悪役令息に転生したビッチは戦場の天使と呼ばれています。

赤牙

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【番外編】ダンジョン ③ 【ちょっとR】触手注意!

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 ダッチはミハルの足に絡みついた半透明の触手を恐れることもなく掴み、ミハルから引き剥がす。
 地面に打ち捨てられた触手は、ズッ……とまた地下に戻っていく。 
 ダッチに抱えられたミハルは、恐怖で過呼吸になり震えていた。

「ミハルさん、怪我は? どこか痛むところはありませんか?」
「だい、じょうぶで、す」

 震える声で返事をするミハル。
 ダッチはミハルを抱えたまま、腰に携えていた短剣を持ち表情を険しくする。

「こいつはやべーな……」

 ダッチの視線を追うように周りを見渡すと、地面から先ほどの触手が何本も出て皆を襲っていた。
 狭い洞窟の中、剣を大きく振るうこともできず、魔法も容易に使えない状況に苦戦している。
 触手は剣で斬っても、すぐに再生し再び襲いかかってくる。
 戦闘が長引けば不利になるのは目に見えている。
 ガリウスさんは、状況を判断し声を上げた。

「撤退するぞ!」

 その声に反応し、ノルンが風魔法を使い、逃げ道を確保する。
 風魔法で地面から襲いかかってくる触手を押さえつけると皆を誘導していく。

「アンジェロ様も早く!」
「は、はい!」

 ノルンに手を差し伸べられて、その手を掴もうとした時、天井から轟音が響く。
 土壁が崩れ落ち、それと一緒に半透明のゼリー状の生物が頭から足先まで俺の体を丸ごと包み込む。
 助けてと叫ぼうにも息ができない。
 ノルンは俺の手を掴み、必死に俺の体を引きずり出そうとするが、粘液で滑りうまく掴めない。

ーーノ、ルン……苦しい……助け、て……

 必死にもがきノルンの手を掴み助けを求める。
 ノルンも俺の名を何度も叫び助けようとしてくれるが、体は徐々に天井に引き上げられていく。

「ーークソッ! アンジェロ様、すぐに助けます!」

 ノルンがゼリー状の生物の中に入り込み俺を助けようとするが、触手が邪魔をしてノルンを引きずり出す。
 時間が経つにつれ、呼吸できず意識はだんだんと薄れていく。
 そして、指先の力がなくなりノルンの手を離すと、俺の体は天井に吸い込まれた。
 


 にゅちゅ……

 耳元で卑猥な粘液音が聞こえる。
 嫌な感触に目を薄らと開くと、青白い淡い光が目に入る。
 
ーーここ、どこだ……

 ぼんやりとする頭で考えていると、目の前に半透明の物体が横切る。
 その瞬間、先ほど起こった記憶が蘇り、恐怖でひゅっと喉がなった。
 バッと体を起こし目を見開き、あたりを見渡す。
 青白い光に包まれた場所は、土壁におおわれた洞窟内。
 そして、目の前には巨大なスライムが何本もの触手を動かしこちらの様子を伺っていた。
 一度、こんな場面を体験したことがある。
 ゴブリンにさらわれ、死を覚悟したあの時と同じ状況が再び訪れた。

ーーコイツは俺をどうする気なんだ……

 殺すのならば、体に取り込んだままにしておけば俺はあのまま窒息死していた。
 吐き出し俺をココに連れてきたのには、きっと理由があるはずだが……スライムにそんな知性があるのだろうか?

 警戒したままスライムと睨みあっていると、ぬるりと一本の触手が手に絡みついてくる。

「ひぁっ! な、なんだ!?」

 絡みつく触手を振り払おうと腕を振り回すが、触手はスルスルと俺の体を這い回る。
 そして一本、また一本と絡みつく触手の本数が増えてくる。
 触手は服の上を這い回り、シャツのボタンの隙間を見つけると中に入ってくる。
 冷たくぬるりとした感触に、全身に鳥肌が立つ。
 まさかの触手プレイ開始に、さすがの俺も抵抗する。

「や、やめろ! 出てけ!」

 シャツの中に入り込んだ触手に掴みかかると、腕に絡んだ触手が俺の腕を縛り上げる。
 痛みで顔を歪め、ジタバタしてみるが無駄な抵抗で触手は俺の体を確かめるように這いずりまわる。
 胸、背中、腹、そして下半身へ……
 にゅるにゅるとアソコの形を確かめるように絡みつき、最後は後孔をにゅくにゅくと先端が入り込もうとする。
 
「や、やめ……このバカ触手! んなとこ入ってくんな!」

 尻に力を入れ、罵倒しながら触手が入ってこないようにすると、諦めたのか下半身から離れる。
 ホッと一安心したのも束の間、今度は違う触手が頬を撫でて耳元へ。
 にゅちゅ……と、耳の中に入り込む触手。
 
「ひぃ……」

 気持ち悪さに体を強張らせ首をぶんぶんふるが、触手は先を細くして耳の中に。

「や、やめろ、やだ……やだ……」

 触手が入っちゃいけないところまで入っていく感覚に震えが止まらない。
 
ーー触手プレイの初っ端から脳姦かよっっ!!

 くだらないツッコミで現実逃避。
 頭の中は触手に入られたせいで、意識がぼんやりとしてくる。
 恐怖はどんどん無くなり、なんなら、うにうにとうごめく触手たちが可愛く見えてきた。
 って、いかん。触手に意識まで支配されてきている。
 触手に体を乗っ取られるものかと抵抗していると、触手の本体となるスライムがズヌヌと俺に近寄ってくる。
 今度は何をしてくるんだと身構えていると、スライムは伸びたり収縮して形を変える。
 そして、スライムの形は……高校時代に想いを寄せていた初恋の先輩の姿に変わっていた。
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