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王弟を王にしたい
しおりを挟むーーエミリーside
(は?王になるって言ったの?テオ様はどうなるのよ!!)
「それで、私にメリットが?」
「アルフレッド殿下の言う通りです。エウリアスにとっても同じですね、利があるのでしょうか?」
デボラ伯爵は背中に冷たい汗を感じた。
(何てことだ。知ってしまえは後には引けん。私も娘も、断れば口封じに命を取られるかもしれない…。)
すると、エミリーは憤慨していた。
「じゃあテオ様はどうなるの!?」
エレメントはそっとエミリーの肩に手を添え耳に口を寄せて小さな声で言った、
「王でないエリオールに価値が?僕もなかなかいい男だと思うんだけど、」
「確かにそうね…」
(なによ、この男も私の虜なの?美丈夫だし、年上だけど夫に不足はなわね…)
でも、テオドール自体をすごく気に入っているエミリーは腑に落ちないでいた。
デボラ伯爵としては従う他なく、ボアールツにあたってはすぐに国王へ持ち帰り前向きに相談することを約束した。そして後日すぐにその返事はセルドーラ次第で話に乗るということであった。
アルフレッドはいかにも愉快そうに笑った。
「あははははははっ!面白い人だね、どちらにせよ私が王位につけば、戦力が整い次第アルベーリアを手に入れる予定だよ。」
「そ、そんな!」
デボラ伯爵は驚愕したが早くに知れて幸福だとも思った。我が家は協力し取引きをすればいい。
セルドーラが負けても今まで通りにアルベーリアで知らぬ顔をしていればいい。
「おや?そんな事を僕に言ってもいいの?」
エレメントは首を傾げて、目を少し大きくした。
「ああ、父上はもう長くないだろう。私は時期に王位につく。アルベーリアには子供の頃に来た事がある。あの時から、どうしても欲しいものがあってね。」
纏わりつくような魔力を感じ、エレメントですら顔を顰めた。
(何かしら、まぁいいわ。)
(じゃあ、セルドーラに行かなくてもいいのね!
エレ様と結婚して王妃になって…)
「そうだね、簡単にいうとクーデターだね。」
エレメントが徐に言った反対にデボラ伯爵は開いた口が塞がらない様で言葉を失っていた。
アルベーリアの北に位置するセルドーラはエウリアスに一時潜伏し、エウリアスから両国の連合軍で攻め入るという作戦であった。
エレメントによると、エラサにて王太子テオドールとセシールが休暇中、滞在するという。
(テオ様はあの女と休暇を過ごすつもりだったのね!許せないわ、セシール!)
エレサはノーフォード領で表向きは聖地として美しい街並みの都会とは違った静かな雰囲気の街だが、ノーフォードが何の備えも無いはずらしい。
かえって、テオドールとセシールが居ないことで王都の戦力が分散され、攻めやすいと判断したのだ。
「絶好のチャンスだね、僕たちは王都の内部からクーデターを起こし、王宮を落城させ、占拠する予定。」
なんだかわからない作戦会議は話がまとまったようで皆は変装魔法を施し帰って行った。
デボラ伯爵、エレメントの名で席をはずし、エミリーの部屋に通された。
「魔道具は役に立ったようだね、君のおかげで上手くいきそうだよ。」
「あの…テオ様のことなんですけど…」
すると、エレメントはエミリーの唇を塞いだ。
「エレ様そんな、私まだ心の準備が…」
エミリーは恥じらうように目を逸らしてエレメントの胸を手で押し返した。
華奢な身体とは相反して力強く、ピクリとも動かずそのままエミリーの背中はソファに倒れた。
王族特有の美しい髪と瞳、そしてやはり美しい顔、エミリーは今まで魅了した者たちのどれとも違う魅力にすっかりうっとりとした表情で目を閉じた。
エレメントはそのまま、耳に唇を寄せくすぐったそうに身をよじったエミリーに言った。
「全部終わったらテオドールは君にあげるよ。」
「えっ!?」
エミリーは驚いて目をあけた。
「僕が王になっても、君を真実の愛から引き離したりはしないよ。テオドールを飼えばいいよ。」
エレメントは昔からセシールの母、ディアーナに夢中でありエミリーなど眼中に無かったし、テオドールは元よりノーフォードの力を失わず使い続ける為の人質として捕らえるつもりだったのだ。
(この娘はすぐに殺してディアーナを僕の妻にするんだ。)
そして、エミリーを王妃にするつもりなど無かったのだ。
「エレ様!ありがとう!私とても幸せです…!」
(ふたりともわたしのモノだなんて!)
「あぁ、だからこれからちゃんと僕の言うことをきいて、いい仕事をするんだよ?」
「はいっ!エレ様、大好きです!」
乱れたドレスを戻すこともなく、豊かな胸を押しつけエレメントを抱きしめるエミリーの見えない所で、彼の表情は消えていた。
(まるで娼婦だな。早くディアーナを手に入れないと、待っててねディアーナ。)
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