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1章
ゼキキノコ
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秋になって紅葉を楽しむ……わけもなく、冬越えが迫ってる~っと、ひたすら狩りとキノコ採取に余念のない異世界に来て二回目の秋。
「ふおぉぉ~っ! やったー! 採ったー!」
「ゲキョーッ!!」
「駄目! これは私のー! ゲッちゃんはお腹いっぱいでしょ! だから、私のー!」
「ゲキョキョ!!」
醜いキノコの取り合いをしつつ、今年はゲットしました!
『ゲンソウキノコ』を山盛りゲットー!!
ゲッちゃんには、このキノコ狩りの前に、夏に採っておいた木の実と果物をいっぱいあげておいたんだ。
私の頭脳戦は、夏には始まっていたのだよ、ゲッちゃん!
このキノコでウィリアムさんに美味しいキノコ料理を振る舞ってもらうんだ~。
ふっふっふっ。
「ゲキョーキョ―!」
「痛い~っ、ゲッちゃん、髪の毛突き回すのやーめーてー!」
バサバサと羽を広げて攻撃してくる食いしん坊な鳥が、聖鳥って絶対嘘だー!!
森の中を歩き回って、ゼキキノコも今年は豊作でね。他のキノコもなんだけど、大量に採れたから、イクシオンには森から出ない様に言われていたんだけど、届けに行こうかなー?
だって、ガラス容器は既にお肉と果物とお野菜で一杯で、干物と干し肉もいっぱいあるんだよね。
デンちゃんの体が小さくなることもわかったし、去年と同じくらいで良いから、目安はつけやすくて、狩りしまわったからね。
お野菜たっぷりあるし、今年は楽しく美味しく過ごせそう。
そんなわけで、キノコが溢れ返った袋を持って、お屋敷の人達が喜ぶかなー? と、ニマニマしながら採取していた。
カボチャも収穫出来たし、ビルズ芋もいっぱい採れた。
あと、ビブロースさんが森で食べられる木の実が生る木を調べてくれて、栗も手に入ったのですよ。
ふっふっふっ、栗は良いよね。
でも、栗を使ったモンブランとか自分では作れないし、作り方が分からないから、ウィリアムさんに持って行って、作ってもらおう。
もちろん、せびるわけじゃない。
作り方を横で見させてもらって、覚えながら、味見したいなーって、考えなのである。
モンブランがこの世界にあるかは分からないけど、あったらいいなー。
鼻歌を歌いながら、そろそろ切り上げようかと思っていたら、ゲッちゃんが旋回して飛び、ついて来いと言うので、デンちゃんを大声で呼びながら、ゲッちゃんの後を追う。
一応、マイ包丁の熊吉を持ち歩いているし、愛用のよく切れるナイフも持っているから、相当ヤバく無ければ大丈夫のはず。
「ワオーン!」
「デンちゃん、乗せて!」
「ワフ―」
やはり行く先は魔窟の森で、ゲッちゃんの後を追いながら、出てきた魔獣を「熊吉のサビにしてくれるわ!」と中二病な発言をして、倒していく。
サビにはならないんだけどね、これ凍らせて断ち切るだけだからね。
半分ほど来たところで、見知った人達が魔獣に囲まれて戦っていた。
お屋敷のビブロースさんとメイミーさん、後はお屋敷で見たことがあるメイドの子と警備の男の人。
「皆、下がって!」
「「「リト様!?」」」
熊吉のサビになれ! と、包丁の鞘から外して、勢いを付けて振ると凍り付く魔獣。
もう一度、スライドしたら魔獣は横にゴットンと落ちるけど、まぁ、氷の熊と違って中身まで氷じゃないから、内臓が見えるので心は無にするべきである。
凍ってるから、血が飛び散る事もないのがせめてもの救い?
残りの魔獣も蹴散らして、見たか私のマイ包丁の力をと、腰に手を当てて、フンッと息巻く。
私も強くなったものだ。
「皆、大丈夫ですか?」
「「リト様~っ!」」
メイドさん達にヒシッと抱きつかれて、「もう安心ですよー」と、どっちが大人か分からない感じではあるけど、間に合って良かった。
「ビブロースさん、どうしたんですか? 何かあったんですか?」
「それが、国王の命令で、備蓄していたゼキキノコを全て奪われてしまい、リト様に分けて頂けないかと……」
「あっ、それなら、丁度、今日持って行こうと思って、この袋にいっぱい入れてたんですよ」
「本当ですか!?」
「まぁ、まだ選別してないから、色々他のも入ってるんですけど、良いタイミングでした」
ホゥと、ビブロースさんが息を吐き、他のメイドさんや警備の人も息をつく。
でも、この人数で、獣騎も無しにここまで来るなんて、何日かかったのやら?
「あっ、獣化してもらえれば、デンちゃんで街まで送れますよ」
「いえ、そこまでご迷惑をかけるには……」
ビブロースさんは断るけど、メイドさん達はかなり疲れてそうだし、警備の人も疲労の色が見える。
「うちの小屋でリヤカーを持ってきて、既にゼキキノコの飲み薬になっている方を持って行きます? もう少しで私の森に入りますし、リヤカーなら皆が乗っても、大丈夫ですから」
「リト様に、これ以上ご迷惑をお掛けする事は……」
「ビブロースさん、これから帰らなきゃいけないのに倒れでもしたら、それこそ、魔獣のご飯ですよ? 皆疲れているだろうし、ここは未来のイクスの妻に任せて下さい! 旦那様のお屋敷の人達をお世話するのも、奥さんのお仕事でしょ?」
渋るビブロースさん達を連れて小屋まで戻って、備蓄庫から乾燥させたゼキキノコや飲み薬をだして、さっき採取したキノコ類と一緒にまとめる。
一応、泊りになるかも? と、着替えもリュックサックに入れて、行く準備をして、頑丈な方のリヤカーに荷物を乗せて、皆にもリヤカーに乗ってもらい、魔法の武器をビブロースさんに一本渡して、ヴァンハロー領に向けて出発した。
道中で事情を聞いたところ、王都の方で風邪が流行したらしく、熱さましの薬が不足していて、以前、私が持ち込んだゼキキノコを熱中症の時に使ってもらったり、売ったりしていた事から、ヴァンハロー領に備蓄されていたゼキキノコが王命で、王宮の騎士に持ち帰られてしまったらしい。
おのれ、王様め! 許せないッ!
でも、ゼキキノコを大量に持ち込んでしまった私が原因でもあるから、私のせいでもあるかも?
ヴァンハロー領も風邪が流行り始めて、私に助けを求めに森へ入ったらしい。
しかし、魔獣は数こそ減ってきてはいるものの、強い魔獣に遭遇してもたついている間に、いつの間にか囲まれていて、獣騎は逃げてしまうし、立ち往生しているところに、私が飛び込んだようだ。
流石ゲッちゃん。こういう所は、食いしん坊な鳥では無く、聖鳥っぽい。
そうこう話をしている間に、ヴァンハロー領が見えてきた。
「ふおぉぉ~っ! やったー! 採ったー!」
「ゲキョーッ!!」
「駄目! これは私のー! ゲッちゃんはお腹いっぱいでしょ! だから、私のー!」
「ゲキョキョ!!」
醜いキノコの取り合いをしつつ、今年はゲットしました!
『ゲンソウキノコ』を山盛りゲットー!!
ゲッちゃんには、このキノコ狩りの前に、夏に採っておいた木の実と果物をいっぱいあげておいたんだ。
私の頭脳戦は、夏には始まっていたのだよ、ゲッちゃん!
このキノコでウィリアムさんに美味しいキノコ料理を振る舞ってもらうんだ~。
ふっふっふっ。
「ゲキョーキョ―!」
「痛い~っ、ゲッちゃん、髪の毛突き回すのやーめーてー!」
バサバサと羽を広げて攻撃してくる食いしん坊な鳥が、聖鳥って絶対嘘だー!!
森の中を歩き回って、ゼキキノコも今年は豊作でね。他のキノコもなんだけど、大量に採れたから、イクシオンには森から出ない様に言われていたんだけど、届けに行こうかなー?
だって、ガラス容器は既にお肉と果物とお野菜で一杯で、干物と干し肉もいっぱいあるんだよね。
デンちゃんの体が小さくなることもわかったし、去年と同じくらいで良いから、目安はつけやすくて、狩りしまわったからね。
お野菜たっぷりあるし、今年は楽しく美味しく過ごせそう。
そんなわけで、キノコが溢れ返った袋を持って、お屋敷の人達が喜ぶかなー? と、ニマニマしながら採取していた。
カボチャも収穫出来たし、ビルズ芋もいっぱい採れた。
あと、ビブロースさんが森で食べられる木の実が生る木を調べてくれて、栗も手に入ったのですよ。
ふっふっふっ、栗は良いよね。
でも、栗を使ったモンブランとか自分では作れないし、作り方が分からないから、ウィリアムさんに持って行って、作ってもらおう。
もちろん、せびるわけじゃない。
作り方を横で見させてもらって、覚えながら、味見したいなーって、考えなのである。
モンブランがこの世界にあるかは分からないけど、あったらいいなー。
鼻歌を歌いながら、そろそろ切り上げようかと思っていたら、ゲッちゃんが旋回して飛び、ついて来いと言うので、デンちゃんを大声で呼びながら、ゲッちゃんの後を追う。
一応、マイ包丁の熊吉を持ち歩いているし、愛用のよく切れるナイフも持っているから、相当ヤバく無ければ大丈夫のはず。
「ワオーン!」
「デンちゃん、乗せて!」
「ワフ―」
やはり行く先は魔窟の森で、ゲッちゃんの後を追いながら、出てきた魔獣を「熊吉のサビにしてくれるわ!」と中二病な発言をして、倒していく。
サビにはならないんだけどね、これ凍らせて断ち切るだけだからね。
半分ほど来たところで、見知った人達が魔獣に囲まれて戦っていた。
お屋敷のビブロースさんとメイミーさん、後はお屋敷で見たことがあるメイドの子と警備の男の人。
「皆、下がって!」
「「「リト様!?」」」
熊吉のサビになれ! と、包丁の鞘から外して、勢いを付けて振ると凍り付く魔獣。
もう一度、スライドしたら魔獣は横にゴットンと落ちるけど、まぁ、氷の熊と違って中身まで氷じゃないから、内臓が見えるので心は無にするべきである。
凍ってるから、血が飛び散る事もないのがせめてもの救い?
残りの魔獣も蹴散らして、見たか私のマイ包丁の力をと、腰に手を当てて、フンッと息巻く。
私も強くなったものだ。
「皆、大丈夫ですか?」
「「リト様~っ!」」
メイドさん達にヒシッと抱きつかれて、「もう安心ですよー」と、どっちが大人か分からない感じではあるけど、間に合って良かった。
「ビブロースさん、どうしたんですか? 何かあったんですか?」
「それが、国王の命令で、備蓄していたゼキキノコを全て奪われてしまい、リト様に分けて頂けないかと……」
「あっ、それなら、丁度、今日持って行こうと思って、この袋にいっぱい入れてたんですよ」
「本当ですか!?」
「まぁ、まだ選別してないから、色々他のも入ってるんですけど、良いタイミングでした」
ホゥと、ビブロースさんが息を吐き、他のメイドさんや警備の人も息をつく。
でも、この人数で、獣騎も無しにここまで来るなんて、何日かかったのやら?
「あっ、獣化してもらえれば、デンちゃんで街まで送れますよ」
「いえ、そこまでご迷惑をかけるには……」
ビブロースさんは断るけど、メイドさん達はかなり疲れてそうだし、警備の人も疲労の色が見える。
「うちの小屋でリヤカーを持ってきて、既にゼキキノコの飲み薬になっている方を持って行きます? もう少しで私の森に入りますし、リヤカーなら皆が乗っても、大丈夫ですから」
「リト様に、これ以上ご迷惑をお掛けする事は……」
「ビブロースさん、これから帰らなきゃいけないのに倒れでもしたら、それこそ、魔獣のご飯ですよ? 皆疲れているだろうし、ここは未来のイクスの妻に任せて下さい! 旦那様のお屋敷の人達をお世話するのも、奥さんのお仕事でしょ?」
渋るビブロースさん達を連れて小屋まで戻って、備蓄庫から乾燥させたゼキキノコや飲み薬をだして、さっき採取したキノコ類と一緒にまとめる。
一応、泊りになるかも? と、着替えもリュックサックに入れて、行く準備をして、頑丈な方のリヤカーに荷物を乗せて、皆にもリヤカーに乗ってもらい、魔法の武器をビブロースさんに一本渡して、ヴァンハロー領に向けて出発した。
道中で事情を聞いたところ、王都の方で風邪が流行したらしく、熱さましの薬が不足していて、以前、私が持ち込んだゼキキノコを熱中症の時に使ってもらったり、売ったりしていた事から、ヴァンハロー領に備蓄されていたゼキキノコが王命で、王宮の騎士に持ち帰られてしまったらしい。
おのれ、王様め! 許せないッ!
でも、ゼキキノコを大量に持ち込んでしまった私が原因でもあるから、私のせいでもあるかも?
ヴァンハロー領も風邪が流行り始めて、私に助けを求めに森へ入ったらしい。
しかし、魔獣は数こそ減ってきてはいるものの、強い魔獣に遭遇してもたついている間に、いつの間にか囲まれていて、獣騎は逃げてしまうし、立ち往生しているところに、私が飛び込んだようだ。
流石ゲッちゃん。こういう所は、食いしん坊な鳥では無く、聖鳥っぽい。
そうこう話をしている間に、ヴァンハロー領が見えてきた。
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