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9章
氷竜と嫁
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氷竜グリムレインが6メートルの体を朱里の店の前で体を丸めて鱗を甲羅干しをしていると、朝食後から姿が見えなかった朱里が戻ってきていた。
「嫁、帰って来たのか」
「ただいま。グリムレイン、あなたに聞いておきたいことがあるの」
「なんだ?我の好物を聞いて作ってくれるのか?」
「食いしん坊だねぇ。そうじゃなくて、グリムレインを襲った魔術師について話を聞きたいの」
グリムレインが首だけ動かして朱里の顔の近くに自分の顔を持って行くと、クルクルと喉を鳴らしてスリつく。
「我を襲った魔術師の話に興味があるのか?我の敵討ちか?うん?」
「あのね、温泉大陸にグリムレインを襲った魔術師が入ろうとしてたみたいなの。今回はグリムレインじゃない人を襲う為に来たみたいなんだけど・・・」
パシンと、グリムレインの尻尾が地面を叩き、不機嫌そうに立ち上がる。
「そいつは今、何処に居るんだ?」
「分からないよ。ただ事前情報は大事なので聞いておこうと思って」
「嫁よ。嫁の細腕では一戦交えるなど無理だぞ?」
「私は戦わないよ?むしろなんで戦えると思うの?!無理だからね?」
「我を守るのは嫁の仕事であろう?」
「え?普通はグリムレインが私を守ってくれるものじゃないの?」
グリムレインが首を傾げ、朱里が首を振る。
フハハハと、笑いながらグリムレインが人型になり、小さくて表情がコロコロ変わる可愛い主に目を細める。
主君契約で繋がっている為に朱里を守る為ならば、大陸の一つや二つ凍らせる事は出来るが、きっと朱里に「直ぐに戻しなさーい!」と怒られるのだろうと思う。
「嫁は我の力を悪用しないからなぁ・・・」
「ん?何か言いました?」
「いや。今の我は嫁がいるから負ける気はせんから、魔術師の一人や二人探し出して氷漬けにするか?」
「探し出せるんですか?」
「簡単だ。我を囮に使えばいい」
きょとんとした顔をした後で朱里が丸い目をさらに丸くしてグリムレインを見上げる。
「何言ってるの!駄目!危ない事はしちゃ駄目!」
「しかし、他の奴を追っていると言っても、前の標的は我だったのだから、我が近隣の島で暴れたらくるだろ?」
「でもグリムレインはボコボコにされて温泉大陸前の海に落ちたじゃない!」
「我は別に魔術師にボコボコにされたのではない!」
心外だ!と、グリムレインは顔をプイッと背ける。
「あれは我の氷が跳ね返っただけで、我自身の力が強すぎたのだ!」
「意味がわかんないよ?」
朱里が首をひねると、グリムレインが「ソレだ」朱里の胸元を指でツンツンと突く。
カツカツと音がし、朱里が首から下げている魔獣クロから貰った魔法反射のネックレスを取り出す。
「魔法反射されたの?」
「そうだ。嫁と同じくらいの物らしくてな。小さくて質の悪い物なら我の氷で押し切れたのだが、嫁と同じクラスの石は我でも反射されるとボコボコになるのだ。自分の攻撃で弱ったところに呪詛を撃たれただけなのだ」
「なら、今回もボコボコにされちゃうじゃない。駄目だよ無理したら」
「何の為に我が5年も大人しくこの大陸に居たと思う?」
「私が居るから?」
「それもあるが、嫁の魔獣に魔法反射の石を作らせていたのだ」
グリムレインが真っ赤な猫目石のついた金色の腕輪を朱里に見せる。
その石も腕輪も見覚えがある。
クロの石なのは確かだが、腕輪はルーファスと朱里も同じような物を持っている。
「これ、もしかして・・・【風雷商】さんの品?」
「うむ。ここに出入りしている商人に注文して作った物だ。婿に金は出してもらったぞ」
「え?私聞いていませんよ?」
「嫁の婿は我の婿の様な物だからな」
なんというジャイアニズム・・・嫁の物はオレの物ですか?!
朱里が心の中で突っ込みを入れながら得意げな顔をしているグリムレインに困った従者と旦那様ねと、笑う。
しかし、グリムレインを危険な目に合わせるわけにもいかないし・・・。
かといって、イルマール達を追って来た魔術師が温泉大陸へ入ってきて戦闘にでもなったら、子供達が心配だし・・・。
「私、私もグリムレインについていきます!」
グリムレインが首をかしげて朱里を見る。
その表情は「何言ってんだこいつ?」という様な顔をしている。
「嫁を温泉大陸外に連れ出すと婿が半狂乱で怒る」
「大丈夫です!腕輪で伝えますから!」
「駄目だ。我は今回は魔法反射があるから負けん」
「コラ。アカリ何言ってるんだ。駄目に決まっているだろう」
言い合いをしている2人の元へ獣化した双子を抱えてルーファスが帰って来た。
双子の耳がぺしゃりと下がり、尻尾は股に挟まっている。
崖道を使った事でガッツリお説教コースで罰として毎日魔力が尽きるまで、温泉鳥の治療をする様に言いつけられたのだった。
空気を読む温泉鳥達は今日も元気に木に登り、どんくさいが為に木から落ち、双子の手を休ませてはくれなかったらしい。
「グリムレインに面通ししてほしい奴が居るから呼びに来たら、アカリはまったく・・・」
地面に双子を降ろし、ルーファスが小さく溜息を吐く。
「嫁、帰って来たのか」
「ただいま。グリムレイン、あなたに聞いておきたいことがあるの」
「なんだ?我の好物を聞いて作ってくれるのか?」
「食いしん坊だねぇ。そうじゃなくて、グリムレインを襲った魔術師について話を聞きたいの」
グリムレインが首だけ動かして朱里の顔の近くに自分の顔を持って行くと、クルクルと喉を鳴らしてスリつく。
「我を襲った魔術師の話に興味があるのか?我の敵討ちか?うん?」
「あのね、温泉大陸にグリムレインを襲った魔術師が入ろうとしてたみたいなの。今回はグリムレインじゃない人を襲う為に来たみたいなんだけど・・・」
パシンと、グリムレインの尻尾が地面を叩き、不機嫌そうに立ち上がる。
「そいつは今、何処に居るんだ?」
「分からないよ。ただ事前情報は大事なので聞いておこうと思って」
「嫁よ。嫁の細腕では一戦交えるなど無理だぞ?」
「私は戦わないよ?むしろなんで戦えると思うの?!無理だからね?」
「我を守るのは嫁の仕事であろう?」
「え?普通はグリムレインが私を守ってくれるものじゃないの?」
グリムレインが首を傾げ、朱里が首を振る。
フハハハと、笑いながらグリムレインが人型になり、小さくて表情がコロコロ変わる可愛い主に目を細める。
主君契約で繋がっている為に朱里を守る為ならば、大陸の一つや二つ凍らせる事は出来るが、きっと朱里に「直ぐに戻しなさーい!」と怒られるのだろうと思う。
「嫁は我の力を悪用しないからなぁ・・・」
「ん?何か言いました?」
「いや。今の我は嫁がいるから負ける気はせんから、魔術師の一人や二人探し出して氷漬けにするか?」
「探し出せるんですか?」
「簡単だ。我を囮に使えばいい」
きょとんとした顔をした後で朱里が丸い目をさらに丸くしてグリムレインを見上げる。
「何言ってるの!駄目!危ない事はしちゃ駄目!」
「しかし、他の奴を追っていると言っても、前の標的は我だったのだから、我が近隣の島で暴れたらくるだろ?」
「でもグリムレインはボコボコにされて温泉大陸前の海に落ちたじゃない!」
「我は別に魔術師にボコボコにされたのではない!」
心外だ!と、グリムレインは顔をプイッと背ける。
「あれは我の氷が跳ね返っただけで、我自身の力が強すぎたのだ!」
「意味がわかんないよ?」
朱里が首をひねると、グリムレインが「ソレだ」朱里の胸元を指でツンツンと突く。
カツカツと音がし、朱里が首から下げている魔獣クロから貰った魔法反射のネックレスを取り出す。
「魔法反射されたの?」
「そうだ。嫁と同じくらいの物らしくてな。小さくて質の悪い物なら我の氷で押し切れたのだが、嫁と同じクラスの石は我でも反射されるとボコボコになるのだ。自分の攻撃で弱ったところに呪詛を撃たれただけなのだ」
「なら、今回もボコボコにされちゃうじゃない。駄目だよ無理したら」
「何の為に我が5年も大人しくこの大陸に居たと思う?」
「私が居るから?」
「それもあるが、嫁の魔獣に魔法反射の石を作らせていたのだ」
グリムレインが真っ赤な猫目石のついた金色の腕輪を朱里に見せる。
その石も腕輪も見覚えがある。
クロの石なのは確かだが、腕輪はルーファスと朱里も同じような物を持っている。
「これ、もしかして・・・【風雷商】さんの品?」
「うむ。ここに出入りしている商人に注文して作った物だ。婿に金は出してもらったぞ」
「え?私聞いていませんよ?」
「嫁の婿は我の婿の様な物だからな」
なんというジャイアニズム・・・嫁の物はオレの物ですか?!
朱里が心の中で突っ込みを入れながら得意げな顔をしているグリムレインに困った従者と旦那様ねと、笑う。
しかし、グリムレインを危険な目に合わせるわけにもいかないし・・・。
かといって、イルマール達を追って来た魔術師が温泉大陸へ入ってきて戦闘にでもなったら、子供達が心配だし・・・。
「私、私もグリムレインについていきます!」
グリムレインが首をかしげて朱里を見る。
その表情は「何言ってんだこいつ?」という様な顔をしている。
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「大丈夫です!腕輪で伝えますから!」
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