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22章
夏休みの宿題
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「アカリ、……グリムレインの体型に関して、普通のダイエットでは意味はないぞ」
屋敷の大広間のカウチに座っているルーファスの一言に首を傾げてると、引き寄せられて膝の上に乗せられ、頭の上に顎が乗る。便利な顎置きになった私の頭上でルーファスは小さく溜め息を吐く。
「良いか、魔力過多ということは、余計な魔力を外に出させれば元に戻るという事だ。そこは分っているか?」
「……あーっ! そうか、そうだよね!」
体型が丸々しいからつい、肥満ドラゴンって感じで普通にダイエットをさせていたけど、魔力がグリムレインの中で大きすぎて制御が利かずに、あの水風船の様な姿なんだから普通にやっちゃ駄目だった。
「なら、どうすればいいかわかるな?」
「えーと、グリムレインに魔力をバンバン使わせる……って、事だよね?」
「そうだ。そこで、ティル達三人に夏休みの宿題として企画を練らせた」
「ティル達に?」
そういえば、最近三つ子達がグリムレインに色々聞いてはバタバタ忙しそうに走り回っていた気がする。でもルーファスが夏休みの宿題を三人に出すなんて、どういう風の吹き回しだろう?
「ティル、エル、ルーシー、入ってこい」
ルーファスの声に三人が大広間にヒョコッと顔を出す。
手には紙束や筒を抱えて、これはさながら発表会のような感じだろうか?
私とルーファスの前で三人は筒から出した地図を広げ、地図をティルナールとエルシオンが見えやすい様に持つ、それを紙に書いた原稿を手にルーシーが説明を始める。これは小さなプレゼンのようだ。
「まずは『グリムレインの魔法使い隊作戦』の開催地を発表します」
「開催地なんていうのも考えたの?」
「はい! グリムレインの魔力の多さは世界に振り撒いているくらいなので、広い土地が必要と考えました!」
ハキハキとルーシーが言い、地図を指さしながら砂漠地帯の南東に位置するミシリマーフ国の辺りを示す。
確かに砂漠地帯なら氷属性のグリムレインの魔法で色々やっても溶けたら地面に吸い込まれるだけだから、後始末も楽そうだ。
「リュー兄様に頼んで、ミシリマーフ国には許可を得て『ドラゴン祭り・氷の刻狼亭』を開催する事を確約してきました!」
「ふぁっ!? えええ!? そんな事頼んできたの!?」
ドヤ顔をする三つ子に「ひぇぇ」と思いつつも、ミシリマーフ国まで巻き込んで許可を出してしまうリュエールにも驚きだ。リュエールは慎重派だからこういう事は計画を立てても算段が付かなければ許可しないのに……算段が付いたという事だろうか?
「ちゃんとグリムレインがどれだけの物を作れるかは実験したよ!」
「海の上で色々作ったから、少し高い所に登れば見れるよ!」
ティルナールとエルシオンがニッと笑って、地図を仕舞い込む。次に少し大きめの紙を一人ずつ持って、絵を見せて来る。
ドラゴンの絵……赤いからローランドだろうか? ローランドの下に籠の様な物に人が入っている様に見えるのは気のせいかしら?
「ミシリマーフ国と温泉大陸を移動する船にローランドとケルチャを使用するよ! お金は二人のお小遣いになるから、お一人様、一銅貨五白銅貨(千五百円)くらいを考えてるよ」
やはりローランドを使うようだけど、ケルチャも一緒にやるなんて……ケルチャはプライドがそれなりに高いからこうした事は手伝わないかと思ったけど、人慣れしてきたということかな?
「あと、料理長のアーネスさんが今回はお店を出品してくれるから、氷の刻狼亭のお料理の品質は保証付き!」
「アーネスさんまで巻き込んだの!?」
「うん。母上を驚かしたかったから、皆でコソコソっと動いてたんだよ」
はい。驚きましたとも……と、いうか……私が最近、食事療法ダイエットだー! 温泉ダイエットだー! と騒いでいる裏では、こんな風に皆動いていたのね……。
く……っ、この仲間外れ感が、ちょっと寂しいっ!!
クククッと、頭上で笑いが聞こえるから、ルーファスも知っていて、私を好きに放置していたに違いない。
「他にも、ミシリマーフ国の露店と、温泉大陸の女将亭の出店舗からも食べ物屋さんを呼んでいるよ」
「ちなみに材料調達はリュエール兄上が【風雷商】の三男のロケルトさんが起業した【参風】にお願いしてもう現地に材料が届いている筈だよ。お店はグリムレインが氷で作るし、お店の人を移動させればいいだけの状態!」
そういえば、夏に流行った熱病で活躍を見せたロケルトくんとヒリングさんは、【風雷商】とは別の流通ルートを確保して、配達業の様なものを陸路で始めたとか何とか……。
金持ち相手の【風雷商】と違って【参風】は庶民向けの配達でお値段も良心的で、何より配達速度の速さが売りという感じで、最近話題になってきているらしい。
「なんだか、凄い事になってきているのね?」
「ボクらもやるからには全力だよ! なんせ企画と実行委員を兼ねてるからね」
おお、流石、生徒会役員になっただけはある……のかな?
三人共良い笑顔で「母上にも出店してもらうからね?」と、私も企画参加決定の様だった。
「仕方ないわね。なら、久々に『女将亭』開店としましょうか」
これでルーファスが三人に出した宿題は少しは成功してくれるかな?
私のドラゴンの為にみんなが動いているのだから、主君としてお客を全部引き受ける勢いで頑張ろう。
屋敷の大広間のカウチに座っているルーファスの一言に首を傾げてると、引き寄せられて膝の上に乗せられ、頭の上に顎が乗る。便利な顎置きになった私の頭上でルーファスは小さく溜め息を吐く。
「良いか、魔力過多ということは、余計な魔力を外に出させれば元に戻るという事だ。そこは分っているか?」
「……あーっ! そうか、そうだよね!」
体型が丸々しいからつい、肥満ドラゴンって感じで普通にダイエットをさせていたけど、魔力がグリムレインの中で大きすぎて制御が利かずに、あの水風船の様な姿なんだから普通にやっちゃ駄目だった。
「なら、どうすればいいかわかるな?」
「えーと、グリムレインに魔力をバンバン使わせる……って、事だよね?」
「そうだ。そこで、ティル達三人に夏休みの宿題として企画を練らせた」
「ティル達に?」
そういえば、最近三つ子達がグリムレインに色々聞いてはバタバタ忙しそうに走り回っていた気がする。でもルーファスが夏休みの宿題を三人に出すなんて、どういう風の吹き回しだろう?
「ティル、エル、ルーシー、入ってこい」
ルーファスの声に三人が大広間にヒョコッと顔を出す。
手には紙束や筒を抱えて、これはさながら発表会のような感じだろうか?
私とルーファスの前で三人は筒から出した地図を広げ、地図をティルナールとエルシオンが見えやすい様に持つ、それを紙に書いた原稿を手にルーシーが説明を始める。これは小さなプレゼンのようだ。
「まずは『グリムレインの魔法使い隊作戦』の開催地を発表します」
「開催地なんていうのも考えたの?」
「はい! グリムレインの魔力の多さは世界に振り撒いているくらいなので、広い土地が必要と考えました!」
ハキハキとルーシーが言い、地図を指さしながら砂漠地帯の南東に位置するミシリマーフ国の辺りを示す。
確かに砂漠地帯なら氷属性のグリムレインの魔法で色々やっても溶けたら地面に吸い込まれるだけだから、後始末も楽そうだ。
「リュー兄様に頼んで、ミシリマーフ国には許可を得て『ドラゴン祭り・氷の刻狼亭』を開催する事を確約してきました!」
「ふぁっ!? えええ!? そんな事頼んできたの!?」
ドヤ顔をする三つ子に「ひぇぇ」と思いつつも、ミシリマーフ国まで巻き込んで許可を出してしまうリュエールにも驚きだ。リュエールは慎重派だからこういう事は計画を立てても算段が付かなければ許可しないのに……算段が付いたという事だろうか?
「ちゃんとグリムレインがどれだけの物を作れるかは実験したよ!」
「海の上で色々作ったから、少し高い所に登れば見れるよ!」
ティルナールとエルシオンがニッと笑って、地図を仕舞い込む。次に少し大きめの紙を一人ずつ持って、絵を見せて来る。
ドラゴンの絵……赤いからローランドだろうか? ローランドの下に籠の様な物に人が入っている様に見えるのは気のせいかしら?
「ミシリマーフ国と温泉大陸を移動する船にローランドとケルチャを使用するよ! お金は二人のお小遣いになるから、お一人様、一銅貨五白銅貨(千五百円)くらいを考えてるよ」
やはりローランドを使うようだけど、ケルチャも一緒にやるなんて……ケルチャはプライドがそれなりに高いからこうした事は手伝わないかと思ったけど、人慣れしてきたということかな?
「あと、料理長のアーネスさんが今回はお店を出品してくれるから、氷の刻狼亭のお料理の品質は保証付き!」
「アーネスさんまで巻き込んだの!?」
「うん。母上を驚かしたかったから、皆でコソコソっと動いてたんだよ」
はい。驚きましたとも……と、いうか……私が最近、食事療法ダイエットだー! 温泉ダイエットだー! と騒いでいる裏では、こんな風に皆動いていたのね……。
く……っ、この仲間外れ感が、ちょっと寂しいっ!!
クククッと、頭上で笑いが聞こえるから、ルーファスも知っていて、私を好きに放置していたに違いない。
「他にも、ミシリマーフ国の露店と、温泉大陸の女将亭の出店舗からも食べ物屋さんを呼んでいるよ」
「ちなみに材料調達はリュエール兄上が【風雷商】の三男のロケルトさんが起業した【参風】にお願いしてもう現地に材料が届いている筈だよ。お店はグリムレインが氷で作るし、お店の人を移動させればいいだけの状態!」
そういえば、夏に流行った熱病で活躍を見せたロケルトくんとヒリングさんは、【風雷商】とは別の流通ルートを確保して、配達業の様なものを陸路で始めたとか何とか……。
金持ち相手の【風雷商】と違って【参風】は庶民向けの配達でお値段も良心的で、何より配達速度の速さが売りという感じで、最近話題になってきているらしい。
「なんだか、凄い事になってきているのね?」
「ボクらもやるからには全力だよ! なんせ企画と実行委員を兼ねてるからね」
おお、流石、生徒会役員になっただけはある……のかな?
三人共良い笑顔で「母上にも出店してもらうからね?」と、私も企画参加決定の様だった。
「仕方ないわね。なら、久々に『女将亭』開店としましょうか」
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