746 / 960
23章
ヒドラVS刻狼亭
しおりを挟む
ウォォォーンと、遠吠えが密林に響き、火竜ローランドがヒドラの周りを囲むように火を吐くと、自分の体より大きな鉄扇に炎を纏わせてミルアとナルアが飛び出し、「せーの!」と声を合わせて体を回転させると、五つのヒドラの首を鉄扇でスパンと跳ね飛ばし、跳ね飛ばされた頭部をイルマールとダリドアとエスタークが受け取り、ミールとシノリアがそれぞれ自分の婚約者を回収して、ヒドラから距離を取る。
「グリムレイン! 再生させるな!」
「解っておるわ!」
ルーファスの声にグリムレインがヒドラの首先を氷で固め、再生を防ぐ。
イルマール達は頭部に黒い布を巻きつけて視覚を奪い、再び飛び出したミルアとナルアが炎を纏わせた鉄扇で尻尾部分をスパンと跳ね飛ばし、イルマール達が尻尾を回収に行き、グリムレインが斬られた場所を凍らせる。
「ミルア、大丈夫か?」
「大丈夫ですの! ミールは心配性ですわね?」
「ナルアも無理はしてない?」
「はい! 大丈夫なのですわ!」
ミルアがミールに抱きついて、「無茶はするな」と一言いわれてニマニマしている。
ナルアはナルアでシノリアに抱き上げられて、「まだいけそう?」「勿論ですわ!」と元気いっぱいに答えている。
戦闘の一回戦目としては、頭部を切り取り視覚を奪うこと。
そして、再生する前に氷で再生するはずの首を氷漬けにして、頭を出させないこと。
この二つを目的としている。
これが成功したのならば、視覚のない敵に一斉に攻撃をして、クリスタルを探し出せばいいだけの事なのである。
尻尾はついでに切り取られた感じである。
「グリムレイン、再生は抑えられそうか?」
「我の氷は、我以外には砕けぬ。安心するが良い」
「よし、各自、ヒドラを解体! グリムレインが凍らせて再生できない様にするまでは、新しい傷は増やすな!」
従業員達が一斉にドラゴン達から飛び降り、切り取る場所を叫ぶ。
「こちら、首の根元まで切ります!」
「首の根元はクリスタルがあるかもしれん、充分気を付けろ!」
「切り取る時は一瞬で落とせ!」
「グリムレイン! こっち凍らせてー!」
それぞれ声を出し合いながら、ヒドラを相手に武器を持って飛び掛かっている。
ヒドラも視覚を奪われ、本能だけで暴れるので「足を狙いますのよー!」とミルアとナルアが騒ぎ、双子の炎の鉄扇がスパンッと音を立てて切り落としてきた。
足を切られて倒れ込んだヒドラに、ミルアとナルアがハイタッチしていると、ブンッと重い音がして二人が空にひじき飛ばされる。
「なっ!」
「ミルア! ナルア!」
ヒドラの背中から、新しい長い首が生えてきたのである。
首に弾き飛ばされたミルアとナルアを、ミールとシノリアが慌てて回収に行くと、既にシュトラールが二人を回収して回復魔法をかけていた。
「ミルもナルも油断しすぎだよ。冒険者歴の短い二人は無鉄砲なんだから」
「ごめんなさいなのですわ。シュー兄様」
「助かりましたの。シュー兄様」
「こういう無茶なとこと、気を抜きすぎるところは母上譲りなんだから、気を付けて」
妹達の頭を軽く叩いて、シュトラールは二人の背中を押し、ミールとシノリアの所へ向かわせる。
ミルアとナルアがミールとシノリアの元へ抱きついているのを見て、シュトラールは少しだけ複雑な思いで笑う。
小さい時のままの妹達ではもうないのも、少しだけ寂しい物があるのだった。
「全員退避! 一時、距離を取れ!」
すぐさまルーファスの声が響き、ドラゴン達が従業員が逃げられる様に時間稼ぎにブレスを吐く。
背中から生えた新しい頭は、氷漬けにされた箇所を食い破り、再生を図っている。
「クソッ! 再生したか……しかし六本目の頭が生えるとは……」
「大旦那様、いかが致しますか?」
「ルーファスさん! 切り取った頭が活動を停止しました!」
イルマールが微動だにしなくなった頭部を持ってくると、白く濁ったヒドラの頭部が溶けるように崩れていく。
テンと小鬼の実験では一時間は持ったと言うが……それは再生をさせたままだったからだろうか? とルーファスは苦い顔をして、再生してしまったヒドラを見る。
ギャアアアアアアアァァァァ_____。
咆哮に一同は耳を塞ぐ。
次の瞬間、衝撃波に似た突風に全員地面を踏みしめるので精一杯という形で踏みとどまる。
雨でぬかるんだ沼地の地面は最悪だと、その場にいる全員が思う。
「第二回戦に移行する! 製薬部隊、麻痺ポーション! 雷属性の者は雷撃! 他の者は一時、木の上に退避!」
「了解! 製薬部隊のとっておきだ! 一気にぶちかますぞ!」
「おうともよ!」
製薬部隊のテッチ、ロタルス、ウエイト、ピルマーが各自、腰に下げたポーションホルダーから魔導銃を取り出し、特製の麻痺ポーションを弾丸にしたものをセットして、スピナ、エデン、ケイト、アルビーに乗って上空から魔導銃を撃ち込む。
その間に、ルーファスとティルナール、エルシオンの雷属性持ちがヒドラに雷撃を放ち、雷の流れを見ていく。
電流の流れで、焼け焦げるヒドラの外側の皮膚で早くに再生した場所を見極める為でもある。
再生の早い場所、そこに再生クリスタルがある可能性が高いからである。
「ティル! エル! 近寄り過ぎるな! きちんと自分の力量を見極めて、下がれる時に下がれ!」
「はい! 父上!」
「任せてよ! 父上!」
子供達に声を掛けて、ルーファスも他の雷属性の従業員に「雷撃、放て!」と号令をかける。
ちなみに雷属性に拘ったのは、風属性があちらにある以上、風に邪魔されずに攻撃出来るのが雷属性か土属性だったわけだが、土属性ではヒドラの再生箇所を見極めるには、不十分だったからとう理由である。
「グリムレイン! 再生させるな!」
「解っておるわ!」
ルーファスの声にグリムレインがヒドラの首先を氷で固め、再生を防ぐ。
イルマール達は頭部に黒い布を巻きつけて視覚を奪い、再び飛び出したミルアとナルアが炎を纏わせた鉄扇で尻尾部分をスパンと跳ね飛ばし、イルマール達が尻尾を回収に行き、グリムレインが斬られた場所を凍らせる。
「ミルア、大丈夫か?」
「大丈夫ですの! ミールは心配性ですわね?」
「ナルアも無理はしてない?」
「はい! 大丈夫なのですわ!」
ミルアがミールに抱きついて、「無茶はするな」と一言いわれてニマニマしている。
ナルアはナルアでシノリアに抱き上げられて、「まだいけそう?」「勿論ですわ!」と元気いっぱいに答えている。
戦闘の一回戦目としては、頭部を切り取り視覚を奪うこと。
そして、再生する前に氷で再生するはずの首を氷漬けにして、頭を出させないこと。
この二つを目的としている。
これが成功したのならば、視覚のない敵に一斉に攻撃をして、クリスタルを探し出せばいいだけの事なのである。
尻尾はついでに切り取られた感じである。
「グリムレイン、再生は抑えられそうか?」
「我の氷は、我以外には砕けぬ。安心するが良い」
「よし、各自、ヒドラを解体! グリムレインが凍らせて再生できない様にするまでは、新しい傷は増やすな!」
従業員達が一斉にドラゴン達から飛び降り、切り取る場所を叫ぶ。
「こちら、首の根元まで切ります!」
「首の根元はクリスタルがあるかもしれん、充分気を付けろ!」
「切り取る時は一瞬で落とせ!」
「グリムレイン! こっち凍らせてー!」
それぞれ声を出し合いながら、ヒドラを相手に武器を持って飛び掛かっている。
ヒドラも視覚を奪われ、本能だけで暴れるので「足を狙いますのよー!」とミルアとナルアが騒ぎ、双子の炎の鉄扇がスパンッと音を立てて切り落としてきた。
足を切られて倒れ込んだヒドラに、ミルアとナルアがハイタッチしていると、ブンッと重い音がして二人が空にひじき飛ばされる。
「なっ!」
「ミルア! ナルア!」
ヒドラの背中から、新しい長い首が生えてきたのである。
首に弾き飛ばされたミルアとナルアを、ミールとシノリアが慌てて回収に行くと、既にシュトラールが二人を回収して回復魔法をかけていた。
「ミルもナルも油断しすぎだよ。冒険者歴の短い二人は無鉄砲なんだから」
「ごめんなさいなのですわ。シュー兄様」
「助かりましたの。シュー兄様」
「こういう無茶なとこと、気を抜きすぎるところは母上譲りなんだから、気を付けて」
妹達の頭を軽く叩いて、シュトラールは二人の背中を押し、ミールとシノリアの所へ向かわせる。
ミルアとナルアがミールとシノリアの元へ抱きついているのを見て、シュトラールは少しだけ複雑な思いで笑う。
小さい時のままの妹達ではもうないのも、少しだけ寂しい物があるのだった。
「全員退避! 一時、距離を取れ!」
すぐさまルーファスの声が響き、ドラゴン達が従業員が逃げられる様に時間稼ぎにブレスを吐く。
背中から生えた新しい頭は、氷漬けにされた箇所を食い破り、再生を図っている。
「クソッ! 再生したか……しかし六本目の頭が生えるとは……」
「大旦那様、いかが致しますか?」
「ルーファスさん! 切り取った頭が活動を停止しました!」
イルマールが微動だにしなくなった頭部を持ってくると、白く濁ったヒドラの頭部が溶けるように崩れていく。
テンと小鬼の実験では一時間は持ったと言うが……それは再生をさせたままだったからだろうか? とルーファスは苦い顔をして、再生してしまったヒドラを見る。
ギャアアアアアアアァァァァ_____。
咆哮に一同は耳を塞ぐ。
次の瞬間、衝撃波に似た突風に全員地面を踏みしめるので精一杯という形で踏みとどまる。
雨でぬかるんだ沼地の地面は最悪だと、その場にいる全員が思う。
「第二回戦に移行する! 製薬部隊、麻痺ポーション! 雷属性の者は雷撃! 他の者は一時、木の上に退避!」
「了解! 製薬部隊のとっておきだ! 一気にぶちかますぞ!」
「おうともよ!」
製薬部隊のテッチ、ロタルス、ウエイト、ピルマーが各自、腰に下げたポーションホルダーから魔導銃を取り出し、特製の麻痺ポーションを弾丸にしたものをセットして、スピナ、エデン、ケイト、アルビーに乗って上空から魔導銃を撃ち込む。
その間に、ルーファスとティルナール、エルシオンの雷属性持ちがヒドラに雷撃を放ち、雷の流れを見ていく。
電流の流れで、焼け焦げるヒドラの外側の皮膚で早くに再生した場所を見極める為でもある。
再生の早い場所、そこに再生クリスタルがある可能性が高いからである。
「ティル! エル! 近寄り過ぎるな! きちんと自分の力量を見極めて、下がれる時に下がれ!」
「はい! 父上!」
「任せてよ! 父上!」
子供達に声を掛けて、ルーファスも他の雷属性の従業員に「雷撃、放て!」と号令をかける。
ちなみに雷属性に拘ったのは、風属性があちらにある以上、風に邪魔されずに攻撃出来るのが雷属性か土属性だったわけだが、土属性ではヒドラの再生箇所を見極めるには、不十分だったからとう理由である。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4,633
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。