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26章
ドラゴンマスター7
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竜人と呼ばれる種族、本来彼等は、亜人と呼ばれる爬虫類形態と人型を持つ種族で、ドラゴンとは関係のない種族である。
しかし、彼等はドラゴンに近しい姿の者との交配を繰り返し、今のようなドラゴンによく似た姿になった。そして彼等は言った『我々はドラゴンの子孫なのだ!』と……
これにドラゴン達は怒り、『紛い物の種族め!』と、誹るのだった。
こうした事情が大昔あったらしく、ドラゴン達は竜人族を嫌っている。簡単に言えば、有名人にソックリに整形しても、その有名人本人にはなれないのに有名人を名乗ったり、親戚だと言ったりするぐらいのものだろう。
つまりはいい迷惑という事だ。
彼等とドラゴンの違いは、彼等は人型の時、頭に二本の角と髪にひと房色の違うメッシュのような物が入る事と、トカゲの様なワニの様な尻尾がそのまま人型でもある事。そして、竜化する時には、背中に羽も生える。
逆にドラゴンは人型の時は物真似の魔法を使っているだけなので、完全に人間と変わりがない。物真似なのでじっくり観察した人に変身が出来る……が、大体は自分の好みに合った人間をモデルにしている。
ドラゴンに戻る時、ドラゴンは羽は生えるが、角は無い。稀に角があるドラゴンもいるけれど、手入れがめんどくさいという理由でポキンと折ってしまうらしい。
この角がとても良い薬になるのだとか……製薬部隊が欲しがっていた気がする。
うちのドラゴンの中でアクエレインが角を持っているけれど、今の所はまだちゃんと頭についている。
「んーっ、相変わらず肌に少しピリピリくる所だね」
私が大きく伸びをして緊張をほぐしながら言うと、ルーファスはとても心配そうな顔をする。ルーファスは、この竜人の国には先に『蛍光緑に光る竜人族を一人残らず、王宮に集めて置け!』と、王様のオーロラさんへ命令しているので、ルーファスに王族とかは関係ないらしい。
そして、ルーファスは変装無しのそのままの恰好で来ている。
「ミヤ、大事無いか? 平気か?」
「うん。大丈夫だよ。瘴気は大分無くなっているけど、肌にピリピリするからヒドラのクリスタルが無かったらかなり酷かったかも? ふふっ、ヒドラ様様だね」
「具合が悪くなったら、直ぐに言うんだぞ?」
「うんうん。分かってるよ。心配しないで」
心配性なルーファスの背中をポスポス叩いて、両脇と後ろをドラゴン達にガードされている状態なので、皆、過保護なのである。
ドラゴンはグリムレイン、アクエレイン、エデン、ケルチャ、ニクストローブ、スピナが付いてきていて、ドラゴンだとバレないように人型でいる。
けれど、ニクストローブとエデン以外は皆身長が高いから、四方を囲まれている私は周りすら見えない状況なのだけどね。
「よし、行くぞ。嫁は婿の服でも掴んで歩いておけ」
「それ、私周り見れないんだけど……」
「嫁御寮は周りなぞ見なくていい」
「そうよ。アタシ達が暴走しないように、アカリはアタシ達を見てればいいのよ」
「そうそう。あたし達は竜人が嫌いだからね」
「主様は、エデン達を見てればいいのー」
「ワシも周りが見えんが……」
グリムレインとアクアレインが両側から同じ様な涼しい顔で言って、後ろからケルチャが私の頭を手でポフポフと叩いてくる。
スピナはルーファスの斜め横に居て、エデンとニクストローブは私と一緒に皆に囲まれている状態である。
二人共まだ小さい姿のままだから、巨大な竜人にぶつからないようにとの配慮なのだ。
私の目から見えるのは、ルーファスの背中とグリムレインとアクエレインの肩の隙間から見える寺院に似た木柱と瓦の屋根。
石段造りの長い道が続き、朱色の柱に龍と梅の枝が絡まった物が見えると大きな扉があった。
兵士が二人立ってルーファスを確認すると、扉が開かれ、巨大な黒塗りの寺院の様な城が聳え立っていた。
竜王の城……かつて私が捕らえられていた場所。
ゴクッと喉が鳴り、背中がチリチリとして少しずつ記憶の中の城内と一致していく。
変わらない場所と変わってしまった場所。煌びやかだった装飾の柱は、今はくすんだ色をしている。
「嫁、そんな顔をするな。いつも通り、笑っていろ」
「兄者の言う通りだ。嫁御寮は、何も怖がることは無い。我らが全て振り払おう」
頼もしいグリムレインとアクエレインの言葉に、「うん。そうだね」と言ってルーファスの服を掴んだまま顔を上げて、深呼吸をする。
喉の奥がピリピリと痺れては消えていく。
瘴気の国……昔ほどではないけれど、ここは今もなお、あの瘴気の沼を清浄には出来ていないのだろう。
こんな場所に長くいたら、ドラゴン達に瘴気が溜まってしまうから、早く引き上げなくてはいけない。私の家族は私が守らなきゃ!
それに、早く帰って子供達を安心させてあげなきゃね。
しかし、彼等はドラゴンに近しい姿の者との交配を繰り返し、今のようなドラゴンによく似た姿になった。そして彼等は言った『我々はドラゴンの子孫なのだ!』と……
これにドラゴン達は怒り、『紛い物の種族め!』と、誹るのだった。
こうした事情が大昔あったらしく、ドラゴン達は竜人族を嫌っている。簡単に言えば、有名人にソックリに整形しても、その有名人本人にはなれないのに有名人を名乗ったり、親戚だと言ったりするぐらいのものだろう。
つまりはいい迷惑という事だ。
彼等とドラゴンの違いは、彼等は人型の時、頭に二本の角と髪にひと房色の違うメッシュのような物が入る事と、トカゲの様なワニの様な尻尾がそのまま人型でもある事。そして、竜化する時には、背中に羽も生える。
逆にドラゴンは人型の時は物真似の魔法を使っているだけなので、完全に人間と変わりがない。物真似なのでじっくり観察した人に変身が出来る……が、大体は自分の好みに合った人間をモデルにしている。
ドラゴンに戻る時、ドラゴンは羽は生えるが、角は無い。稀に角があるドラゴンもいるけれど、手入れがめんどくさいという理由でポキンと折ってしまうらしい。
この角がとても良い薬になるのだとか……製薬部隊が欲しがっていた気がする。
うちのドラゴンの中でアクエレインが角を持っているけれど、今の所はまだちゃんと頭についている。
「んーっ、相変わらず肌に少しピリピリくる所だね」
私が大きく伸びをして緊張をほぐしながら言うと、ルーファスはとても心配そうな顔をする。ルーファスは、この竜人の国には先に『蛍光緑に光る竜人族を一人残らず、王宮に集めて置け!』と、王様のオーロラさんへ命令しているので、ルーファスに王族とかは関係ないらしい。
そして、ルーファスは変装無しのそのままの恰好で来ている。
「ミヤ、大事無いか? 平気か?」
「うん。大丈夫だよ。瘴気は大分無くなっているけど、肌にピリピリするからヒドラのクリスタルが無かったらかなり酷かったかも? ふふっ、ヒドラ様様だね」
「具合が悪くなったら、直ぐに言うんだぞ?」
「うんうん。分かってるよ。心配しないで」
心配性なルーファスの背中をポスポス叩いて、両脇と後ろをドラゴン達にガードされている状態なので、皆、過保護なのである。
ドラゴンはグリムレイン、アクエレイン、エデン、ケルチャ、ニクストローブ、スピナが付いてきていて、ドラゴンだとバレないように人型でいる。
けれど、ニクストローブとエデン以外は皆身長が高いから、四方を囲まれている私は周りすら見えない状況なのだけどね。
「よし、行くぞ。嫁は婿の服でも掴んで歩いておけ」
「それ、私周り見れないんだけど……」
「嫁御寮は周りなぞ見なくていい」
「そうよ。アタシ達が暴走しないように、アカリはアタシ達を見てればいいのよ」
「そうそう。あたし達は竜人が嫌いだからね」
「主様は、エデン達を見てればいいのー」
「ワシも周りが見えんが……」
グリムレインとアクアレインが両側から同じ様な涼しい顔で言って、後ろからケルチャが私の頭を手でポフポフと叩いてくる。
スピナはルーファスの斜め横に居て、エデンとニクストローブは私と一緒に皆に囲まれている状態である。
二人共まだ小さい姿のままだから、巨大な竜人にぶつからないようにとの配慮なのだ。
私の目から見えるのは、ルーファスの背中とグリムレインとアクエレインの肩の隙間から見える寺院に似た木柱と瓦の屋根。
石段造りの長い道が続き、朱色の柱に龍と梅の枝が絡まった物が見えると大きな扉があった。
兵士が二人立ってルーファスを確認すると、扉が開かれ、巨大な黒塗りの寺院の様な城が聳え立っていた。
竜王の城……かつて私が捕らえられていた場所。
ゴクッと喉が鳴り、背中がチリチリとして少しずつ記憶の中の城内と一致していく。
変わらない場所と変わってしまった場所。煌びやかだった装飾の柱は、今はくすんだ色をしている。
「嫁、そんな顔をするな。いつも通り、笑っていろ」
「兄者の言う通りだ。嫁御寮は、何も怖がることは無い。我らが全て振り払おう」
頼もしいグリムレインとアクエレインの言葉に、「うん。そうだね」と言ってルーファスの服を掴んだまま顔を上げて、深呼吸をする。
喉の奥がピリピリと痺れては消えていく。
瘴気の国……昔ほどではないけれど、ここは今もなお、あの瘴気の沼を清浄には出来ていないのだろう。
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それに、早く帰って子供達を安心させてあげなきゃね。
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