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第三章 白き城の調べ
異端だとは思いません
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加羅たちが尋問をしてから、加羅、刀利、桜は、ブラックホテル近くのレストランで、ピザを囲んでいた。ホテル内のレストランは、空間としては機能していたが、飲食出来なかったためである。事件が起きたのだから、当然だ。
刀利が積極的に、マルゲリータピザをつまんでいた。桜が奢ると言ってくれたので、遠慮いらずである。
「人のお金で食べるピザは美味しいでござる」
もぐもぐ刀利。
「刀利ちゃん、奢り、撤回してもいいかな?」
ニコニコ笑顔の桜。
「ひ、人のお金で食べるピザは大変美味しゅうござい……この度、身に余る恐縮でございまず。何卒、何卒、ピザを食べさせていただきたく」
「切り替えの早いやつだな……」
加羅が呆れながらもピザを口に運んでいた。仕草には、品があった。
「ピザは正義なのです。ピザが嫌いな人はいません。万人に愛される食物なのです。そして、私は太らない体質!まさに、ピザを食べるために生まれてきたと言ってもいいでしょう。ああ、ピザの神……」
「私はパスタの方が好きだけどなぁ」
桜はパスタをぐるぐるしている。
「パスタかピザがで言えば、絶対にピザです!だって、シェアもしやすいじゃないですか?私、彼氏が出来たら、絶対にピザをシェアしたいですね。みんなが仲良くなる魔法の食べ物!それがピザなのです」
「ピザが美味くても、人格が破綻していては仲良くなれないぞ」
「私はピザを食べているし、ピザが好物なので、人格は大丈夫です」
「もう大丈夫じゃない気がする」
ため息をつく桜。刀利は、いつもこんな感じである。
お調子者。その言葉が、刀利には似合う。いつだって、ぴょんぴょんとフットワークが軽く、誰に対しても接するのが上手い。
しかし、それも表面上のこと。刀利は、なりたくてそういう人格になったのではない。全ては、彼女の人生が構築した、架空の人格なのだ。誰にでも、経験があるかもしれない。果たせなかった夢。周りに押し付けられたレッテル。社会の荒波。変わらざるを得なかった、因果の代償。この場では、傘吹雪刀利に昔、何が起こったのかは伏せる。
人格の形成。その異端さを知っているが故、刀利自身、そして理解者である加羅も、刀利のことを異端だとは思っていない。
刀利は、夜道を歩いている時、死んでいる猫に出くわしたことがある。常夜灯が光る、独りぼっちの道路だった。
倒れている猫。周りには誰もいない。その時、刀利は思ったのだ。
ああ、猫が死んでいる。誰にも気づかれずに、死んでいる。
真理じゃん。
せめて、せめて、土に埋めてあげよう。
そして、彼女は、これが真理なのだ、と心の中で呟きながら、猫の死体を、土に埋めてあげた。埋め終わった後、彼女は心の中で、ごめんね、と呟いて、その場から去った。
刀利が積極的に、マルゲリータピザをつまんでいた。桜が奢ると言ってくれたので、遠慮いらずである。
「人のお金で食べるピザは美味しいでござる」
もぐもぐ刀利。
「刀利ちゃん、奢り、撤回してもいいかな?」
ニコニコ笑顔の桜。
「ひ、人のお金で食べるピザは大変美味しゅうござい……この度、身に余る恐縮でございまず。何卒、何卒、ピザを食べさせていただきたく」
「切り替えの早いやつだな……」
加羅が呆れながらもピザを口に運んでいた。仕草には、品があった。
「ピザは正義なのです。ピザが嫌いな人はいません。万人に愛される食物なのです。そして、私は太らない体質!まさに、ピザを食べるために生まれてきたと言ってもいいでしょう。ああ、ピザの神……」
「私はパスタの方が好きだけどなぁ」
桜はパスタをぐるぐるしている。
「パスタかピザがで言えば、絶対にピザです!だって、シェアもしやすいじゃないですか?私、彼氏が出来たら、絶対にピザをシェアしたいですね。みんなが仲良くなる魔法の食べ物!それがピザなのです」
「ピザが美味くても、人格が破綻していては仲良くなれないぞ」
「私はピザを食べているし、ピザが好物なので、人格は大丈夫です」
「もう大丈夫じゃない気がする」
ため息をつく桜。刀利は、いつもこんな感じである。
お調子者。その言葉が、刀利には似合う。いつだって、ぴょんぴょんとフットワークが軽く、誰に対しても接するのが上手い。
しかし、それも表面上のこと。刀利は、なりたくてそういう人格になったのではない。全ては、彼女の人生が構築した、架空の人格なのだ。誰にでも、経験があるかもしれない。果たせなかった夢。周りに押し付けられたレッテル。社会の荒波。変わらざるを得なかった、因果の代償。この場では、傘吹雪刀利に昔、何が起こったのかは伏せる。
人格の形成。その異端さを知っているが故、刀利自身、そして理解者である加羅も、刀利のことを異端だとは思っていない。
刀利は、夜道を歩いている時、死んでいる猫に出くわしたことがある。常夜灯が光る、独りぼっちの道路だった。
倒れている猫。周りには誰もいない。その時、刀利は思ったのだ。
ああ、猫が死んでいる。誰にも気づかれずに、死んでいる。
真理じゃん。
せめて、せめて、土に埋めてあげよう。
そして、彼女は、これが真理なのだ、と心の中で呟きながら、猫の死体を、土に埋めてあげた。埋め終わった後、彼女は心の中で、ごめんね、と呟いて、その場から去った。
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