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第四章 多角的視覚の底辺の長さ
条件を成立させる
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加羅たちは、ホテルの方向へと向かった。レストランを出ていたので、伸び伸びとしている。レストランから見たら、迷惑な客たちであった。
桜は髪をかき上げた。中々に綺麗な黒髪である。
「ホテルの従業員の証言が聞きたいんだっけ?君たち、時間、大丈夫?」
「俺は大丈夫だ。刀利もな。今日は、店は休みだ」
「私は366日大丈夫です」
刀利は胸を張った。
「365日の間違いだろう」
「いいえ、それを見越して、366日です。一日ぐらいは、人間、余裕を持たないと。こういうのは、抱負が重要なんですよ。例えば、正月には、今年はこんな年にするぞ!っていう抱負を持ちますよね。人間は、心構えが大事なのです。抱負無しして、何も無し!」
「よかったな」
「ええ!?」
刀利は、断固抗議といった様子で、加羅に詰め寄った。
「加羅さんは、抱負を持たないんですか!」
「抱負を抱いている時間に、行動に起こす派かもな。別に抱負を否定はしない」
「ドライな加羅さん」
呟く刀利。何故が右を向くと、ドライフラワーがあった。意味はない。
桜が呆れながら、挟み込む。
「ホテルの従業員のホテルって、どっちのホテル?ホワイト?ブラック?」
「ホワイト」
加羅が即答した。脊髄反射並みのスピード。
「ん、答えが速いけど、理由は?」
「コンビニ店員の、伊藤に関する情報が欲しい。伊藤がエレベーターに乗ったと証言したのは、ホワイトホテルの方だ。それに関する情報が欲しい」
「了解。まあ、頼りになるよ。行こうか」
桜は颯爽と、先頭を歩きだした。
「366日大丈夫!」
刀利は胸を張りながら、自慢げに歩いていた。
そんなこんなで、三人はホワイトホテルの目の前にやってきた。相変わらず、白一色の建物である。流石に、ホワイトホテルというだけのことはある。
正反対には、ブラックホテルが建っている。そちらは真っ黒。名前の通り。
刀利は両方のホテルをきょろきょろと見回して、何か閃いたように、語りだした。
「加羅さん、桜さん、ちょっと思いついたことがあるんですけど」
「ん?」
刀利の方を向く桜。
「証言者が、何人かいますよね?そのうちの一人が、何かを間違えていた可能性って、無いですか?」
「何か?」
「えっとですね。二つのホテルの、構造は一緒なんですよね?見かけは、思いっきり違いますけど。例えば……ホワイトホテルに入ったつもりが、実は、ブラックホテルに入っていた、とか。その勘違いを利用して、犯行に至ったとか」
言葉がどんどん出てくる刀利。
桜は考えてみた。確かに、二つのホテルの構造はほとんど一緒だな、と。
「あり得ないことではなさそう、だけど。この見た目で、間違うことってある?思いっきり、白は白だし、黒は黒。流石に気づきそうなものだけど」
「今の状況では、そうかもしれません。ただ、もし、周りが暗かったとしたら?確かに、犯行が発覚したのは、昼間だったかもしれません。でも、夜のうちに、何かが起きていたとしたら?」
「うーん。それだと、前夜に、何かが行われたことになるよね。でも、実際に通報が昼間にあったんだから、前夜に出来ることってある?」
「無いですね。私の思考の空回りかもしれません」
冷静に意見を吸収する、刀利。彼女は議論が上手い。
加羅は話をよく聞いていたし、ホワイトホテルの従業員に、話を聞きたがっていた。
「いい発想だとは思う。その理論だと、別に昼間でも大丈夫だとは思うが。見間違えを、消せばいいんだろう?」
「どうやったら、こんな色違いを、見間違えるんですか?」
「あんな感じだ」
加羅が、手で示してみた。示した方向では、サングラスをかけた男性が、自転車で走っている姿だった。
桜は髪をかき上げた。中々に綺麗な黒髪である。
「ホテルの従業員の証言が聞きたいんだっけ?君たち、時間、大丈夫?」
「俺は大丈夫だ。刀利もな。今日は、店は休みだ」
「私は366日大丈夫です」
刀利は胸を張った。
「365日の間違いだろう」
「いいえ、それを見越して、366日です。一日ぐらいは、人間、余裕を持たないと。こういうのは、抱負が重要なんですよ。例えば、正月には、今年はこんな年にするぞ!っていう抱負を持ちますよね。人間は、心構えが大事なのです。抱負無しして、何も無し!」
「よかったな」
「ええ!?」
刀利は、断固抗議といった様子で、加羅に詰め寄った。
「加羅さんは、抱負を持たないんですか!」
「抱負を抱いている時間に、行動に起こす派かもな。別に抱負を否定はしない」
「ドライな加羅さん」
呟く刀利。何故が右を向くと、ドライフラワーがあった。意味はない。
桜が呆れながら、挟み込む。
「ホテルの従業員のホテルって、どっちのホテル?ホワイト?ブラック?」
「ホワイト」
加羅が即答した。脊髄反射並みのスピード。
「ん、答えが速いけど、理由は?」
「コンビニ店員の、伊藤に関する情報が欲しい。伊藤がエレベーターに乗ったと証言したのは、ホワイトホテルの方だ。それに関する情報が欲しい」
「了解。まあ、頼りになるよ。行こうか」
桜は颯爽と、先頭を歩きだした。
「366日大丈夫!」
刀利は胸を張りながら、自慢げに歩いていた。
そんなこんなで、三人はホワイトホテルの目の前にやってきた。相変わらず、白一色の建物である。流石に、ホワイトホテルというだけのことはある。
正反対には、ブラックホテルが建っている。そちらは真っ黒。名前の通り。
刀利は両方のホテルをきょろきょろと見回して、何か閃いたように、語りだした。
「加羅さん、桜さん、ちょっと思いついたことがあるんですけど」
「ん?」
刀利の方を向く桜。
「証言者が、何人かいますよね?そのうちの一人が、何かを間違えていた可能性って、無いですか?」
「何か?」
「えっとですね。二つのホテルの、構造は一緒なんですよね?見かけは、思いっきり違いますけど。例えば……ホワイトホテルに入ったつもりが、実は、ブラックホテルに入っていた、とか。その勘違いを利用して、犯行に至ったとか」
言葉がどんどん出てくる刀利。
桜は考えてみた。確かに、二つのホテルの構造はほとんど一緒だな、と。
「あり得ないことではなさそう、だけど。この見た目で、間違うことってある?思いっきり、白は白だし、黒は黒。流石に気づきそうなものだけど」
「今の状況では、そうかもしれません。ただ、もし、周りが暗かったとしたら?確かに、犯行が発覚したのは、昼間だったかもしれません。でも、夜のうちに、何かが起きていたとしたら?」
「うーん。それだと、前夜に、何かが行われたことになるよね。でも、実際に通報が昼間にあったんだから、前夜に出来ることってある?」
「無いですね。私の思考の空回りかもしれません」
冷静に意見を吸収する、刀利。彼女は議論が上手い。
加羅は話をよく聞いていたし、ホワイトホテルの従業員に、話を聞きたがっていた。
「いい発想だとは思う。その理論だと、別に昼間でも大丈夫だとは思うが。見間違えを、消せばいいんだろう?」
「どうやったら、こんな色違いを、見間違えるんですか?」
「あんな感じだ」
加羅が、手で示してみた。示した方向では、サングラスをかけた男性が、自転車で走っている姿だった。
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