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第1話 遭遇
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聞いたこともないようなすごい音がしたからニカは神殿から抜け出してしまった。
草木の生い茂るジャングルを腰布1枚で駆け抜ける。
豊満な胸が揺れる。足は固く進化し、葉っぱくらいで傷はつかない。
それでもハショウフウは恐ろしい。
しかし彼女は裸足で音のした方に走った。
神殿から出られない巫女の彼女は、靴を持っていないから。
走りついたそこには何か巨大なものが落ちていた。
明らかに正しいとされる設置状態からは傾いている。
材質が旧文明の遺産に似ているけど、ここまで大きな遺産は初めて見る。
遺産の一部がこちら側に動いて、中から丸い頭をした背の高い人間みたいな何かが出てきた。
ヨタヨタと歩いて、人間はニカに気付くと丸い頭を取った。
丸い頭の中には真っ白な顔があった。
男だ。ニカより少し年上だろうか。
被り物を脱いでもなお背が高い。
「アロー、ニイハオ、ズドラーストヴィチェ、こんにちは、ボンジュール」
「……こんにちは」
「日本語圏か」
男はふむ、と顎をさすった。
「あなた、だあれ?」
「私はティーレン、星の向こうから来た」
星の向こうには、かつてこの大地から飛び立っていった人が住んでいるという。
ティーレンもその一人なのだろうか。
「ぐっ……」
ティーレンは突然そこに崩折れた。
ニカは恐る恐る近寄る。ティーレンは腹を抑えている。
「ゴホッ」
咳き込むと、ティーレンは血を吐いた。
ニカは後ずさる。
血を吐いた者に近寄ってよいのは老年の者だけで、その老年の者にも近寄ってはいけなくなる。
「伝染病についての教訓は……残っているか……安心してくれ、ただの外傷だ。病気ではない」
安心はできないが、ティーレンが傷付いてるのは分かった。
「怪我……手当……!」
ニカは手当てをしようと恐る恐るティーレンに近付いた。
「いや、ナノマシンによる自動修復が始まる。処置の必要はない」
「なのましん?」
「……君はこの辺りの子かな?」
子供扱いにニカはムッとして胸を張った。
「私は子供じゃないわ。十八を迎えて巫女を襲名したばかりよ」
「巫女、日本の宗教的存在か……」
ティーレンは続けて何かを問おうとしたが、その前に足音がした。
自治体の男たちが集まってきた。
「おーい、こっちだ……ニカ!?」
神殿に行く前のニカにとって、兄のような存在だったヨシが目を剥いた。
「お前、神殿から出るなんて……」
「緊急事態だもの」
ニカは焦らず言い放った。
「そうは言っても……!」
「お告げよ。天からの使者が来たの。丁重に扱って」
ニカは嘘をついた。
ティーレンは少し動揺したが、ニカの言葉に乗った。
「上の指示でこの辺りを見に来た。許可をいただけると嬉しい」
「……長!」
男たちの後ろから、腰の曲がった老婆がゆっくりと現れた。
「……異邦の使徒よ」
老婆の呼びかけにティーレンは長には自分の素性がバレているのではないだろうかと思った。
「……ニカが言うのなら、従おう。ニカ、その代わりこの者の世話はお前がしなさい」
「それって……神殿から出ても良いの!?」
「構わない」
「やったあ!」
「長!?」
男達は抗議の声を上げたが、長は取り合わず、ゆっくりと戻って行った。
「……ヨシ、ニカに靴を用意しておやり」
「は、はい……」
ヨシは急いで住処に戻った。
ニカは長からお墨を付けてもらえたことに安堵し、ティーレンに向かって胸を張った。
「ティーレン、巫女である私が天の使いであるあなたを導きましょう」
「……ああ、お願いしよう、ニカ。あの、ところで君、上半身を隠すことはできないか?」
恥じらうように提案されたティーレンの要望に、ニカは不思議そうに首をかしげた。
草木の生い茂るジャングルを腰布1枚で駆け抜ける。
豊満な胸が揺れる。足は固く進化し、葉っぱくらいで傷はつかない。
それでもハショウフウは恐ろしい。
しかし彼女は裸足で音のした方に走った。
神殿から出られない巫女の彼女は、靴を持っていないから。
走りついたそこには何か巨大なものが落ちていた。
明らかに正しいとされる設置状態からは傾いている。
材質が旧文明の遺産に似ているけど、ここまで大きな遺産は初めて見る。
遺産の一部がこちら側に動いて、中から丸い頭をした背の高い人間みたいな何かが出てきた。
ヨタヨタと歩いて、人間はニカに気付くと丸い頭を取った。
丸い頭の中には真っ白な顔があった。
男だ。ニカより少し年上だろうか。
被り物を脱いでもなお背が高い。
「アロー、ニイハオ、ズドラーストヴィチェ、こんにちは、ボンジュール」
「……こんにちは」
「日本語圏か」
男はふむ、と顎をさすった。
「あなた、だあれ?」
「私はティーレン、星の向こうから来た」
星の向こうには、かつてこの大地から飛び立っていった人が住んでいるという。
ティーレンもその一人なのだろうか。
「ぐっ……」
ティーレンは突然そこに崩折れた。
ニカは恐る恐る近寄る。ティーレンは腹を抑えている。
「ゴホッ」
咳き込むと、ティーレンは血を吐いた。
ニカは後ずさる。
血を吐いた者に近寄ってよいのは老年の者だけで、その老年の者にも近寄ってはいけなくなる。
「伝染病についての教訓は……残っているか……安心してくれ、ただの外傷だ。病気ではない」
安心はできないが、ティーレンが傷付いてるのは分かった。
「怪我……手当……!」
ニカは手当てをしようと恐る恐るティーレンに近付いた。
「いや、ナノマシンによる自動修復が始まる。処置の必要はない」
「なのましん?」
「……君はこの辺りの子かな?」
子供扱いにニカはムッとして胸を張った。
「私は子供じゃないわ。十八を迎えて巫女を襲名したばかりよ」
「巫女、日本の宗教的存在か……」
ティーレンは続けて何かを問おうとしたが、その前に足音がした。
自治体の男たちが集まってきた。
「おーい、こっちだ……ニカ!?」
神殿に行く前のニカにとって、兄のような存在だったヨシが目を剥いた。
「お前、神殿から出るなんて……」
「緊急事態だもの」
ニカは焦らず言い放った。
「そうは言っても……!」
「お告げよ。天からの使者が来たの。丁重に扱って」
ニカは嘘をついた。
ティーレンは少し動揺したが、ニカの言葉に乗った。
「上の指示でこの辺りを見に来た。許可をいただけると嬉しい」
「……長!」
男たちの後ろから、腰の曲がった老婆がゆっくりと現れた。
「……異邦の使徒よ」
老婆の呼びかけにティーレンは長には自分の素性がバレているのではないだろうかと思った。
「……ニカが言うのなら、従おう。ニカ、その代わりこの者の世話はお前がしなさい」
「それって……神殿から出ても良いの!?」
「構わない」
「やったあ!」
「長!?」
男達は抗議の声を上げたが、長は取り合わず、ゆっくりと戻って行った。
「……ヨシ、ニカに靴を用意しておやり」
「は、はい……」
ヨシは急いで住処に戻った。
ニカは長からお墨を付けてもらえたことに安堵し、ティーレンに向かって胸を張った。
「ティーレン、巫女である私が天の使いであるあなたを導きましょう」
「……ああ、お願いしよう、ニカ。あの、ところで君、上半身を隠すことはできないか?」
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