240 / 327
最後の夏休み~揺れる心~
小物盗賊団
しおりを挟む
次の日
荷車で移動中
「ほんまにどっかに隠れてたらどうするん?10日以内に見つけへんかったら報酬ないどころか違約金発生するで。」
「まあいなかったらいなかったらでいいじゃん。盗賊退治の依頼って賭けみたいなものでしょ。盗賊が逃げたら違約金が発生するけど盗賊を仕留めることができたら報酬+指名手配犯がいたら賞金ももらえるっていう。犯罪者を識別する魔道具なんてないから指名手配されてなければ普通に町に入れるし、ギルド内に盗賊が入り込んでいないとは断定はできないけど、Cランクの依頼ってことは多分いるんじゃないかな。Bランク以上なら分からないけど。」
「なんでCランクならいるんだ?」
「そりゃあ小物だからだよ。Cランクの盗賊退治依頼に登場する盗賊って大体は5人~10人の小規模のぽっとで盗賊団。エレンとユウリが出会った盗賊たちはまあそれ以上だったからBランク相応だったんだろうけどね。つまりは大規模に群れて大きい商隊や貴族の馬車を狙うことよりも、少人数で小さい商団を狙う方を選んだ腰抜けの連中ってわけだ。」
「でも俺たちはただの旅商人だったんだぞ?大規模な盗賊にとっては美味しくないだろ。」
「君たちの瞳の色は何色かな?」
「紫だけどそれが?」
「紫の瞳は珍しいんだよ。この世には眼球愛好家なるものが存在するんだけど、そいつらに売りわたしたら何億リビアは夢じゃない。一人の少年から何億って合理的でしょ?だから…何か聞こえない?」
さっと皆が押し黙り周りの音に耳を傾ける。
微かに剣が交わる音が聞こえてくるな…交戦中か?
急に飛び出そうとしたエレンの服を掴んでグイッと引っ張る。
「はいはーい、ちょっと落ち着いつこうか。とりあえず音の聞こえる方角と距離を教えて。」
「ここから500mほど離れたあたりだ!速くいかないと!!」
「人数は?」
「敵か味方の区別はできないが10人はいる!」
「よしっ、とりあえず向かおう。レイン、頼んだよ。」
そう言ってレインにまたがり荷馬車を加速させる。
「見えた!」
商人らしき人が4人、護衛らしき人が2人。薬草を積んでいる荷馬車が二台、か。
敵は見えている限りだと7人。まあいけるか…
「エレン、行っていいよ。」
僕がそう告げるとすぐにエレンの気配がなくなった。
「イリアスはあの護衛っぽい人の傷を治してきて。ユウリは荷馬車の中から弓で応戦。コウはエレンの補助をよろしく。やりすぎる前に止めて。僕は商人のおじさんたちを守るから。ルーン、おいで!」
そう言ってレインの上から飛び降りる。
「そこ!固まって!守りにくいから!!」
僕に向かって放たれる弓矢は全て短剣で跳ね返す。
「そこの人、大丈夫?」
「ああ、君たちのおかげで助かった。」
こんなことを思ったら失礼かもしれないが、護衛のくせに随分と弱くないか??
「ルーン、奴らの足、かみちぎっても構わないよ。生きていれば足があろうがなかろうが入ってくるお金は変わらないから。」
「くぅーん」
なんか嫌そうな声だな…
「嫌ならいいよ。どうせエレンが見るも無残な姿にするだろうから。…あぁ…そういえば殺したらダメって言ってなかったかも。殺しちゃうかな?まっ、いっか…犯罪者だし。どうせ死刑のやつもたくさんいるでしょ。」
盗賊は殺しても罪にはならないって法律でも決まってるし大丈夫大丈夫。
「そんなセリフ誰に教わってん…」
パッと後ろを見ると呆れた顔をしたコウが血まみれで立っていた。
「誰って…うーん…誰だろ…兄さん?」
「…まああの人なら言いかねへんな。…ここは俺が守っとくからカイはあの逃げてるやつ捕まえてきてくれへん?俺やと追いつかへんと思うねん。」
「追いかける必要はないよ。フリッジ!」
自分の足の地面から伝って相手の足を凍り付かせる。
「くそっ、抜けねぇ…」
「無駄だよ。これは炎魔法を使っても簡単には解けないしね。そろそろエレンの方も…って、狂化つかったな、あれ。」
タッとエレンの方に駆け寄りふらついている体を支える。
「あんま使うなって言ってたじゃん。まったく…」
エレンを足元に寝ころばせ敵から守るように前に出る。
「相手が変わろうが関係ねぇ。俺様がガキに負けるわけねぇんだからなぁ!!」
大きい両手剣をぶんまわしながら向かってくるソイツに一瞬驚いて動きが止まる。
『お前に正面から突っかかってくるなんてバカな奴だ。』
本当にライの言うとおりだ。
「感情に任せて行動することは世界で7番目に愚かな行為だよ。…はぁ…隙がありすぎ…」
がらがらの脇腹に氷の刃をぶち込む。無詠唱のため相手は何が起こったのかも分からないだろう。
「ぐぁあああああ!!!ち”くしょうっ…」
最後の一人が気を失ったのを見てユウリが荷馬車から降りてくる。
「カイさん、この人達を殺すんですか?」
「いや、誰か分からない人間を誰か分からないまま殺すのはナンセンスでしょ?だから…あっ、そうだ。いいこと思いついた。コウ、生きてる人達全員木に括り付けてくれる?」
「ええけど…なにするん?」
「まあ見ときなって。…あっ、商人のおじさんたちは少し待っててね。」
コウが別々の木に盗賊をくくりつけている間、エレンの様子を見に行く。
「ケガはない?」
「ああ。イリアスが治してくれたからな。」
「今から面白いことするんだけど、協力してくれる?」
そう言って僕はニコリと笑ったのだった。
荷車で移動中
「ほんまにどっかに隠れてたらどうするん?10日以内に見つけへんかったら報酬ないどころか違約金発生するで。」
「まあいなかったらいなかったらでいいじゃん。盗賊退治の依頼って賭けみたいなものでしょ。盗賊が逃げたら違約金が発生するけど盗賊を仕留めることができたら報酬+指名手配犯がいたら賞金ももらえるっていう。犯罪者を識別する魔道具なんてないから指名手配されてなければ普通に町に入れるし、ギルド内に盗賊が入り込んでいないとは断定はできないけど、Cランクの依頼ってことは多分いるんじゃないかな。Bランク以上なら分からないけど。」
「なんでCランクならいるんだ?」
「そりゃあ小物だからだよ。Cランクの盗賊退治依頼に登場する盗賊って大体は5人~10人の小規模のぽっとで盗賊団。エレンとユウリが出会った盗賊たちはまあそれ以上だったからBランク相応だったんだろうけどね。つまりは大規模に群れて大きい商隊や貴族の馬車を狙うことよりも、少人数で小さい商団を狙う方を選んだ腰抜けの連中ってわけだ。」
「でも俺たちはただの旅商人だったんだぞ?大規模な盗賊にとっては美味しくないだろ。」
「君たちの瞳の色は何色かな?」
「紫だけどそれが?」
「紫の瞳は珍しいんだよ。この世には眼球愛好家なるものが存在するんだけど、そいつらに売りわたしたら何億リビアは夢じゃない。一人の少年から何億って合理的でしょ?だから…何か聞こえない?」
さっと皆が押し黙り周りの音に耳を傾ける。
微かに剣が交わる音が聞こえてくるな…交戦中か?
急に飛び出そうとしたエレンの服を掴んでグイッと引っ張る。
「はいはーい、ちょっと落ち着いつこうか。とりあえず音の聞こえる方角と距離を教えて。」
「ここから500mほど離れたあたりだ!速くいかないと!!」
「人数は?」
「敵か味方の区別はできないが10人はいる!」
「よしっ、とりあえず向かおう。レイン、頼んだよ。」
そう言ってレインにまたがり荷馬車を加速させる。
「見えた!」
商人らしき人が4人、護衛らしき人が2人。薬草を積んでいる荷馬車が二台、か。
敵は見えている限りだと7人。まあいけるか…
「エレン、行っていいよ。」
僕がそう告げるとすぐにエレンの気配がなくなった。
「イリアスはあの護衛っぽい人の傷を治してきて。ユウリは荷馬車の中から弓で応戦。コウはエレンの補助をよろしく。やりすぎる前に止めて。僕は商人のおじさんたちを守るから。ルーン、おいで!」
そう言ってレインの上から飛び降りる。
「そこ!固まって!守りにくいから!!」
僕に向かって放たれる弓矢は全て短剣で跳ね返す。
「そこの人、大丈夫?」
「ああ、君たちのおかげで助かった。」
こんなことを思ったら失礼かもしれないが、護衛のくせに随分と弱くないか??
「ルーン、奴らの足、かみちぎっても構わないよ。生きていれば足があろうがなかろうが入ってくるお金は変わらないから。」
「くぅーん」
なんか嫌そうな声だな…
「嫌ならいいよ。どうせエレンが見るも無残な姿にするだろうから。…あぁ…そういえば殺したらダメって言ってなかったかも。殺しちゃうかな?まっ、いっか…犯罪者だし。どうせ死刑のやつもたくさんいるでしょ。」
盗賊は殺しても罪にはならないって法律でも決まってるし大丈夫大丈夫。
「そんなセリフ誰に教わってん…」
パッと後ろを見ると呆れた顔をしたコウが血まみれで立っていた。
「誰って…うーん…誰だろ…兄さん?」
「…まああの人なら言いかねへんな。…ここは俺が守っとくからカイはあの逃げてるやつ捕まえてきてくれへん?俺やと追いつかへんと思うねん。」
「追いかける必要はないよ。フリッジ!」
自分の足の地面から伝って相手の足を凍り付かせる。
「くそっ、抜けねぇ…」
「無駄だよ。これは炎魔法を使っても簡単には解けないしね。そろそろエレンの方も…って、狂化つかったな、あれ。」
タッとエレンの方に駆け寄りふらついている体を支える。
「あんま使うなって言ってたじゃん。まったく…」
エレンを足元に寝ころばせ敵から守るように前に出る。
「相手が変わろうが関係ねぇ。俺様がガキに負けるわけねぇんだからなぁ!!」
大きい両手剣をぶんまわしながら向かってくるソイツに一瞬驚いて動きが止まる。
『お前に正面から突っかかってくるなんてバカな奴だ。』
本当にライの言うとおりだ。
「感情に任せて行動することは世界で7番目に愚かな行為だよ。…はぁ…隙がありすぎ…」
がらがらの脇腹に氷の刃をぶち込む。無詠唱のため相手は何が起こったのかも分からないだろう。
「ぐぁあああああ!!!ち”くしょうっ…」
最後の一人が気を失ったのを見てユウリが荷馬車から降りてくる。
「カイさん、この人達を殺すんですか?」
「いや、誰か分からない人間を誰か分からないまま殺すのはナンセンスでしょ?だから…あっ、そうだ。いいこと思いついた。コウ、生きてる人達全員木に括り付けてくれる?」
「ええけど…なにするん?」
「まあ見ときなって。…あっ、商人のおじさんたちは少し待っててね。」
コウが別々の木に盗賊をくくりつけている間、エレンの様子を見に行く。
「ケガはない?」
「ああ。イリアスが治してくれたからな。」
「今から面白いことするんだけど、協力してくれる?」
そう言って僕はニコリと笑ったのだった。
2
あなたにおすすめの小説
パーティーの役立たずとして追放された魔力タンク、世界でただ一人の自動人形『ドール』使いになる
日之影ソラ
ファンタジー
「ラスト、今日でお前はクビだ」
冒険者パーティで魔力タンク兼雑用係をしていたラストは、ある日突然リーダーから追放を宣告されてしまった。追放の理由は戦闘で役に立たないから。戦闘中に『コネクト』スキルで仲間と繋がり、仲間たちに自信の魔力を分け与えていたのだが……。それしかやっていないことを責められ、戦える人間のほうがマシだと仲間たちから言い放たれてしまう。
一人になり途方にくれるラストだったが、そこへ行方不明だった冒険者の祖父から送り物が届いた。贈り物と一緒に入れられた手紙には一言。
「ラストよ。彼女たちはお前の力になってくれる。ドール使いとなり、使い熟してみせよ」
そう記され、大きな木箱の中に入っていたのは綺麗な少女だった。
これは無能と言われた一人の冒険者が、自動人形(ドール)と共に成り上がる物語。
7/25男性向けHOTランキング1位
異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~
小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ)
そこは、剣と魔法の世界だった。
2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。
新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・
気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
天才魔導医の弟子~転生ナースの戦場カルテ~
けろ
ファンタジー
【完結済み】
仕事に生きたベテランナース、異世界で10歳の少女に!?
過労で倒れた先に待っていたのは、魔法と剣、そして規格外の医療が交差する世界だった――。
救急救命の現場で十数年。ベテラン看護師の天木弓束(あまき ゆづか)は、人手不足と激務に心身をすり減らす毎日を送っていた。仕事に全てを捧げるあまり、プライベートは二の次。周囲からの期待もプレッシャーに感じながら、それでも人の命を救うことだけを使命としていた。
しかし、ある日、謎の少女を救えなかったショックで意識を失い、目覚めた場所は……中世ヨーロッパのような異世界の路地裏!? しかも、姿は10歳の少女に若返っていた。
記憶も曖昧なまま、絶望の淵に立たされた弓束。しかし、彼女が唯一失っていなかったもの――それは、現代日本で培った高度な医療知識と技術だった。
偶然出会った獣人冒険者の重度の骨折を、その知識で的確に応急処置したことで、弓束の運命は大きく動き出す。
彼女の異質な才能を見抜いたのは、誰もがその実力を認めながらも距離を置く、孤高の天才魔導医ギルベルトだった。
「お前、弟子になれ。俺の研究の、良い材料になりそうだ」
強引な天才に拾われた弓束は、魔法が存在するこの世界の「医療」が、自分の知るものとは全く違うことに驚愕する。
「菌?感染症?何の話だ?」
滅菌の概念すらない遅れた世界で、弓束の現代知識はまさにチート級!
しかし、そんな彼女の常識をさらに覆すのが、師ギルベルトの存在だった。彼が操る、生命の根幹『魔力回路』に干渉する神業のような治療魔法。その理論は、弓束が知る医学の歴史を遥かに超越していた。
規格外の弟子と、人外の師匠。
二人の出会いは、やがて異世界の医療を根底から覆し、多くの命を救う奇跡の始まりとなる。
これは、神のいない手術室で命と向き合い続けた一人の看護師が、新たな世界で自らの知識と魔法を武器に、再び「救う」ことの意味を見つけていく物語。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる