842 / 960
25章
おヨメさまと水竜
しおりを挟む
うねうねと青い紐が揺れて、ルーファスが眉間にしわを寄せる。
私としては紐? 青いミミズ!? と、喋るミミズ紐に驚きである。これも獣人? あれ? ミミズって動物? 虫? どっちだろう??
「なんだコレは……?」
『コレとはなんじゃ! 失礼な!』
あっ、ルーファスもソレわからないんだ?
周りに居た塔の人達も、私達が喋る青いミミズ紐と騒いでいるのを、驚いた顔で見ている。
ルーファスが顔を近づけたところ、ブシャーッと水がルーファスの顔に掛かり、青いミミズ紐は水に溶けて姿を消してしまう。
「あわわ、ルーファス大丈夫!?」
鼻をヒクつかせて、ルーファスがチッと舌打ちして周りを見渡す。
「【乾燥】、大丈夫だ。クソッ、匂いも無い」
『匂いなど、無粋なものあるはずが無かろう?』
声は何処からともなくするのに、姿は見えない。かなり近くから聞こえている気がするんだけど……、それにこの口調少しだけグリムレインっぽい。
でも、グリムレインならルーファスにこういう態度もしないし……私に姿を見せないことは無い。
だとしたら……
「……アクエレイン?」
『流石、君主はわかっておる!』
「やっぱり! このお屋敷のドラゴン贔屓なところと口調が、グリムレインの身内な感じがする!」
『うむうむ。そなたは見所がある。兄者が気に入るわけだ』
当たったけど、あの青いミミズのような紐はドラゴン? 知っているドラゴン達と姿が随分違うような?
ルーファスが私を凝視して、コートの胸元にいつの間にか出来ていた青いドラゴンの刺繍を見つめる。
「アカリから離れろ」
『我が名は水竜アクエレイン。兄者の君主として恥じぬ心を持つ者に契約を授ける』
ルーファスが刺繍を掴む前に、アクエレインがスルッとコートから抜け出すと私の左サイドの髪の一房に蝶々結びになって飾り紐のようになる。
「えーと、まさか君主契約してないよね? ね?」
『したぞ。昨日のそなたは兄者の名に恥じぬように火属性に負けぬ戦いであった。兄者の君主がどんなものかと思ったが、天晴れであった』
あー、うん。水玉でレベンさんと戦っていた時は確かに、グリムレインの君主に恥じないように自分でも頑張ったけど、君主契約の契約内容がそれなんて……アクエレインはブラコン??
ルーファスが小さく溜め息を吐いて、「リュエールめ……」と、何故ここでリュエールの名前が出てくるのやら?
「あの、その青い紐は水竜様なので、すか?」
恐る恐るという感じで水の塔の塔長さんが聞いてきて、「多分?」と私は首を傾げる。
こんなドラゴンっぽくないミミズ紐なので、私にも自信はない。
『そなた……あんまりではないか?』
「だって、ドラゴンっぽく無い姿なんだもの……エレンだって、もう少しドラゴンっぽかったし」
『仕方が無かろう? 卵を食われてドラゴンハーフの中に閉じ込められて混ざっておったのだからな』
「食べられたのに……戻れたの?」
『十八年程前だったかの? いきなりドラゴンハーフの中におったはずが、分離させられての。なんとかココまで姿を戻したが、まだ時間が掛かりそうでこの宿屋で体を休めておったのだ』
そんなことがあるんだ? 不思議なこともあるものだけど、少し引っ掛かった。
十八年前……青い髪の男、ドラゴンをも呪い殺す呪詛から解き放たれたドラゴンハーフ。
イルマールくんの従者のダリドアが、エデンの呪いから解放されて、ドラゴンハーフでは無くなり、ただの人間になった時期もそのぐらいでは無かっただろうか?
もしかして、ダリドアの先祖が食べた卵は、アクエレインだった?
グリムレインは、ドラゴンハーフを見ても他のドラゴン達のように怒りはしなかった。
ただ、卵に孵るのに周りを注意深く見ていなかった同朋が悪いのだとか何とか言っていたような?
自分の弟竜のことを言っていたのだろうか……まぁ、グリムレインらしいといえばグリムレインらしいのだけどね。
「私達、水の塔は、アクエレイン様を歓迎します! 加護を頂くことは出来ないのでしょうか!?」
「わぁ!」
ガバッと抱きつこうとしてきた水の塔の塔長から、ルーファスが私を抱いたまま空中へ舞い上がり、テーブルに足をつけてトンッと軽く水の塔の塔長の背中を足で押した。
派手に私達が今まで座って居た椅子に塔長が突っ込んでコケたけど、いきなり抱きついてこようとする方が悪い。
『そなた等では無理だの。兄者の君主にのみ、加護を与えておるからの』
君主契約をしない限りは加護は貰えないからコレは仕方がないけど、水の塔の人達、私を見るんじゃありません!
『それに、この者に加護を与えただけで、もう力尽きた。暫く眠る』
ふぁぁ~っと欠伸をしてアクエレインは普通の無機質なリボンのように私の髪に巻きついて動かなくなった。
なんという、無責任!?
「水の塔は奥方を歓迎いたします!」
「いえ! 結構です! 遠慮します!!」
「オレの番に近付いたら、噛み殺すッ! グルルルル」
私を抱きかかえてルーファスが水の塔に唸り声を上げていると、水の塔から警備兵がやってきて、橋から落ちた人が意識を取り戻し、話が出来るようになったと報告が入った。
私としては紐? 青いミミズ!? と、喋るミミズ紐に驚きである。これも獣人? あれ? ミミズって動物? 虫? どっちだろう??
「なんだコレは……?」
『コレとはなんじゃ! 失礼な!』
あっ、ルーファスもソレわからないんだ?
周りに居た塔の人達も、私達が喋る青いミミズ紐と騒いでいるのを、驚いた顔で見ている。
ルーファスが顔を近づけたところ、ブシャーッと水がルーファスの顔に掛かり、青いミミズ紐は水に溶けて姿を消してしまう。
「あわわ、ルーファス大丈夫!?」
鼻をヒクつかせて、ルーファスがチッと舌打ちして周りを見渡す。
「【乾燥】、大丈夫だ。クソッ、匂いも無い」
『匂いなど、無粋なものあるはずが無かろう?』
声は何処からともなくするのに、姿は見えない。かなり近くから聞こえている気がするんだけど……、それにこの口調少しだけグリムレインっぽい。
でも、グリムレインならルーファスにこういう態度もしないし……私に姿を見せないことは無い。
だとしたら……
「……アクエレイン?」
『流石、君主はわかっておる!』
「やっぱり! このお屋敷のドラゴン贔屓なところと口調が、グリムレインの身内な感じがする!」
『うむうむ。そなたは見所がある。兄者が気に入るわけだ』
当たったけど、あの青いミミズのような紐はドラゴン? 知っているドラゴン達と姿が随分違うような?
ルーファスが私を凝視して、コートの胸元にいつの間にか出来ていた青いドラゴンの刺繍を見つめる。
「アカリから離れろ」
『我が名は水竜アクエレイン。兄者の君主として恥じぬ心を持つ者に契約を授ける』
ルーファスが刺繍を掴む前に、アクエレインがスルッとコートから抜け出すと私の左サイドの髪の一房に蝶々結びになって飾り紐のようになる。
「えーと、まさか君主契約してないよね? ね?」
『したぞ。昨日のそなたは兄者の名に恥じぬように火属性に負けぬ戦いであった。兄者の君主がどんなものかと思ったが、天晴れであった』
あー、うん。水玉でレベンさんと戦っていた時は確かに、グリムレインの君主に恥じないように自分でも頑張ったけど、君主契約の契約内容がそれなんて……アクエレインはブラコン??
ルーファスが小さく溜め息を吐いて、「リュエールめ……」と、何故ここでリュエールの名前が出てくるのやら?
「あの、その青い紐は水竜様なので、すか?」
恐る恐るという感じで水の塔の塔長さんが聞いてきて、「多分?」と私は首を傾げる。
こんなドラゴンっぽくないミミズ紐なので、私にも自信はない。
『そなた……あんまりではないか?』
「だって、ドラゴンっぽく無い姿なんだもの……エレンだって、もう少しドラゴンっぽかったし」
『仕方が無かろう? 卵を食われてドラゴンハーフの中に閉じ込められて混ざっておったのだからな』
「食べられたのに……戻れたの?」
『十八年程前だったかの? いきなりドラゴンハーフの中におったはずが、分離させられての。なんとかココまで姿を戻したが、まだ時間が掛かりそうでこの宿屋で体を休めておったのだ』
そんなことがあるんだ? 不思議なこともあるものだけど、少し引っ掛かった。
十八年前……青い髪の男、ドラゴンをも呪い殺す呪詛から解き放たれたドラゴンハーフ。
イルマールくんの従者のダリドアが、エデンの呪いから解放されて、ドラゴンハーフでは無くなり、ただの人間になった時期もそのぐらいでは無かっただろうか?
もしかして、ダリドアの先祖が食べた卵は、アクエレインだった?
グリムレインは、ドラゴンハーフを見ても他のドラゴン達のように怒りはしなかった。
ただ、卵に孵るのに周りを注意深く見ていなかった同朋が悪いのだとか何とか言っていたような?
自分の弟竜のことを言っていたのだろうか……まぁ、グリムレインらしいといえばグリムレインらしいのだけどね。
「私達、水の塔は、アクエレイン様を歓迎します! 加護を頂くことは出来ないのでしょうか!?」
「わぁ!」
ガバッと抱きつこうとしてきた水の塔の塔長から、ルーファスが私を抱いたまま空中へ舞い上がり、テーブルに足をつけてトンッと軽く水の塔の塔長の背中を足で押した。
派手に私達が今まで座って居た椅子に塔長が突っ込んでコケたけど、いきなり抱きついてこようとする方が悪い。
『そなた等では無理だの。兄者の君主にのみ、加護を与えておるからの』
君主契約をしない限りは加護は貰えないからコレは仕方がないけど、水の塔の人達、私を見るんじゃありません!
『それに、この者に加護を与えただけで、もう力尽きた。暫く眠る』
ふぁぁ~っと欠伸をしてアクエレインは普通の無機質なリボンのように私の髪に巻きついて動かなくなった。
なんという、無責任!?
「水の塔は奥方を歓迎いたします!」
「いえ! 結構です! 遠慮します!!」
「オレの番に近付いたら、噛み殺すッ! グルルルル」
私を抱きかかえてルーファスが水の塔に唸り声を上げていると、水の塔から警備兵がやってきて、橋から落ちた人が意識を取り戻し、話が出来るようになったと報告が入った。
51
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。