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本編
教科書でお勉強
昨晩のプレイにより、二人の心は安定し薬に頼ることなく一日を過ごすことができた。
二人とも週末の予定はなく、自然と一緒に過ごす雰囲気になり聖は丈太郎の家に連泊することしにした。
外はあいにくの雨のため、今日は部屋でまったりしようと丈太郎が提案すると聖も笑顔で頷いた。
着替えの服を持ってきていなかった聖は、丈太郎の部屋着を借りる。
身長差は十センチくらいなのだが、体格のいい丈太郎の服はやはり大きく、借りたパーカーに聖の体はすっぽりと包まれる。
スウェット生地のズボンも裾を何度か折り返すが、ぶかぶかでサイズの合わないお下がりをもらった子どものようだった。
そんな聖の姿を見て丈太郎は思わず『可愛いな~』なんて、口走りそうになったがどうにかこらえる。
きっと、そんなことを言えば聖は唇を尖らせてすねてしまうだろうと想像してしまう。
「丈太郎、何笑ってんの?」
「え? 俺、笑ってた?」
「うん」
「あー……まあ、その~……なんでもない」
「何その間。言えないってことは、僕のことなんでしょ」
ムイッと唇を尖らせる聖の表情が、あまりにも想像通りで丈太郎は声を出して笑ってしまう。
聖は「もー!」と、怒りながらもなんだか楽しそうな顔をしていた。
それから二人は、聖の持ってきたB級映画を見直しながらダラダラとソファーに寄りかかる。
昼はデリバリーでピザを注文して、コーラを飲みながら過ごす休日。
ゆっくりと時間は過ぎていき、聖と話をしている時に、丈太郎はふと大槻の言葉を思い出す。
ーーそうえば、お互いにどんなプレイがしたいのか話し合うって言ってたな……
聖とどんなプレイをしたいのかと丈太郎は考えるが……まだ、《お座り》と《いい子》くらいしかコマンドが使えない自分が要望を出すのもなと思い、丈太郎は聖に声をかける。
「なぁ、聖。いきなり変なこと聞くんだけどさ……聖はどんなプレイがしたい?」
突然プレイの話を問いかけられた聖は、目を瞬かせ丈太郎を見つめる。
そして、考え込み口を開く。
「んー……どうだろ、僕はプレイについてあまり考えたことないんだよね。一度目の時を思い出したくなくて、そういうのは考えないようにしてたから……」
「ご、ごめん! やなこと思い出させちゃったな……。今の言葉は気にしないでくれ!」
丈太郎は慌てて謝るが、聖は笑いかけてくる。
「でも、丈太郎となら一緒に考えていけるかも……。丈太郎はさ、どんなプレイがしたいの?」
「んー……俺は、聖が喜ぶプレイがいい。聖がほしいものをあげたいっていうか……」
丈太郎は大きな体をモジモジさせ、恥ずかしそうに本心を伝える。
そんな丈太郎の姿を見て、聖は胸の奥がくすぐったくなる。
「丈太郎って、他のDomとは少し違うよね。Domって、Subを見下したり、上に立ちたがる人が多いけど、丈太郎は僕の隣にいてくれる感じがする」
「俺、変わってるかな? 教科書にはDomはSubを守り慈しむものだって書いてあったから」
「へぇ~。あっちの国では、そんなこと書いてなかった気がする。やっぱり国で考え方が違うのかな?」
「どう、だろ……。教科書見る?」
「え? あるの?」
「うん。たまに読む」
聖は驚いた顔をするが、丈太郎らしいと嬉しそうにほほえむと、見せてほしいとねだる。
丈太郎は、本棚の隅に置かれた高校生向けの二次性の教科書を手に取ると聖に渡す。
使い込まれた二次性についてかかれた教科書には、子どもにも理解できるようにDomとSubについて分かりやすく書いてある。
聖はペラペラとページをめくり、Domのページを開くと丈太郎が指差す。
「ほら、ここに書いてあるだろ? DomはSubを支配するのではなく守り慈しむものだって」
ピンク色の蛍光ペンで引かれたその言葉を聖は指先でなぞると、心の奥底があたたかくなるのを感じた。
「ほんとだね」
「ネットとかでDomとSubの関係性を調べても、色々書いてあるし、なんてゆーかしっくりくなくてさ。結局は、教科書に書いてあることが正しいのかなって」
屈託のない笑顔で笑う丈太郎を見て、聖も目を細める。
「じゃあさ、教科書通りにプレイやってみない?」
「え? うん、いいけど」
聖の提案に、丈太郎は頷く。
聖は教科書をめくり『基本のプレイ』の項目を開く。
教科書には、Subの基本姿勢となる《お座り》のコマンドが書いてあった。
そして、その次に書いてあったコマンドは《おいで》。
二人して教科書を見つめ、互いに《おいで》をする妄想を繰り広げる。
「……このコマンドを言う場面って、どんな時なんだ?」
「ん~。少し離れた場所から呼ぶ時とか?」
「じゃあ、お座りのコマンド言ったら、俺は少し離れて聖を呼んだらいいのか?」
首を傾げながら真剣に考える丈太郎を見て、聖は思わず吹き出す。
「ハハ、そうなると僕って丈太郎のペットみたいだね」
「ペット!? いや、そういうつもりじゃなくて……」
「気にしなくていいよ、丈太郎。僕は丈太郎のお願いだったら、喜んで丈太郎のところにいくからさ」
微笑む聖の表情に、丈太郎は顔を真っ赤に染めてしまう。
そして、聖に《おいで》と言った時のことを想像すると、心の奥にくすぶる丈太郎の性が騒めいた。
二人とも週末の予定はなく、自然と一緒に過ごす雰囲気になり聖は丈太郎の家に連泊することしにした。
外はあいにくの雨のため、今日は部屋でまったりしようと丈太郎が提案すると聖も笑顔で頷いた。
着替えの服を持ってきていなかった聖は、丈太郎の部屋着を借りる。
身長差は十センチくらいなのだが、体格のいい丈太郎の服はやはり大きく、借りたパーカーに聖の体はすっぽりと包まれる。
スウェット生地のズボンも裾を何度か折り返すが、ぶかぶかでサイズの合わないお下がりをもらった子どものようだった。
そんな聖の姿を見て丈太郎は思わず『可愛いな~』なんて、口走りそうになったがどうにかこらえる。
きっと、そんなことを言えば聖は唇を尖らせてすねてしまうだろうと想像してしまう。
「丈太郎、何笑ってんの?」
「え? 俺、笑ってた?」
「うん」
「あー……まあ、その~……なんでもない」
「何その間。言えないってことは、僕のことなんでしょ」
ムイッと唇を尖らせる聖の表情が、あまりにも想像通りで丈太郎は声を出して笑ってしまう。
聖は「もー!」と、怒りながらもなんだか楽しそうな顔をしていた。
それから二人は、聖の持ってきたB級映画を見直しながらダラダラとソファーに寄りかかる。
昼はデリバリーでピザを注文して、コーラを飲みながら過ごす休日。
ゆっくりと時間は過ぎていき、聖と話をしている時に、丈太郎はふと大槻の言葉を思い出す。
ーーそうえば、お互いにどんなプレイがしたいのか話し合うって言ってたな……
聖とどんなプレイをしたいのかと丈太郎は考えるが……まだ、《お座り》と《いい子》くらいしかコマンドが使えない自分が要望を出すのもなと思い、丈太郎は聖に声をかける。
「なぁ、聖。いきなり変なこと聞くんだけどさ……聖はどんなプレイがしたい?」
突然プレイの話を問いかけられた聖は、目を瞬かせ丈太郎を見つめる。
そして、考え込み口を開く。
「んー……どうだろ、僕はプレイについてあまり考えたことないんだよね。一度目の時を思い出したくなくて、そういうのは考えないようにしてたから……」
「ご、ごめん! やなこと思い出させちゃったな……。今の言葉は気にしないでくれ!」
丈太郎は慌てて謝るが、聖は笑いかけてくる。
「でも、丈太郎となら一緒に考えていけるかも……。丈太郎はさ、どんなプレイがしたいの?」
「んー……俺は、聖が喜ぶプレイがいい。聖がほしいものをあげたいっていうか……」
丈太郎は大きな体をモジモジさせ、恥ずかしそうに本心を伝える。
そんな丈太郎の姿を見て、聖は胸の奥がくすぐったくなる。
「丈太郎って、他のDomとは少し違うよね。Domって、Subを見下したり、上に立ちたがる人が多いけど、丈太郎は僕の隣にいてくれる感じがする」
「俺、変わってるかな? 教科書にはDomはSubを守り慈しむものだって書いてあったから」
「へぇ~。あっちの国では、そんなこと書いてなかった気がする。やっぱり国で考え方が違うのかな?」
「どう、だろ……。教科書見る?」
「え? あるの?」
「うん。たまに読む」
聖は驚いた顔をするが、丈太郎らしいと嬉しそうにほほえむと、見せてほしいとねだる。
丈太郎は、本棚の隅に置かれた高校生向けの二次性の教科書を手に取ると聖に渡す。
使い込まれた二次性についてかかれた教科書には、子どもにも理解できるようにDomとSubについて分かりやすく書いてある。
聖はペラペラとページをめくり、Domのページを開くと丈太郎が指差す。
「ほら、ここに書いてあるだろ? DomはSubを支配するのではなく守り慈しむものだって」
ピンク色の蛍光ペンで引かれたその言葉を聖は指先でなぞると、心の奥底があたたかくなるのを感じた。
「ほんとだね」
「ネットとかでDomとSubの関係性を調べても、色々書いてあるし、なんてゆーかしっくりくなくてさ。結局は、教科書に書いてあることが正しいのかなって」
屈託のない笑顔で笑う丈太郎を見て、聖も目を細める。
「じゃあさ、教科書通りにプレイやってみない?」
「え? うん、いいけど」
聖の提案に、丈太郎は頷く。
聖は教科書をめくり『基本のプレイ』の項目を開く。
教科書には、Subの基本姿勢となる《お座り》のコマンドが書いてあった。
そして、その次に書いてあったコマンドは《おいで》。
二人して教科書を見つめ、互いに《おいで》をする妄想を繰り広げる。
「……このコマンドを言う場面って、どんな時なんだ?」
「ん~。少し離れた場所から呼ぶ時とか?」
「じゃあ、お座りのコマンド言ったら、俺は少し離れて聖を呼んだらいいのか?」
首を傾げながら真剣に考える丈太郎を見て、聖は思わず吹き出す。
「ハハ、そうなると僕って丈太郎のペットみたいだね」
「ペット!? いや、そういうつもりじゃなくて……」
「気にしなくていいよ、丈太郎。僕は丈太郎のお願いだったら、喜んで丈太郎のところにいくからさ」
微笑む聖の表情に、丈太郎は顔を真っ赤に染めてしまう。
そして、聖に《おいで》と言った時のことを想像すると、心の奥にくすぶる丈太郎の性が騒めいた。
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