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第53話 パーティー当日
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ユリウスと夜に会うこともないまま、パーティーの日はあっという間にきてしまった。
お昼前。私はドレスを着せてもらう。
ネックレスはもちろん私が持ってきた宝石を使って仕立ててもらったもの。
ドレスの色はいつも通りの黒。
思っていたより豪奢という感じではない。
どちらかというと動きやすさの方を重視している。
長袖の先に控えめのレース。襟は広めに開いていて、ネックレスがそこに収まる。
「よくお似合いです!」
「素敵です!」
そうはしゃいだ声を上げるニンフとシルフの中に、特別に飾り立てているものがいた。
よく見れば一番私のお付きについてくれるふたりだった。
段々と私は彼女たちを種族としてひとまとめにするのではなく、ひとりずつの見分けがつくようになりつつあった。
「あなたたちがパーティーに出席してくれるのね?」
「はい!」
「ああ、楽しみです!」
「ええと、今日の参加者は他に……ヴァンパイアさんの妹さんは私、知らない人だけれど、どういう方なのかしら」
ニンフとシルフが一気に黙った。
「……あの子は……うーん」
「うーん……」
なんだかずいぶんと固い表情になっている。
「あ、あの?」
いきなり不穏な感じがする。
ニンフとシルフは思い切って、という風に口を開いた。
「その、ですね、陛下はあのーアレなので、お気付きではないのですが……」
「あの子は……その……陛下のことが……昔から好いておいででして……」
「えっ?」
思えば、ユリウスは魔王なのだ。それだけでも誰かに好かれていることがあってもおかしくないだろう。
そうでなくともあれほど素敵な人だ。浮いた話の一つや二つ、あってもおかしくない。
いや、ニンフたちの話を聞く限り、ユリウスの方は気付いてすらいないようだが。
「……あなたたちの中には、なんというか、陛下をそういう意味で好きな人はいるの?」
なんとなく私はそう聞いていた。
「あー、わたくしたちは、ちょっと種族が違うというか……」
「男女の情愛というものがあんまりないのですよね……」
「私達なんなら気付いたら勝手に増えてますからね」
「へ、へえ……」
意外な生態が突然に明かされた。
「まあ、ニンフはシルフと比べると恋多くはありますが……」
シルフの言葉にニンフが苦々しい顔をする。
「あれはニンフが恋をしているというか、男がニンフにちょっかいを出しに来るのよ」
「でもあなたたちいつもほだされちゃうじゃない」
「まあ、ね……でも、それを言ったらシルフだってさあ……」
魔族の恋模様もいろいろのようだ。
いくらでも聞いていられる気がしたが、今はそれを掘り下げている場合ではない。
「じゃあ、妹さん、私のことお嫌いでもおかしくないわね……」
「はい……」
「どうかお覚悟を……」
ニンフとシルフが一気にお葬式みたいな顔になった。
「まったく、陛下と来たら本当に鈍いのだから……」
「お妃様を迎えると聞いたときも正直、心配したものですけど……」
そう言って彼女らはクスクスと笑った。
「杞憂でしたわ」
「本当に仲がよろしくていらっしゃって……」
「も、もう……」
顔が赤くなってしまう。
せっかく化粧をしてもらった肌に汗をかきたくはない。
近頃は秋めいてきたとはいえ、まだたまに暑い日がある。
私は急いで話題を変えた。
「ええと、他の方だと……?」
「サルース女医には会ったんでしたね」
「ええ、陛下が伏せっているときにね」
「あとはじゃあ、ニスナスにハルピュイアかしら」
「そうそう、そんな名前だったわ。その方たちはどんな方?」
「ハルピュイアはわかりやすいですわ。手足が鳥なのです。私達と同じで女ですね」
「へえ……」
鳥、そういえばユリウスは鳥が好きだったっけ。
「それからニスナスは……なんなのかしらね、あれ」
「難しいわね、あれ」
「とりあえず男です」
「とりあえず見た方が早い気がします」
彼女たちは説明を放棄した。
なんだか謎な魔族らしい。
魔族にとっても謎な魔族ってなんなのだろう。
お昼前。私はドレスを着せてもらう。
ネックレスはもちろん私が持ってきた宝石を使って仕立ててもらったもの。
ドレスの色はいつも通りの黒。
思っていたより豪奢という感じではない。
どちらかというと動きやすさの方を重視している。
長袖の先に控えめのレース。襟は広めに開いていて、ネックレスがそこに収まる。
「よくお似合いです!」
「素敵です!」
そうはしゃいだ声を上げるニンフとシルフの中に、特別に飾り立てているものがいた。
よく見れば一番私のお付きについてくれるふたりだった。
段々と私は彼女たちを種族としてひとまとめにするのではなく、ひとりずつの見分けがつくようになりつつあった。
「あなたたちがパーティーに出席してくれるのね?」
「はい!」
「ああ、楽しみです!」
「ええと、今日の参加者は他に……ヴァンパイアさんの妹さんは私、知らない人だけれど、どういう方なのかしら」
ニンフとシルフが一気に黙った。
「……あの子は……うーん」
「うーん……」
なんだかずいぶんと固い表情になっている。
「あ、あの?」
いきなり不穏な感じがする。
ニンフとシルフは思い切って、という風に口を開いた。
「その、ですね、陛下はあのーアレなので、お気付きではないのですが……」
「あの子は……その……陛下のことが……昔から好いておいででして……」
「えっ?」
思えば、ユリウスは魔王なのだ。それだけでも誰かに好かれていることがあってもおかしくないだろう。
そうでなくともあれほど素敵な人だ。浮いた話の一つや二つ、あってもおかしくない。
いや、ニンフたちの話を聞く限り、ユリウスの方は気付いてすらいないようだが。
「……あなたたちの中には、なんというか、陛下をそういう意味で好きな人はいるの?」
なんとなく私はそう聞いていた。
「あー、わたくしたちは、ちょっと種族が違うというか……」
「男女の情愛というものがあんまりないのですよね……」
「私達なんなら気付いたら勝手に増えてますからね」
「へ、へえ……」
意外な生態が突然に明かされた。
「まあ、ニンフはシルフと比べると恋多くはありますが……」
シルフの言葉にニンフが苦々しい顔をする。
「あれはニンフが恋をしているというか、男がニンフにちょっかいを出しに来るのよ」
「でもあなたたちいつもほだされちゃうじゃない」
「まあ、ね……でも、それを言ったらシルフだってさあ……」
魔族の恋模様もいろいろのようだ。
いくらでも聞いていられる気がしたが、今はそれを掘り下げている場合ではない。
「じゃあ、妹さん、私のことお嫌いでもおかしくないわね……」
「はい……」
「どうかお覚悟を……」
ニンフとシルフが一気にお葬式みたいな顔になった。
「まったく、陛下と来たら本当に鈍いのだから……」
「お妃様を迎えると聞いたときも正直、心配したものですけど……」
そう言って彼女らはクスクスと笑った。
「杞憂でしたわ」
「本当に仲がよろしくていらっしゃって……」
「も、もう……」
顔が赤くなってしまう。
せっかく化粧をしてもらった肌に汗をかきたくはない。
近頃は秋めいてきたとはいえ、まだたまに暑い日がある。
私は急いで話題を変えた。
「ええと、他の方だと……?」
「サルース女医には会ったんでしたね」
「ええ、陛下が伏せっているときにね」
「あとはじゃあ、ニスナスにハルピュイアかしら」
「そうそう、そんな名前だったわ。その方たちはどんな方?」
「ハルピュイアはわかりやすいですわ。手足が鳥なのです。私達と同じで女ですね」
「へえ……」
鳥、そういえばユリウスは鳥が好きだったっけ。
「それからニスナスは……なんなのかしらね、あれ」
「難しいわね、あれ」
「とりあえず男です」
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なんだか謎な魔族らしい。
魔族にとっても謎な魔族ってなんなのだろう。
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