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二章 学園生活
近くて遠い壁
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ヒロインに必要な物、それは回復魔術と見た目の良さに、コミュニケーション能力だろうか。
二葉ちゃんを孤児院から伯父であるテレシアさんの所へ引き取ってもらい、俺の魔道具で稼いだお金で爵位を買う予定だったのだけど、セインのご両親が公爵家の養女として迎え入れてくれることになった。
昔助けた恩返しなのだろう。人助けはするものだ。
テレシアさんは『アタシのところで育てるより、マシでしょうね』と笑って承諾。
これで平民から貴族、しかも公爵家の後ろ盾が手に入ったから、二葉ちゃんには悪役令嬢になっているアリシャも歯向かう事は無いはずだ。
アリシャは侯爵令嬢、二葉ちゃんは公爵令嬢、身分が上になったわけだしね。
「二葉ちゃん、大学の勉強覚えてないの?」
「何十年前だと思っているのよ~」
二葉ちゃんも俺も理系の大学で、薬品の扱いをしていたから、薬剤学も得意だと思ったのに……遠い昔過ぎて、一から勉強し直すしかないらしい。
可愛らしい白と薄い桃色で彩られた部屋には、俺と二葉ちゃんだけ。
机に向かって「ぁぁぁ!」と小さく叫ぶ二葉ちゃんに、「頑張ろう」と声を掛けて乳鉢に薬草を入れていく。
二葉ちゃんの髪はまだ真っ白で、直ぐに戻る物でも無いらしく、今は俺が使っていたカツラをしている。
「ミナちゃん、フェル、おやつはどう?」
扉が開くと、セインが手にはホールのフルーツケーキを持って顔を覗かせる。
「セインお義兄様~っ」
「二葉ちゃん……もう、勉強が中途半端なのに。セイン、甘やかしすぎだからね」
「だって、ボクは妹が欲しかったんだもの。甘やかさないわけがない」
ウインクをしてセインは、二葉ちゃんの頬にキスをして、俺の頬にもキスをするとテーブルの上にケーキを置く。
パーラーメイドがティーセットをワゴンで持ってくると、二葉ちゃんは机からテーブルの方へ移動してしまった。
今日の勉強はここまでのようだ。
バード家へ引き取られた二葉ちゃんに、多少の作法と勉強を教えるため、こうして俺は土日の休みを利用したり、放課後にバード家を行ったり来たりしていて、セインは瞬間移動魔法を使えるようになったから、一緒に来てくれている。
「やっぱり、ミナちゃんは可愛いなぁ」
「もっと褒めてくれていいですよ。お義兄様」
「……二葉ちゃん、気持ち悪ッ」
「なんですって! ミカのくせに生意気!」
セイン、残念ながら二葉ちゃんは『妹』にしても、『姉』属性寄りの残念な妹だよ。
すっかり、昔の二葉ちゃんに戻ってしまったから、遠慮が無い。
「それにしても、相変わらず二人は、ミカとフタバ呼びなんだね」
セインがお茶を口にしながら、俺たちを交互に見る。
いい加減、名前を今のフェルミナとミナに固定すべきだとは思っているけど、二十年もお互いに言い合っていた呼び名を、今更変えてしまうのも抵抗があるのだ。
「ふふっ、私たちの仲の良さに嫉妬ですか? お義兄様」
「可愛い二人が、可愛い事をしているなぁって」
「セイン……俺に可愛いって言うな」
「えーっ、ミカは可愛いよ!」
「そうだよ。フェルは可愛い!」
くっ、このダメ義兄妹め!
ニマニマと俺を揶揄う気満々な二人にそっぽを向いて、ケーキを口に運ぶ。
季節柄、メロンが多く載っているケーキで、見た目ほど甘くなくサッパリしている。
紅茶を口に含んで、合わないな……と、飲む手が止まってしまう。
「やっぱり、ルカリオンの淹れるお茶が一番だとか、思っている?」
「そんなんじゃ、ない」
セインは一言多い。
二葉ちゃんは、チラッと横目で視線を投げかけてくる。
あれからルカリオンとは、すれ違う生活をしていて、停学から復帰したものの、勉強に追われていたり、生徒会の仕事で走り回っていたりと、ルカリオンは忙しそうだ。
俺はフェルミナに戻って、ミナは病気で一ヵ月ほど休学という事にしたり、学園側に生徒を途中入学させるために、走り回ったりしていたから、お互いに時間なんてない。
壁一枚、ドアを開けば隣に居るのに、声すらかけられないまま時だけが過ぎていく。
いつまで、こんなに苦しい思いを抱えなければいけないのだろうか?
二葉ちゃんを孤児院から伯父であるテレシアさんの所へ引き取ってもらい、俺の魔道具で稼いだお金で爵位を買う予定だったのだけど、セインのご両親が公爵家の養女として迎え入れてくれることになった。
昔助けた恩返しなのだろう。人助けはするものだ。
テレシアさんは『アタシのところで育てるより、マシでしょうね』と笑って承諾。
これで平民から貴族、しかも公爵家の後ろ盾が手に入ったから、二葉ちゃんには悪役令嬢になっているアリシャも歯向かう事は無いはずだ。
アリシャは侯爵令嬢、二葉ちゃんは公爵令嬢、身分が上になったわけだしね。
「二葉ちゃん、大学の勉強覚えてないの?」
「何十年前だと思っているのよ~」
二葉ちゃんも俺も理系の大学で、薬品の扱いをしていたから、薬剤学も得意だと思ったのに……遠い昔過ぎて、一から勉強し直すしかないらしい。
可愛らしい白と薄い桃色で彩られた部屋には、俺と二葉ちゃんだけ。
机に向かって「ぁぁぁ!」と小さく叫ぶ二葉ちゃんに、「頑張ろう」と声を掛けて乳鉢に薬草を入れていく。
二葉ちゃんの髪はまだ真っ白で、直ぐに戻る物でも無いらしく、今は俺が使っていたカツラをしている。
「ミナちゃん、フェル、おやつはどう?」
扉が開くと、セインが手にはホールのフルーツケーキを持って顔を覗かせる。
「セインお義兄様~っ」
「二葉ちゃん……もう、勉強が中途半端なのに。セイン、甘やかしすぎだからね」
「だって、ボクは妹が欲しかったんだもの。甘やかさないわけがない」
ウインクをしてセインは、二葉ちゃんの頬にキスをして、俺の頬にもキスをするとテーブルの上にケーキを置く。
パーラーメイドがティーセットをワゴンで持ってくると、二葉ちゃんは机からテーブルの方へ移動してしまった。
今日の勉強はここまでのようだ。
バード家へ引き取られた二葉ちゃんに、多少の作法と勉強を教えるため、こうして俺は土日の休みを利用したり、放課後にバード家を行ったり来たりしていて、セインは瞬間移動魔法を使えるようになったから、一緒に来てくれている。
「やっぱり、ミナちゃんは可愛いなぁ」
「もっと褒めてくれていいですよ。お義兄様」
「……二葉ちゃん、気持ち悪ッ」
「なんですって! ミカのくせに生意気!」
セイン、残念ながら二葉ちゃんは『妹』にしても、『姉』属性寄りの残念な妹だよ。
すっかり、昔の二葉ちゃんに戻ってしまったから、遠慮が無い。
「それにしても、相変わらず二人は、ミカとフタバ呼びなんだね」
セインがお茶を口にしながら、俺たちを交互に見る。
いい加減、名前を今のフェルミナとミナに固定すべきだとは思っているけど、二十年もお互いに言い合っていた呼び名を、今更変えてしまうのも抵抗があるのだ。
「ふふっ、私たちの仲の良さに嫉妬ですか? お義兄様」
「可愛い二人が、可愛い事をしているなぁって」
「セイン……俺に可愛いって言うな」
「えーっ、ミカは可愛いよ!」
「そうだよ。フェルは可愛い!」
くっ、このダメ義兄妹め!
ニマニマと俺を揶揄う気満々な二人にそっぽを向いて、ケーキを口に運ぶ。
季節柄、メロンが多く載っているケーキで、見た目ほど甘くなくサッパリしている。
紅茶を口に含んで、合わないな……と、飲む手が止まってしまう。
「やっぱり、ルカリオンの淹れるお茶が一番だとか、思っている?」
「そんなんじゃ、ない」
セインは一言多い。
二葉ちゃんは、チラッと横目で視線を投げかけてくる。
あれからルカリオンとは、すれ違う生活をしていて、停学から復帰したものの、勉強に追われていたり、生徒会の仕事で走り回っていたりと、ルカリオンは忙しそうだ。
俺はフェルミナに戻って、ミナは病気で一ヵ月ほど休学という事にしたり、学園側に生徒を途中入学させるために、走り回ったりしていたから、お互いに時間なんてない。
壁一枚、ドアを開けば隣に居るのに、声すらかけられないまま時だけが過ぎていく。
いつまで、こんなに苦しい思いを抱えなければいけないのだろうか?
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