黒狼の可愛いおヨメさま

ろいず

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13章

コーデンからの移動

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 熱も下がり、体調も万全でギルドに朱里が顔を出すと冬場は冒険者が別の国へ行ってほとんど居ないアンギーテンのコーデン支部に冒険者が集まっていた。

「おはようございます。凄い人ですね?」

 ミンクを見付けて朱里が声を掛ければ、ミンクが朱里の腕を掴んで急いで冒険者ギルドの事務所の方へ朱里を連れて行く。
 ルーファス達が低く唸り声を上げながら付いていくと、ミンクが困り果てた表情でルーファス達に「シーッ」と指を立てる。

「デンシャクさんを捕えた事でミヤ実技官の名前が冒険者ギルドの各地に情報として載りまして、A+ランクの竜人相手にCランクが勝った上に犯罪を暴いたという事で、ミヤ実技官をパーティーへスカウトしに来た冒険者が押し寄せているんです」
「ええー・・・あの人達全員ですか?」
「全員です。中にはミヤ実技官のランクを疑っている方もいますので、決闘を申し込まれたりする場合もあります。危険ですので早めにお知らせしたかったのですが、職員も尾行されていまして、お知らせが遅くなり申し訳ありません」
 どうしよう?と、ルーファスに目配せをしたら、ルーファスがスカートを口で引っ張ってくる。
しゃがんで顔を近づけると耳元で「オレ達が居ると余計に目立つ。幻惑を使ってオレ達を人型に見せているとでも言ってここから脱出しよう」と言い、頷くとルーファスがリュエール達を毛づくろいする振りをしながら耳打ちしていく。

「ランク剥奪実技官としての最後のお仕事はどうなりますか?」
「それなんですが、この状態ですから宿がバレるとミヤさんも危険ですから、待ち合わせ場所を決めましょう。このコーデンの街の先にエクルドという街があるんですが、そこに『ピーナ』というお菓子の専門店があるんです。お恥ずかしながら、私の妻が営んでいる店でして、そこで待ち合わせでも良いでしょうか?」
「わぁ、お菓子屋さんなんて素敵ですね。では『ピーナ』で待ち合わせですね。私は幻惑魔法で魔獣を人型に見せて脱出しますので、後程お会いしましょう」

 ミンクが「え?」と言った時には、朱里が杖を適当に振って「幻惑」と言い、ルーファス達が人型に戻る。

「うわっ・・・凄いですね・・・」
「ふふっ。では」

 ルーファスが朱里を抱き上げると裏口のドアから先にリュエールとシュトラールが冒険者ギルドを出る。
少し時間をおいてから、朱里とルーファスも出ていく。

「ルーファス、結構ドキドキしますね」
「クククッ。どうせならオレと一緒の時にだけドキドキしておけ」
「それはいつでもしていますよ。ふふーっ」
「んーっ。オレの番が可愛い」

 ルーファスに猫可愛がりされながら人気のない公園に行くと、リュエールとシュトラールがどこで買ったのか大きな串焼きソーセージを食べて待っていた。

「あ、シューそっち頂戴。」
「じゃ、リューのも一口頂戴」
 一口ずつ食べあいっこをして、朱里達に気付くと「遅いよー」とソーセージを一気に串から引き抜いて食べて、串を公園のゴミ箱へ投げ入れると、満足そうな顔をして2人に駆け寄る。

「いつの間にソーセージなんて買ったの?」
「ギルドの前にいつの間にか露店が出来てた」
「冒険者が集まると商魂たくましい人は露店出すからね」
 朱里が「ギルドから離れる為に出たのに、入り口前に舞い戻るとは肝が据わった子供達だわ」と苦笑いしながら、朱里の髪をマフラーの様に首に巻き付けていたグリムレインに移動を告げると、辺り一面に真っ白な雪を降らせて視界を遮ると、体を大きくしてコーデンの街を飛び立った。

「ミンクさんの奥さんのお店楽しみだね」
「お菓子食べれるかな?」
「お菓子の種類にもよるね」

 朱里と子供達2人がお菓子を楽しみにしながらはしゃいでいるのを見てルーファスも自然と笑みが零れる。
うちの番も子供達2人もとても可愛い。家で待っている2人の子供も可愛いし、今度お菓子の詰め合わせでも用意してみようか?しかし、お菓子なら可愛い番が作った物が一番美味いから他の国から珍しいお菓子の材料でも取り寄せて作ってもらうのも良いかもしれない。

「ルーファスどうかしましたか?」
「いや、アカリに帰ったら何を作ってもらうかなと考えていた」
「今回は迷惑を掛けちゃった分いっぱい腕を振るって作りますよ!」

 ふんすっと言いながら小さくガッツポーズをする朱里にリュエールとシュトラールが「ジャガイモをお肉で包み込んでパリパリに焼いたやつ!」「パイ包みのミンチ肉が入ってたやつ!」と言ってグリムレインが「我はとろとろに煮込んだ角煮が良い!肉は嫁と一緒に獲りに行く!」と騒ぎ、狩りに行くなら自分達もついていく!と子供達が騒いだ。

 騒いでいるうちに隣り街のエクルドが見え、道の途中でグリムレインが降り立つと、他の街にもミヤをスカウトに来た冒険者が居るといけないので人型のまま5人で歩いてエクルドの街へ入る。

 ミンクの妻が経営しているというお菓子屋『ピーナ』は街の中央にある噴水通りにある店の1つで、ギモーヴ専門店だった。
ギモーヴはマシュマロに似ているお菓子で生マシュマロと言われていて、マシュマロがメレンゲ入りならギモーヴはメレンゲの入っていない物で、マシュマロよりもっちゃりしてフルーツピューレを使う事からフルーツの味わいが濃厚なもの。

 作り方としてはジャムかフルーツピューレ、砂糖に水飴に粉ゼラチンにコーンスターチに水くらいなもので、湯煎しながらボウルの中で泡立てて型に流し込むだけ。一晩常温で寝かして、切り分けたらコーンスターチをまぶすだけ。
簡単な物だけど、ジャムの種類やフルーツピューレの多さを考えれば種類はとても多くなる。

 異世界にもオシャレなお菓子があるんだーと、朱里が『ピーナ』の扉を開くと中に居た店員が「いらっしゃいませ」と振り返る。

 振り返った女性の顔を見て朱里が少し目を丸くする。


「日本人・・・?」
 
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