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月の女神を手に入れたい3
しおりを挟むーーセルドーラ国
アルフレッド王子は上機嫌であった。
彼は残虐な王太子だと民ですら知っていた。
皆に暴君と恐れられていた彼だが、彼には欲しいものがあるという事を皆が知っていた。
ただその欲しいものは、アルベーリアにあるという事以外だれも知らなかった。
アルベーリアに行ったのは彼が8歳の頃であった。
月の女神を信仰する近隣国の中でも、月の女神の愛した土地アルベーリアには聖なる森と泉があり
王族であり、国いちばんの有力貴族であるノーフォード公爵家には月の女神末裔が居ると聞いた。
王宮で、来賓としてもてなされパーティーが開かれたが彼は退屈であった。
すると子供とは思えぬ気品と威厳、だけど決して傲慢でも、高飛車な訳でもない。
銀に近い金色の髪に、アメジストの様な紫の瞳、透き通るような白い肌、周りにいる同世代くらいの子供たちに見せる花のような笑顔、一目見て彼女を好きになった。
だがもう、彼女にはこの国の王子であるテオドールとの婚約が結ばれており、見るからにテオドールは彼女に夢中だった。
「お初にお目にかかります。セシール・グレース・ノーフォードです。」
そのアメジストの瞳が僕を見た瞬間、身体に稲妻が走った。
どうしても欲しいと思った。
彼女達と過ごす時間はとても楽しかった。
私よりもはるかに賢く、強い。
そして、私ほどの者はノーフォード家には沢山居た。
対等に渡り合えるものが居ない自国での生活では考えもつかない有意義なものであった。
特に彼女は、人に慕われていた。
屋敷を抜け出しては、市井に出て人助けをしたり、平民のようにすごした。
私には下々の者と対等に話すことなど、考えられなかったし理解もしようと思わなかったが、
そんな彼女は、魅力的だった。
あの時から、彼女を欲しいものとして、着々とアルベーリアを獲る為に準備をしてきたし、機会を伺ってきた。
足元に纏わりつく鬱陶しい女達を軽く転がし、
床に伏せる父の王座にもたれて手を額に当てて、狂ったように笑った、
「あっはっははははは!!」
「やっと、やっとだ、、」
媚びるような女達を蔑んだ目で見やり、
「こんな家畜共とはちがう、僕のアメジスト」
女達たちは皆怯えていた。
正妃を娶らぬアルフレッドに、家の権力の為にや、アルフレッドの地位に惚れたりとでこの残虐な王太子に嫁いだが、彼は一切、アメジストと呼ぶモノ以外に興味はなく、鎖で繋がれたチョーカーで飼われるように扱われていた。
アメジストと呼ばれるモノが手に入れば私達は殺されるのではないかと。
権力に目が眩みこの王宮に嫁いだのが最後だったのだと、皆嘆きながらも、アルフレッドに媚びへつらい、見目麗しい彼の気まぐれな優しさに、いつか愛されるのではないかと期待をした。
それは、気まぐれにペットを可愛がるようなものだったが、彼女達には十分な希望であった。
(あの時から私は、セシール、君に囚われているんだ。早く、早く手に入れたい。)
(月の女神などどうでもいい。私は君に愛されたい)
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