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23章
スクルード
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ほんの少し、うたた寝をしてしまったらしく、毛布が掛けられていた。
横ではレーネルくんとスクルードもお昼寝をしているらしく、ぷぴーと寝息が聞こえる。
キリンちゃんとハガネとルーシーの会話が耳に届き、起きなきゃ……と、思ったものの、金縛りのように体が動かなくなっていた。
もしかして、変に寝てしまって少し体調が悪くなってしまったのだろうか?
みんなが頑張ってヒドラと戦っている最中だというのに、私は迷惑を掛けてばかりだ。
「__間に合うかな? 大丈夫かな……」
「大旦那達を信じて待つしかねぇだろ。俺達がここで心配しても仕方ねぇよ」
「ルーシー、お義母さんは大丈夫だよ」
涙声のルーシーの声に「心配要らないよ」と、声を掛けてあげられたらいいのだけど、ツキンと胸が痛んで声に出せず、痛さに歯を食いしばる。
しばらくすると、痛みの波が過ぎ去っていく。
「母上が死んじゃったら、どうしよう……」
「バーカ。んな、縁起でもねぇこと言うなつっーの」
「そうだよ。お義母さんを助ける為に、みんなが頑張っている最中なんだよ?」
「でも、お医者さんもシュー兄様も、覚悟だけはしときなさいって……」
グスグスと泣き出したルーシーの言葉にハガネとキリンちゃんも無言で、それはその言葉を肯定しているようだ。
もしかして、私は相当悪いんだろうか?
ああ、でもこんなに体が動かなくて、心臓発作まで起こしてしまったのだから、そういう話も出てしまっているのだろうか?
横でぷぴーと鼻の詰まったような寝息に、少し口元に笑みが浮かんで、涙が溢れた。
スクルードはこんなに小さいのに、私が居なくなったら可哀想だ。
ミルアとナルアの花嫁姿を見たいし、ティルナールとエルシオンにルーシーの大きくなった姿だって見たい。
でも、一番は……ルーファス、彼を一人に出来ない。
私と番で無ければ、彼は生きていけるだろうか? 安藤祈に頼んで私が死んだ時に、ルーファスの心が私に引きずられないように、お願いしておくべきだろうか……。
偽聖女事件で、今は番消失した人達の心を癒しているという彼女に頼むのは癪だけど、ルーファスには子供達がいるから、生きていて欲しい。
私の分まで子供達を見守って欲しいと思うのは、私の我が儘だろうか……。
「……っ!」
ドクンと心臓の音がやけに大きく聞こえて、ヒュッと息を呑む。
体が、心臓が、おかしい……。
胸の痛さに耐えていると、気が遠くなりそうな気がする。
どうしよう……このまま、心臓が止まってしまったら、誰にもなにも伝えられないまま、終わってしまう。
ルーファスに、子供達になにも伝えられないまま、それは、嫌だ。
誰か、助けて……ルーファス……を、道連れにしたくない……。
…………
……
…
*****
「ははうー? ははうー、ぷりーん」
キョトンとした顔で、眉間にしわを寄せるアカリに声をかけたのは、末の息子のスクルードだった。
アカリの頭に自分の頭をくっつけて、グリグリと擦り付けるスクルードに気付き、ハガネがスクルードを抱き上げる。
「スー、母ちゃんを眠らせ……っ! アカリ!? どうしたっ!!」
ハガネの緊迫した声にルーシーとキリンも慌てて駆け寄る。
「母上!? 母上、どうしたんですか!?」
「わたし、リュエールとシルビアを呼んで来るね!」
キリンが大広間を出て走り出し、その物音にレーネルも昼寝から目を覚ます。
なにがあったのかとレーネルは幼いながらも自体を把握し、邪魔にならない様に妹のシャルのベビーベッドの横にいく。
レーネルの目に映ったのは、祖母のアカリが苦しそうに口を動かす姿と、伯母であるルーシーが泣いている姿、そしてアカリの手を握りしめて頷いているハガネ、唯一状況が分からず、キョトンとしたスクルードがいた。
「ははうー?」
ハガネを見上げ、アカリを見て首を傾げる。
姉のルーシーの泣く姿に少し怖いものを感じ取り、泣きそうになって自分の浴衣の帯を握る。
スクルードにとって、大人達の言葉はまだ理解は出来ないし、状況もわからないものでしかない。
「ははうー……キュゥゥ―……」
頼れるのは母親のアカリだけだとスクルードはハガネの腕から抜け出て、アカリに掛けられた毛布の中に潜り込んでアカリの横にピッタリとくっつく。
安心出来る匂いに囲まれて、スクルードは頭をアカリの体に擦り付ける。
「母上!」
「アカリさん! どこが痛いか話せますか?」
毛布が剥がされて、スクルードは一番上の兄リュエールと女医のシルビアを見上げる。
折角、アカリの匂いに包まれていたのに何をするのかという感じで「ヴーッ」と声を出すと、ハガネに掴まれてアカリから引き剥がされてしまう。
「やーっ! ははうー! やぁぁ! スー、ははうーとこいくのー!」
「スクルード! 静かにするんだ! 母上の声が聞こえないっ!」
リュエールに大声で怒られ、アカリからは引き剥がされ、周りのみんなの様子は変で怖い。
「っ、うっ、あーああぁぁぁっ、ははうー! ぅあああん」
「スー、ちっと、俺と行こうな」
泣き出したスクルードを抱えてハガネが大広間を出て行くのを、リュエールも辛そうな顔で見送る。
それでも、今はアカリの言葉を聞き取る事の方が重要だった。
「……、……」
「母上、なに? どこが痛いの?」
アカリの口元にリュエールが耳を近付けると、アカリから出た言葉は「弟を、泣かさないの」という母親らしい言葉で、それ以上は聞き取れず、アカリは目を閉じて、返事は無くなった。
横ではレーネルくんとスクルードもお昼寝をしているらしく、ぷぴーと寝息が聞こえる。
キリンちゃんとハガネとルーシーの会話が耳に届き、起きなきゃ……と、思ったものの、金縛りのように体が動かなくなっていた。
もしかして、変に寝てしまって少し体調が悪くなってしまったのだろうか?
みんなが頑張ってヒドラと戦っている最中だというのに、私は迷惑を掛けてばかりだ。
「__間に合うかな? 大丈夫かな……」
「大旦那達を信じて待つしかねぇだろ。俺達がここで心配しても仕方ねぇよ」
「ルーシー、お義母さんは大丈夫だよ」
涙声のルーシーの声に「心配要らないよ」と、声を掛けてあげられたらいいのだけど、ツキンと胸が痛んで声に出せず、痛さに歯を食いしばる。
しばらくすると、痛みの波が過ぎ去っていく。
「母上が死んじゃったら、どうしよう……」
「バーカ。んな、縁起でもねぇこと言うなつっーの」
「そうだよ。お義母さんを助ける為に、みんなが頑張っている最中なんだよ?」
「でも、お医者さんもシュー兄様も、覚悟だけはしときなさいって……」
グスグスと泣き出したルーシーの言葉にハガネとキリンちゃんも無言で、それはその言葉を肯定しているようだ。
もしかして、私は相当悪いんだろうか?
ああ、でもこんなに体が動かなくて、心臓発作まで起こしてしまったのだから、そういう話も出てしまっているのだろうか?
横でぷぴーと鼻の詰まったような寝息に、少し口元に笑みが浮かんで、涙が溢れた。
スクルードはこんなに小さいのに、私が居なくなったら可哀想だ。
ミルアとナルアの花嫁姿を見たいし、ティルナールとエルシオンにルーシーの大きくなった姿だって見たい。
でも、一番は……ルーファス、彼を一人に出来ない。
私と番で無ければ、彼は生きていけるだろうか? 安藤祈に頼んで私が死んだ時に、ルーファスの心が私に引きずられないように、お願いしておくべきだろうか……。
偽聖女事件で、今は番消失した人達の心を癒しているという彼女に頼むのは癪だけど、ルーファスには子供達がいるから、生きていて欲しい。
私の分まで子供達を見守って欲しいと思うのは、私の我が儘だろうか……。
「……っ!」
ドクンと心臓の音がやけに大きく聞こえて、ヒュッと息を呑む。
体が、心臓が、おかしい……。
胸の痛さに耐えていると、気が遠くなりそうな気がする。
どうしよう……このまま、心臓が止まってしまったら、誰にもなにも伝えられないまま、終わってしまう。
ルーファスに、子供達になにも伝えられないまま、それは、嫌だ。
誰か、助けて……ルーファス……を、道連れにしたくない……。
…………
……
…
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「ははうー? ははうー、ぷりーん」
キョトンとした顔で、眉間にしわを寄せるアカリに声をかけたのは、末の息子のスクルードだった。
アカリの頭に自分の頭をくっつけて、グリグリと擦り付けるスクルードに気付き、ハガネがスクルードを抱き上げる。
「スー、母ちゃんを眠らせ……っ! アカリ!? どうしたっ!!」
ハガネの緊迫した声にルーシーとキリンも慌てて駆け寄る。
「母上!? 母上、どうしたんですか!?」
「わたし、リュエールとシルビアを呼んで来るね!」
キリンが大広間を出て走り出し、その物音にレーネルも昼寝から目を覚ます。
なにがあったのかとレーネルは幼いながらも自体を把握し、邪魔にならない様に妹のシャルのベビーベッドの横にいく。
レーネルの目に映ったのは、祖母のアカリが苦しそうに口を動かす姿と、伯母であるルーシーが泣いている姿、そしてアカリの手を握りしめて頷いているハガネ、唯一状況が分からず、キョトンとしたスクルードがいた。
「ははうー?」
ハガネを見上げ、アカリを見て首を傾げる。
姉のルーシーの泣く姿に少し怖いものを感じ取り、泣きそうになって自分の浴衣の帯を握る。
スクルードにとって、大人達の言葉はまだ理解は出来ないし、状況もわからないものでしかない。
「ははうー……キュゥゥ―……」
頼れるのは母親のアカリだけだとスクルードはハガネの腕から抜け出て、アカリに掛けられた毛布の中に潜り込んでアカリの横にピッタリとくっつく。
安心出来る匂いに囲まれて、スクルードは頭をアカリの体に擦り付ける。
「母上!」
「アカリさん! どこが痛いか話せますか?」
毛布が剥がされて、スクルードは一番上の兄リュエールと女医のシルビアを見上げる。
折角、アカリの匂いに包まれていたのに何をするのかという感じで「ヴーッ」と声を出すと、ハガネに掴まれてアカリから引き剥がされてしまう。
「やーっ! ははうー! やぁぁ! スー、ははうーとこいくのー!」
「スクルード! 静かにするんだ! 母上の声が聞こえないっ!」
リュエールに大声で怒られ、アカリからは引き剥がされ、周りのみんなの様子は変で怖い。
「っ、うっ、あーああぁぁぁっ、ははうー! ぅあああん」
「スー、ちっと、俺と行こうな」
泣き出したスクルードを抱えてハガネが大広間を出て行くのを、リュエールも辛そうな顔で見送る。
それでも、今はアカリの言葉を聞き取る事の方が重要だった。
「……、……」
「母上、なに? どこが痛いの?」
アカリの口元にリュエールが耳を近付けると、アカリから出た言葉は「弟を、泣かさないの」という母親らしい言葉で、それ以上は聞き取れず、アカリは目を閉じて、返事は無くなった。
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