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一章 悪役令嬢フェルミナ・ドロッセル
ベンガル・ロッシュとセイン・バード
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『野ギス』の攻略対象は、戦闘スキルというものがあり、それぞれ特徴がある。
騎士団長になる予定のヒルクスは、両手剣のパワー型。
天才魔術師予定のセインは、魔法攻撃のマジック型。
第二王子ディオンは、盾と剣のバランス型。
歩く王立図書館の蔵書と言われているベンガルは、魔道具使いという戦闘スタイルが一人異なるのだ。
しかもどのランクのカードもレベルを上げるごとに多彩な魔道具を使うため、ベンガルのカードに外れなし! と、言われているのである。
『ベンガルのエピソードは、子供の頃に資金繰りさえ良ければ、もっと魔道具を色々作れたのにっていうところね! 魔道具研究に夢中な父親に母親が愛想を尽かして、財産を持ち逃げしているからベンガルは、人を信じてないの。好感度は上がりにくいのを落とすのが、萌えポイントじゃない?』
姉がルカリオンの次に推していたのが、ベンガル・ロッシュだったのと、ベンガルの便利さに俺もデッキによく入れていたキャラクターだ。
つまり、子供の頃から魔道具作りをさせて、資金繰りを確保させておけば使えるキャラになる。
何より、ベンガルは好感度が上がりにくいから、二回会っただけで爆上がりする王族や他のキャラより安全性が高い。
「坊ちゃん、楽しそうですね」
一人含み笑いをしていたところをルカリオンに指摘され、咳払いをしてから図書館へと入った。
王都の図書館は、王立図書館の利用は十五歳以上からなので、この時点では図書館がベンガルの居る率が一番高い場所である。
図書館はゲームの中でも何回か使ったから、どこにベンガルが居るかも、お見通しだ。
「坊ちゃん、児童図書は一階ですよ?」
「俺の目的は、それじゃないから」
首を傾げるルカリオンの首元からチャリッと音がして、俺があげた回復魔石の首飾りが見える。
魔石の白色は回復魔術だと直ぐに分かるから、喉から手が出るほど欲しがる人間が多い。
本当ならば、隠しておいた方が良いのだろうけど、ドロッセル公爵家という後ろ盾がある為に襲われたり、奪われる事も無い。
公爵の貴族位を持っているのは、この国では王弟とバード家の三貴族だけ。
バード家は魔術師を多く輩出しているセインの家である。バード家はセインの両親が馬車の事故で亡くなってしまうから、幼いセインでは維持出来ず、親戚の手に渡ってしまい乗っ取られる。
フェルミナのバッドエンドと同じだ。
違うのは、セインはヒロインの協力の元、親戚の不正を暴く事で公爵の座に返り咲く事が出来る。
元々、セインが二十歳になれば公爵の座はセインの物なのだが、不正案件もそのまま引き継がれるため、ヒロインがセインに関わらずにいると、フェルミナが関わった不正も暴露されて仲良く投獄エンド。
冗談ではない! それだけは阻止したい! 不正にかかわる予定は無いつもりだけど、危険な芽は摘んでおきたい。だからこその、ベンガルが必要なのである!
「利用客が居ませんね」
「それはそうだろ。ここは主に空論の書物が多い場所だからな」
「空論、ですか?」
「まぁ……半分は、ってとこだな。人に想像できるものは、大抵いつかは完成させることが出来ると、どこかの偉い人が言ってた」
この世界には、ドワーフという機械作りに特化した種族に魔法があるから、合わせ技の物を『魔道具』と呼ぶ。でも、スマートフォンのような便利な道具はまだ無いし、中世ヨーロッパに童話のようなものが混在した感じだ。
むしろ簡単な物ほど後回しで、武器のような危ない物ほど出回りやすい。
ベンガルは後者にあたるわけだけど、ベンガルとの好感度を上げて行けば、彼は本当は人の役に立つ道具を作りたかったという話が聞ける。
武器を作った経緯としては、利益が一番よく出るのが武器だったから……というものだ。
そして、そんな夢を見ている少年時代が、目の前に居る。
「ベンガル・ロッシュだよね? こんにちは」
分厚い本から少しだけ顔を上げ、メガネを指で上げて再び視線は本へ移る。
日記での好感度も五パーセントと、誰よりも低い。やはり安心安全のベンガルだ。
「君に作って欲しい物があって声を掛けたのだけど、聞いてもらえる?」
「玩具なら、金で買いなよ」
子供なのにドスの利いた低い声、これは手強そうだ。
ついでに言えば、後ろの従者が殺気立っているので、前後共に気を抜いたらゲームオーバーしそう。
「玩具ではなく、馬車が事故に遭った時に周りが森や平地だとして、緊急連絡を空に打ち上げる魔道具……そういう物を作りたいんだよね」
「それは……無理。打ち上げたところで、見ている人が居なきゃ一瞬で終わる」
少しだけ興味を持ってくれたかな?
俺としては、バード家を救うために発煙筒が欲しいだけなのだが、この世界に発煙筒はまだ無いし、作る必要性が無い世界でもあるんだよな。
「一瞬で終わらない物で、煙が色を持っていて、一時間ぐらい空にあがるような物が良いんだよね」
「……煙、色付き……でも、それだと魔物が寄ってくる危険性もある」
「そうだね。だから、魔物除けの出来る臭い煙とかが良いかなーって」
本から顔を出して、ベンガルがメガネに指を掛けたまま小さく唸る。
ボロボロのメモ用紙の束をベンガルが出し、パラパラとめくると探していたものがあったのか、静かに歩き出した。俺とルカリオンもその後に続き歩き出す。
騎士団長になる予定のヒルクスは、両手剣のパワー型。
天才魔術師予定のセインは、魔法攻撃のマジック型。
第二王子ディオンは、盾と剣のバランス型。
歩く王立図書館の蔵書と言われているベンガルは、魔道具使いという戦闘スタイルが一人異なるのだ。
しかもどのランクのカードもレベルを上げるごとに多彩な魔道具を使うため、ベンガルのカードに外れなし! と、言われているのである。
『ベンガルのエピソードは、子供の頃に資金繰りさえ良ければ、もっと魔道具を色々作れたのにっていうところね! 魔道具研究に夢中な父親に母親が愛想を尽かして、財産を持ち逃げしているからベンガルは、人を信じてないの。好感度は上がりにくいのを落とすのが、萌えポイントじゃない?』
姉がルカリオンの次に推していたのが、ベンガル・ロッシュだったのと、ベンガルの便利さに俺もデッキによく入れていたキャラクターだ。
つまり、子供の頃から魔道具作りをさせて、資金繰りを確保させておけば使えるキャラになる。
何より、ベンガルは好感度が上がりにくいから、二回会っただけで爆上がりする王族や他のキャラより安全性が高い。
「坊ちゃん、楽しそうですね」
一人含み笑いをしていたところをルカリオンに指摘され、咳払いをしてから図書館へと入った。
王都の図書館は、王立図書館の利用は十五歳以上からなので、この時点では図書館がベンガルの居る率が一番高い場所である。
図書館はゲームの中でも何回か使ったから、どこにベンガルが居るかも、お見通しだ。
「坊ちゃん、児童図書は一階ですよ?」
「俺の目的は、それじゃないから」
首を傾げるルカリオンの首元からチャリッと音がして、俺があげた回復魔石の首飾りが見える。
魔石の白色は回復魔術だと直ぐに分かるから、喉から手が出るほど欲しがる人間が多い。
本当ならば、隠しておいた方が良いのだろうけど、ドロッセル公爵家という後ろ盾がある為に襲われたり、奪われる事も無い。
公爵の貴族位を持っているのは、この国では王弟とバード家の三貴族だけ。
バード家は魔術師を多く輩出しているセインの家である。バード家はセインの両親が馬車の事故で亡くなってしまうから、幼いセインでは維持出来ず、親戚の手に渡ってしまい乗っ取られる。
フェルミナのバッドエンドと同じだ。
違うのは、セインはヒロインの協力の元、親戚の不正を暴く事で公爵の座に返り咲く事が出来る。
元々、セインが二十歳になれば公爵の座はセインの物なのだが、不正案件もそのまま引き継がれるため、ヒロインがセインに関わらずにいると、フェルミナが関わった不正も暴露されて仲良く投獄エンド。
冗談ではない! それだけは阻止したい! 不正にかかわる予定は無いつもりだけど、危険な芽は摘んでおきたい。だからこその、ベンガルが必要なのである!
「利用客が居ませんね」
「それはそうだろ。ここは主に空論の書物が多い場所だからな」
「空論、ですか?」
「まぁ……半分は、ってとこだな。人に想像できるものは、大抵いつかは完成させることが出来ると、どこかの偉い人が言ってた」
この世界には、ドワーフという機械作りに特化した種族に魔法があるから、合わせ技の物を『魔道具』と呼ぶ。でも、スマートフォンのような便利な道具はまだ無いし、中世ヨーロッパに童話のようなものが混在した感じだ。
むしろ簡単な物ほど後回しで、武器のような危ない物ほど出回りやすい。
ベンガルは後者にあたるわけだけど、ベンガルとの好感度を上げて行けば、彼は本当は人の役に立つ道具を作りたかったという話が聞ける。
武器を作った経緯としては、利益が一番よく出るのが武器だったから……というものだ。
そして、そんな夢を見ている少年時代が、目の前に居る。
「ベンガル・ロッシュだよね? こんにちは」
分厚い本から少しだけ顔を上げ、メガネを指で上げて再び視線は本へ移る。
日記での好感度も五パーセントと、誰よりも低い。やはり安心安全のベンガルだ。
「君に作って欲しい物があって声を掛けたのだけど、聞いてもらえる?」
「玩具なら、金で買いなよ」
子供なのにドスの利いた低い声、これは手強そうだ。
ついでに言えば、後ろの従者が殺気立っているので、前後共に気を抜いたらゲームオーバーしそう。
「玩具ではなく、馬車が事故に遭った時に周りが森や平地だとして、緊急連絡を空に打ち上げる魔道具……そういう物を作りたいんだよね」
「それは……無理。打ち上げたところで、見ている人が居なきゃ一瞬で終わる」
少しだけ興味を持ってくれたかな?
俺としては、バード家を救うために発煙筒が欲しいだけなのだが、この世界に発煙筒はまだ無いし、作る必要性が無い世界でもあるんだよな。
「一瞬で終わらない物で、煙が色を持っていて、一時間ぐらい空にあがるような物が良いんだよね」
「……煙、色付き……でも、それだと魔物が寄ってくる危険性もある」
「そうだね。だから、魔物除けの出来る臭い煙とかが良いかなーって」
本から顔を出して、ベンガルがメガネに指を掛けたまま小さく唸る。
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