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1章
子犬と薬草
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小屋に連れ帰った子犬についた血と自分の手を洗い流して、まだ血を流している子犬は、あの猿に噛まれたのだと思う。
丸い穴が背中に四つ開いていて、そこから血が出ていた。
傷薬なんて無いし、獣医さんも居ないから、私に出来たのは布で作った包帯を巻いてあげることぐらいで、ミルクも無いから水をお皿に用意してあげる事だけだ。
歯もちゃんとあるから子犬と言っても、もう柔らかい物は食べれる時期の子だと思う。
木箱にタオルを敷いて、子犬をそこへ寝かせて様子を見る。
ずっとハッハッハッと短く息を繰り返していて、危ない状態かもしれない。
「ゲッちゃん、傷薬とか無いかな?」
「ゲーキョ?」
「分かんない? この子を治してあげたいんだけど、ゲッちゃん薬草とかある場所知らない?」
「ゲーキョキョ」
バサッとゲッちゃんが飛んで、私の前を飛び始め、私は慌ててリュックサックとナイフを手にドアを開けてゲッちゃんと外に出る。
傷薬は完成品でゲッちゃんには解らないけど、薬草という自然に生えている物ならゲッちゃんは判るのだろう。
私の前をゲッちゃんが飛び、たまに後ろを向いてくれるから、さっきみたいな怖い事は無いと思う。
ゲッちゃんと二人でやってきたのは魚釣りで来る川の近くで、ゲッちゃんが黄色い花の咲いている草花を口に咥えて引っ張る。
「ゲッちゃん、薬草はコレ?」
「ゲキョ!」
「わかった。摘んじゃおう」
生えている黄色い草花をナイフで両手に持てるだけ刈り取って、ゲッちゃんが「帰ろう」と小屋に向かって飛び始めたのを追い駆けて、小屋に帰った。
小屋に帰ってから、キノコの載っていた本で草の種類を調べて、「モギア草」という物だという事がわかった。
よくすり潰して粘り気が出るまでこねて、傷口に塗って、その上に清潔な布と包帯を巻くと良いと、記載されていた。
外で石を拾ってきて、水で洗ってから草を叩き潰して何度も繰り返していると、ぬばーっと粘り気が出てきて、お皿に入れてから布をハサミで切って、子犬の包帯を一度取り外して傷口に草をベタベタと塗って、布を当ててから包帯でまた巻き直した。
塗ってる間、子犬は「キャイン」と小さく鳴いたけど、後は大人しくて、またハッハッと息を繰り返していた。
「元気になるといいんだけど……」
「ゲーキョ」
子犬が心配なのもあって、今日は大人しく文字の勉強の日にした。
本で文字を探しながら、子犬の様子を見て、たまに黄色い猿の事を思い出しては手に残った猿のザクザクした手触りの悪い毛並みが手に蘇って、少し泣きそうになっていた。
動物好きなのに、必死だったとはいえ動物を殺してしまった事は私の中でダメージが大きかった。
でも、ゲッちゃんと白い子犬を助けてあげられたのは良かったと思う。
子犬はどうなるか分からないけど、もし助かったら名前を付けてあげよう。
「ゲキョキョ」
ゲッちゃんが甘えるように手に擦り寄って来て、私を慰めてくれているのかな? と、勝手にそう思ってゲッちゃんの頭を手で良い子良い子と撫でる。
「あ、そういえば、パルシーム鳥の塩も用意しないとだ」
最近忙しくて、塩はハーブソルトに頼りっきりだったけど、冬前に塩もちゃんと確保しておこう。
ガラス瓶からパルシーム鳥用に採っておいた木の実を出して、お風呂場の外にガラス瓶と一緒に置いておいた。
今回はケチらずにガラス瓶と同じくらいの量の木の実を用意した。
明日にはお塩がたっぷり手に入ると良いな。
勉強をしつつ、本でたまに私のサバイバル生活に役立ちそうなページには折り目を付けておく。私が探し求めているエバーナの実の近くには、ビルズという芋が生えていることが多いという。
『ビルズは焼いても煮ても美味しい。ワインと肉とビルズがあれば最高だ』と、本には書かれていて、明日はゲッちゃんにお芋を探してと言えば探してくれるかもしれない。
いつも、エバーナの実を探す時は、エバーナの実とか甘い実って、曖昧なことしか言わなかったけど、芋と言えば、ゲッちゃんにも分かるかもしれない。
「フゥーン」
「あっ、子犬起きたかな?」
木箱の中を覗くと、子犬は寝ていた。
ただの寝言だったみたい。ハッハッと息苦しそうな息では無くなったから、薬草の効果はあったんだろうか?
早く元気になってくれたら嬉しいなぁ。
そしたら思う存分、モフモフの毛を触りまくって、この飢えたモフ毛ロスから解放されたい。
ゲッちゃんの胸の毛というか羽? もフワフワで良いんだけど、やっぱりモフモフのワンコの毛が一番愛おしい!!
最近は紳士さんが『まだ見ぬ君』さんに贈ったケープのファー部分を触るのが日課になってるぐらい飢えてる。
あのファーの銀のサラサラ感の素晴らしいこと……ッ!!
もし紳士さんに会えたら、あのファーは何の動物の毛なのか教えてもらいたいくらいだ。
きっと素晴らしいモフモフの毛をした動物に違いない。
丸い穴が背中に四つ開いていて、そこから血が出ていた。
傷薬なんて無いし、獣医さんも居ないから、私に出来たのは布で作った包帯を巻いてあげることぐらいで、ミルクも無いから水をお皿に用意してあげる事だけだ。
歯もちゃんとあるから子犬と言っても、もう柔らかい物は食べれる時期の子だと思う。
木箱にタオルを敷いて、子犬をそこへ寝かせて様子を見る。
ずっとハッハッハッと短く息を繰り返していて、危ない状態かもしれない。
「ゲッちゃん、傷薬とか無いかな?」
「ゲーキョ?」
「分かんない? この子を治してあげたいんだけど、ゲッちゃん薬草とかある場所知らない?」
「ゲーキョキョ」
バサッとゲッちゃんが飛んで、私の前を飛び始め、私は慌ててリュックサックとナイフを手にドアを開けてゲッちゃんと外に出る。
傷薬は完成品でゲッちゃんには解らないけど、薬草という自然に生えている物ならゲッちゃんは判るのだろう。
私の前をゲッちゃんが飛び、たまに後ろを向いてくれるから、さっきみたいな怖い事は無いと思う。
ゲッちゃんと二人でやってきたのは魚釣りで来る川の近くで、ゲッちゃんが黄色い花の咲いている草花を口に咥えて引っ張る。
「ゲッちゃん、薬草はコレ?」
「ゲキョ!」
「わかった。摘んじゃおう」
生えている黄色い草花をナイフで両手に持てるだけ刈り取って、ゲッちゃんが「帰ろう」と小屋に向かって飛び始めたのを追い駆けて、小屋に帰った。
小屋に帰ってから、キノコの載っていた本で草の種類を調べて、「モギア草」という物だという事がわかった。
よくすり潰して粘り気が出るまでこねて、傷口に塗って、その上に清潔な布と包帯を巻くと良いと、記載されていた。
外で石を拾ってきて、水で洗ってから草を叩き潰して何度も繰り返していると、ぬばーっと粘り気が出てきて、お皿に入れてから布をハサミで切って、子犬の包帯を一度取り外して傷口に草をベタベタと塗って、布を当ててから包帯でまた巻き直した。
塗ってる間、子犬は「キャイン」と小さく鳴いたけど、後は大人しくて、またハッハッと息を繰り返していた。
「元気になるといいんだけど……」
「ゲーキョ」
子犬が心配なのもあって、今日は大人しく文字の勉強の日にした。
本で文字を探しながら、子犬の様子を見て、たまに黄色い猿の事を思い出しては手に残った猿のザクザクした手触りの悪い毛並みが手に蘇って、少し泣きそうになっていた。
動物好きなのに、必死だったとはいえ動物を殺してしまった事は私の中でダメージが大きかった。
でも、ゲッちゃんと白い子犬を助けてあげられたのは良かったと思う。
子犬はどうなるか分からないけど、もし助かったら名前を付けてあげよう。
「ゲキョキョ」
ゲッちゃんが甘えるように手に擦り寄って来て、私を慰めてくれているのかな? と、勝手にそう思ってゲッちゃんの頭を手で良い子良い子と撫でる。
「あ、そういえば、パルシーム鳥の塩も用意しないとだ」
最近忙しくて、塩はハーブソルトに頼りっきりだったけど、冬前に塩もちゃんと確保しておこう。
ガラス瓶からパルシーム鳥用に採っておいた木の実を出して、お風呂場の外にガラス瓶と一緒に置いておいた。
今回はケチらずにガラス瓶と同じくらいの量の木の実を用意した。
明日にはお塩がたっぷり手に入ると良いな。
勉強をしつつ、本でたまに私のサバイバル生活に役立ちそうなページには折り目を付けておく。私が探し求めているエバーナの実の近くには、ビルズという芋が生えていることが多いという。
『ビルズは焼いても煮ても美味しい。ワインと肉とビルズがあれば最高だ』と、本には書かれていて、明日はゲッちゃんにお芋を探してと言えば探してくれるかもしれない。
いつも、エバーナの実を探す時は、エバーナの実とか甘い実って、曖昧なことしか言わなかったけど、芋と言えば、ゲッちゃんにも分かるかもしれない。
「フゥーン」
「あっ、子犬起きたかな?」
木箱の中を覗くと、子犬は寝ていた。
ただの寝言だったみたい。ハッハッと息苦しそうな息では無くなったから、薬草の効果はあったんだろうか?
早く元気になってくれたら嬉しいなぁ。
そしたら思う存分、モフモフの毛を触りまくって、この飢えたモフ毛ロスから解放されたい。
ゲッちゃんの胸の毛というか羽? もフワフワで良いんだけど、やっぱりモフモフのワンコの毛が一番愛おしい!!
最近は紳士さんが『まだ見ぬ君』さんに贈ったケープのファー部分を触るのが日課になってるぐらい飢えてる。
あのファーの銀のサラサラ感の素晴らしいこと……ッ!!
もし紳士さんに会えたら、あのファーは何の動物の毛なのか教えてもらいたいくらいだ。
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