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2章
王様達
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目を開ければ、広く長い廊下に二メートル間隔で鎧が剣と盾を持って並んでいて、鎧の上には四つ間隔に肖像画が描かれた物が飾ってある。
ザ・成金の王宮というイメージよりも、美術館に来た感じだ。
天上はアーチ型で大きな柱には盾と狼の紋章が刻まれている。
私達はお祖父ちゃんの移動魔法で瞬時に王宮に移動したのだけど、パムネリーさんは獣騎を王宮内に入れたのは不味いと言って、獣騎を連れて慌ててどこかへ駆けていってしまった。
「お祖父ちゃん、ここは何処なの?」
「李都、ここからは『賢者様』と呼ぶように、あまり喋らんようにな」
「はぁーい」
「リト、ここは王宮の謁見の間の前だ。デンに乗って、いつでもなにがあっても、直ぐに逃げられる様にしておきなさい。兄は色々小賢しいことを言うだろうが、反応はしない様にやり過ごせばいいからな。オレが何を言われても気にするな。負け犬の遠吠え程度だ。もし、何かあれば、オレを捨てて逃げろ。オレはココには詳しいから逃げきれるし、味方もそれなりに居る」
イクシオンが私の腰を手で掴むとデンちゃんの上に横乗りで座らせて、手の甲に軽くキスをする。
んーっ、王子様! でも、いきなり勇者パーティが魔王城に乗り込んだ感じがするし、イクシオンは変なフラグを立てた気がするけど……気のせいかなぁ?
あんまり私を不安にさせないで欲しい。第一、何かあれば、魔法の杖をぶっ放す所存である!
サバイバルで覚えた事は、躊躇したら次なんて無い。
やれる時にやる! だからね。
謁見の間をイクシオンが開き、お祖父ちゃんが入っていくと二十人以上の人が集まり、大きな広間に円を囲むようにして立って居た。
「皆の者、待たせたな」
ザッと音がして、その場にいた人達がお祖父ちゃんに片膝をつく。
お祖父ちゃんが『賢者』してるぅ―ッ!!
イクシオンがデンちゃんの手綱を引きながらゆっくりと入り、デンちゃんもゆっくりと歩いて進んでいく。
「皆、面を上げよ。ワシを呼び出した用件はなんだ?」
他の国の王様が一堂に集まるって、ある意味凄いかも……服装や種族もバラバラだし、でも王様と従者というのは解る感じかな?
王様達が顔を上げ、お祖父ちゃんを見る。
「賢者よ。我らの召喚に応じてくれたことを感謝する」
人々の目線が集まる中、この部屋で一人苦々しい顔をしてイクシオンを睨んでいる人、多分、あの人がヴインダムの王様だろう。
薄い茶色の髪に金色の瞳、イクシオンよりずっとオジサンだ。
中肉中背……神経質そう。
「おお、そうだ。ヴインダムの王族のシオンを王達に紹介しておこう。シオン、こちらへ」
お祖父ちゃん何をする気なんだろう?
イクシオンが少し前へ出て、左胸の前に手を当ててお辞儀をする。
「賢者様にご紹介頂きました。イクシオン・エディクス・セラ・ヴインダムです。各国の王族の皆様、お見知りおきください」
「シオンは王では無いが、唯一の王族だ。皆、良くしてやってくれ」
お祖父ちゃんがイクシオンの紹介をして、各国の王達もイクシオンに同じ様に挨拶を返していく。
とりあえず、ヴインダムの王様が、凄い形相で歯を噛みしめているのを見たので、少しだけ溜飲は下がった。
イクシオンが正当な王族なのに、大きい顔をしているからこうなるんだぞ!
ふんっ! と、フードの奥で鼻息を荒くする私だったりする。
「さて、本題に移ってもらおうか? この様に王達が集まった理由を」
お祖父ちゃんの横でルドルフが蹄をカツカツと鳴らすと、それぞれが頭を下げる。
「我々は『召喚の儀』に関して、王族十一人が必要だと言われた。その言葉を全ての王が王族の血により盟約付けられたことを、新たに『契約』として取り入れて貰いたいのです」
「ふむ……契約してしまえば、違える事は許されず、反すれば、二度と召喚は出来なくなるが、それでも良いのか?」
「ええ。我らが王族は血脈を終わらせぬ事も含め、簒奪の王等という輩を排出しない為の表明でもあるのです」
うわー……他の国の王様達がヴインダムの王様を苛めてるよー! 陰湿だ!
チラッと真っ赤になって怒りに震えている王様を見るのは止めてあげてー!! と、言いつつ、私もちょっぴりいい気味だとは思っているけど、追いつめられた相手程、厄介なものは無いから、そろそろやめてあげて欲しい。
「ヴインダムの王よ、貴殿は我々、王族の話をどう思う?」
ピクッと王様の耳が動くけど、各国の王様が「王」と呼んだのはイクシオンに向けてだった。
「私はー……」
「ふざけるな! ヴインダムの王はこの私だ!! そいつは王族の血は引いているが、不義の子! そいつは本来ならば、『庶子』であり、貴族籍すら与えられぬ身分の者だ! 前女王の全権のおかげで王弟であり、公爵を賜る事を許された卑しい者だ! ヴインダムは、もうそいつなど望んではいない!」
イクシオンが話すのを遮る様に王様の怒りの声が広間に広がった。
他の国の王が居る前で、イクシオンを貶める発言をするなんて、なんて人なんだろう……怒りで、グッと唇を噛みしめると、広間の扉が大きく開いた。
ザ・成金の王宮というイメージよりも、美術館に来た感じだ。
天上はアーチ型で大きな柱には盾と狼の紋章が刻まれている。
私達はお祖父ちゃんの移動魔法で瞬時に王宮に移動したのだけど、パムネリーさんは獣騎を王宮内に入れたのは不味いと言って、獣騎を連れて慌ててどこかへ駆けていってしまった。
「お祖父ちゃん、ここは何処なの?」
「李都、ここからは『賢者様』と呼ぶように、あまり喋らんようにな」
「はぁーい」
「リト、ここは王宮の謁見の間の前だ。デンに乗って、いつでもなにがあっても、直ぐに逃げられる様にしておきなさい。兄は色々小賢しいことを言うだろうが、反応はしない様にやり過ごせばいいからな。オレが何を言われても気にするな。負け犬の遠吠え程度だ。もし、何かあれば、オレを捨てて逃げろ。オレはココには詳しいから逃げきれるし、味方もそれなりに居る」
イクシオンが私の腰を手で掴むとデンちゃんの上に横乗りで座らせて、手の甲に軽くキスをする。
んーっ、王子様! でも、いきなり勇者パーティが魔王城に乗り込んだ感じがするし、イクシオンは変なフラグを立てた気がするけど……気のせいかなぁ?
あんまり私を不安にさせないで欲しい。第一、何かあれば、魔法の杖をぶっ放す所存である!
サバイバルで覚えた事は、躊躇したら次なんて無い。
やれる時にやる! だからね。
謁見の間をイクシオンが開き、お祖父ちゃんが入っていくと二十人以上の人が集まり、大きな広間に円を囲むようにして立って居た。
「皆の者、待たせたな」
ザッと音がして、その場にいた人達がお祖父ちゃんに片膝をつく。
お祖父ちゃんが『賢者』してるぅ―ッ!!
イクシオンがデンちゃんの手綱を引きながらゆっくりと入り、デンちゃんもゆっくりと歩いて進んでいく。
「皆、面を上げよ。ワシを呼び出した用件はなんだ?」
他の国の王様が一堂に集まるって、ある意味凄いかも……服装や種族もバラバラだし、でも王様と従者というのは解る感じかな?
王様達が顔を上げ、お祖父ちゃんを見る。
「賢者よ。我らの召喚に応じてくれたことを感謝する」
人々の目線が集まる中、この部屋で一人苦々しい顔をしてイクシオンを睨んでいる人、多分、あの人がヴインダムの王様だろう。
薄い茶色の髪に金色の瞳、イクシオンよりずっとオジサンだ。
中肉中背……神経質そう。
「おお、そうだ。ヴインダムの王族のシオンを王達に紹介しておこう。シオン、こちらへ」
お祖父ちゃん何をする気なんだろう?
イクシオンが少し前へ出て、左胸の前に手を当ててお辞儀をする。
「賢者様にご紹介頂きました。イクシオン・エディクス・セラ・ヴインダムです。各国の王族の皆様、お見知りおきください」
「シオンは王では無いが、唯一の王族だ。皆、良くしてやってくれ」
お祖父ちゃんがイクシオンの紹介をして、各国の王達もイクシオンに同じ様に挨拶を返していく。
とりあえず、ヴインダムの王様が、凄い形相で歯を噛みしめているのを見たので、少しだけ溜飲は下がった。
イクシオンが正当な王族なのに、大きい顔をしているからこうなるんだぞ!
ふんっ! と、フードの奥で鼻息を荒くする私だったりする。
「さて、本題に移ってもらおうか? この様に王達が集まった理由を」
お祖父ちゃんの横でルドルフが蹄をカツカツと鳴らすと、それぞれが頭を下げる。
「我々は『召喚の儀』に関して、王族十一人が必要だと言われた。その言葉を全ての王が王族の血により盟約付けられたことを、新たに『契約』として取り入れて貰いたいのです」
「ふむ……契約してしまえば、違える事は許されず、反すれば、二度と召喚は出来なくなるが、それでも良いのか?」
「ええ。我らが王族は血脈を終わらせぬ事も含め、簒奪の王等という輩を排出しない為の表明でもあるのです」
うわー……他の国の王様達がヴインダムの王様を苛めてるよー! 陰湿だ!
チラッと真っ赤になって怒りに震えている王様を見るのは止めてあげてー!! と、言いつつ、私もちょっぴりいい気味だとは思っているけど、追いつめられた相手程、厄介なものは無いから、そろそろやめてあげて欲しい。
「ヴインダムの王よ、貴殿は我々、王族の話をどう思う?」
ピクッと王様の耳が動くけど、各国の王様が「王」と呼んだのはイクシオンに向けてだった。
「私はー……」
「ふざけるな! ヴインダムの王はこの私だ!! そいつは王族の血は引いているが、不義の子! そいつは本来ならば、『庶子』であり、貴族籍すら与えられぬ身分の者だ! 前女王の全権のおかげで王弟であり、公爵を賜る事を許された卑しい者だ! ヴインダムは、もうそいつなど望んではいない!」
イクシオンが話すのを遮る様に王様の怒りの声が広間に広がった。
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