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9章
悪い虫(番外編)
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__ありす宅。
リロノス・ディア・ロードミリオンの大切な物は2つ。
大事な一人娘リリス・ディア・ロードミリオン。
番のアリス・ディア・ロードミリオン。
この2つだけ。
他に何か望むものは無い。
2人が笑って毎日を過ごしてくれたらそれだけで充分に満ち足りている。
リリスの金色の髪は毎日、アリスがお揃いの髪飾りとヘアスタイルで母子でペアを決めている。
リロノスそっくりの白い角は象牙の様で丸く外側から内側に向いて伸びている。
ダークパープルの目はアリスに似ていて、それがとても可愛いとリロノスは思っている。
少し引っ込み思案な所もあるが、自慢の娘なのだ。
生まれた時から一緒に育っている【刻狼亭】の当主の息子達リュエールとシュトラールはリリスを妹の様に可愛がっていて、そこに恋愛感情は無く、父親としても遊び相手として一緒に居る事に安心できる子供達だ。
平穏無事な毎日のはずなのに、夕飯が終わり、そろそろ寝ようかとベッドに入った時、不穏な事をアリスが口にした。
「リロっち。リリちゃんが『恋』しちゃったかもしれないっしょ」
「はぁああ?!!!」
リロノスが思わず出した大声にありすが目を丸くした後、クスクス笑う。
「リロっち、大袈裟っしょ。女の子は普通に『恋』するのは早いんだから!」
「ちょっ、えっ?アリス、リリスにそんな相手この温泉大陸に居るはずが、ない、よね?」
「ちなみに相手はうちらも会った事がある人っしょ」
「え?!誰?!アリスは何で笑ってられるの?!」
心当たりなんてない。
知り合い・・・頭の中で思い浮かぶ人物とリリスの今までの反応を思い出しながら、こいつは違うアイツも違うと記憶を手繰り寄せていく。
「アリス、それで誰なの?」
「それは秘密っしょ。リリちゃんが恥ずかしがったら可哀想だし」
「いやいや、アリス。リリスはまだ小さいんだよ?!」
「小さくても『恋』はするっしょ?しかも『初恋』甘酸っぱい~」
ありすがベッドの上で枕を抱きしめて「キャー」と騒いでいる。
リロノスは別の意味で騒ぎたい・・・。
うちの娘に悪い虫がつくなんて冗談じゃない!!!
ロードミリオン家の夜はこうしてお互いの騒ぎたい気持ちだけを増幅させて更けていった。
__朱里宅。
朱里がベッドの脇にある鏡台で髪を梳かしながら、ベッドの上で眼鏡を掛けたまま本を読んでいるルーファスに話しかける。
「リリスちゃんの『初恋』だよ。何だか自分の娘の様で胸が騒ぐね!」
「やれやれ、アカリもアリスも騒ぎすぎじゃないか?まだ番かどうかも判明しない時期に騒いでもどうしようもないだろう?」
「だって、番ってわかるのって10歳超えた辺りのフェロモンが出始めた時期からしか分からないなら、これは番以外の『恋』を自分で見つけたって事だよ?素敵じゃない?それにもしこれが本当に番だったらロマンチック!」
ルーファスが本を閉じて、櫛を手に持ち小さく振っている朱里に手招きする。
櫛を鏡台に置き、ルーファスの横に座る。
「番自体が運命みたいなものだろう?アカリは番だった事が嫌か?」
「ううん。ルーファスと番で良かったよ。それはそれ。これはこれ」
朱里が見えない箱を移動させるジェスチャーをしながら「微笑ましいよねー」と笑っている。
「アカリ、そろそろ子供達も手が掛からなくなってきたし、今年の蜜籠りで女の子でも作るか?」
「ふふ。女の子が出来るとは限らないよ?まぁ、リリスちゃん見てると女の子欲しいなって思うけどね」
「なら、今年は製薬部隊の露店で色々買っておかないとな」
「それはやめよう!それは手を出しちゃいけない!」
ブンブンと朱里が首を左右に振り両手でバツ印を作る。
朱里とは逆にルーファスの尻尾がブンブンと左右に揺れて嬉しそうだ。
「もし娘が出来たらルーファス、娘の初恋がこんなに早いのショック受けない?」
朱里の言葉にルーファスの尻尾がボンッと膨らむ。
「・・・そんな悪い虫は駆除するに決まっているだろう!!」
グルルルと喉を鳴らすルーファスに苦笑いしながら、双子が生まれる前は子供への接し方が分からないと言い、自分の父親の様にはならないと、言っていたのに、何だかんだで子煩悩なお父さんになったなぁと、朱里は思う。
「今年もいつも通り、子供が出来たらいいなぁって感じで過ごしましょう。それに、そろそろ約束を果たしに行きたいし」
「約束?何か約束事をしていたか?」
「リューちゃんとシューちゃんがお腹にいるのがまだ判ってなかった無かった時に『温かくなったら一緒に冒険者ランクを上げに狩りに行こう』って言ったじゃない?あの後、妊娠が判って行けなくて・・・その後も忙しかったでしょ?だから、来年こそは行きたいなって」
ルーファスが「しまった」と言わんばかりの顔をして朱里に土下座の様にして頭を朱里の太腿に埋める。
「すまない!約束をしていたことを忘れていた!」
「ふふ。私は毎年、春ごろになると思い出してたけど、子供が小さいから諦めてたの。でも、そろそろ手が掛からない頃だってルーファスが言うならいいかなって」
「明日にでも、直ぐに行こう!」
「ルーファス、落ち着きましょうね?」
「番との約束を忘れるなんて!」と、ルーファスが騒ぎ、朱里は朱里で「これで製薬部隊の怪しいポーションやローションの事は忘れたかな?」とニンマリする。
後にルーファスが「悪い虫を駆除しに行く」と、騒ぐのはもう少し後の事。
リロノス・ディア・ロードミリオンの大切な物は2つ。
大事な一人娘リリス・ディア・ロードミリオン。
番のアリス・ディア・ロードミリオン。
この2つだけ。
他に何か望むものは無い。
2人が笑って毎日を過ごしてくれたらそれだけで充分に満ち足りている。
リリスの金色の髪は毎日、アリスがお揃いの髪飾りとヘアスタイルで母子でペアを決めている。
リロノスそっくりの白い角は象牙の様で丸く外側から内側に向いて伸びている。
ダークパープルの目はアリスに似ていて、それがとても可愛いとリロノスは思っている。
少し引っ込み思案な所もあるが、自慢の娘なのだ。
生まれた時から一緒に育っている【刻狼亭】の当主の息子達リュエールとシュトラールはリリスを妹の様に可愛がっていて、そこに恋愛感情は無く、父親としても遊び相手として一緒に居る事に安心できる子供達だ。
平穏無事な毎日のはずなのに、夕飯が終わり、そろそろ寝ようかとベッドに入った時、不穏な事をアリスが口にした。
「リロっち。リリちゃんが『恋』しちゃったかもしれないっしょ」
「はぁああ?!!!」
リロノスが思わず出した大声にありすが目を丸くした後、クスクス笑う。
「リロっち、大袈裟っしょ。女の子は普通に『恋』するのは早いんだから!」
「ちょっ、えっ?アリス、リリスにそんな相手この温泉大陸に居るはずが、ない、よね?」
「ちなみに相手はうちらも会った事がある人っしょ」
「え?!誰?!アリスは何で笑ってられるの?!」
心当たりなんてない。
知り合い・・・頭の中で思い浮かぶ人物とリリスの今までの反応を思い出しながら、こいつは違うアイツも違うと記憶を手繰り寄せていく。
「アリス、それで誰なの?」
「それは秘密っしょ。リリちゃんが恥ずかしがったら可哀想だし」
「いやいや、アリス。リリスはまだ小さいんだよ?!」
「小さくても『恋』はするっしょ?しかも『初恋』甘酸っぱい~」
ありすがベッドの上で枕を抱きしめて「キャー」と騒いでいる。
リロノスは別の意味で騒ぎたい・・・。
うちの娘に悪い虫がつくなんて冗談じゃない!!!
ロードミリオン家の夜はこうしてお互いの騒ぎたい気持ちだけを増幅させて更けていった。
__朱里宅。
朱里がベッドの脇にある鏡台で髪を梳かしながら、ベッドの上で眼鏡を掛けたまま本を読んでいるルーファスに話しかける。
「リリスちゃんの『初恋』だよ。何だか自分の娘の様で胸が騒ぐね!」
「やれやれ、アカリもアリスも騒ぎすぎじゃないか?まだ番かどうかも判明しない時期に騒いでもどうしようもないだろう?」
「だって、番ってわかるのって10歳超えた辺りのフェロモンが出始めた時期からしか分からないなら、これは番以外の『恋』を自分で見つけたって事だよ?素敵じゃない?それにもしこれが本当に番だったらロマンチック!」
ルーファスが本を閉じて、櫛を手に持ち小さく振っている朱里に手招きする。
櫛を鏡台に置き、ルーファスの横に座る。
「番自体が運命みたいなものだろう?アカリは番だった事が嫌か?」
「ううん。ルーファスと番で良かったよ。それはそれ。これはこれ」
朱里が見えない箱を移動させるジェスチャーをしながら「微笑ましいよねー」と笑っている。
「アカリ、そろそろ子供達も手が掛からなくなってきたし、今年の蜜籠りで女の子でも作るか?」
「ふふ。女の子が出来るとは限らないよ?まぁ、リリスちゃん見てると女の子欲しいなって思うけどね」
「なら、今年は製薬部隊の露店で色々買っておかないとな」
「それはやめよう!それは手を出しちゃいけない!」
ブンブンと朱里が首を左右に振り両手でバツ印を作る。
朱里とは逆にルーファスの尻尾がブンブンと左右に揺れて嬉しそうだ。
「もし娘が出来たらルーファス、娘の初恋がこんなに早いのショック受けない?」
朱里の言葉にルーファスの尻尾がボンッと膨らむ。
「・・・そんな悪い虫は駆除するに決まっているだろう!!」
グルルルと喉を鳴らすルーファスに苦笑いしながら、双子が生まれる前は子供への接し方が分からないと言い、自分の父親の様にはならないと、言っていたのに、何だかんだで子煩悩なお父さんになったなぁと、朱里は思う。
「今年もいつも通り、子供が出来たらいいなぁって感じで過ごしましょう。それに、そろそろ約束を果たしに行きたいし」
「約束?何か約束事をしていたか?」
「リューちゃんとシューちゃんがお腹にいるのがまだ判ってなかった無かった時に『温かくなったら一緒に冒険者ランクを上げに狩りに行こう』って言ったじゃない?あの後、妊娠が判って行けなくて・・・その後も忙しかったでしょ?だから、来年こそは行きたいなって」
ルーファスが「しまった」と言わんばかりの顔をして朱里に土下座の様にして頭を朱里の太腿に埋める。
「すまない!約束をしていたことを忘れていた!」
「ふふ。私は毎年、春ごろになると思い出してたけど、子供が小さいから諦めてたの。でも、そろそろ手が掛からない頃だってルーファスが言うならいいかなって」
「明日にでも、直ぐに行こう!」
「ルーファス、落ち着きましょうね?」
「番との約束を忘れるなんて!」と、ルーファスが騒ぎ、朱里は朱里で「これで製薬部隊の怪しいポーションやローションの事は忘れたかな?」とニンマリする。
後にルーファスが「悪い虫を駆除しに行く」と、騒ぐのはもう少し後の事。
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