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連載
【本編番外編】 私のシャルル 〜Sideマリアンヌ〜
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舞踏会が終わった後に開かれるお茶会では皆が恋愛話に花を咲かせる。
どの殿方が素敵だった。
誰と何をした。
あの方から声をかけてもらった。
そして今回皆が注目し話題の中心となったのは、ウォールマン侯爵家のジェイド。
端正な顔立ちとそのクールな態度に令嬢達からはいつも黄色い声が上がっていた。
「ねぇ。マリアンヌは誰かいい人見つけた?」
「えぇ、まぁ……」
「え? 誰誰?」
「もしかして……ジェイド様!? やっと貴方もジェイド様の魅力に気が付いたのね!」
ジェイドに想いを寄せる友人達は捲し立てるように話してくるが『ジェイド』という名前を聞くだけで……私の心の中はモヤモヤしてしまう。
遡る事、舞踏会当日。
なかなか婚約の話が来ない私に痺れを切らした父は「舞踏会にでも行って相手を見つけて来い!」と、無茶な事を言ってくる。
もちろんエスコートしてくれる相手もいない私は憂鬱なまま舞踏会へと足を運んだ。
皆楽しそうにしている中、一人浮かない顔の自分。
そもそも結婚にあまり興味のない私はこういう場が苦手だった。
ダンスを踊るだけならいいのだけれど、私のペースに合わせてくれるような、しおらしい男性などいない。
負けず嫌いな性格と男勝りな性格が見事に合わさってくれたおかげで婚約が破談したこともある……。
父や母からは、もっと女らしく男性を優しく支えるような女性になりなさいと耳にタコができるほど聞かされた。
———それができたらとっくに結婚してるわよ!
私は、ため息をつきながら用意してあったシャンパンを手にいそいそと取り壁際へ向かう。
とりあえず、お酒でも飲んで頃合いを見計らって帰るとしましょう。
そう思いながら私は壁の花に徹する事に決めた。
それから数十分が経った。
煌く笑顔を振りまき踊るカップル。
初々しいダンスを見せるカップル。
今にも二人で抜け出しそうなくらい情熱的なカップル。
甘ったるい男女のやり取りを見ながら私はチビチビ飲んでいた酒を煽る。
— —はぁ……、ほんと、最っっ高の酒のつまみね。
心の中でぐちぐちと毒づいていると私の目の前に一人の男性が現れ、声をかけてくる。
「あの、よろしければ私と踊っていただけませんか?」
目の前に現れた男性は、柔らかな笑顔で私に微笑みかけ手を差し伸べてくる。
まさか自分に声をかけてくる人などいないと思っていたので、突然の出来事に戸惑いながら「よ、喜んで……」そう言って男性の手をとった。
男性に手を引かれホールへと立つと私の大好きな 曲が流れ始める。
まだ心臓はドキドキと鼓動を打ち鳴らし、触れられた手はなんだか熱い。
曲に合わせてステップを踏み、まるで私のダンスの癖を知っているようにピッタリと二人の呼吸は合っていた。
— —この人とってもダンスが上手!
強引なリードではなく包み込まれるような優しいリードが心地よく踊っていて本当に楽しかった。
時折、目が合えば優しく微笑まれ、その笑顔に私の心は鷲掴みされる。
曲が終わると自然に笑みが溢れ、男性も楽しそうに笑顔を見せてくれた。
楽しい時間はあっという間だった。
「あの、お名前を聞いてもよろしいですか?」
「私の名はシャルル・ウォールマンと申します」
シャルル様……名前まで素敵な殿方。
私は、シャルル様に一目惚れしてしまった。
シャルル様に見惚れてしまい、自分の自己紹介をしていない事に気付く。
私は慌てて名前を伝えるが緊張のあまり大きな声で名前を叫んでしまい、子供っぽい自分になんだか恥ずかしくなる。
「あの、またお会いできますか?」
「はい、また……」
シャルル様はニコリと笑顔を見せながらそう答えてくれた。
シャルル様と離れた後は、またシャンパン片手に壁の花に戻る。
— —はぁ……シャルル様って、ほんと素敵。
シャルル様と踊った余韻に浸りながら飲むシャンパンの味は格別だった。
それからは、もちろん誰にも声をかけられる事もなく時間は過ぎていく。
— —そろそろ帰ろうかしら。
そう思い、最後にシャルル様に挨拶してから帰ろうとホールを見渡すがシャルル様の姿は見えない。
どこだろう……? と、思いながら人気のないバルコニーへと向かった。
バルコニーを覗けばシャルル様の姿が見えたので声をかけようと踏み込んだ時……シャルル様は誰かとキスをしていた。
その光景に胸がズキリと痛む。
— —相手は……一体、誰……?
月明かりで照らされる二人を目を凝らして見つめる。
………ん? んんんっ?
は? え? えぇぇぇぇえ!?
シャルル様のキスの相手を見て、私は驚きのあまり思わず声を漏らしそうになる。
両手で口元を抑え必死に我慢する。
シャルル様がキスをしていた相手は……あの有名な『冷徹王子ジェイド』。
— —これは……どういう事なの!?
ただならぬ雰囲気の二人を陰でこっそりと見ていると、話しながらイチャイチャしていて……。
あ。またジェイドがキスしやがった。
そして、イチャイチャが終わると二人は寄り添うように帰って行く。
— —なんだったの? 二人は……恋人同士なの!?
二人を陰ながら見送り、疑問だけが残る。
心の中にモヤを渦巻かせながら、その日は大人しく屋敷へと帰って行った。
そして次の日。
『ジェイド様命っ!』と、断言している友人ロザリーの元を訪ね、ジェイドの恋人について情報収集に向かった。
「ねぇ、ロザリー。ジェイドの恋人って……男性なの?」
「ジェイド様ね! ジェイド様には恋人なんていないわよ! ましてや男性同士だなんて……そんな話があったら私……違う意味で興奮しちゃうわ!」
グヘヘと気味の悪い笑い声をあげながら笑みを溢すロザリーに、私は再度質問をする。
「じゃあ、シャルル・ウォールマンって知ってる?」
「シャルル様? それはジェイド様のお兄様よ」
「お、お兄様!?」
「まぁジェイド様は連れ子だから血は繋がっていないのだけれどね~」
まさか……義理とはいえ兄弟同士でキスしてたの? なんで? どうして??
「ねぇ……兄弟でキスってするものなの?」
「ん~どうだろう仲がいい兄弟はキスくらいするんじゃないの? え? 何? ジェイド様とシャルル様の組み合わせにハマっちゃったの~??」
隣でキャーキャーと訳の分からない事を言うロザリーは無視して、昨日のキスの場面を思い浮かべる。
確かに、最後のキスは軽い感じだった。
あれは家族に対するキスって事なのかしら?
けれど、ジェイドのあの顔は完全に恋する乙女って感じだったけれど……
結局、ハッキリとした答えは出ないもののシャルル様を諦めきれない私は思い切って手紙を書くことにした。
— —返事が来なかったらどうしよう。
シャルル様から返事が来るまでそんな事ばかり考えていたが、返事が来ると飛び跳ね舞い上る程に嬉しかった。
それから私とシャルル様は月に一度手紙をやり取りし合う仲になる。
シャルル様との手紙を楽しみにしている反面、その手紙の内容は半分以上が弟のジェイドとリエンの近況報告と、弟を想う兄の気持ちが綴られていた。
その内容を見る限りでは、ジェイドに対するシャルル様の気持ちは『大切な弟』という枠組みの中に収まっていると感じとれた。
やはりあの時の二人は、兄弟として親愛の気持ちでキスしてたんでしょうね、うんうん。
そんなこんなで領主の仕事で忙しいシャルル様と手紙のやり取りを始めて二年が経とうとした時……ついにシャルル様との初デートにこぎつけた。
初デートの前日は興奮のあまり眠れず、寝坊してしまうという定番をやってのけ、バタバタしながらシャルル様の元に向かった。
久しぶりに会うシャルル様はやっぱり素敵で優しくて、再度惚れ直してしまう。
それから街を巡りながら話をして楽しい時間を過ごす。
途中で、義弟達の事を聞いてみると案の定、惚気に近い弟自慢が始まる。
「ふふ。三人は本当に仲良しなのですね。手紙でもいつも義弟さん達の事ばかりですので……少し妬けてしまいます」
「はは。私にとって二人は……かけがえのない存在ですからね」
「まぁ……」
「妬けちゃいます♡」なんて、普段なら絶対に使わないフレーズを盛り込み、やきもち焼きな乙女の雰囲気で話かければ、どデカい弟愛を感じさせられる言葉で返され、私は地味にダメージを受ける。
— —くっ、シャルル様の弟達への愛は本物ね……
シャルル様の弟愛を痛感しながらデートを続け、あっという間に楽しい時間は過ぎていった。
そして、最後に辿り着いた街外れの教会。
綺麗な夕焼け空を眺めながら、シャルル様との楽しいデートを思い返す。
— —こんな場所でプロポーズなんてされたらイチコロね……
そんなあり得ない妄想を膨らませながらシャルル様に話しかける。
「今日は誘っていただきありがとうございました。とても楽しい時間を過ごすことができました」
「それはよかった。私ももとても楽しかったです」
夕焼けに照らされたシャルル様の顔は本当に綺麗で思わずウットリ見つめてしまう。
すると柔らかなシャルル様の表情が、パッと真剣なものに変わり思わずドキリとしてしまう。
「マリアンヌさん。これからも私と……」
えぇっ!?
な、何? なんなのこの雰囲気!?
もしかして……もしかして……もしかしちゃうの!?
まさかの展開に胸はドキドキと高鳴り私はシャルルの次の言葉を待つ。
「……良き友人でいてくれますか?」
ですよね。そうですよね。告白……ましてやプロポーズなんてあり得ませんよねー。
そんなに期待はしていなかったが、私は心の中で特大のため息を吐く。
すました顔で、「……えぇ。もちろんです、シャルル様」と、笑顔で答えた。
その後は馬車まで送ってもらい、去り際にまた手紙を送る事と、今日みたいに会いたいと伝える。
シャルル様は笑顔で「また会いましょう」と答えてくれた。
帰りの馬車では、初デートの反省会を頭の中で開く。
シャルル様と会った感じでは、現在いい感じの女性はいないようだ。
もう少し攻めて行動しなければいけなかったわね。
あぁ、でも女性からグイグイいったら引かれそうだから、これは要検討ね。
そして、何よりも攻略が大変なのはシャルル様の義弟愛よねぇ。
悪気なしに素で義弟達の惚気を言っちゃってるし……なんならキスする位の仲だし。
今のところ私にとって最大の敵はジェイド。
よし! 目標は打倒ジェイドねっ!!
私は馬車の中で拳を握りしめながらメラメラと対抗心を燃やし打倒ジェイドを誓った。
しかし、この時の私は、敵はジェイドだけだと思っていた。
ジェイドよりも狡猾であざとい小悪魔と出会うのは、もう少し先のことである。
どの殿方が素敵だった。
誰と何をした。
あの方から声をかけてもらった。
そして今回皆が注目し話題の中心となったのは、ウォールマン侯爵家のジェイド。
端正な顔立ちとそのクールな態度に令嬢達からはいつも黄色い声が上がっていた。
「ねぇ。マリアンヌは誰かいい人見つけた?」
「えぇ、まぁ……」
「え? 誰誰?」
「もしかして……ジェイド様!? やっと貴方もジェイド様の魅力に気が付いたのね!」
ジェイドに想いを寄せる友人達は捲し立てるように話してくるが『ジェイド』という名前を聞くだけで……私の心の中はモヤモヤしてしまう。
遡る事、舞踏会当日。
なかなか婚約の話が来ない私に痺れを切らした父は「舞踏会にでも行って相手を見つけて来い!」と、無茶な事を言ってくる。
もちろんエスコートしてくれる相手もいない私は憂鬱なまま舞踏会へと足を運んだ。
皆楽しそうにしている中、一人浮かない顔の自分。
そもそも結婚にあまり興味のない私はこういう場が苦手だった。
ダンスを踊るだけならいいのだけれど、私のペースに合わせてくれるような、しおらしい男性などいない。
負けず嫌いな性格と男勝りな性格が見事に合わさってくれたおかげで婚約が破談したこともある……。
父や母からは、もっと女らしく男性を優しく支えるような女性になりなさいと耳にタコができるほど聞かされた。
———それができたらとっくに結婚してるわよ!
私は、ため息をつきながら用意してあったシャンパンを手にいそいそと取り壁際へ向かう。
とりあえず、お酒でも飲んで頃合いを見計らって帰るとしましょう。
そう思いながら私は壁の花に徹する事に決めた。
それから数十分が経った。
煌く笑顔を振りまき踊るカップル。
初々しいダンスを見せるカップル。
今にも二人で抜け出しそうなくらい情熱的なカップル。
甘ったるい男女のやり取りを見ながら私はチビチビ飲んでいた酒を煽る。
— —はぁ……、ほんと、最っっ高の酒のつまみね。
心の中でぐちぐちと毒づいていると私の目の前に一人の男性が現れ、声をかけてくる。
「あの、よろしければ私と踊っていただけませんか?」
目の前に現れた男性は、柔らかな笑顔で私に微笑みかけ手を差し伸べてくる。
まさか自分に声をかけてくる人などいないと思っていたので、突然の出来事に戸惑いながら「よ、喜んで……」そう言って男性の手をとった。
男性に手を引かれホールへと立つと私の大好きな 曲が流れ始める。
まだ心臓はドキドキと鼓動を打ち鳴らし、触れられた手はなんだか熱い。
曲に合わせてステップを踏み、まるで私のダンスの癖を知っているようにピッタリと二人の呼吸は合っていた。
— —この人とってもダンスが上手!
強引なリードではなく包み込まれるような優しいリードが心地よく踊っていて本当に楽しかった。
時折、目が合えば優しく微笑まれ、その笑顔に私の心は鷲掴みされる。
曲が終わると自然に笑みが溢れ、男性も楽しそうに笑顔を見せてくれた。
楽しい時間はあっという間だった。
「あの、お名前を聞いてもよろしいですか?」
「私の名はシャルル・ウォールマンと申します」
シャルル様……名前まで素敵な殿方。
私は、シャルル様に一目惚れしてしまった。
シャルル様に見惚れてしまい、自分の自己紹介をしていない事に気付く。
私は慌てて名前を伝えるが緊張のあまり大きな声で名前を叫んでしまい、子供っぽい自分になんだか恥ずかしくなる。
「あの、またお会いできますか?」
「はい、また……」
シャルル様はニコリと笑顔を見せながらそう答えてくれた。
シャルル様と離れた後は、またシャンパン片手に壁の花に戻る。
— —はぁ……シャルル様って、ほんと素敵。
シャルル様と踊った余韻に浸りながら飲むシャンパンの味は格別だった。
それからは、もちろん誰にも声をかけられる事もなく時間は過ぎていく。
— —そろそろ帰ろうかしら。
そう思い、最後にシャルル様に挨拶してから帰ろうとホールを見渡すがシャルル様の姿は見えない。
どこだろう……? と、思いながら人気のないバルコニーへと向かった。
バルコニーを覗けばシャルル様の姿が見えたので声をかけようと踏み込んだ時……シャルル様は誰かとキスをしていた。
その光景に胸がズキリと痛む。
— —相手は……一体、誰……?
月明かりで照らされる二人を目を凝らして見つめる。
………ん? んんんっ?
は? え? えぇぇぇぇえ!?
シャルル様のキスの相手を見て、私は驚きのあまり思わず声を漏らしそうになる。
両手で口元を抑え必死に我慢する。
シャルル様がキスをしていた相手は……あの有名な『冷徹王子ジェイド』。
— —これは……どういう事なの!?
ただならぬ雰囲気の二人を陰でこっそりと見ていると、話しながらイチャイチャしていて……。
あ。またジェイドがキスしやがった。
そして、イチャイチャが終わると二人は寄り添うように帰って行く。
— —なんだったの? 二人は……恋人同士なの!?
二人を陰ながら見送り、疑問だけが残る。
心の中にモヤを渦巻かせながら、その日は大人しく屋敷へと帰って行った。
そして次の日。
『ジェイド様命っ!』と、断言している友人ロザリーの元を訪ね、ジェイドの恋人について情報収集に向かった。
「ねぇ、ロザリー。ジェイドの恋人って……男性なの?」
「ジェイド様ね! ジェイド様には恋人なんていないわよ! ましてや男性同士だなんて……そんな話があったら私……違う意味で興奮しちゃうわ!」
グヘヘと気味の悪い笑い声をあげながら笑みを溢すロザリーに、私は再度質問をする。
「じゃあ、シャルル・ウォールマンって知ってる?」
「シャルル様? それはジェイド様のお兄様よ」
「お、お兄様!?」
「まぁジェイド様は連れ子だから血は繋がっていないのだけれどね~」
まさか……義理とはいえ兄弟同士でキスしてたの? なんで? どうして??
「ねぇ……兄弟でキスってするものなの?」
「ん~どうだろう仲がいい兄弟はキスくらいするんじゃないの? え? 何? ジェイド様とシャルル様の組み合わせにハマっちゃったの~??」
隣でキャーキャーと訳の分からない事を言うロザリーは無視して、昨日のキスの場面を思い浮かべる。
確かに、最後のキスは軽い感じだった。
あれは家族に対するキスって事なのかしら?
けれど、ジェイドのあの顔は完全に恋する乙女って感じだったけれど……
結局、ハッキリとした答えは出ないもののシャルル様を諦めきれない私は思い切って手紙を書くことにした。
— —返事が来なかったらどうしよう。
シャルル様から返事が来るまでそんな事ばかり考えていたが、返事が来ると飛び跳ね舞い上る程に嬉しかった。
それから私とシャルル様は月に一度手紙をやり取りし合う仲になる。
シャルル様との手紙を楽しみにしている反面、その手紙の内容は半分以上が弟のジェイドとリエンの近況報告と、弟を想う兄の気持ちが綴られていた。
その内容を見る限りでは、ジェイドに対するシャルル様の気持ちは『大切な弟』という枠組みの中に収まっていると感じとれた。
やはりあの時の二人は、兄弟として親愛の気持ちでキスしてたんでしょうね、うんうん。
そんなこんなで領主の仕事で忙しいシャルル様と手紙のやり取りを始めて二年が経とうとした時……ついにシャルル様との初デートにこぎつけた。
初デートの前日は興奮のあまり眠れず、寝坊してしまうという定番をやってのけ、バタバタしながらシャルル様の元に向かった。
久しぶりに会うシャルル様はやっぱり素敵で優しくて、再度惚れ直してしまう。
それから街を巡りながら話をして楽しい時間を過ごす。
途中で、義弟達の事を聞いてみると案の定、惚気に近い弟自慢が始まる。
「ふふ。三人は本当に仲良しなのですね。手紙でもいつも義弟さん達の事ばかりですので……少し妬けてしまいます」
「はは。私にとって二人は……かけがえのない存在ですからね」
「まぁ……」
「妬けちゃいます♡」なんて、普段なら絶対に使わないフレーズを盛り込み、やきもち焼きな乙女の雰囲気で話かければ、どデカい弟愛を感じさせられる言葉で返され、私は地味にダメージを受ける。
— —くっ、シャルル様の弟達への愛は本物ね……
シャルル様の弟愛を痛感しながらデートを続け、あっという間に楽しい時間は過ぎていった。
そして、最後に辿り着いた街外れの教会。
綺麗な夕焼け空を眺めながら、シャルル様との楽しいデートを思い返す。
— —こんな場所でプロポーズなんてされたらイチコロね……
そんなあり得ない妄想を膨らませながらシャルル様に話しかける。
「今日は誘っていただきありがとうございました。とても楽しい時間を過ごすことができました」
「それはよかった。私ももとても楽しかったです」
夕焼けに照らされたシャルル様の顔は本当に綺麗で思わずウットリ見つめてしまう。
すると柔らかなシャルル様の表情が、パッと真剣なものに変わり思わずドキリとしてしまう。
「マリアンヌさん。これからも私と……」
えぇっ!?
な、何? なんなのこの雰囲気!?
もしかして……もしかして……もしかしちゃうの!?
まさかの展開に胸はドキドキと高鳴り私はシャルルの次の言葉を待つ。
「……良き友人でいてくれますか?」
ですよね。そうですよね。告白……ましてやプロポーズなんてあり得ませんよねー。
そんなに期待はしていなかったが、私は心の中で特大のため息を吐く。
すました顔で、「……えぇ。もちろんです、シャルル様」と、笑顔で答えた。
その後は馬車まで送ってもらい、去り際にまた手紙を送る事と、今日みたいに会いたいと伝える。
シャルル様は笑顔で「また会いましょう」と答えてくれた。
帰りの馬車では、初デートの反省会を頭の中で開く。
シャルル様と会った感じでは、現在いい感じの女性はいないようだ。
もう少し攻めて行動しなければいけなかったわね。
あぁ、でも女性からグイグイいったら引かれそうだから、これは要検討ね。
そして、何よりも攻略が大変なのはシャルル様の義弟愛よねぇ。
悪気なしに素で義弟達の惚気を言っちゃってるし……なんならキスする位の仲だし。
今のところ私にとって最大の敵はジェイド。
よし! 目標は打倒ジェイドねっ!!
私は馬車の中で拳を握りしめながらメラメラと対抗心を燃やし打倒ジェイドを誓った。
しかし、この時の私は、敵はジェイドだけだと思っていた。
ジェイドよりも狡猾であざとい小悪魔と出会うのは、もう少し先のことである。
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