…王女様は、、やってねぇ」

上体を少しおこしながら言う生徒に少しイラっとする。そういえばコイツらを守っていたからここまで危ない橋を渡る羽目になったのだ。

「ふーん。こういうヤツでもちょっとは役にたつことあるんだ。覚えとこ。」

「こういうやつってなんだよ!」

「死にぞこないってこと。殿下に感謝しなよ。僕一人なら絶対見捨ててた。僕が見つけたときにはもう死んでたってことにしてね。」

「…ひでぇ」

「なんだ、そんなに死にたいの?」

冗談まじりに短剣を向けてにこっと笑ってみると、ひえっと言って目をそらされた。

「ダメですよ、カイくん。冗談でもそういうことを言っては。」

殿下に免じて今回だけは許してあげよう。でも次はない。いや、次があっても困るんだけどな…

「もしかしたらあの怪物になんらかの仕掛けがあったのかもしれません。殺されたら自動的にリース・ビションの体も死ぬ、みたいな感じに。」

「あっ、そういえば、屋上にいたときのキメラどうなったんでしょう?」

「あれは結界を作るための生贄だったのだと思いますよ。そうするとすべての辻褄が合うんですよ。結界を作ったことによって死んで、その死骸をリース・ビションが操っていた。だからアイツが攻撃している時は攻撃してこなかったし、僕らを追いかけてもこなかったんです。死骸といってもあの大きさのもの魔力で動かすのは至難のわざですから。」

僕がそう言い終わると同時にいきなりぎゅっと抱きしめられた。どうしたらいいのか分からず硬直する。

「…あの、痛い…痛いです、」

最悪だ。兄さんにばれたら殺されそ…

「あっ、ごめんなさい。すぐにヒールをかけますね。」

だんだん痛みが引いていく。暖かい何かを感じて死への強い恐怖から解放されたのか、僕の意識は暗闇へと消えていった。
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