嫌われ者の俺はやり直しの世界で義弟達にごまをする

赤牙

文字の大きさ
54 / 112
【番外編※不定期更新】〜嫌われ者の兄はやり直しの義弟達の愛玩人形になる〜

家族ごっこ ②

一度目は憂鬱で仕方なかった侯爵家へ向かう道のりも、今はとても穏やかな気持ちで迎えることができた。
リエンは母の膝の上に乗り、無邪気な笑顔を向けている。
母もその笑顔を見て、安心したような表情を浮かべていた。
思えば母には辛い思いばかりさせてしまった。
シャルル兄さんに虐められる弱い私達を助けようと、兄さんとの間に入ってくれる事もあった。
しかし、侯爵家の跡継ぎでもある兄さんに強い言葉は言えず、罵倒する言葉は母にも向けられた。
きっと兄さんは今回も同じように私たちを蔑み罵倒してくるだろう。
だが、今の私は兄さんの言葉を大人しく聞いてあげるような優しさは持ち合わせていない。
何も言わず耐え忍んでいた私たちが反抗的な態度をとった時、兄さんは一体どんな表情を見せてくれるのだろうか……。
そう考えただけで、自然と口元が綻んだ。


そして、懐かしいウォールマン家へと到着する。一度目と同じように父が出迎え、母は兄さんの姿が見えずに表情を曇らせる。
私とリエンは顔を見合わせると、小さくほくそ笑み屋敷の中へと入っていった。

屋敷の中を案内されれば、使用人たちがチラチラと私達を見てくる。
一度目では緊張し、使用人たちの視線など気にしてなどいられなかったが……今はこいつらも私たちを蔑んだ目で見ているのが分かる。
まぁ、使用人たちはいつでも処分できる。
今はシャルル兄さんとの感動の対面に集中しようじゃないか。

談話室へと通されると、父がシャルル兄さんを呼びに行く。それから暫くすると、会いたくてたまらなかったシャルル兄さんが不機嫌な顔をして部屋へ入ってくる。
そして、私たちを見るなり睨みつけ一度目と同じ言葉を私たちにぶつけてくる。

「侯爵家の地位目当ての卑しい子爵家出身の奴らと家族になんて……俺は絶対に嫌です」
「——ッ! シャルル! なんて事を言うんだ! 謝りなさい! 待ちなさいシャルル!」

シャルル兄さんは一度目と同じように私たちに敵意剥き出しの言葉をぶつけると部屋を出て行く。兄さんの視線、言葉が懐かしく私はふっと笑みを溢す。リエンも同じような表情を浮かべていた。

父と母はシャルル兄さんの言動に私達が傷ついたと思っており、必死に慰めてくれる。
リエンはわざとらしくシャルル兄さんを怖がる素振りを見せ、父に抱きつき同情をかっていた。
私も「兄さんに嫌われてしまったのでしょうか……」などと、心にもないことを呟く。
『かわいそうな義弟』を演じれば父が味方につくのは容易だった。
それからは少しずつ少しずつシャルル兄さんが孤立していくように私たちは動き始める。

父を味方につけたあと、シャルル兄さんを慕う使用人たちを一人ずつ排除していく。
一度目では、そいつらもシャルル兄さんと同じように私たちを蔑んできた。
幼いリエンは上手に気弱な性格の三男坊を演じ、使用人たちは調子に乗りリエンを虐め始める。
使用人とは思えない威圧的な態度や、侮辱をこめて『子爵様』と呼び始める者もいた。
リエンが何も言い返さないことをいいことに、エスカレートする使用人たちの行動。
傍観者だった者たちまでもが、リエンを虐めることに加担し始めたタイミングで、父にリエンを助けて欲しいと伝えた。
話を聞いた父は驚き信じられないといった表情を見せる。
だが、実際にリエンが罵倒される姿を見せれば、憤慨した様子で使用人たちを問い詰めていた。
青ざめる使用人たちと、悲しげに俯き肩を震わせるリエン。
泣いているようにみえるが、リエンは俯いたまま小さく笑みをこぼし、込み上げる笑いを必死に我慢していただけだった。
あっという間にシャルル兄さんの味方は数を減らしていき、使用人の半数は入れ替わった。
私たちにとって、住みやすい場所となった侯爵家。
だが、これで終わりじゃない。
次は……シャルル兄さんの番だ。

感想 513

あなたにおすすめの小説

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目

カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話