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冬休み~消えることのないキズナ~
ハルシャ家の秘密
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in訓練場
「なぁなぁ、せっかくやるやんったら長剣で戦ってや。」
なにそれ…
「やだよ。長剣使ったら僕の身軽さという武器が使えないじゃん。」
「やったらなんで試合では使ったん?」
「あぁ…それは、短剣を使ってあの炎の犬を攻撃したら僕まで燃えると思ってね。それに、長剣は歯止めがきかないから寸止めができない。エレンに何かあったらユウリに怒られるでしょ?」
「私が見ていよう。何かある前に止めてあげるから思う存分やりなさい。」
お祖父様まで、、なんでそんなに長剣使って欲しいんだろ…
『そりゃあお前の成長ぶりを見たいからに決まってるだろ。』
うるさいよ、ライ。
「じゃあそろそろ始めるか。」
お祖父様のそんな言葉で僕とエレンは剣を構える。
「剣の試合ってことでいいんだよね?魔法は禁止?」
「おう!」
コインが宙を舞い、お祖父様の足元に落ちたその瞬間、エレンと僕の足が地面から離れる。
キン、キン、、ガキン
エレンは獣人だ。力もありすばしっこいが器用さに欠ける。その点僕はというと、すばしっこくて器用ではあるが力がない。腕相撲をけしかけられると秒で負ける自信がある。そんな相手に剣で勝つなんてと思わなくもないがしかたがない…
『ごちゃごちゃ考える暇あんなら体動かせっての。ほら、左、その次は足が来る。』
…頭の中を見られてるってなんか嫌だな、、そんなことを思っていると
ライの言葉通り左から切りかかられた後すぐに蹴りがくる。
なんでわかんの、まじで。
『昔武道を嗜んでいたからな。それぐらいは。』
ふーん、嗜むっていうレベルじゃないと思うんだけど…
いや、そんなことよりエレン、剣の試合で蹴りはいいのか?
エレンの剣技はお祖父様の教えているものではなく全て我流であるためものすごく戦いずらい。まあ蹴りを入れてくる時点で戦いずらいことこの上ないが…
カンカンカン、キン、カンカン、
激しい打ち合いが続く。蹴りの角度が下がってきている。少し疲れてきたのだろう。そろそろラストスパートをかけようか…
カキンと不自然ないように長剣を弾き飛ばされるよう計算して手を離す。
エレンの歓喜に満ちた顔を見ると、罠にはまってくれたのは間違いないだろう。
エレンの瞳が僕の首を捉えているのをいいことに、腰につけていた短剣を取り右手でエレンの長剣をいなし、左手でエレンの首もとに短剣を突き付けた。
『ふーん、前回会ったときよりかは随分と成長したな。』
ったく、コイツほんとに上から目線だな…
「カイ!長剣で戦うって話だったじゃん!!」
「僕、一度も長剣のみで戦うって言ってないよ。ていうかエレンこそ、剣の試合だよね?って一度聞いたのに足使ったじゃん。」
あれ本当にびっくりしたんだけど。
「まあまあ、次からはちゃんとルールを設定してからやらないとな。」
「エレン、次は俺とやらへん?」
「いいぞ!」
まだやるんだ…よく疲れないな、、これが子供の体力ってやつか
「カイ」
呼ばれた方を向くとお祖父様がこっちに来るよう手で促していた。
「どうしたの?」
「言っておかなければならないことがあってな。私はこの冬でハルシャ家当主の座を降りることにした。」
…そろそろかとは思っていたけどあまりにも急だな。
「…その理由は?」
「現国王がどんなものかを見に行く必要があって、帝国に行こうと思っているんだが、公爵の身分ではなかなか行きづらいんだ。」
いや、その国王、多分この会話聞いているけど大丈夫かな??
「そう、なんだ…どうしてこんなに急ぐの?今年じゃなくてもいいと思うけど…」
「カイ、私たちハルシャ家の者は皆短命なんだ。半神という人でも神でもない存在はいろいろと制約が多いんだ。死ぬ場所も時間も全ては神の意志で決まる。私の弟はカイの母であるフィオレーナをかばって死んだ。息絶える前に弟が言っていたんだ。『体が強制的に動いた』と。ハルシャ家の者で60才を超えて生きた者は3人しかいない。私は今年で60になる。おそらくそろそろ死ぬだろう。そうなる前に後悔しないように行動しようかと思ってな。」
…ハルシャ家で一番長生きした人でさえも64で亡くなったという。その話が本当ならお祖父様も長くはない。
そんなことを考えていると頭をポンポンと押された。
「そんな顔をするな。死にに行くわけではない。そうだ、聞いたか?ルシアンの結婚式が来年の夏休みに行われることになったんだ。」
「はやくないですか?兄さんもまだ18だし、殿下にいたっては16ですよね?」
「いや、俗に言う政略結婚の場合は生まれたすぐに婚約して、互いが16になった時に結婚するのが普通だ。この国では16になったら成人扱いになるからな。本当は、ルシアンにはもう少し早くできないかと言われたんだが、当主交代も重なるから断ったんだ。」
兄さん、、そんなに早く結婚したかったんだ…
「おっ、試合が終わったみたいだな。皆よく成長している。カイが卒業した年にBランクぐらいの実力にはなっていることだろう。」
「今はどれくらい?」
「そうだな、、今はCランクの真ん中ぐらいだ。…カイ、お前たちは何も気にせず自由に生きていいんだからな。」
そう言ってお祖父様はコウたちの場所まで歩いていった。
「…もとよりそのつもりだよ。」
そんな僕の言葉は誰にも聞かれることなく風の中に消えていったのだった。
「なぁなぁ、せっかくやるやんったら長剣で戦ってや。」
なにそれ…
「やだよ。長剣使ったら僕の身軽さという武器が使えないじゃん。」
「やったらなんで試合では使ったん?」
「あぁ…それは、短剣を使ってあの炎の犬を攻撃したら僕まで燃えると思ってね。それに、長剣は歯止めがきかないから寸止めができない。エレンに何かあったらユウリに怒られるでしょ?」
「私が見ていよう。何かある前に止めてあげるから思う存分やりなさい。」
お祖父様まで、、なんでそんなに長剣使って欲しいんだろ…
『そりゃあお前の成長ぶりを見たいからに決まってるだろ。』
うるさいよ、ライ。
「じゃあそろそろ始めるか。」
お祖父様のそんな言葉で僕とエレンは剣を構える。
「剣の試合ってことでいいんだよね?魔法は禁止?」
「おう!」
コインが宙を舞い、お祖父様の足元に落ちたその瞬間、エレンと僕の足が地面から離れる。
キン、キン、、ガキン
エレンは獣人だ。力もありすばしっこいが器用さに欠ける。その点僕はというと、すばしっこくて器用ではあるが力がない。腕相撲をけしかけられると秒で負ける自信がある。そんな相手に剣で勝つなんてと思わなくもないがしかたがない…
『ごちゃごちゃ考える暇あんなら体動かせっての。ほら、左、その次は足が来る。』
…頭の中を見られてるってなんか嫌だな、、そんなことを思っていると
ライの言葉通り左から切りかかられた後すぐに蹴りがくる。
なんでわかんの、まじで。
『昔武道を嗜んでいたからな。それぐらいは。』
ふーん、嗜むっていうレベルじゃないと思うんだけど…
いや、そんなことよりエレン、剣の試合で蹴りはいいのか?
エレンの剣技はお祖父様の教えているものではなく全て我流であるためものすごく戦いずらい。まあ蹴りを入れてくる時点で戦いずらいことこの上ないが…
カンカンカン、キン、カンカン、
激しい打ち合いが続く。蹴りの角度が下がってきている。少し疲れてきたのだろう。そろそろラストスパートをかけようか…
カキンと不自然ないように長剣を弾き飛ばされるよう計算して手を離す。
エレンの歓喜に満ちた顔を見ると、罠にはまってくれたのは間違いないだろう。
エレンの瞳が僕の首を捉えているのをいいことに、腰につけていた短剣を取り右手でエレンの長剣をいなし、左手でエレンの首もとに短剣を突き付けた。
『ふーん、前回会ったときよりかは随分と成長したな。』
ったく、コイツほんとに上から目線だな…
「カイ!長剣で戦うって話だったじゃん!!」
「僕、一度も長剣のみで戦うって言ってないよ。ていうかエレンこそ、剣の試合だよね?って一度聞いたのに足使ったじゃん。」
あれ本当にびっくりしたんだけど。
「まあまあ、次からはちゃんとルールを設定してからやらないとな。」
「エレン、次は俺とやらへん?」
「いいぞ!」
まだやるんだ…よく疲れないな、、これが子供の体力ってやつか
「カイ」
呼ばれた方を向くとお祖父様がこっちに来るよう手で促していた。
「どうしたの?」
「言っておかなければならないことがあってな。私はこの冬でハルシャ家当主の座を降りることにした。」
…そろそろかとは思っていたけどあまりにも急だな。
「…その理由は?」
「現国王がどんなものかを見に行く必要があって、帝国に行こうと思っているんだが、公爵の身分ではなかなか行きづらいんだ。」
いや、その国王、多分この会話聞いているけど大丈夫かな??
「そう、なんだ…どうしてこんなに急ぐの?今年じゃなくてもいいと思うけど…」
「カイ、私たちハルシャ家の者は皆短命なんだ。半神という人でも神でもない存在はいろいろと制約が多いんだ。死ぬ場所も時間も全ては神の意志で決まる。私の弟はカイの母であるフィオレーナをかばって死んだ。息絶える前に弟が言っていたんだ。『体が強制的に動いた』と。ハルシャ家の者で60才を超えて生きた者は3人しかいない。私は今年で60になる。おそらくそろそろ死ぬだろう。そうなる前に後悔しないように行動しようかと思ってな。」
…ハルシャ家で一番長生きした人でさえも64で亡くなったという。その話が本当ならお祖父様も長くはない。
そんなことを考えていると頭をポンポンと押された。
「そんな顔をするな。死にに行くわけではない。そうだ、聞いたか?ルシアンの結婚式が来年の夏休みに行われることになったんだ。」
「はやくないですか?兄さんもまだ18だし、殿下にいたっては16ですよね?」
「いや、俗に言う政略結婚の場合は生まれたすぐに婚約して、互いが16になった時に結婚するのが普通だ。この国では16になったら成人扱いになるからな。本当は、ルシアンにはもう少し早くできないかと言われたんだが、当主交代も重なるから断ったんだ。」
兄さん、、そんなに早く結婚したかったんだ…
「おっ、試合が終わったみたいだな。皆よく成長している。カイが卒業した年にBランクぐらいの実力にはなっていることだろう。」
「今はどれくらい?」
「そうだな、、今はCランクの真ん中ぐらいだ。…カイ、お前たちは何も気にせず自由に生きていいんだからな。」
そう言ってお祖父様はコウたちの場所まで歩いていった。
「…もとよりそのつもりだよ。」
そんな僕の言葉は誰にも聞かれることなく風の中に消えていったのだった。
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