【完結】幼馴染みが勇者になり何故か俺は勇者の番になりました

赤牙

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25話:幼馴染みと魔王

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俺と魔王は何が起こったか分からず破壊された入り口に目を向ける。

入り口は煙で見えずらいがゆらゆらと歩いてくる人影が見える。
…それは俺が待ちわびた人だった。

「テオっ!」

俺の声にテオはこちらに目線を向ける。
裸に剥かれ魔王と繋がろうとしている俺の姿を確認すると同時に鬼のような形相に変わる。

「「ひぃっ!!」」

思わず俺と魔王はハモるように叫んでしまう。

「魔王様!早く逃げて下さい!今回の勇者は番様を諦めておりません!」

聞き覚えのある声が何処からか聞こえてくる。声のする方に目を向けるとテオの方だった。
テオの左手にはガルパス様の生首がぶら下がり魔王に逃げるようにとギャーギャー喚き散らしている。

な、なんでガルパス様の生首が喋ってるんだよぉ…

状況を理解できない俺が震えているとテオはガルパス様の首を投げ捨てこちらに向かってくる。


「よくも…僕の大事なシモンを…」

テオの威圧が増して俺まで巻き込まれる。
息苦しい…


「殺す…殺す…殺す…殺す…殺す…殺す…殺す…殺す…」


呪文のように『殺す』と呟きながらズリズリと大剣を引きずりこちらへ向かってくるテオを見て俺と魔王は恐怖で震える。

ってか魔王お前なんで俺と一緒に驚いたり震えたりしてんだよ!魔王なんだから勇者止めてこいよ!小声で「久しぶりの勇者やば…」とか俺に囁くな!このヘタレ魔王っっ!!


心の中で魔王に暴言を吐いているとドス黒い怒りの感情がじわじわと広がってくる。

うわ…これ…テオの…

『死ね…死ね…死ね…』


そんな感情が駆け巡り胸をギュッとしめつけられる。
あ…これダメ、な、や…っ…


「う…ゔァぁぁぁああああっっ」

テオの感情に呑まれた俺は奇声を発し怒りに任せ暴れ回る。その姿に魔王はギョっとし掴んでいた手が緩む。

「シモンっ!」

俺の異常な声に少し我を取り戻したのかテオが魔王を牽制しながら近づいてくる。

「魔王様!勇者をこれ以上怒らせると…この勇者の力は想像以上もう番様は諦めてくだされ!」

「ガルパス……私もそう思う。この勇者ヤバそうだし一旦引くぞ!」

魔王はそう言うと俺から離れていく。
俺の元へ辿り着いたテオは錯乱状態の俺を見て無意識に精神共有してしまっていた事に気付き共有を止めると俺は少し意識を取り戻す。

「…テオ」

テオに抱きかかえられると安心する…

「シモン…遅くなってごめんね」

眉をハの字に下げ半泣きの顔を見せるテオ。
なんでお前が泣きそうなんだよ…
優しく頬を撫でてやると、いつもの優しい顔をしたテオに戻る。


「魔王様…今のうちに…」

俺達が感動の再会を果たしている間に魔王はガルパス様の頭を拾い上げコソコソと逃げる準備をしていた。
テオはそれに気付いたのか俺をまたベッドへ寝かすと魔王とガルパス様の方へと向かって行く。

「おい。逃がさないぞ…お前魔王は絶対に殺す…」


テオが再度殺気を放つと魔王とガルパス様は慌てて準備していた魔法陣の中へと逃げ込む。

「今回は見逃してやるが次は絶対シモンを番にするからな!」

「ま、魔王様!そんなに煽ったら本当にられますぞ!」

「逃がさないって言ってるだろう!」

テオは大剣を魔王めがけ振り下ろすが、その前に魔法陣が眩く光り魔王とガルパス様は姿を消した。


「…逃げられてしまった」

ガックリと肩を落とすテオ。

魔王が倒せず悔しいんだな…そうだよな。俺達、魔王を倒す為にここまで来たんだもんな…

「テオ…そう気を落とすなって。とりあえず魔王は退けたんだから。お前は十分凄いよ」

魔王がいなくなったせいか体も動かせるようになり真っ裸の俺はシーツを巻き付けテオの元へと向かう。俺が近くに来ると嬉しそうにギュッと抱きしめてくれる。

テオの顔を見上げると碧眼の瞳と目が合う。
その瞳に吸い込まれるように顔を近づけていくとテオは優しく微笑み俺の頬を撫でる。

あぁ…やっぱり俺はテオの事が好きなんだ…


そう思いながら俺はテオと唇を重ねた。


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