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2章
夏のリトと商売テント
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夏場のヴァンハロー領は人が居なくなったかのような、閑散とした場所になって、夕方の陽が落ちる少し前にようやく動き出す感じなので、夜中まではそれなりに賑やかになる……と、いうのが今までだったんだけど、今年からは少し変わった。
私が氷の作れるマイ包丁『熊吉』を使って、氷を作りまくったのもあるけど……
大通りの中央に氷でキンキンに冷やした大きなテントを立てて、果物屋さんや肉屋さん等の食料品を売っている人達に販売ブースを提供して、テント内の涼しい場所で涼みながらの商売に、買い物に来る人も涼んで貰い、ついでに私も化粧品を試供品で提供したり、果物屋さんと一緒に氷いっぱいのジュースを作ったりして、段々と日毎に販売ブースに参加する店舗も増えて、なかなかの賑わいになっていった。
「リト様、盛況ですね」
「アンゾロさん、何だか屋台村みたいで面白いですね!」
「そうですね。ただ、外にも出店のような物が出来ていますので、いかが致しますか?」
「んーっ、じゃあ、外の人達の上に日除けでも簡単に設置して、足元に氷水の桶でも作って、椅子に座って商売して貰えば良いかな?」
「リト様、それは流石にお人が宜し過ぎるかと……」
「大事なヴァンハロー領の人達ですし、目指せ! 熱中症ゼロ人! を掲げていますからね!」
アンゾロさんにテント内の事を任せて、テントの外へ行き、テントを囲むように転々とお店が出ている。
外の暑い日差しの中で靴を売ったり、服を売ったりしている人達。流石に食べ物は腐っちゃうから居ないようだ。
「こんにちは。暑いですね。椅子と足を入れられる桶か何かを用意して貰えば、ここに日除けを設置しますよ?」
「公爵、夫人……、あの、その……」
「ここで商売しても大丈夫だけど、小父さんが暑いでしょ? すぐに日除け作りますからね」
「いいんですか?」
「勿論ですよ。第一、私も旦那様に無許可でテント建てましたから、旦那様には内緒ですよ? フフフッ」
「ありがとうございます! 夏場は商売にならなくて……」
「ですよね。他の周りの人達も、日除けを作っている間に椅子と桶か何か氷と水が入れられる物を持って来て下さいねー!」
周りのお店を出している人にも声を出して、私は「デンちゃーん!」と、呼ぶと、テントの中でヒンヤリと涼んでいたデンちゃんに跨って、お屋敷に道具を取りに行く。
「んーっ、森に一度戻って、木を持ってこよっか」
デンちゃんと一緒に黄金の本で森へ移動し、お祖父ちゃんが植えたであろう、この世界には不似合いな竹を伐採して、再びヴァンハロー領に戻り、竹を外のお店の両脇に埋め込み、ロープで布をテントと竹にくくり付け、簡易の日除けを作り、それを何ヵ所かに作っていく。
「桶に水と氷を張りますから、椅子に座って、足を桶に入れながら商売頑張って下さいね!」
「ありがとうございます!」
「あと、水分補給も大事なので、テントの中で無料で冷たいお茶も配ってますから、たまに飲みに来て下さいね!」
「はい! 公爵夫人、感謝します!」
「いえいえ、夏を乗り切りましょうね! あと、公爵夫人じゃなくて、李都でお願いしますね」
「はい。リト様!」
外のお店の人達に挨拶をして、再びテント内で賑わう人達の合間を縫って、私の販売ブースに行く。
私が売っているのは、試供品の化粧水と、ネッククーラーに革財布や、革のカバン、子供服、下着で、スナップボタンの付いたカバンとかお財布は試しに売っていただけなんだけど、口コミで存在は知られていたのか、早々に完売してしまっていた。
実は、ファスナー付きのお財布とかだから、あまり数は作れてない。
ファスナーはこの世界まだ無いから、私もそれは知らなくて、偶然、私のホットパンツのファスナーをメイドさんが見て、「リト様! なんですかこれ!?」と、言うので、「暑くて、寝る時ぐらいは短いパンツでいいかなーって……」と、言ったら、「そうではなく、コレです! この上下に動く部品です!」と、ファスナーの事を言われたんだよね。
てっきり、短いホットパンツの事で怒られたのかと思ったよ。
技術屋さんを呼んで、ファスナー作りが始まり、まだ試作段階なのもあって、数が無い。
アンゾロさんには勿論、登録書を書かされて、「他には隠していないですか?」と、警察の取り調べよろしくアンゾロさんとメイドさんに「さぁ、吐け! 吐くんだ!」状態で、ケロケロと吐かされる公爵夫人ってなんだろうね?
私が一応これからの予定で考えている、化粧品に使う物や、食べ物に関してもケロケロさせられたので、アンゾロさんが用意できる物を探してくれている状態だったりする。
「お茶くださーい」
無料のお茶の配給に小さな子供が来て、竹を輪切りにしたコップで出していく。
「結構、お茶を配る方にも人手がいりますね」
「そうですね。ドリンクサーバーとかあれば楽かもですねー」
「どりんくさーばー? リト様、詳しくお聞きしましょうか?」
「うぐっ……ほら、お酒屋さんに樽に蛇口みたいの付けてるやつがあるじゃないですか?」
「いえ、コルク栓ですわね。蛇口はついていませんわ。でも、どりんくさーばーが何かは想像出来ましたわね」
「よ、良かった。では、私は登録書は書かなくて良いという事で……」
「リト様、そうはいきませんわ。作りましょうね? どりんくさーばーというのを」
「ひぇぇん!」
結局、ドリンクサーバーを作らされて、樽型のお酒用のを最初作ったんだけど、どうせならと、貴族のパーティーや果物屋さんでも見た目が良く喜ばれそうなデザインにする為に、魔法のガラス瓶にヴインダム国旗のマークを入れて貰って、鹿の蛇口を付けた物を作ったよ。
アンゾロさんがすぐさま、パーティー好きな貴族の人の所へ贈呈して試しに使ってもらったみたいで、貴族の人達の間で広がって、新しい商売が出来ていた。
公爵家でもウィリアムさんが色んなジュースやお茶を冷やした物を用意してくれてて、メイドさん達が休憩時間に楽しんでくれているから、そこら辺は良かったかな?
私が氷の作れるマイ包丁『熊吉』を使って、氷を作りまくったのもあるけど……
大通りの中央に氷でキンキンに冷やした大きなテントを立てて、果物屋さんや肉屋さん等の食料品を売っている人達に販売ブースを提供して、テント内の涼しい場所で涼みながらの商売に、買い物に来る人も涼んで貰い、ついでに私も化粧品を試供品で提供したり、果物屋さんと一緒に氷いっぱいのジュースを作ったりして、段々と日毎に販売ブースに参加する店舗も増えて、なかなかの賑わいになっていった。
「リト様、盛況ですね」
「アンゾロさん、何だか屋台村みたいで面白いですね!」
「そうですね。ただ、外にも出店のような物が出来ていますので、いかが致しますか?」
「んーっ、じゃあ、外の人達の上に日除けでも簡単に設置して、足元に氷水の桶でも作って、椅子に座って商売して貰えば良いかな?」
「リト様、それは流石にお人が宜し過ぎるかと……」
「大事なヴァンハロー領の人達ですし、目指せ! 熱中症ゼロ人! を掲げていますからね!」
アンゾロさんにテント内の事を任せて、テントの外へ行き、テントを囲むように転々とお店が出ている。
外の暑い日差しの中で靴を売ったり、服を売ったりしている人達。流石に食べ物は腐っちゃうから居ないようだ。
「こんにちは。暑いですね。椅子と足を入れられる桶か何かを用意して貰えば、ここに日除けを設置しますよ?」
「公爵、夫人……、あの、その……」
「ここで商売しても大丈夫だけど、小父さんが暑いでしょ? すぐに日除け作りますからね」
「いいんですか?」
「勿論ですよ。第一、私も旦那様に無許可でテント建てましたから、旦那様には内緒ですよ? フフフッ」
「ありがとうございます! 夏場は商売にならなくて……」
「ですよね。他の周りの人達も、日除けを作っている間に椅子と桶か何か氷と水が入れられる物を持って来て下さいねー!」
周りのお店を出している人にも声を出して、私は「デンちゃーん!」と、呼ぶと、テントの中でヒンヤリと涼んでいたデンちゃんに跨って、お屋敷に道具を取りに行く。
「んーっ、森に一度戻って、木を持ってこよっか」
デンちゃんと一緒に黄金の本で森へ移動し、お祖父ちゃんが植えたであろう、この世界には不似合いな竹を伐採して、再びヴァンハロー領に戻り、竹を外のお店の両脇に埋め込み、ロープで布をテントと竹にくくり付け、簡易の日除けを作り、それを何ヵ所かに作っていく。
「桶に水と氷を張りますから、椅子に座って、足を桶に入れながら商売頑張って下さいね!」
「ありがとうございます!」
「あと、水分補給も大事なので、テントの中で無料で冷たいお茶も配ってますから、たまに飲みに来て下さいね!」
「はい! 公爵夫人、感謝します!」
「いえいえ、夏を乗り切りましょうね! あと、公爵夫人じゃなくて、李都でお願いしますね」
「はい。リト様!」
外のお店の人達に挨拶をして、再びテント内で賑わう人達の合間を縫って、私の販売ブースに行く。
私が売っているのは、試供品の化粧水と、ネッククーラーに革財布や、革のカバン、子供服、下着で、スナップボタンの付いたカバンとかお財布は試しに売っていただけなんだけど、口コミで存在は知られていたのか、早々に完売してしまっていた。
実は、ファスナー付きのお財布とかだから、あまり数は作れてない。
ファスナーはこの世界まだ無いから、私もそれは知らなくて、偶然、私のホットパンツのファスナーをメイドさんが見て、「リト様! なんですかこれ!?」と、言うので、「暑くて、寝る時ぐらいは短いパンツでいいかなーって……」と、言ったら、「そうではなく、コレです! この上下に動く部品です!」と、ファスナーの事を言われたんだよね。
てっきり、短いホットパンツの事で怒られたのかと思ったよ。
技術屋さんを呼んで、ファスナー作りが始まり、まだ試作段階なのもあって、数が無い。
アンゾロさんには勿論、登録書を書かされて、「他には隠していないですか?」と、警察の取り調べよろしくアンゾロさんとメイドさんに「さぁ、吐け! 吐くんだ!」状態で、ケロケロと吐かされる公爵夫人ってなんだろうね?
私が一応これからの予定で考えている、化粧品に使う物や、食べ物に関してもケロケロさせられたので、アンゾロさんが用意できる物を探してくれている状態だったりする。
「お茶くださーい」
無料のお茶の配給に小さな子供が来て、竹を輪切りにしたコップで出していく。
「結構、お茶を配る方にも人手がいりますね」
「そうですね。ドリンクサーバーとかあれば楽かもですねー」
「どりんくさーばー? リト様、詳しくお聞きしましょうか?」
「うぐっ……ほら、お酒屋さんに樽に蛇口みたいの付けてるやつがあるじゃないですか?」
「いえ、コルク栓ですわね。蛇口はついていませんわ。でも、どりんくさーばーが何かは想像出来ましたわね」
「よ、良かった。では、私は登録書は書かなくて良いという事で……」
「リト様、そうはいきませんわ。作りましょうね? どりんくさーばーというのを」
「ひぇぇん!」
結局、ドリンクサーバーを作らされて、樽型のお酒用のを最初作ったんだけど、どうせならと、貴族のパーティーや果物屋さんでも見た目が良く喜ばれそうなデザインにする為に、魔法のガラス瓶にヴインダム国旗のマークを入れて貰って、鹿の蛇口を付けた物を作ったよ。
アンゾロさんがすぐさま、パーティー好きな貴族の人の所へ贈呈して試しに使ってもらったみたいで、貴族の人達の間で広がって、新しい商売が出来ていた。
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