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紅の魔女は待ち遠しい
しおりを挟むーーエラサ マチルダside
一足先にエラサに着いた私は、公務も少なく、学園もない穏やかな日常を過ごしていた。
「いい休暇だわ、でも退屈ねー…セシールはもう到着したのかしら」
その時マチルダの執務机の通信具が紅く光った。
「セシールだわ!」
ーー
家紋を施した円盤型の通信具から、青白い光で少し小さめのセシールが立体的に映っている。
「ご機嫌よう、マチルダ。貴方を巻き込んでごめんなさい。今、屋敷に着いたわ。」
「巻き込んだだなんて、水臭いわね。それに、次代を継ぐものを万一の時失わないように避難も兼ねてるのよ。私達こそ、お礼を言うべきだわ。」
「メーベル家も、ランスロット家も、同盟ではあるけれど、避難は必要ないでしょう、」
「そうね、でもクロヴィスも私も自分からお願いしたのよ、今の殿下では心配だし、」
「本当にありがとう、あとでクロにもお礼を言っておかないと、」
「殿下は、もう到着したの?」
「今晩には到着されると思うのだけど…」
するとセシールの背後が騒がしくなった。
ーー~ぁ…って…
「?何か騒がしいわ。」
「侵入者かしら?」クスクス
「まさか、ここはノーフォードよ、ふふっ」
バタン!!!
「セシールッ!着いたのか、連絡くれれば…」
使用人達の静止を振り切り急いで来たのだろう、息を切らしたクロヴィスだった。
「ランスロット様!応接室でお待ちくださいと申しましたのに!」
リアムが怒りながら、ダンテを連れて追いかけてきた。
「クロ、数年会っていないような態度ね、」クスクス
「お嬢様!お止めしたのですが…」
「ええ、クロだから悩んだのね、」
呆れるエイダとエイミーを尻目に、バツが悪そうにクロヴィスは言った。
「エラサに入ったと聞いて…連絡をくれれば迎えに行ったのに、一人で飛んできたと、」
セシールの魔道具に映るマチルダが大きな声で笑った、
「クロヴィス様、あなた本当に…!あはははっ」
「あなた転移はあまり得意じゃないでしょう、!」
そんなに心配しなくても屋敷から屋敷へ飛んでくるだけでしょう!と笑い続けるマチルダにクロヴィスは顔を真っ赤にして背けた。
「ふふっ…マチルダにも話したのだけど、」
少し笑って、セシールが何かを話し出そうとした時、クロヴィスはそれを遮った。
「謝るな。好きで来た。お前になら巻き込まれてもいい。」
顔を背けたまま、照れたように言うクロヴィスを見てリアムはムスッとした顔をしていた。
(僕のお嬢様を口説いているのか?テオドールと言いこのクロヴィスと言いホントいけ好かない)
「殿下にもそれだけの行動力があればいいのにねぇ…」
ボソッとマチルダは小さくつぶやいた。
「みんな、ほんとうにありがとう!私はよき友人に恵まれて幸せね、、」
パァっと輝くような、笑顔をみせた後、噛み締めるように目を伏せ胸の前で手を重ねたセシールは女神そのものであった。
見惚れる皆をよそに、はっ!と思いついたように、セシールは言った。
「皆、さぁ動きやすい服を着て!久しぶりに市井にいきましょう!」
「リアム、エイダ、エイミー、アン、ダンテ!あなた達も行くのよ、暗部の皆は言わずとも居るわね、ふふっ。」
マチルダとクロヴィスはニヤリと笑って頷いた。
「まるで子供に戻ったみたいね!」
「お嬢様…仕方ないですね….」
「テオがまだのようだが…」
「何度だって行けるわ、20分後に聖なる泉で!」
待ちきれないように言ったセシールにエイダとエイミーは顔を見合わせた。
皆、まるで昔に戻ったように笑っていた。
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