18 / 55
第一章
18話〜ガイルSide〜
しおりを挟む
~ガイルSide~
「ハイル様は落ち着かれましたか…」
部屋のドアがそっと開くとゴードンが顔を覗かせる。
「あぁ…。疲れて眠ってしまったようだ」
私の腕の中で顔を涙で濡らし寝息を立てるハイルの顔は先程までとは違い穏やかだった。
部屋はハイルが投げつけてきた物で散乱し、引き抜かれた点滴が床を濡らす。
「服やシーツに血がついてしまいましたね…。後で綺麗にしておきますので」
「すまない。よろしく頼むよ」
ゴードンは散乱した部屋をテキパキと片付け始める。私は抱いていたハイルをそっとソファーへと寝かす。
『殺してくれ』
あの言葉はハイルの本心だ。
私達半獣人がこの子にしてきた罪の重さを感じる。
人が絶滅してからは二度とこのような事を繰り返さないように教えられてきた。
私もハイルと出会うまでは昔の事だからと同族が行った行為をどこか他人事のように思っていた。
確かに私はハイルのことを傷つけてはいない…。
だが、ハイルにしてみれば半獣人は皆同じに見えるのだろう…。
ソファーで眠るハイルに付き添っているとゴードンが声をかけてくる。
「ガイル様。服をお着替えになってはどうですか?」
「だが…」
「ハイル様が目覚めた時に、血に汚れた服では驚かれますよ。私が様子を見ておきますので」
改めて自分の服を見ると所々ハイルの血が付いていた。
確かにこんな状態ではハイルが驚いてしまうな…。
「そうだな…。着替えてくるよ…」
穏やかに眠るハイルの頭を撫でゴードンにハイルの事を頼み私はハイルの部屋を後にした。
✳︎
自室へと向かい着替えを済ませるとイザベラが部屋へ入ってくる。
「ハイルくんに話したのね…」
「あぁ…」
「辛い役目をあなたに任せてしまって…ごめんなさい…」
「いいんだよイザベラ。誰かがハイルに伝えないといけないのだから…」
苦悶の表情を浮かべるイザベラを大丈夫だと、そっと抱き寄せる。
抱き寄せた体は震え、鼻をすする音が聞こえる。
「私ったら…ダメね。一番辛いのはあの子なのに…。部屋の前であの子の言葉を聞いて…胸が張り裂けそうだった…。私達が、あの子の近くにいて本当にいいのかしら…」
「そうだね…。そのことについてはハイルが元気になってから一緒に考えよう。私もハイルの意思を尊重したい…」
イザベラは腕の中でコクコクと頷くと、「私が泣いてちゃダメね!」と、いつもの笑顔を見せてくれる。
そのまま二人でハイルの部屋へと向かうと、ゴードンにより部屋は綺麗にされ、ソファーに寝ていたハイルはベッドに戻っていた。
そして、マリオンが付き添いながらハイルの調子を見ている。
「マリオン。ハイルは大丈夫だろうか?とても興奮したいたから…それに血も…」
「うん。大丈夫よ。点滴が抜けた場所はすでに血は止まっているし、体調も大きな変化はないわ。今は疲れて眠っているだけよ」
「そうか…」
「今はそっとしてあげるのが一番ね…」
「そうだな」
それからしばらくしてハイルは目を覚ますが、誰とも目を合わせず食事も食べなくなってしまう。
そして次の日部屋を訪れると…そこにハイルの姿は無かった。
「ハイル様は落ち着かれましたか…」
部屋のドアがそっと開くとゴードンが顔を覗かせる。
「あぁ…。疲れて眠ってしまったようだ」
私の腕の中で顔を涙で濡らし寝息を立てるハイルの顔は先程までとは違い穏やかだった。
部屋はハイルが投げつけてきた物で散乱し、引き抜かれた点滴が床を濡らす。
「服やシーツに血がついてしまいましたね…。後で綺麗にしておきますので」
「すまない。よろしく頼むよ」
ゴードンは散乱した部屋をテキパキと片付け始める。私は抱いていたハイルをそっとソファーへと寝かす。
『殺してくれ』
あの言葉はハイルの本心だ。
私達半獣人がこの子にしてきた罪の重さを感じる。
人が絶滅してからは二度とこのような事を繰り返さないように教えられてきた。
私もハイルと出会うまでは昔の事だからと同族が行った行為をどこか他人事のように思っていた。
確かに私はハイルのことを傷つけてはいない…。
だが、ハイルにしてみれば半獣人は皆同じに見えるのだろう…。
ソファーで眠るハイルに付き添っているとゴードンが声をかけてくる。
「ガイル様。服をお着替えになってはどうですか?」
「だが…」
「ハイル様が目覚めた時に、血に汚れた服では驚かれますよ。私が様子を見ておきますので」
改めて自分の服を見ると所々ハイルの血が付いていた。
確かにこんな状態ではハイルが驚いてしまうな…。
「そうだな…。着替えてくるよ…」
穏やかに眠るハイルの頭を撫でゴードンにハイルの事を頼み私はハイルの部屋を後にした。
✳︎
自室へと向かい着替えを済ませるとイザベラが部屋へ入ってくる。
「ハイルくんに話したのね…」
「あぁ…」
「辛い役目をあなたに任せてしまって…ごめんなさい…」
「いいんだよイザベラ。誰かがハイルに伝えないといけないのだから…」
苦悶の表情を浮かべるイザベラを大丈夫だと、そっと抱き寄せる。
抱き寄せた体は震え、鼻をすする音が聞こえる。
「私ったら…ダメね。一番辛いのはあの子なのに…。部屋の前であの子の言葉を聞いて…胸が張り裂けそうだった…。私達が、あの子の近くにいて本当にいいのかしら…」
「そうだね…。そのことについてはハイルが元気になってから一緒に考えよう。私もハイルの意思を尊重したい…」
イザベラは腕の中でコクコクと頷くと、「私が泣いてちゃダメね!」と、いつもの笑顔を見せてくれる。
そのまま二人でハイルの部屋へと向かうと、ゴードンにより部屋は綺麗にされ、ソファーに寝ていたハイルはベッドに戻っていた。
そして、マリオンが付き添いながらハイルの調子を見ている。
「マリオン。ハイルは大丈夫だろうか?とても興奮したいたから…それに血も…」
「うん。大丈夫よ。点滴が抜けた場所はすでに血は止まっているし、体調も大きな変化はないわ。今は疲れて眠っているだけよ」
「そうか…」
「今はそっとしてあげるのが一番ね…」
「そうだな」
それからしばらくしてハイルは目を覚ますが、誰とも目を合わせず食事も食べなくなってしまう。
そして次の日部屋を訪れると…そこにハイルの姿は無かった。
28
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる