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冬休み~消えることのないキズナ~
当主交代の儀
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ふーっとため息を吐く。朝早くに叩き起こされた上、動きにくく派手な衣装を着させられたのだ。ため息の一つや二つはきたくなるのも無理はないだろう。もう少し装飾品を少なくしてくれてもよかったのに…
当主交代の儀式は4つの公爵家の当主と国王夫妻や皇太子殿下とその婚約者など、高貴な人間がたくさん見守るなかで行われる。
まあそれは100歩譲って許せる。だが、ハルシャ家の血をひくものが多すぎるのは許せない。
勝手に向こうから来てくれるが、挨拶なんてそういくつもいくつもできるもんじゃない。
ほら、また今も…
「お初にお目にかかります、カイ様。デイブド・ハルシャと申します。こちらは妻のラナイヤと娘のリリファーナです。」
「ああ、貴殿とは初めてだったな。ハルシャ家の当主交代の儀式に出席してくださり感謝する。」
「いえいえ、ハルシャ家の者として当然のことでございます。…して、カイ様。婚約者はもうお決まりで?」
この流れは嫌な予感がするなぁ…
「いや、まだだが…」
「そうですか。では、私の自慢の娘であるリリファーナはどうでしょう?おしとやかで気立てのよい娘でございます。カイ様のお眼鏡にもかないましょう。」
ほら、きた。今日何回目だろ、この会話。
「残念ながら婚約者に関しては当主様に一任してある。そのため貴殿の申し出は受けれない。」
「そうですか…、それは残念です。それでは失礼いたします。」
そう言って口惜しそうに僕の側から離れていく。
「大変そうだね、カイ。」
そう言って近づいてくる誰かの影をとらえ、心の中でため息をつく。
「僕で暇を潰そうと思っているのであれば早急にお席にお戻りください、殿下。」
殿下はにっこりと微笑みながら僕の言葉を聞き流す。
「久しぶりだね。君が客の相手をしているということは、次期当主はクレイン殿かな?」
あってるけど今言うか?それ。
「それ、僕が答えると本気で思ってます?」
「いいや?それより、昔と同じ口調にしてくれないかな。どうもやりづらい。」
「格式は重んじた方がいいという僕なりの配慮だったんですけどね。殿下の方が一応身分は上ですし、あなたがよくても周りになんて言われるか分かったもんじゃないので遠慮しておきます。」
「…一応って、、それはそれで不敬な気が…」
「ていうか、殿下がハルシャ家の当主交代の儀式に出席する必要あります?国王夫妻だけで十分だと思いますが。…いや、そもそもこんなに集まる必要ないのでは?」
「世代が変わっても仲良くやっていきましょうというアピールをするためさ。まあハルシャ家に喧嘩を売るバカはそうそういないと思うけどね。」
「口ではなんとでも言えますけど、内心どう思っているのやら…。エステラ卿は来てそうそうお祖父様に起こってましたし…」
僕がそう言うと、後ろから肩をポンポンとたたかれた。
「エステラ卿はいつもそんな感じだからあまり気にすることはない。」
「兄さん??なんでここに?叔父様が側にいろって口酸っぱく言ってなかった?怒られるよ。」
「たとえそうであっても私が父上の言葉を守る義務はない。それに、今回は君の忘れ物を届けに来ただけだ。」
そう言って兄さんは手に持っていた緑色のブローチを僕の服に着けた。
「それ、僕のだったの?ずっとお祖父様が着けいていたからお祖父様のものだと思っていたんだけど…」
「これは予知眼の保持者だけが着けることができる特別製のブローチだ。これまではお祖父様がつけていたが、当主を降りるにいたってカイに譲ったものだ。お祖父様のように日常的にこれを着けていても構わない。国内であればだいぶ自由がきく。」
いやいや、、自由がきくどころか、この大きさの宝石を着けてたら間違いなく襲われると思うけど…
「久しぶりぶりだね、ルシアン殿。」
「ああ、話を遮ってしまい大変申し訳ない。」
…本当に悪いと思っているなら、もう少し申し訳なさそうな顔をした方がいいと思う。
そんなこんなで、儀式までの時間が過ぎていった。
♢
お祖父様が跪いている叔父様の首に剣を当てる。
「民のことを誰よりも考え、人を思いやる心を忘れてはならない。神の意思にそって汝の任務を遂行せよ。」
その言葉を発するお祖父様の瞳は金色だった。その美しさに誰もがはっと息をのむ。
「御意。」
叔父様がそう告げた瞬間、金色の光が祝福するように会場を包み込んだ。
あぁ、なぜか気分が悪い。まるでお祖父様が神に操られているようだ。
叔父様に剣が手渡され、儀式は終わりを告げた。
僕にこの奇妙な感覚を残して…
当主交代の儀式は4つの公爵家の当主と国王夫妻や皇太子殿下とその婚約者など、高貴な人間がたくさん見守るなかで行われる。
まあそれは100歩譲って許せる。だが、ハルシャ家の血をひくものが多すぎるのは許せない。
勝手に向こうから来てくれるが、挨拶なんてそういくつもいくつもできるもんじゃない。
ほら、また今も…
「お初にお目にかかります、カイ様。デイブド・ハルシャと申します。こちらは妻のラナイヤと娘のリリファーナです。」
「ああ、貴殿とは初めてだったな。ハルシャ家の当主交代の儀式に出席してくださり感謝する。」
「いえいえ、ハルシャ家の者として当然のことでございます。…して、カイ様。婚約者はもうお決まりで?」
この流れは嫌な予感がするなぁ…
「いや、まだだが…」
「そうですか。では、私の自慢の娘であるリリファーナはどうでしょう?おしとやかで気立てのよい娘でございます。カイ様のお眼鏡にもかないましょう。」
ほら、きた。今日何回目だろ、この会話。
「残念ながら婚約者に関しては当主様に一任してある。そのため貴殿の申し出は受けれない。」
「そうですか…、それは残念です。それでは失礼いたします。」
そう言って口惜しそうに僕の側から離れていく。
「大変そうだね、カイ。」
そう言って近づいてくる誰かの影をとらえ、心の中でため息をつく。
「僕で暇を潰そうと思っているのであれば早急にお席にお戻りください、殿下。」
殿下はにっこりと微笑みながら僕の言葉を聞き流す。
「久しぶりだね。君が客の相手をしているということは、次期当主はクレイン殿かな?」
あってるけど今言うか?それ。
「それ、僕が答えると本気で思ってます?」
「いいや?それより、昔と同じ口調にしてくれないかな。どうもやりづらい。」
「格式は重んじた方がいいという僕なりの配慮だったんですけどね。殿下の方が一応身分は上ですし、あなたがよくても周りになんて言われるか分かったもんじゃないので遠慮しておきます。」
「…一応って、、それはそれで不敬な気が…」
「ていうか、殿下がハルシャ家の当主交代の儀式に出席する必要あります?国王夫妻だけで十分だと思いますが。…いや、そもそもこんなに集まる必要ないのでは?」
「世代が変わっても仲良くやっていきましょうというアピールをするためさ。まあハルシャ家に喧嘩を売るバカはそうそういないと思うけどね。」
「口ではなんとでも言えますけど、内心どう思っているのやら…。エステラ卿は来てそうそうお祖父様に起こってましたし…」
僕がそう言うと、後ろから肩をポンポンとたたかれた。
「エステラ卿はいつもそんな感じだからあまり気にすることはない。」
「兄さん??なんでここに?叔父様が側にいろって口酸っぱく言ってなかった?怒られるよ。」
「たとえそうであっても私が父上の言葉を守る義務はない。それに、今回は君の忘れ物を届けに来ただけだ。」
そう言って兄さんは手に持っていた緑色のブローチを僕の服に着けた。
「それ、僕のだったの?ずっとお祖父様が着けいていたからお祖父様のものだと思っていたんだけど…」
「これは予知眼の保持者だけが着けることができる特別製のブローチだ。これまではお祖父様がつけていたが、当主を降りるにいたってカイに譲ったものだ。お祖父様のように日常的にこれを着けていても構わない。国内であればだいぶ自由がきく。」
いやいや、、自由がきくどころか、この大きさの宝石を着けてたら間違いなく襲われると思うけど…
「久しぶりぶりだね、ルシアン殿。」
「ああ、話を遮ってしまい大変申し訳ない。」
…本当に悪いと思っているなら、もう少し申し訳なさそうな顔をした方がいいと思う。
そんなこんなで、儀式までの時間が過ぎていった。
♢
お祖父様が跪いている叔父様の首に剣を当てる。
「民のことを誰よりも考え、人を思いやる心を忘れてはならない。神の意思にそって汝の任務を遂行せよ。」
その言葉を発するお祖父様の瞳は金色だった。その美しさに誰もがはっと息をのむ。
「御意。」
叔父様がそう告げた瞬間、金色の光が祝福するように会場を包み込んだ。
あぁ、なぜか気分が悪い。まるでお祖父様が神に操られているようだ。
叔父様に剣が手渡され、儀式は終わりを告げた。
僕にこの奇妙な感覚を残して…
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