悪役令嬢ポジションが俺で、回復魔法がキスな件!?

ろいず

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一章 悪役令嬢フェルミナ・ドロッセル

攻略対象%

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 おかしな文字を見付けて悲鳴をあげたのは、第一王子毒殺未遂事件から一週間経ってからだった。
 フェルミナの日記を何気なく読んでいたところ、あってはいけない名前を見付けてしまった。
 ラローシュの名前と好感度の数値六十五パーセント……

「うぎゃあぁぁぁ!!」

 嘘だろ!? 攻略対象外なのに、生存させると攻略対象になるのかよっ!!
 そんなバカな……ラローシュは攻略対象外だから、大丈夫だと思って近づいたのに、とんでもなかった!
 しかもラローシュに関しては、カードなんてあるはずもない。
 戦闘能力に関しては使える奴なのかどうかも分からない! むしろ、第一王子を連れまわすとか無理だろ。いやいや絶対、無理だからな!?
 頭の中で激しくツッコミを入れている間に、部屋に「坊ちゃん! どうしました!」と駆け込んでくるルカリオンを見て、日記に目を落とす。

 ルカリオンの好感度百二十パーセントぉぉぉ……もうこれ、エンディングパロメーターぶっちぎりしているんですが? 普通に百までの数値なのに、なんで百二十パーセントもあるんだよ……

「俺、もう絶対……ラロには近づかねぇ……」
「よくわかりませんが、その意見には賛成です!」

 うん、俺の従者はハッキリした意見をしてくれるけど、お前も危険人物だ。
 まぁ、十八歳未満の今のうちは安全……だよな? 乙女ゲームだもんな? ねっ! と、誰に言うでもなく心の中で同意を求めてしまう。

「それはそうと、坊ちゃん。先ほど、ステルダント侯爵家からお茶会のお誘いがありましたよ。物騒な『練習場に来いよ』という文が添えてありましたが」
「あー、そういえばゴタついてて忘れてたけど、ヒルクスの所で回復魔法のレベル上げをしようと思ってたんだよな」
「坊ちゃんは、体調が悪いという事で……断っておきましょう」
「こらこら。人を病人に仕立て上げるな」

 ルカリオンをたしなめつつ、招待状の開催日を聞き予定を決めて、招待に応じる手紙を書く。ここでもルカリオンが良い顔はしないが、回復魔法のレベル上げと同時に自分の体力も付けておかないと、いざという時に逃げられないのは困るんだよな。
 実は、自分に回復魔法は掛けられないからだ。
 ゲームでもヒロインは回復回数を選択するだけで、デッキの攻略対象達が自動で攻撃をしていた。そこで問題……リアルの戦闘経験ゼロの俺はどうなる? という話である。
 少しでも体力をつける! これが俺に出来る精一杯の悪あがきみたいなものだ。
 
「ルカリオン。手紙を出してもらって。あと、今日の予定通り『図書館』に行くぞ」
「はい。かしこまりました……はぁー……」

 やれやれ。往生際の悪いオオカミである。
 ルカリオンに手紙を出してもらっている間、じっくり日記の考察をしておく。
 第二王子のディオンは、五パーセントくらいだったんだが……なんで、こいつまで上がってんの? 二十五パーセントって何だこれぇ。
 
「これはアレか? ラロを助けたから好感度が上がったのか」

 でも、あのお兄ちゃん大好きっ子だ。もう上がることは無いだろう。むしろ、王族には関わらずに生きていきたい。ヒロイン、喜べ。王子様が二人も攻略対象だから、譲ってあげよう。全力で!!

「ヒルクスとセインは、誕生日の時と変わらずに十パーセントだな。……って、なんで今上がった!?」

 日記の数字が十パーセントから、ニ十パーセントになったんだが? え? この日記壊れてる! 壊れてるだろ!
 バンッと、日記を拳で叩くとルカリオンが部屋に戻ってきて、「手紙を出してもらいましたよ」と報告した。
 手紙で、茶会に行くって返事を出したからか!! こういうところだけ素早いゲーム対応だな。セインも上がったという事は、セインも茶会に参加するという事か……ああ、俺は自分から茨の道に入り込んでないか?

「坊ちゃん?」
「やっぱり、茶会は行くべきじゃない……はぅぅっ」
「えーと、欠席にしますか?」
「いや、一応会わなきゃいけない用事もあるから、このままでいい……」
「はぁ、坊ちゃんがそれで良いのでしたら、わたしも何も言いませんけど」

 そう、ヒルクスはともかく、セインには会う予定を付けなきゃいけなかったから、ヒルクスにセインとの繋ぎを頼もうとしていた訳だけど、茶会にセインが来るなら俺の目的は果たされる。
 そして、セインのために出会うべき人物が、今から行く『図書館』に居るのだ。
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