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第三章 白き城の調べ
正平君、映画に行きたい
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「とりあえず、状況をまとめようか」
桜がプリンをつつきながら言った。中々、絵になっている。
「まず、証言はある程度聞いた。どう思う?個人的に、一番気になるのはやっぱり、ホワイトホテルのエレベーターに、風間がいたって所かな。あり得る?ホワイトホテルの1階から、5階に移動した。伊藤は5階で、ホワイトホテルの事件を発覚して、すぐ通報した。そして、ブラックホテル側の通報も、ホワイトホテル側の通報と、ほぼ同タイミングだった。そうすると、風間がエレベーターにいるのはおかしい。ブラックホテルで死んでいたのだから。選択肢が、二個くらいしか思いつかない。伊藤の嘘か、西山の嘘か。伊藤の嘘だった場合、嘘をつくメリットが思いつかない。一方、西山の証言が嘘だった場合、なんとかして風間の死体を見つけたフリを出来るっていうメリットがある。その場合、西山は極めて犯人に近いと思うけど」
桜は持論を展開した。しかし、確証的ではない。
「エレベーターに乗っていたのが、風間と似た人物だったとか?極めて、混乱を招きますけど。両方が嘘っていう可能性もありますけど。現段階だと……伊藤さんの方が、怪しく思えますね。だって、エレベーターに搭乗していた人物を、隠していたんですから。隠すって、都合が悪いからですよね?隠すメリットありますか?」
刀利も負けじと、持論を展開した。
推理とは、材料を元に、結論を導き出すことである。刀利と桜の推理は、結論を導き出すには至っていない。
「加羅さん、どう思います?」
「現段階では、伊藤と西山、どちらが怪しいかは見当がついている。しかし、結論を成さない推理だ。人に言うほどのものでもないな。ただ、風間秀介の生死だが……桜、正平さんに頼んだ依頼、どう思う?」
「ん?ああ、オンラインゲームのやつか。多分、今頃、プレイしてくれていると思うよ。いや、プレイしているか。彼の性格なら。それがどうかした?」
「正平さんの話が聞きたい」
「わかった。電話繋ぐよ」
そう言って、桜は携帯端末を取り出した。洗練された仕草であった。
ぱちぱち。画面を押す。
「もしもし?正平君かな?オンラインゲームのやつ、確認できた?ああ、待って。スピーカーモードにする。隣に、加羅と、刀利君もいるからね」
「正平です。勤務お疲れ様です。オンラインゲームなんですけど、ログイン出来ましたよ。風間秀介っていう名前で検索したら、その例のオンラインゲームの記事が出てきて、風間の所属している倶楽部の仲間たちを発見出来ました。でも、問題が……」
「ん?」
「ええと、ブラックホテルで、風間が殺された通報があったじゃないですか?その通報の少し前に、風間のキャラクターが、オンラインゲームにログインしてるんですよ。これって、変じゃないですか?風間は死んでいたんですよね?なんで、通報の少し前に生きていたんですか?」
「風間はゲームをしていた、か。ありがと、正平君。加羅、刀利君、聞きたいことある?」
桜の問いかけに、加羅は鋭い視線を向けた。
「そのキャラクター、本当に風間秀介だったのか?確認する手段は?」
「聞いてみるね。正平君、そのキャラクター、風間が動かしていたの?」
「そこまでは、まだ……すみません。ただ、風間のキャラクターはログインしていた。これは事実です。もっと話を聞ければ、風間本人だったかどうか明らかになると思いますから、もうちょっと調べてみます」
「私は、特に聞きたいことはないです。今の話だけで充分です」
刀利は頷いていた。それを見て、桜がウィンク。
「OK。もう、聞きたいことはない。捜査を続けて、正平君。まあ……今度、喫茶店に行ってあげるよ。どうしても行きたいんでしょ?」
「え!?本当ですか!?実はプランがあって……喫茶店の後に、映画とか」
「やることやりなさい」
「すみません」
正平は電話の先で、恐縮していた。桜は電話を切った。
桜がプリンをつつきながら言った。中々、絵になっている。
「まず、証言はある程度聞いた。どう思う?個人的に、一番気になるのはやっぱり、ホワイトホテルのエレベーターに、風間がいたって所かな。あり得る?ホワイトホテルの1階から、5階に移動した。伊藤は5階で、ホワイトホテルの事件を発覚して、すぐ通報した。そして、ブラックホテル側の通報も、ホワイトホテル側の通報と、ほぼ同タイミングだった。そうすると、風間がエレベーターにいるのはおかしい。ブラックホテルで死んでいたのだから。選択肢が、二個くらいしか思いつかない。伊藤の嘘か、西山の嘘か。伊藤の嘘だった場合、嘘をつくメリットが思いつかない。一方、西山の証言が嘘だった場合、なんとかして風間の死体を見つけたフリを出来るっていうメリットがある。その場合、西山は極めて犯人に近いと思うけど」
桜は持論を展開した。しかし、確証的ではない。
「エレベーターに乗っていたのが、風間と似た人物だったとか?極めて、混乱を招きますけど。両方が嘘っていう可能性もありますけど。現段階だと……伊藤さんの方が、怪しく思えますね。だって、エレベーターに搭乗していた人物を、隠していたんですから。隠すって、都合が悪いからですよね?隠すメリットありますか?」
刀利も負けじと、持論を展開した。
推理とは、材料を元に、結論を導き出すことである。刀利と桜の推理は、結論を導き出すには至っていない。
「加羅さん、どう思います?」
「現段階では、伊藤と西山、どちらが怪しいかは見当がついている。しかし、結論を成さない推理だ。人に言うほどのものでもないな。ただ、風間秀介の生死だが……桜、正平さんに頼んだ依頼、どう思う?」
「ん?ああ、オンラインゲームのやつか。多分、今頃、プレイしてくれていると思うよ。いや、プレイしているか。彼の性格なら。それがどうかした?」
「正平さんの話が聞きたい」
「わかった。電話繋ぐよ」
そう言って、桜は携帯端末を取り出した。洗練された仕草であった。
ぱちぱち。画面を押す。
「もしもし?正平君かな?オンラインゲームのやつ、確認できた?ああ、待って。スピーカーモードにする。隣に、加羅と、刀利君もいるからね」
「正平です。勤務お疲れ様です。オンラインゲームなんですけど、ログイン出来ましたよ。風間秀介っていう名前で検索したら、その例のオンラインゲームの記事が出てきて、風間の所属している倶楽部の仲間たちを発見出来ました。でも、問題が……」
「ん?」
「ええと、ブラックホテルで、風間が殺された通報があったじゃないですか?その通報の少し前に、風間のキャラクターが、オンラインゲームにログインしてるんですよ。これって、変じゃないですか?風間は死んでいたんですよね?なんで、通報の少し前に生きていたんですか?」
「風間はゲームをしていた、か。ありがと、正平君。加羅、刀利君、聞きたいことある?」
桜の問いかけに、加羅は鋭い視線を向けた。
「そのキャラクター、本当に風間秀介だったのか?確認する手段は?」
「聞いてみるね。正平君、そのキャラクター、風間が動かしていたの?」
「そこまでは、まだ……すみません。ただ、風間のキャラクターはログインしていた。これは事実です。もっと話を聞ければ、風間本人だったかどうか明らかになると思いますから、もうちょっと調べてみます」
「私は、特に聞きたいことはないです。今の話だけで充分です」
刀利は頷いていた。それを見て、桜がウィンク。
「OK。もう、聞きたいことはない。捜査を続けて、正平君。まあ……今度、喫茶店に行ってあげるよ。どうしても行きたいんでしょ?」
「え!?本当ですか!?実はプランがあって……喫茶店の後に、映画とか」
「やることやりなさい」
「すみません」
正平は電話の先で、恐縮していた。桜は電話を切った。
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