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本章
100話:運命のパレード ② 〜クリスSide〜
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~クリスSide~
今日は建国パレードか…。
私は憂鬱になりハァ…と、ため息をつく。
毎年行われる建国パレードは小さな頃から苦手だった。
こんな醜い顔と姿を晒す事が嫌で小さな頃は泣いてしまう時もあった。
しかし、これも王族の務めだと父から厳しい言葉をかけられた事もあった。
だが、いくつになってもパレードには慣れずその日が近づいてくると毎年憂鬱な気分だった。
軽めの朝食を済ませパレードの準備の為着替えの為に部屋に向かう途中声をかけられる。
「あの…兄上……」
声のする方へと顔を向けると弟のウィリアムが私を呼んでいた。
「どうしたウィリアム」
「いや…特には用はないんです。久しぶりに兄上を見かけたので声をかけたんです」
「そうか…。最近私も忙しく、なかなか顔を合わせられなかったからな…。そういえば、ウィリアム。婚約が決まったと聞いたが…」
「はい!そうなんです!」
ウィリアムは嬉しそうに顔を綻ばせ婚約の報告をしてくる。
ウィリアムの婚約者の相手はクラレンス公爵家の長男のフレイだと聞いている。見た目は私と同じように醜いと聞いていたが、ウィリアムはどうやらフレイの内面に惚れていたようだ。
「おめでとうウィリアム」
「ありがとうございます兄上」
こぼれるような笑顔を見せるウィリアムを見て私も自然と笑顔になり憂鬱な気分は少し薄らいだ。
✳︎
着替えを済ませパレード専用の乗り物へと乗り込むと、パレードの開始を知らせる空砲が鳴り響く。
見渡す限りの人…。
沿道の人々は楽しそうな笑顔でパレードを楽しんでいた。
王族である私達が通る時には一際歓声も大きくなる。
そして、皆の目線は自然と美しい弟に集まる。
醜い私とは対照的な弟。皆に好意を寄せられ無条件で愛され…愛しい者と互いに想いあう弟が羨ましい。
カオル……。
私は最愛の人の名前を心の中で呟く。
カオルがいなくなってから数ヶ月が経つがどんなに探してもカオルは見つからなかった。
次こそは本当にカオルかもしれない…。と、私の元にやってくるカオルと名乗る者達とも何度も何度も面会した。
だが、残念なことにカオルとは未だに会えていない。
もうこの国にはいないのか?
誰かに拐われてしまったのか?
もしかしたら…元の世界に戻ってしまったのか…?
いつもそんな事ばかり考えてしまい私の精神はすでに限界だった。
聞こえてくる観衆の声や目の前の風景を他人事のようにボーっと見つめている時だった。
「アールークーさーーーん!!」
ワーワーとざわめく観衆の声に混じって聞き覚えのある声が私の耳に入る。
声のした方を向けば二階建ての建物のバルコニーから身を乗り出して手を振る人。
「カ…オル……?」
その人は私の探していた愛しい人にとてもよく似ていた…。
確認しなければ…
早く顔を確認できる距離まで行きたいのに、私の気持ちとは裏腹にパレードの進むスピードは遅い。
ソワソワと落ち着きのない私を見て父は怪訝そうな顔をして咳払いをする。
一瞬、父へと目線を逸らし次にバルコニーへと目を向けるとカオルによく似た人の姿は消えていた。
ようやくバルコニー横へと近付き必死に探すがそこにカオルの姿はなかった。
しかし、あれは確かにカオルだった。
いや…絶対そうに違いない。
ドクドクと早くなる鼓動。
カオルがいた…カオルがいたんだ!
頭の中はカオルの事だけでいっぱいになりパレードが終わるまでの間はカオルの居場所を探しだす方法や、どう迎えに行くか…そんな事ばかりを考えていた。
カオル…。今迎えに行くからな…。
そして、もう二度と離さない。
クリスって誰だよ。と、思った方…。
1話~11話をご参照下さい…。
やっとこさクリスさん再登場。
今日は建国パレードか…。
私は憂鬱になりハァ…と、ため息をつく。
毎年行われる建国パレードは小さな頃から苦手だった。
こんな醜い顔と姿を晒す事が嫌で小さな頃は泣いてしまう時もあった。
しかし、これも王族の務めだと父から厳しい言葉をかけられた事もあった。
だが、いくつになってもパレードには慣れずその日が近づいてくると毎年憂鬱な気分だった。
軽めの朝食を済ませパレードの準備の為着替えの為に部屋に向かう途中声をかけられる。
「あの…兄上……」
声のする方へと顔を向けると弟のウィリアムが私を呼んでいた。
「どうしたウィリアム」
「いや…特には用はないんです。久しぶりに兄上を見かけたので声をかけたんです」
「そうか…。最近私も忙しく、なかなか顔を合わせられなかったからな…。そういえば、ウィリアム。婚約が決まったと聞いたが…」
「はい!そうなんです!」
ウィリアムは嬉しそうに顔を綻ばせ婚約の報告をしてくる。
ウィリアムの婚約者の相手はクラレンス公爵家の長男のフレイだと聞いている。見た目は私と同じように醜いと聞いていたが、ウィリアムはどうやらフレイの内面に惚れていたようだ。
「おめでとうウィリアム」
「ありがとうございます兄上」
こぼれるような笑顔を見せるウィリアムを見て私も自然と笑顔になり憂鬱な気分は少し薄らいだ。
✳︎
着替えを済ませパレード専用の乗り物へと乗り込むと、パレードの開始を知らせる空砲が鳴り響く。
見渡す限りの人…。
沿道の人々は楽しそうな笑顔でパレードを楽しんでいた。
王族である私達が通る時には一際歓声も大きくなる。
そして、皆の目線は自然と美しい弟に集まる。
醜い私とは対照的な弟。皆に好意を寄せられ無条件で愛され…愛しい者と互いに想いあう弟が羨ましい。
カオル……。
私は最愛の人の名前を心の中で呟く。
カオルがいなくなってから数ヶ月が経つがどんなに探してもカオルは見つからなかった。
次こそは本当にカオルかもしれない…。と、私の元にやってくるカオルと名乗る者達とも何度も何度も面会した。
だが、残念なことにカオルとは未だに会えていない。
もうこの国にはいないのか?
誰かに拐われてしまったのか?
もしかしたら…元の世界に戻ってしまったのか…?
いつもそんな事ばかり考えてしまい私の精神はすでに限界だった。
聞こえてくる観衆の声や目の前の風景を他人事のようにボーっと見つめている時だった。
「アールークーさーーーん!!」
ワーワーとざわめく観衆の声に混じって聞き覚えのある声が私の耳に入る。
声のした方を向けば二階建ての建物のバルコニーから身を乗り出して手を振る人。
「カ…オル……?」
その人は私の探していた愛しい人にとてもよく似ていた…。
確認しなければ…
早く顔を確認できる距離まで行きたいのに、私の気持ちとは裏腹にパレードの進むスピードは遅い。
ソワソワと落ち着きのない私を見て父は怪訝そうな顔をして咳払いをする。
一瞬、父へと目線を逸らし次にバルコニーへと目を向けるとカオルによく似た人の姿は消えていた。
ようやくバルコニー横へと近付き必死に探すがそこにカオルの姿はなかった。
しかし、あれは確かにカオルだった。
いや…絶対そうに違いない。
ドクドクと早くなる鼓動。
カオルがいた…カオルがいたんだ!
頭の中はカオルの事だけでいっぱいになりパレードが終わるまでの間はカオルの居場所を探しだす方法や、どう迎えに行くか…そんな事ばかりを考えていた。
カオル…。今迎えに行くからな…。
そして、もう二度と離さない。
クリスって誰だよ。と、思った方…。
1話~11話をご参照下さい…。
やっとこさクリスさん再登場。
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