異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明

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最後の夏休み~揺れる心~

小物盗賊団

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次の日
荷車で移動中

「ほんまにどっかに隠れてたらどうするん?10日以内に見つけへんかったら報酬ないどころか違約金発生するで。」

「まあいなかったらいなかったらでいいじゃん。盗賊退治の依頼って賭けみたいなものでしょ。盗賊が逃げたら違約金が発生するけど盗賊を仕留めることができたら報酬+指名手配犯がいたら賞金ももらえるっていう。犯罪者を識別する魔道具なんてないから指名手配されてなければ普通に町に入れるし、ギルド内に盗賊が入り込んでいないとは断定はできないけど、Cランクの依頼ってことは多分いるんじゃないかな。Bランク以上なら分からないけど。」

「なんでCランクならいるんだ?」

「そりゃあ小物だからだよ。Cランクの盗賊退治依頼に登場する盗賊って大体は5人~10人の小規模のぽっとで盗賊団。エレンとユウリが出会った盗賊たちはまあそれ以上だったからBランク相応だったんだろうけどね。つまりは大規模に群れて大きい商隊や貴族の馬車を狙うことよりも、少人数で小さい商団を狙う方を選んだ腰抜けの連中ってわけだ。」

「でも俺たちはただの旅商人だったんだぞ?大規模な盗賊にとっては美味しくないだろ。」

「君たちの瞳の色は何色かな?」

「紫だけどそれが?」

「紫の瞳は珍しいんだよ。この世には眼球愛好家なるものが存在するんだけど、そいつらに売りわたしたら何億リビアは夢じゃない。一人の少年から何億って合理的でしょ?だから…何か聞こえない?」

さっと皆が押し黙り周りの音に耳を傾ける。

微かに剣が交わる音が聞こえてくるな…交戦中か?

急に飛び出そうとしたエレンの服を掴んでグイッと引っ張る。

「はいはーい、ちょっと落ち着いつこうか。とりあえず音の聞こえる方角と距離を教えて。」

「ここから500mほど離れたあたりだ!速くいかないと!!」

「人数は?」

「敵か味方の区別はできないが10人はいる!」

「よしっ、とりあえず向かおう。レイン、頼んだよ。」

そう言ってレインにまたがり荷馬車を加速させる。

「見えた!」

商人らしき人が4人、護衛らしき人が2人。薬草を積んでいる荷馬車が二台、か。

敵は見えている限りだと7人。まあいけるか…

「エレン、行っていいよ。」

僕がそう告げるとすぐにエレンの気配がなくなった。

「イリアスはあの護衛っぽい人の傷を治してきて。ユウリは荷馬車の中から弓で応戦。コウはエレンの補助をよろしく。やりすぎる前に止めて。僕は商人のおじさんたちを守るから。ルーン、おいで!」

そう言ってレインの上から飛び降りる。

「そこ!固まって!守りにくいから!!」

僕に向かって放たれる弓矢は全て短剣で跳ね返す。

「そこの人、大丈夫?」

「ああ、君たちのおかげで助かった。」

こんなことを思ったら失礼かもしれないが、護衛のくせに随分と弱くないか??

「ルーン、奴らの足、かみちぎっても構わないよ。生きていれば足があろうがなかろうが入ってくるお金は変わらないから。」

「くぅーん」

なんか嫌そうな声だな…

「嫌ならいいよ。どうせエレンが見るも無残な姿にするだろうから。…あぁ…そういえば殺したらダメって言ってなかったかも。殺しちゃうかな?まっ、いっか…犯罪者だし。どうせ死刑のやつもたくさんいるでしょ。」

盗賊は殺しても罪にはならないって法律でも決まってるし大丈夫大丈夫。

「そんなセリフ誰に教わってん…」

パッと後ろを見ると呆れた顔をしたコウが血まみれで立っていた。

「誰って…うーん…誰だろ…兄さん?」

「…まああの人なら言いかねへんな。…ここは俺が守っとくからカイはあの逃げてるやつ捕まえてきてくれへん?俺やと追いつかへんと思うねん。」

「追いかける必要はないよ。フリッジ凍てつけ!」

自分の足の地面から伝って相手の足を凍り付かせる。

「くそっ、抜けねぇ…」

「無駄だよ。これは炎魔法を使っても簡単には解けないしね。そろそろエレンの方も…って、狂化つかったな、あれ。」

タッとエレンの方に駆け寄りふらついている体を支える。

「あんま使うなって言ってたじゃん。まったく…」

エレンを足元に寝ころばせ敵から守るように前に出る。

「相手が変わろうが関係ねぇ。俺様がガキに負けるわけねぇんだからなぁ!!」

大きい両手剣をぶんまわしながら向かってくるソイツに一瞬驚いて動きが止まる。

『お前に正面から突っかかってくるなんてバカな奴だ。』

本当にライの言うとおりだ。

「感情に任せて行動することは世界で7番目に愚かな行為だよ。…はぁ…隙がありすぎ…」

がらがらの脇腹に氷の刃をぶち込む。無詠唱のため相手は何が起こったのかも分からないだろう。

「ぐぁあああああ!!!ち”くしょうっ…」

最後の一人が気を失ったのを見てユウリが荷馬車から降りてくる。

「カイさん、この人達を殺すんですか?」

「いや、誰か分からない人間を誰か分からないまま殺すのはナンセンスでしょ?だから…あっ、そうだ。いいこと思いついた。コウ、生きてる人達全員木に括り付けてくれる?」

「ええけど…なにするん?」

「まあ見ときなって。…あっ、商人のおじさんたちは少し待っててね。」

コウが別々の木に盗賊をくくりつけている間、エレンの様子を見に行く。

「ケガはない?」

「ああ。イリアスが治してくれたからな。」

「今から面白いことするんだけど、協力してくれる?」

そう言って僕はニコリと笑ったのだった。
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