公爵令嬢は破棄したい!

abang

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ダグラスは謝りたい

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ーーダグラスside

エミリー嬢のお願いで、2人では危険なのでギデオンともう1人、連れて行って欲しいとリシュが同行した。

リシュは、なんとも不思議な奴だった。

私たちを見るなり、「あぁ、なるほどねぇ」と目を細めて言ったかと思えばエミリー嬢に「無意識なのかな?」などと言ってみたり、全く意味の解らない事ばかり言って居た。

エミリー嬢がなぜエラサを観光したいと言ったのかは分からないが、とにかく彼女の願いをかなえてやりたかった。

貴族や裕福な者が泊まるホテルに人数分の部屋を取り、荷解きをして各自部屋で旅の疲れを癒やす為休んでいると、窓を白い伝書鳩がつついた。

運んできた手紙には王家の紋章が入っており、内容を読むとテオドール殿下だとすぐに分かった。

(殿下も来ていたのか…エミリー嬢はまさか殿下に…)


とりあえず、明日の13時にと約束をし、ギデオンにも同行するように声をかけようとギデオンの部屋のまえに行くと…


「っ…はぁっ、ギデオンさ、ま……ぁ……」

エミリー嬢の如何わしい上擦った声が微かに聞こえた。

(まさか、ギデオンとも…?)

生徒会室での出来事はうっすらとしか記憶が無く、エミリー嬢の潤んだ瞳だけが印象付いていた。

なんとなく、ギデオンと2人で…というような気もしたが、まさか純粋なエミリー嬢に限ってそれは無いと思い直し、勘違いだろうと確認するのが怖くなり、部屋に引き返した。

湯浴みを済ませた後も、薄着でまだ少し濡れた髪を緩く後ろで纏めて、赤い頬が更にエミリー嬢の色香を漂わせる、

その格好で、無防備に歩きまわり、リシュに声をかけては拒絶され、それでもその唇をリシュの耳に近づけようとする仕草や、距離を詰め身体を押しつけようとしては、避けられる姿。

ギデオンの背中にその柔らかい部分が形を変えるほど押しつけられる姿、彼の太ももをさりげなく撫でる姿を何度も目にした。


きっと、無意識にやっていることだろうと頭で言い訳をしながらもダグラスはエミリー嬢に違和感を感じていた。


「ダグラス、ちょっといいかな?」


リシュが部屋を訪ねてきたので、ドアを開け招き入れようとすると、彼は「いいや、ちょっと付き合ってくれない?」と笑っていない目でにこりと微笑んだ。


そこは、フロアを変えて歩くと、エミリー嬢の声が聞こえてきた。ギデオンの部屋でも、私の部屋でもない、…誰の部屋だ?


「ニルダ、あなた…平民のくせに私と寝られるなんて光栄に思いなさい。もっと上手になさいよ…っ…そうよ…」


といつもの彼女からは考えられないような粗雑な言葉が、卑猥な音が聞こえていた。


相手は平民だと言ったか?それでは昼にギデオンと…あれも勘違いではないのかも知れない…そう考えていると、


「昼にはギデオンだったよ。」とリシュが笑った。


「キミ達に着いていくと、クロヴィスとメーベル嬢に会えるんじゃないかって思って着いてきたんだけど…」


とんでもないモノ見つけちゃった!って笑うリシュはどこか怖い。


エミリー嬢への気持ちが揺らいていくのを感じ、どれが本当の彼女なんだと混乱した。


すると、部屋からまたエミリー嬢がの素肌を打つ音と怒った声が聞こえた。


「貴方、今セシールと言ったわね?私の美しい身体を味わいながらあの女の事を聞くなんて!作戦が成功すれば、捻りつぶしてやるんだから!私が王妃になれば、テオ様を飼って、セシールは殺してやるわ!!あははははっ!」


「そ、そんな!おやめ下さい!!いや!セシール様がそんなことを許すもんか!!」


「あーあ、みっともなく主張させて、だらしない顔で私のソコに顔を埋めていた平民ごときを誰を信じるというの。」


「くっ…こんな女だったとは」


「平民如きが私に危害を加えれば貴方の家族ごと罰を受けるわよ!私はストレスが溜まっているの!不快にさせた罰をうけなさい。」

バシバシと打つ音と苦しそうな音が鈍い音に変わり、男性の声が聞こえなくなった。


今までエミリー嬢へ感じていた愛おしさが、一気嫌悪に変わったような気がした。まず、確認しなければ、我慢できずに部屋に入ろうとすると、リシュの手が私を遮り引き止めた。

リシュが小声で、でも確かに言った。

「もう、死んでるよ。」


翌朝そこは裕福な平民が宿泊しているエリアだと知った。


ニルダという、女の子のような可愛らしい青年の死体が見つかった。力任せに何度も打たれたのが死因であったらしい。


亡くなったのが平民だと言うこともあり、
エミリー嬢を含める高位貴族が疑われることはなく、

打撲による死だと言うことで、女性が疑われる事は無かった。


「ダグラスさまっ…殺人だなんて怖いです。平民の方だなんて、可愛そうよ…」と亜麻色の瞳に涙を溜めて身体を寄せるエミリー嬢を私は怖いと思った。


リシュの最後の一言が頭によぎった。

「どう言う原理で弱すぎる魔力がその威力を発しているのかは解らないけど、きっと魅了の一種だね。」

キミはまんまとやられた訳だよ。

でも、元々キミはテオドール殿下への忠誠心強い方だから、アッチの木偶の坊よりはマシかと思ってね。

ってエミリー嬢とギデオンを汚物でも見るような目で見るリシュに、感謝をした。

(私は取り返しのつかない事をしてしまっていたようだ。)

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