17 / 73
一章 悪役令嬢フェルミナ・ドロッセル
地下ダンジョン
しおりを挟む
少しだけジメッとした書籍の棚は一番奥にあり、その一角で脚立を使って薬草の書かれた図鑑をベンガルがルカリオンに放り投げる。
おいおい。本は大事に扱え―……とは思うけど、子供には大きすぎるサイズの本なので、これも仕方がない。
A3サイズ程の分厚い本を抱え、他にも幾つかの本を積み上げてテーブルに並べる。
「確か、魔物除けに効果がある植物がー……あった。コレ」
「マンドラゴラのピンク吐息、高麗ニンジンの涙、ドリアードの根っこ……ああ、そういえばこういうアイテムあったよなぁ」
確かこの街の地下ダンジョンで手に入れられたはずだ。初期のアイテムだから、俺のレベルが三十六だから行けるだろうけど、ルカリオンのレベルや戦闘スタイルも未知数だし、ベンガル……は、無理だろうなぁ。
さて、どうしたものか?
期待した目でベンガルが見ているのもあるし、ルカリオンは薬草図鑑を食い入るように見ている。
「お前、手に入れられるのか?」
「んー、入手は出来ると思う。ただ、戦った事がない」
ベンガルの目が丸くなると、「ハァ!?」と大きい声を出され、ルカリオンも首をかしげて眉間にしわを寄せている。おかしい事を言っただろうか?
「お前、公爵家の人間だろ? なんで自分で行くって選択肢が出るんだよ!」
「いや、まぁ……手に入らなくはないかなーって……」
「坊ちゃん。こういう時こそ、わたしの出番でしょう?」
「えー……ルカリオン、俺も一緒に行くし。回復役は大事だろ?」
「いやいや! お前等、なんで行くことになってるのさ!」
一番奥の書棚で騒いでいた俺たちの元へ、図書館の管理人が来て「お・し・ず・か・に!」と一言ずつ区切って注意をして去って行った。
口を押えて三人で声を抑えながら笑って、何事も挑戦かな? と話をまとめ、ベンガルが地下ダンジョンの地図をメモに書きうつして、少しだけ地下ダンジョンに行くという事になった。
「わたしは、坊ちゃんがダンジョンのような場所に行くのは、反対なのですが……」
「俺はあくまでサポート。補助の回復役なんだから、戦うのはルカリオンに任せた。頼りにしてるんだからな」
「僕も、居る事を忘れないでください」
「お二人は、わたしの前には絶対に出ないで下さいね?」
「分かってるって。俺は回復だけしているから、安心してケガしてくれていいぞ」
「ケガはしないように、頑張ろうよ」
この街の地下ダンジョンへ行くには、前にヒロインを探して歩いたインハース通りの地下水道から侵入する。
ベンガルは置いていこうと思ったけど、すでに母親が父親に愛想を尽かして資産を持ち逃げした後らしく、父親と一緒に魔物退治の経験があるそうだ。
レベルは八と低いけれど、地下ダンジョンでは適正レベルだ。
ちなみにルカリオンのレベルは十九だから、この中では俺が一番高い。
まぁ、回復役だから戦えないんだけどな。
「入口ですでに、鼻が曲がりそうなのですが……」
「獣人だから、仕方がない」
「鼻にミントの葉でも塗るか?」
手作りと思われるミントの軟膏を俺は有り難く鼻に下へ塗りつけて、匂いを我慢した。ルカリオンは、鼻は獣人の生命線だから塗らないの一点張りで、ハンカチを鼻から下に巻き付けてマスク代わりにして進み始める。
「僕は君がお金を出して、アイテムを揃えてくれるのかと思っていたよ」
「ああ! その手があった!」
「……坊ちゃんは、行動的ですからね」
「行動的という話でも無いと、僕は思うけどね」
そうは言われても、ゲームでは買うという選択肢は無かったのだから仕方がない。
バトルして素材を集めてというものだったし、魔物除けのアイテムはそんなに使わなかったから、記憶にも薄かったのだ。
『あちゃらぱっぱー!』
『みっはぁー!?』
「「「!?」」」
子供のような甲高い声に立ち止まると、枯れた棒切れのようなニンジンがヘッドバンキングを繰り返し、大騒ぎしている。
「高麗ニンジンだよ!」
「捕まえます! 坊ちゃんたちはそこに居て下さい!」
「わっ、ルカリオン!」
ルカリオンが駆け出して、俺の支援魔法まだ掛けていないんだけどなーと、思いつつも、防御や速度上げの支援魔法は体のどこかしらにキスしなきゃいけないから、ちょっと恥ずかしいのもあった。
先走ったルカリオンが悪い。うん、そういう事にしておこう。
『ぴやぁぁん!』
「ニンジン捕まえました!」
「素早い。じゃあ、高麗ニンジンを泣かせるので、こっちに持ってきてー」
「あ、涙って、やっぱり泣かせるんだ……」
ゲームアイテムとしての高麗ニンジンの涙は見たことがある……んだけど、まさか逆さに吊り下げて小瓶に涙が溜まるまで、高麗ニンジンの根っこのような脛毛を抜くとはね……これ、乙女ゲームだったよね?
ちょっと、乙女ゲームの概念に疑問を抱いてしまった俺だったりする。
おいおい。本は大事に扱え―……とは思うけど、子供には大きすぎるサイズの本なので、これも仕方がない。
A3サイズ程の分厚い本を抱え、他にも幾つかの本を積み上げてテーブルに並べる。
「確か、魔物除けに効果がある植物がー……あった。コレ」
「マンドラゴラのピンク吐息、高麗ニンジンの涙、ドリアードの根っこ……ああ、そういえばこういうアイテムあったよなぁ」
確かこの街の地下ダンジョンで手に入れられたはずだ。初期のアイテムだから、俺のレベルが三十六だから行けるだろうけど、ルカリオンのレベルや戦闘スタイルも未知数だし、ベンガル……は、無理だろうなぁ。
さて、どうしたものか?
期待した目でベンガルが見ているのもあるし、ルカリオンは薬草図鑑を食い入るように見ている。
「お前、手に入れられるのか?」
「んー、入手は出来ると思う。ただ、戦った事がない」
ベンガルの目が丸くなると、「ハァ!?」と大きい声を出され、ルカリオンも首をかしげて眉間にしわを寄せている。おかしい事を言っただろうか?
「お前、公爵家の人間だろ? なんで自分で行くって選択肢が出るんだよ!」
「いや、まぁ……手に入らなくはないかなーって……」
「坊ちゃん。こういう時こそ、わたしの出番でしょう?」
「えー……ルカリオン、俺も一緒に行くし。回復役は大事だろ?」
「いやいや! お前等、なんで行くことになってるのさ!」
一番奥の書棚で騒いでいた俺たちの元へ、図書館の管理人が来て「お・し・ず・か・に!」と一言ずつ区切って注意をして去って行った。
口を押えて三人で声を抑えながら笑って、何事も挑戦かな? と話をまとめ、ベンガルが地下ダンジョンの地図をメモに書きうつして、少しだけ地下ダンジョンに行くという事になった。
「わたしは、坊ちゃんがダンジョンのような場所に行くのは、反対なのですが……」
「俺はあくまでサポート。補助の回復役なんだから、戦うのはルカリオンに任せた。頼りにしてるんだからな」
「僕も、居る事を忘れないでください」
「お二人は、わたしの前には絶対に出ないで下さいね?」
「分かってるって。俺は回復だけしているから、安心してケガしてくれていいぞ」
「ケガはしないように、頑張ろうよ」
この街の地下ダンジョンへ行くには、前にヒロインを探して歩いたインハース通りの地下水道から侵入する。
ベンガルは置いていこうと思ったけど、すでに母親が父親に愛想を尽かして資産を持ち逃げした後らしく、父親と一緒に魔物退治の経験があるそうだ。
レベルは八と低いけれど、地下ダンジョンでは適正レベルだ。
ちなみにルカリオンのレベルは十九だから、この中では俺が一番高い。
まぁ、回復役だから戦えないんだけどな。
「入口ですでに、鼻が曲がりそうなのですが……」
「獣人だから、仕方がない」
「鼻にミントの葉でも塗るか?」
手作りと思われるミントの軟膏を俺は有り難く鼻に下へ塗りつけて、匂いを我慢した。ルカリオンは、鼻は獣人の生命線だから塗らないの一点張りで、ハンカチを鼻から下に巻き付けてマスク代わりにして進み始める。
「僕は君がお金を出して、アイテムを揃えてくれるのかと思っていたよ」
「ああ! その手があった!」
「……坊ちゃんは、行動的ですからね」
「行動的という話でも無いと、僕は思うけどね」
そうは言われても、ゲームでは買うという選択肢は無かったのだから仕方がない。
バトルして素材を集めてというものだったし、魔物除けのアイテムはそんなに使わなかったから、記憶にも薄かったのだ。
『あちゃらぱっぱー!』
『みっはぁー!?』
「「「!?」」」
子供のような甲高い声に立ち止まると、枯れた棒切れのようなニンジンがヘッドバンキングを繰り返し、大騒ぎしている。
「高麗ニンジンだよ!」
「捕まえます! 坊ちゃんたちはそこに居て下さい!」
「わっ、ルカリオン!」
ルカリオンが駆け出して、俺の支援魔法まだ掛けていないんだけどなーと、思いつつも、防御や速度上げの支援魔法は体のどこかしらにキスしなきゃいけないから、ちょっと恥ずかしいのもあった。
先走ったルカリオンが悪い。うん、そういう事にしておこう。
『ぴやぁぁん!』
「ニンジン捕まえました!」
「素早い。じゃあ、高麗ニンジンを泣かせるので、こっちに持ってきてー」
「あ、涙って、やっぱり泣かせるんだ……」
ゲームアイテムとしての高麗ニンジンの涙は見たことがある……んだけど、まさか逆さに吊り下げて小瓶に涙が溜まるまで、高麗ニンジンの根っこのような脛毛を抜くとはね……これ、乙女ゲームだったよね?
ちょっと、乙女ゲームの概念に疑問を抱いてしまった俺だったりする。
1
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで
二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる