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12話_私のモノ
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12話 私のモノ
――七夕祭 4日前土曜日――
島では、祭りに向けて準備が着々と進められていた。
島の漁師たちは、獲ったばかりの新鮮な魚を、港の近くの倉庫に運んでいる。
当日は、花火が上がるため、ポンポンと高い音が響いている。
観光客も、今日が祭りだということを知っている。
なので、港や島の道路は観光客でいっぱいだった。
「おい、見てみろよ!花火の準備してるぜ!」
「ほんとだ!」
「もうそんな時期か」
「楽しみね」
花火を見ようと、多くの人が集まっていた。
その様子を見て、島の人達は嬉しそうだ。
……………………………………………………………………
大空家から空が玄関に向かっている。
今日も勉強会をする予定で、空は出かける予定だ。
由美子「あら~?今日はどこに行くの?」
由美子さんが空に声をかけた。
空「あっ……今日は友達と勉強会なんで……」
そう伝えると由美子さんは嬉しそうに顔を明るくさせる。
由美子「ふーん……あらそうなの?なんか最近空君楽しそうね~」
空「そうですか?」
空は自覚がなかったようで首を傾げている。
まさか、勉強会の相手が旬達だと思っていない。
由美子「でもよかった。私は空君には楽しんで欲しいし」
空「あっ……ありがとうございます///」
空は少し頬を赤らめて照れてしまった。
由美子「じゃあいってらっしゃい。気をつけて行くのよ」
空「はい。行ってきます」
空はそう言って家を出ようとする。
すると玄関から匠がやって来た。
匠「斑鳩って子が来てるぞ?」
空「えっ?斑鳩が?」
驚いたように声をあげた。
匠「あぁ……。」
由美子が空を心配そうに見つめる。
由美子「その子って前に空君を殴って、暴力事件起こした子よね?空君は大丈夫なの?」
空「あっ……えっと……」
言葉につまる。
どうしていいのか分からずにいた。
その時、匠さんが助け舟を出してくれた。
匠「謝罪したいんだとさ、どうする?」
由美子「そっ……そうなの。じゃあ話し合う機会が必要ね」
匠さんにそう言われて納得していた。
そして空に視線を向ける。
由美子「空君はどうしたい?」
空「おっ……俺は……」
匠さんが優しく話しかける。
匠「空が決めていい。断ってもいいからな」
そう言われて空は考え込む。
匠さんの方を見ると笑顔でこちらを見ていた。
それがとても温かい笑顔だったので安心感を得たのだ。
そして決意する。
空「分かりました。俺も……先に進まないと……ちょっと話してきます!」
由美子「うん。」
由美子は微笑みながら答えた。
匠「行ってこい」
匠さんが背中を押してくれる。
空は二人にお礼を言ってから玄関へ向かった。
靴を履き終えると玄関を開けた。
そこには、斑鳩がいた。
斑鳩「空……久しぶり」
斑鳩は緊張した面持ちでそう言った。
空「……」
何と言えばいいのか分からず無言になってしまう。
空「久しぶり……」
久しぶりに見る彼は少し痩せたような気がした。
いやもともと細身であったがさらに細くなったように感じる。
それだけではない。
目の下に隈ができており疲れきった表情をしているように思えた。
そんな彼を見て心配になるもののかける言葉が出てこないでいる自分がいることに気づく。
なぜなら今目の前にいる人物に対して恐怖を感じているからだと思われるからだ。
彼はゆっくりとした動作で口を開いた後にこう言ったのである。
斑鳩「あのさ……ちょっと歩かない?」
空「いいけど……」
そう言うと二人で一緒に歩き始める。
しばらく歩くと島のあちこちでは七夕祭の準備を行っていた。
多くの人達が忙しそうに動き回っている姿が目に入る。
また商店街などは屋台などが並び始めているのが見える。
夜になればもっと賑やかになるだろうと考えられるほど活気に満ち溢れていたのであった。
二人はしばらく黙って歩いていたが斑鳩が口を開いた。
斑鳩「空……あの時は……篠山さんが泣いて……どうにかしてあげたくて……勢いでやっちゃったんだ。」
空は黙って聞いていた。
斑鳩「……殴るつもりなかった。……ごめん」
斑鳩は頭を下げた。
空は戸惑ってしまう。
斑鳩「許してもらえるとは思ってないけど……」
空「……」
沈黙が続く。
それを破ったのは空だった。
空「…………いいよ……もう終わったことだし……」
斑鳩「えっ?」
斑鳩は驚いた顔をする。
空「篠山さんに…………告白されたってこと……ちゃんと……斑鳩言ってなかった……僕も悪いし……」
斑鳩「空……」
空「だからもういいんだ……」
斑鳩「ありがとう……それでなんだけどさ……」
空「うん?」
斑鳩「クラスのみんながお前に謝りたいって言ってさ……空が……よければ……月光神社に来てくれよ?夏祭りの準備でみんな揃ってるからさ?」
空「えっ……」
突然の誘いに戸惑う。
斑鳩は、必死になって言い訳するように早口になりながら続ける。
斑鳩「この前の喧嘩の後からクラスのみんなが心配してさ……。俺が原因だけど空が怒って学校来なくなったこと心配してたんだよ。それに篠山さんも自分のせいだって落ち込んでるから……だから頼むよ!」
頭を下げる彼を見て良心が痛んだ。
確かに自分は学校を休んでいる間ずっと引きこもり状態だったのだ。
友達と会えない寂しさがあったことは否めない。
でも…怖いし……行きたくない気持ちの方が大きい。
空「えっと……その……」
上手く返答することができない。
斑鳩「お願いだ!みんな空に会いたがってるんだ!」
必死な斑鳩に対して罪悪感を感じつつも答えが出せずにいた。
でも……どうしよう?
行きたいし……でも……怖い……。
怖いよ。
斑鳩「明日……家まで……迎えに行くからさ?」
空「あっ……それは……」
斑鳩は、必死な表情で迫ってくる。
断れない雰囲気に飲み込まれてしまう。
斑鳩「頼むよ!みんな空のこと心配してるんだ!特に篠山さんは責任感じて辛そうにしてるし……!」
そう言われると強く拒めない自分がいることに気づく。
斑鳩「そうだ!俺篠山さんと付き合ったんだ!だからさもう暴力とかないし!みんな謝りたいって!俺も……謝りたいし……お願いだ!」
斑鳩はそう言って懇願してきた。
ここまで言われたら断れない。
空「分かったよ……。」
空は渋々了承することにした。
すると斑鳩はパアッという擬音語が聞こえてきそうなほどの満面の笑みになった。
斑鳩「良かった!じゃあ明日の迎えに行くからさ!じゃあな!」
彼は走り去って行ったのだった。
空はその後ろ姿を呆然と見送ることしかできなかった。
空は、腕時計を見る。
約束の時間10分前だ。
空「(やば……急がないと)」
………………………………………………………………
急いで秘密基地へ向かうと既に旬が来ていたようだった。
空「遅くなってすみません!」
空は慌てて到着し謝罪すると旬は笑顔を向けた。
旬「全然ええよ、今来たところやから」
旬は、笑いながら返答してくれたのですぐに安心感を得ることができたのだった。
旬「なんかあったんか?」
旬が不思議そうに尋ねてきたので答えることにした。
空「ちょっと友達と話ししてまして……」
旬「そか……友達かぁ……仲直りできたか?」
空「まぁ……一応……」
空は苦笑する。
旬「よかったやん。」
空「はい……」
空は小さく答えた。
旬「ほな……勉強するかぁー!七夕祭もあるしな!」
気合を入れる旬。
空「先輩は、七夕祭の手伝いいいんですか?家業的に……」
空は心配そうに尋ねる。
旬「俺かて手伝いたいで……いずれ継ぐんやしな……。せんでええねんって。オカンが受験生なんやから、勉強せい!いうから」
旬は寂しそうな表情を見せた。
空「なるほど」
空は小さく相槌を打った。
旬「七夕祭なんて言うのは一番の儲け時で、ごっつええ感じに花火が上がるんよ。」
旬は自慢げに語る。
空「へー」
感心している空に、旬は付け足した。
旬「まぁ……今年はそんな余裕ないんやけどな……」
空「そういえば、去年色々あってそんな余裕なかったな……」
空も去年を思い出した。
旬「行ってへんの?花火」
空「行ってないですね……。」
旬は意外そうな顔をした。
旬「ほんなら……今年は……一緒に……行くか?」
空「……えっ?」
空は驚いた顔をした。
旬「勉強してから……夜……ちょっとだけ……な?」
旬は照れ臭そうに提案した。
空「はい!」
空は嬉しそうに答えたのだった。
こうして2人は、七夕祭りの夜を一緒に過ごす約束をした。
……………………………………………………………………………………
――七夕祭3日前 日曜日 10:00――
朝、斑鳩が大空家のインターホンを鳴らす。
「ピンポーン」と音が鳴る。
中から足音が近づいてくるのがわかった。
扉が開き、そこには空の姿があった。
斑鳩「おはよう!迎えにきたよ!」
空「うん……ありがとう……おはよう……あれ?……早くない?」
空は戸惑いながらも答えた。
斑鳩「いや……時間を間違えて伝えてさ……ごめん!」
斑鳩は慌てて謝罪する。
空「そうなんだ……。わかった、ちょっと待ってて」
空は、部屋に戻り準備する。
由美子が台所から空に声をかけた。
由美子「あら?斑鳩君もう来たの?」
空「うん、早く来ちゃったみたいで……。すぐ行くから」
由美子「わかったわ。気をつけてね」
空は玄関に向かい、靴を履く。
空「あーそれと……」
由美子「ん?どうしたの?」
空「花火……見てくる……から」
由美子「あらそうなの?わかったわ。でもあんまり遅くならないようにね?」
空は無言で頷いた。
そのまま玄関を出て、外に出ると斑鳩が立っていた。
空「ごめん、お待たせ。じゃあ行こうか?」
斑鳩「おう。」
2人は、神社に向かう。
斑鳩「なあ、空、今日のことだけど……」
空は、ビクッと反応してしまう。
空「ん?」
斑鳩「ありがとうな。」
空「……いいよ……別に……」
斑鳩「空、優しいよな」
空「えっ?」
斑鳩の言葉に戸惑う。
斑鳩「だって、俺のこと許してくれたしさ」
空「……まあ……友達だからね……」
斑鳩「空……ありがとう」
空は照れくさそうに笑う。
斑鳩も嬉しそうに笑った。
そんなやり取りをしながら2人は、神社に向かったのだった。
神社は人で結構賑わっていた。
義臣が手伝いで神社に来ていた。
義臣「(あれ?空か?友達と一緒?)」
そう思うが移動してしまった。
斑鳩「こっちな。」
神社の奥の方へ進んでいくと、人気がなくなってきた。
斑鳩「ここだよ」
そこは、小さな社があり、人は居らず辺りは静かだった。
空は辺りを見渡す。
空「こんな場所あったんだ……」
斑鳩「ああ、ここなら人も少ないしな」
ゴン!
鈍い音が響き渡った。
空は、地面に叩きつけられた。
斑鳩「悪いな……空……俺……どうしても篠山さんの事が諦められなくて……」
空「……うっ……」
空は頭を押さえながら呻く。
斑鳩「篠山さんの……好きなものを……手に入れたいって……願いを叶えてやりたいんだよ……ごめんな……空……」
斑鳩は、顔を歪ませながら謝る。
空は頭部に鈍い痛みを感じながら意識が薄れていった。
…………………………
………………
…………
……
……
気がつくと空は、知らない場所にいた。
手と足を縛られている。身動きが取れなかった。
空は辺りを見回した。
そこは、薄暗く何もない場所だった。
ここはどこだろう? なんでここに居るのか分からなかったが、確か……篠山さんがどうのこうのって言っていたような気がする……。
記憶を辿って考えていると後ろから声がかかった。
???「空君♡」
その声の主は、聞き覚えのある声だった。
空「えっ!?」
驚いて後ろを見るとそこには篠山美来がいた。
空は驚くと同時に恐怖を感じた。
どうしてこんなところにいるのだろうか? どうして自分は拘束されているのか? 全く状況が理解できないまま混乱している。
美来「空君、大丈夫?」
美来は心配そうに問いかけた。
空「……なんで……ここに……?」
恐る恐る尋ねた。
美来「だって……私から連絡しても反応なしだし……」
空「そもそも……知らないだろ……携帯番号なんて……」
美来「転校してきた時に斑鳩から教えてもらったよ?」
空「え!?」
空は驚きを隠せなかった。
美来「ずっと寂しかったんだよ~?♡私と空君は結ばれる運命なんだよ?王子様とお姫様は、幸せに暮らす。永遠に……」
美来は、恍惚とした表情で言う。
空「いや……俺は……(これは、夢だ!夢なら早く覚めてくれ!)」
空は、必死の形相で念じる。
しかし一向に覚めない……。
美来「空君が~♡他の男と話してると~♡私……嫉妬でおかしくなりそうなんだよ?だから……こうして捕まえたの♡」
美来は、空に近づきながら言う。
空は、恐怖で体が動かない。
美来「空君♡私だけのものになってよ♡」
そう言うと美来は、空の唇を奪った。
空「んっ!?」空は驚きのあまり言葉が出ない。
美来は舌を絡ませてくる。
空「んん~」
空は抵抗するが、力が入らない。
しばらくすると満足したのかゆっくりと離れていく。
美来「ふふ♡空君可愛い♡」
美来は、妖艶な笑みを浮かべていた。
空は、青褪めた表情で言う。
空「……なんで……こんなこと……」
美来「空君が転校してきてからずっと好きだったの♡でも……告白も断られて……動画を流しても……無視されて……他の男と遊んで……美来のことなんかどうでもいいみたいで……だから……空君が悪いんだよ?美来のこと見てくれないから……」
美来は、悲しげな表情をしている。
空は、何も言えなかった。
確かに美来のことは、友達としてしか見てなかった。
でも……だからといってこんな仕打ちをしていいはずがない!
空「?お前……頭大丈夫か?」
怒りを込めて言う。
美来「なんでそんなこというの?私は、ただ……空君と幸せになりたいだけなのに……」
美来は、目に涙を浮かべている。
空は呆れ果てて何も言えなくなった。
美来「でも……空君が悪いんだよ?他の男と仲良くするから……それに……空君には……そんな反抗的な態度は、似合わないよ?」
美来は、狂気じみた目で言う。
空は恐怖を感じた。
美来は空の頬を撫でる。
空「触んな!」
手と足を縛られながらも空は言った。
美来は、ニヤリとして笑う。
美来「……反抗するのは、似合わないな……でもそんなところも……魅力的♡空君♡好きだよ♡」
美来は再び空の唇を奪った。
東「篠山さん」
美来「あっ、東さん♡」
東「お楽しみ中……すみません。そろそろ時間ですよ」
美来「あ、もうそんな時間?」
東「はい。急ぎましょう。」
目の前にカメラがあるのに気が付く空。
空は、東に視線を送る。
美来「空君♡東さんは♡これまで美来のお手伝いをしてくれたんだよ?」
東は、カメラを操作している。
美来「動画で結婚式してみんなに見てもらおうね♡それで……後は……邪魔者を消してもらって……♡大道寺旬っていうんだね?最近仲良くしてるよね?美来との空君の仲を邪魔しそうだから、お掃除してもらうと思って、東さんにお願いしたの~♡」
空は言葉を失う。
美来「でも……空君が悪いんだよ?他の男と仲良くするから……だから……空君が悪いんだよ?」
美来は、狂気じみた目で言う。
空は恐怖を感じた。
美来は空の頬に触れる。
美来「もしかして……空君……あの先輩の事好きなの?」
空は、答えられない。
美来「ふふ♡黙るってことは……図星なんだ?悲しいなぁー…………ダメだよ……空君は、私だけを見てればいいんだから……」
空は、何も言えなかった。
美来は空の頬に触れる手に力を入れた。
美来「空君はさ……。私と居るべきなんだよ?ねぇ?わかる?わかるよね?わからないよね?運命なんだよ?」
美来は、狂気じみた目で言う。
空は何も言えなかった。
美来は空の頬を撫でる。
空「やめろ……」
弱々しく呟いた。
美来「空君は……私のモノ」
――七夕祭 4日前土曜日――
島では、祭りに向けて準備が着々と進められていた。
島の漁師たちは、獲ったばかりの新鮮な魚を、港の近くの倉庫に運んでいる。
当日は、花火が上がるため、ポンポンと高い音が響いている。
観光客も、今日が祭りだということを知っている。
なので、港や島の道路は観光客でいっぱいだった。
「おい、見てみろよ!花火の準備してるぜ!」
「ほんとだ!」
「もうそんな時期か」
「楽しみね」
花火を見ようと、多くの人が集まっていた。
その様子を見て、島の人達は嬉しそうだ。
……………………………………………………………………
大空家から空が玄関に向かっている。
今日も勉強会をする予定で、空は出かける予定だ。
由美子「あら~?今日はどこに行くの?」
由美子さんが空に声をかけた。
空「あっ……今日は友達と勉強会なんで……」
そう伝えると由美子さんは嬉しそうに顔を明るくさせる。
由美子「ふーん……あらそうなの?なんか最近空君楽しそうね~」
空「そうですか?」
空は自覚がなかったようで首を傾げている。
まさか、勉強会の相手が旬達だと思っていない。
由美子「でもよかった。私は空君には楽しんで欲しいし」
空「あっ……ありがとうございます///」
空は少し頬を赤らめて照れてしまった。
由美子「じゃあいってらっしゃい。気をつけて行くのよ」
空「はい。行ってきます」
空はそう言って家を出ようとする。
すると玄関から匠がやって来た。
匠「斑鳩って子が来てるぞ?」
空「えっ?斑鳩が?」
驚いたように声をあげた。
匠「あぁ……。」
由美子が空を心配そうに見つめる。
由美子「その子って前に空君を殴って、暴力事件起こした子よね?空君は大丈夫なの?」
空「あっ……えっと……」
言葉につまる。
どうしていいのか分からずにいた。
その時、匠さんが助け舟を出してくれた。
匠「謝罪したいんだとさ、どうする?」
由美子「そっ……そうなの。じゃあ話し合う機会が必要ね」
匠さんにそう言われて納得していた。
そして空に視線を向ける。
由美子「空君はどうしたい?」
空「おっ……俺は……」
匠さんが優しく話しかける。
匠「空が決めていい。断ってもいいからな」
そう言われて空は考え込む。
匠さんの方を見ると笑顔でこちらを見ていた。
それがとても温かい笑顔だったので安心感を得たのだ。
そして決意する。
空「分かりました。俺も……先に進まないと……ちょっと話してきます!」
由美子「うん。」
由美子は微笑みながら答えた。
匠「行ってこい」
匠さんが背中を押してくれる。
空は二人にお礼を言ってから玄関へ向かった。
靴を履き終えると玄関を開けた。
そこには、斑鳩がいた。
斑鳩「空……久しぶり」
斑鳩は緊張した面持ちでそう言った。
空「……」
何と言えばいいのか分からず無言になってしまう。
空「久しぶり……」
久しぶりに見る彼は少し痩せたような気がした。
いやもともと細身であったがさらに細くなったように感じる。
それだけではない。
目の下に隈ができており疲れきった表情をしているように思えた。
そんな彼を見て心配になるもののかける言葉が出てこないでいる自分がいることに気づく。
なぜなら今目の前にいる人物に対して恐怖を感じているからだと思われるからだ。
彼はゆっくりとした動作で口を開いた後にこう言ったのである。
斑鳩「あのさ……ちょっと歩かない?」
空「いいけど……」
そう言うと二人で一緒に歩き始める。
しばらく歩くと島のあちこちでは七夕祭の準備を行っていた。
多くの人達が忙しそうに動き回っている姿が目に入る。
また商店街などは屋台などが並び始めているのが見える。
夜になればもっと賑やかになるだろうと考えられるほど活気に満ち溢れていたのであった。
二人はしばらく黙って歩いていたが斑鳩が口を開いた。
斑鳩「空……あの時は……篠山さんが泣いて……どうにかしてあげたくて……勢いでやっちゃったんだ。」
空は黙って聞いていた。
斑鳩「……殴るつもりなかった。……ごめん」
斑鳩は頭を下げた。
空は戸惑ってしまう。
斑鳩「許してもらえるとは思ってないけど……」
空「……」
沈黙が続く。
それを破ったのは空だった。
空「…………いいよ……もう終わったことだし……」
斑鳩「えっ?」
斑鳩は驚いた顔をする。
空「篠山さんに…………告白されたってこと……ちゃんと……斑鳩言ってなかった……僕も悪いし……」
斑鳩「空……」
空「だからもういいんだ……」
斑鳩「ありがとう……それでなんだけどさ……」
空「うん?」
斑鳩「クラスのみんながお前に謝りたいって言ってさ……空が……よければ……月光神社に来てくれよ?夏祭りの準備でみんな揃ってるからさ?」
空「えっ……」
突然の誘いに戸惑う。
斑鳩は、必死になって言い訳するように早口になりながら続ける。
斑鳩「この前の喧嘩の後からクラスのみんなが心配してさ……。俺が原因だけど空が怒って学校来なくなったこと心配してたんだよ。それに篠山さんも自分のせいだって落ち込んでるから……だから頼むよ!」
頭を下げる彼を見て良心が痛んだ。
確かに自分は学校を休んでいる間ずっと引きこもり状態だったのだ。
友達と会えない寂しさがあったことは否めない。
でも…怖いし……行きたくない気持ちの方が大きい。
空「えっと……その……」
上手く返答することができない。
斑鳩「お願いだ!みんな空に会いたがってるんだ!」
必死な斑鳩に対して罪悪感を感じつつも答えが出せずにいた。
でも……どうしよう?
行きたいし……でも……怖い……。
怖いよ。
斑鳩「明日……家まで……迎えに行くからさ?」
空「あっ……それは……」
斑鳩は、必死な表情で迫ってくる。
断れない雰囲気に飲み込まれてしまう。
斑鳩「頼むよ!みんな空のこと心配してるんだ!特に篠山さんは責任感じて辛そうにしてるし……!」
そう言われると強く拒めない自分がいることに気づく。
斑鳩「そうだ!俺篠山さんと付き合ったんだ!だからさもう暴力とかないし!みんな謝りたいって!俺も……謝りたいし……お願いだ!」
斑鳩はそう言って懇願してきた。
ここまで言われたら断れない。
空「分かったよ……。」
空は渋々了承することにした。
すると斑鳩はパアッという擬音語が聞こえてきそうなほどの満面の笑みになった。
斑鳩「良かった!じゃあ明日の迎えに行くからさ!じゃあな!」
彼は走り去って行ったのだった。
空はその後ろ姿を呆然と見送ることしかできなかった。
空は、腕時計を見る。
約束の時間10分前だ。
空「(やば……急がないと)」
………………………………………………………………
急いで秘密基地へ向かうと既に旬が来ていたようだった。
空「遅くなってすみません!」
空は慌てて到着し謝罪すると旬は笑顔を向けた。
旬「全然ええよ、今来たところやから」
旬は、笑いながら返答してくれたのですぐに安心感を得ることができたのだった。
旬「なんかあったんか?」
旬が不思議そうに尋ねてきたので答えることにした。
空「ちょっと友達と話ししてまして……」
旬「そか……友達かぁ……仲直りできたか?」
空「まぁ……一応……」
空は苦笑する。
旬「よかったやん。」
空「はい……」
空は小さく答えた。
旬「ほな……勉強するかぁー!七夕祭もあるしな!」
気合を入れる旬。
空「先輩は、七夕祭の手伝いいいんですか?家業的に……」
空は心配そうに尋ねる。
旬「俺かて手伝いたいで……いずれ継ぐんやしな……。せんでええねんって。オカンが受験生なんやから、勉強せい!いうから」
旬は寂しそうな表情を見せた。
空「なるほど」
空は小さく相槌を打った。
旬「七夕祭なんて言うのは一番の儲け時で、ごっつええ感じに花火が上がるんよ。」
旬は自慢げに語る。
空「へー」
感心している空に、旬は付け足した。
旬「まぁ……今年はそんな余裕ないんやけどな……」
空「そういえば、去年色々あってそんな余裕なかったな……」
空も去年を思い出した。
旬「行ってへんの?花火」
空「行ってないですね……。」
旬は意外そうな顔をした。
旬「ほんなら……今年は……一緒に……行くか?」
空「……えっ?」
空は驚いた顔をした。
旬「勉強してから……夜……ちょっとだけ……な?」
旬は照れ臭そうに提案した。
空「はい!」
空は嬉しそうに答えたのだった。
こうして2人は、七夕祭りの夜を一緒に過ごす約束をした。
……………………………………………………………………………………
――七夕祭3日前 日曜日 10:00――
朝、斑鳩が大空家のインターホンを鳴らす。
「ピンポーン」と音が鳴る。
中から足音が近づいてくるのがわかった。
扉が開き、そこには空の姿があった。
斑鳩「おはよう!迎えにきたよ!」
空「うん……ありがとう……おはよう……あれ?……早くない?」
空は戸惑いながらも答えた。
斑鳩「いや……時間を間違えて伝えてさ……ごめん!」
斑鳩は慌てて謝罪する。
空「そうなんだ……。わかった、ちょっと待ってて」
空は、部屋に戻り準備する。
由美子が台所から空に声をかけた。
由美子「あら?斑鳩君もう来たの?」
空「うん、早く来ちゃったみたいで……。すぐ行くから」
由美子「わかったわ。気をつけてね」
空は玄関に向かい、靴を履く。
空「あーそれと……」
由美子「ん?どうしたの?」
空「花火……見てくる……から」
由美子「あらそうなの?わかったわ。でもあんまり遅くならないようにね?」
空は無言で頷いた。
そのまま玄関を出て、外に出ると斑鳩が立っていた。
空「ごめん、お待たせ。じゃあ行こうか?」
斑鳩「おう。」
2人は、神社に向かう。
斑鳩「なあ、空、今日のことだけど……」
空は、ビクッと反応してしまう。
空「ん?」
斑鳩「ありがとうな。」
空「……いいよ……別に……」
斑鳩「空、優しいよな」
空「えっ?」
斑鳩の言葉に戸惑う。
斑鳩「だって、俺のこと許してくれたしさ」
空「……まあ……友達だからね……」
斑鳩「空……ありがとう」
空は照れくさそうに笑う。
斑鳩も嬉しそうに笑った。
そんなやり取りをしながら2人は、神社に向かったのだった。
神社は人で結構賑わっていた。
義臣が手伝いで神社に来ていた。
義臣「(あれ?空か?友達と一緒?)」
そう思うが移動してしまった。
斑鳩「こっちな。」
神社の奥の方へ進んでいくと、人気がなくなってきた。
斑鳩「ここだよ」
そこは、小さな社があり、人は居らず辺りは静かだった。
空は辺りを見渡す。
空「こんな場所あったんだ……」
斑鳩「ああ、ここなら人も少ないしな」
ゴン!
鈍い音が響き渡った。
空は、地面に叩きつけられた。
斑鳩「悪いな……空……俺……どうしても篠山さんの事が諦められなくて……」
空「……うっ……」
空は頭を押さえながら呻く。
斑鳩「篠山さんの……好きなものを……手に入れたいって……願いを叶えてやりたいんだよ……ごめんな……空……」
斑鳩は、顔を歪ませながら謝る。
空は頭部に鈍い痛みを感じながら意識が薄れていった。
…………………………
………………
…………
……
……
気がつくと空は、知らない場所にいた。
手と足を縛られている。身動きが取れなかった。
空は辺りを見回した。
そこは、薄暗く何もない場所だった。
ここはどこだろう? なんでここに居るのか分からなかったが、確か……篠山さんがどうのこうのって言っていたような気がする……。
記憶を辿って考えていると後ろから声がかかった。
???「空君♡」
その声の主は、聞き覚えのある声だった。
空「えっ!?」
驚いて後ろを見るとそこには篠山美来がいた。
空は驚くと同時に恐怖を感じた。
どうしてこんなところにいるのだろうか? どうして自分は拘束されているのか? 全く状況が理解できないまま混乱している。
美来「空君、大丈夫?」
美来は心配そうに問いかけた。
空「……なんで……ここに……?」
恐る恐る尋ねた。
美来「だって……私から連絡しても反応なしだし……」
空「そもそも……知らないだろ……携帯番号なんて……」
美来「転校してきた時に斑鳩から教えてもらったよ?」
空「え!?」
空は驚きを隠せなかった。
美来「ずっと寂しかったんだよ~?♡私と空君は結ばれる運命なんだよ?王子様とお姫様は、幸せに暮らす。永遠に……」
美来は、恍惚とした表情で言う。
空「いや……俺は……(これは、夢だ!夢なら早く覚めてくれ!)」
空は、必死の形相で念じる。
しかし一向に覚めない……。
美来「空君が~♡他の男と話してると~♡私……嫉妬でおかしくなりそうなんだよ?だから……こうして捕まえたの♡」
美来は、空に近づきながら言う。
空は、恐怖で体が動かない。
美来「空君♡私だけのものになってよ♡」
そう言うと美来は、空の唇を奪った。
空「んっ!?」空は驚きのあまり言葉が出ない。
美来は舌を絡ませてくる。
空「んん~」
空は抵抗するが、力が入らない。
しばらくすると満足したのかゆっくりと離れていく。
美来「ふふ♡空君可愛い♡」
美来は、妖艶な笑みを浮かべていた。
空は、青褪めた表情で言う。
空「……なんで……こんなこと……」
美来「空君が転校してきてからずっと好きだったの♡でも……告白も断られて……動画を流しても……無視されて……他の男と遊んで……美来のことなんかどうでもいいみたいで……だから……空君が悪いんだよ?美来のこと見てくれないから……」
美来は、悲しげな表情をしている。
空は、何も言えなかった。
確かに美来のことは、友達としてしか見てなかった。
でも……だからといってこんな仕打ちをしていいはずがない!
空「?お前……頭大丈夫か?」
怒りを込めて言う。
美来「なんでそんなこというの?私は、ただ……空君と幸せになりたいだけなのに……」
美来は、目に涙を浮かべている。
空は呆れ果てて何も言えなくなった。
美来「でも……空君が悪いんだよ?他の男と仲良くするから……それに……空君には……そんな反抗的な態度は、似合わないよ?」
美来は、狂気じみた目で言う。
空は恐怖を感じた。
美来は空の頬を撫でる。
空「触んな!」
手と足を縛られながらも空は言った。
美来は、ニヤリとして笑う。
美来「……反抗するのは、似合わないな……でもそんなところも……魅力的♡空君♡好きだよ♡」
美来は再び空の唇を奪った。
東「篠山さん」
美来「あっ、東さん♡」
東「お楽しみ中……すみません。そろそろ時間ですよ」
美来「あ、もうそんな時間?」
東「はい。急ぎましょう。」
目の前にカメラがあるのに気が付く空。
空は、東に視線を送る。
美来「空君♡東さんは♡これまで美来のお手伝いをしてくれたんだよ?」
東は、カメラを操作している。
美来「動画で結婚式してみんなに見てもらおうね♡それで……後は……邪魔者を消してもらって……♡大道寺旬っていうんだね?最近仲良くしてるよね?美来との空君の仲を邪魔しそうだから、お掃除してもらうと思って、東さんにお願いしたの~♡」
空は言葉を失う。
美来「でも……空君が悪いんだよ?他の男と仲良くするから……だから……空君が悪いんだよ?」
美来は、狂気じみた目で言う。
空は恐怖を感じた。
美来は空の頬に触れる。
美来「もしかして……空君……あの先輩の事好きなの?」
空は、答えられない。
美来「ふふ♡黙るってことは……図星なんだ?悲しいなぁー…………ダメだよ……空君は、私だけを見てればいいんだから……」
空は、何も言えなかった。
美来は空の頬に触れる手に力を入れた。
美来「空君はさ……。私と居るべきなんだよ?ねぇ?わかる?わかるよね?わからないよね?運命なんだよ?」
美来は、狂気じみた目で言う。
空は何も言えなかった。
美来は空の頬を撫でる。
空「やめろ……」
弱々しく呟いた。
美来「空君は……私のモノ」
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